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2016年5月15日 (日)

ヨーロッパに押しつけられているアメリカの“トロイの木馬”TTIP

Wayne MADSEN
2016年5月8日
Strategic Culture Foundation

グリーンピース・オランダが漏洩した環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)に関する秘密交渉文書の一部、240ページによれば、ヨーロッパ自動車に対するアメリカの輸入関税緩和と引き換えに、成長ホルモンにまみれた肉や遺伝子組み替え食品輸入を認めるよう、オバマ政権は欧州連合に圧力をかけている。国家の法律や超国家的な法律を無視する無限の権限を、多国籍企業に認めることに関する限り、片割れの環太平洋連携協定(TPP)の強化版に過ぎないと、TTIPを批判する人々は主張している。個々のEU加盟国と欧州連合自体が対象なのだ。

強欲で、腐敗し、比較的規制をうけずに済んでいるアメリカ大企業が、潜在的消費者として目をつけている、5億800万人のヨーロッパ諸国民に対するTTIPの悪影響に、EU加盟諸国は益々批判的になりつつある。TTIP文書暴露後、フランスの新聞シュド・ウエストのインタビューで、TTIPに批判的なフランスの貿易大臣マティアス・フェクルが、“ヨーロッパは、非常に多くの譲歩をしているのに、見返りはほとんどない。これは受け入れられない”と述べた。フェクルは更に言った。“現在の状態のままでは、これはまずい協定だ”。もしアメリカ大企業が、ヨーロッパの既存の環境、食品安全や、公衆衛生の保護を全く無視することが認められれば、ヨーロッパの健康や環境規制が最初の犠牲者になるだろうと、フェクルも他のヨーロッパ当局者も懸念している。

アメリカ合州国が、国家の裁判制度ではなく、民間の仲裁陪審員団に貿易紛争を任せようとしている事実も、フェクルは嫌がっている。

フェクルやマニュエル・ヴァルス首相を含むフランス当局者は、TTIPの現状の諸問題や、アメリカの頑固さゆえに、アメリカ政府との自由貿易交渉を、フランスは中止するかも知れないと警告している。

ウオール街が大統領に据えたバラク・オバマ以上に、TTIPを強力に支持している人物はいない。共和党の有力大統領候補ドナルド・トランプや、民主党大統領候補バーニー・サンダースが、それぞれの政党の階層構造をひっくり返すのに、これほど成功を勝ち得た理由は、右であれ、左であれ、中道であれ、アメリカ国民が、オバマが推進する自由貿易協定を拒否していることにある。体制派の民主党大統領候補ヒラリー・クリントンや、ゴールドマン・サックスや、モンサントのようなTTIP推進派の巨大企業や大企業の政治活動委員会からの財政支援を享受しているテッド・クルスや、ジョン・ケーシックや、ジッブ・ブッシュや、他の連中を含め共和党候補者全員に、明らかに過半数の反自由貿易のアメリカ国民が幻滅しているのだ。

EUとのTTIPにかかわる秘密交渉における、アメリカ合州国政府の主要標的の一つは、5億人のヨーロッパ市民き動物を、食品や他の製品中の有害な化学物質や、他の物質から保護している欧州消費者センターだ。例えば、鉛や他の1296種もの発癌性物質が化粧品に入っていても、アメリカ合州国では全く問題にならない。EUは、化粧品中のそのような毒物を禁じている。EUは、化粧品のテストで動物を使用することを禁じている。アメリカ合州国は禁じていない。TTIP文書で、化学工業業界が、TTIP交渉担当官の顧問役であることが明らかになったのは重要だ。

ウオール街の産物たるオバマは、大統領の立場を利用して、もしも来る“Brexit”国民投票で、イギリスがEU離脱賛成投票をすれば、アメリカ合州国との個別の自由貿易協定交渉をする行列の最後尾に、また並ぶことになると、イギリスを脅した。オバマは、2014年の独立に関する国民投票前にも、スコットランドに対して、同様な恫喝をした。

イギリス人は、イギリスの公共医療サービスを、アメリカ企業に開放すれば、国民健康保険制度の民営化に至ってしまう可能性を正当に懸念しているのだ。教育や水道のアメリカ民間企業に、イギリスへの自由参入を認める同様な計画は、イギリス人にとって、教育費や水道代の高騰をもたらしかねない。EU中の国営医療制度も、もしアメリカの多国籍企業が参入して、医療や処方薬で高額な請求を始めれば、民営化に直面しかねない。医療サービスを配給制にし、同時に医療保険の掛け金を高くし、患者の“一部負担”費用を高価にした“オバマケア”のもとで、これがおきたのをアメリカ人は経験している。

TTIP文書の公表は、ドイツのアンゲラ・メルケル首相にも問題をもたらした。TTIP交渉における、ヨーロッパに対するアメリカの圧力が暴露されたのは、ハノーバー国際見本市で、メルケルがオバマの横に立ち、TTIPを称賛してから一週間後のことだ。TTIP文書の骨子で、メルケルが、これまで思われていた以上に、アメリカ合州国にとっての、おそまつなポチであることが暴露されたのだ。

240ページの文書が大衆に公開されるまでは、大西洋両岸の議員は、上着や電話や書類かばんや電子機器を議員監視担当の警備員にゆだねるという条件で、厳重に警備された特別な部屋で、ようやく最大二時間貿易協定文書を読むことを許されるだけだった。議員たちは文書の内容に関して話すことも禁じられている。ゴールドマン・サックス、モンサント、エクソンモービルや、コーク・インダストリーズの取締役なり、テロを支援しているサウジアラビアの独裁支配者なり、世界のグローバル・エリートが、大西洋の両岸、そして実際、世界中で、統治の基準にしようとしている機微な文書について、議員たちが発言することが禁じられているのだ。

頁岩からガスを採取するための“水圧破砕”という、アメリカ天然ガス採掘企業お得意の作業に反対しているヨーロッパ司法当局も、TTIPの下では、そうした行為を止める力を失いかねない。ブルガリアやリトアニアやベルギーの国民も、水道の蛇口をひねると、水の代わりに、炎が吹き出すペンシルバニア州民と同じ苦境に陥る可能性がある。

ヨーロッパで、左右双方の政治指導者たちがTTIP反対論を奉じているのみならず、アメリカの州や領土における、憲法上の権利に対するTTIPの脅威を認識しているアメリカ指導者たちも納得していないのだ。例えば、自治体による商品やサービス調達の法律や規制に“バイ・アメリカン”条項を規定しているアメリカの州がある。もしTTIPが施行されれば、こうした条項は無効となり、ルーマニアやポーランドの請負業者が、アイダホ州のダム建設プロジェクトや、メーン州の橋梁建設契約への応札が可能になる。こうした可能性は、アメリカの中小企業にも、アメリカの安全、健康、環境監督機関や、労働護団体、環境護団体や、作業安全保護団体にも極めて不人気だ。

アメリカ各州の司法当局や、ドイツやオーストリアの(レンダー)州や、スペインの州(レギオン)や、アイルランドの州(カウンティ)の司法当局も、事業を規制する自分たちの権限が、責任を負わないTTIP仲裁廷に奪われてしまうのではないかと恐れている。アメリカ最高裁判所を含め、国家の裁判制度さえもが、TTIPの超国家的権限によって手を縛られてしまう可能性がある。

TTIP文書を暴露した人々は、協定が、ヨーロッパ人とアメリカ人にもたらす危険を見てとったのだ。法律がどうであれ、全ての機密文書を公表させるという現在のグローバル精神を踏まえて、TTIP文書を漏洩した人々は、TTIPの心臓に止めの杭を打ち込んだことになるのかも知れない。同じような将来の暴露で、同様に危険なTTPをも窒息させ、息の根を止められると良いのだが。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2016/05/08/americas-ttip-trojan-horse-being-forced-upon-europe.html
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都知事問題や広島訪問、タレント復帰は言い立てるが、遥かに重要なTTIPについても、TPPについても、そしてそのトンデモ交渉をし、睡眠障害になったとされる人物についてはまったく報じない洗脳機関大本営広報部。読めばよむほど、みればみるほど〇〇になること確実。

ようやく【決定版TPP】 “貧困・格差・TPP” 「月刊日本」5月増刊号が発売になった。

ベスト・セラーになることを期待している。何冊か購入し、知人にさしあげるつもり。

TPP交渉差止・違憲訴訟の会

【IWJブログ】「TPPに署名しないか批准しないことが、民主的に選ばれた議会の責務」!!国連人権理事会の専門家アルフレッド・デ・サヤス氏が国際法および国際規約違反を示唆して警告!!

【IWJブログ・特別寄稿】「いのちの市場化」にNO!~TPPと国家戦略特区は「新自由主義」を実現する双子である (アジア太平洋資料センター〈PARC〉事務局長 内田聖子)

植草一秀の『知られざる真実』

TPPに関する、小生による関連海外記事翻訳リストは下記。

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