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2016年5月17日 (火)

バラク・オバマ、平和は戦争であることを教えてくれてありがとう

2016年5月11日
George Katsiaficas
CounterPunch

何十年も前、ジョージ・オーウェルは、小説『1984年』で、戦争は平和で、真実は嘘で、愛は憎悪になると予言した。オーウェルが考えていたことを、長年私はかいま見てきた。だが、彼の予測が完全に本当になったと言えると私が思ったのは、ようやく2016年になってからのことだ。そうしてくれてありがとう、バラク・オバマ。

前任者の誰一人としてかなわない機転の良さを、あなたはホワイト・ハウスにもたらした。ビル・クリントンの“私はあの女性とはセックスしていない”や、ロナルド・レーガンの“コントラに資金提供したことは覚えていない”やら、もちろん、ヒトラーと提携し、議会が検閲していた実業家・資本家の子孫で、大統領なって、民主主義を愚弄したジョージ・ブッシュ親子については、言うに及ばない。

対照的に、オバマは、マーチン・ルーサー・キング Jrと比較され続けている。世界の多くの場所で、特にアフリカ諸国民の間では、彼は大いに称賛されるあまり、崇拝されている。イラクでの戦争を拡大し、アフガニスタンでの戦争を引き延ばした事実にもかかわらず、大統領就任初年に、彼はノーベル平和賞を受賞した。今や彼は、シリアに全面戦争をもたらし、少なくとも25万人の国民が死亡した。彼は、多くの中南米の困窮した人々に無料じ支援を提供した国ベネズエラ転覆を画策した。彼は、新自由主義政治家連中に、ブラジル大統領を打倒するようけしかけ、ホンジュラスでの右翼クーデターを監督し、ウクライナのネオナチ政権を支援し、リビア政権の打倒と、そこで破綻国家を生み出すのを支援し、ケニヤとエチオピアに金をやって、ソマリアを攻撃させ、イエメン国民に対し使用するよう、サウジアラビアに爆弾を供給し、ロシア国境でアメリカ兵器を増強した。アジアでは、“基軸”政策により、第二次世界大戦中の役割を(特に、100,000人以上の女性を拉致し、日本軍の慰安婦にしたことを)決して詫びていていない日本の重要性をよみがえらせた。彼は、日本に歩み寄るよう、韓国に圧力をかけ、航空母艦寄港と、挑発的上空飛行で、中国を恫喝している。

国内では、彼によるウオール街と巨大銀行の緊急救済は、政府による史上最大の大企業支援の位置にある。

こうしたこと全てにもかかわらず、マスコミは、イランとの協定やら“オバマケア”施行のニュースで、我々爆撃しつづけている。彼による爆撃を免れている唯一“敵対した”国々、北朝鮮とイランが、まさに完全武装した国であることや、オバマケアは、彼が約束した全員に対する質の良い医療の、チャチな模造品でしかない事実には誰も触れない。

目の黒いうちに、フェミニズムが、まさに逆のものにひっくり返るのを見させられた。女性は、男性のような、暴力と残虐さによる支配はしない- - 支配することはできない - - という一連の観念から、女性は、男性同様戦闘に参加すべきで、女性は、大企業役員会議室で同じ位にタフになって、より効率的に、さほど感傷的にならずに、世界的な貧困化と疎外化という体制の中で支配をすべきだ、というものへの転換を。

バラク・オバマが、ホワイト・ハウスに入って以来、アフリカ系アメリカ人の運動にとって極めて重要な平和の約束、アメリカを“世界における主要暴力提供者”と呼び、戦争のない世界を唱道したマルチン・ルーサー・キングの夢が、この国の戦争と、果てしない暴力を正当化するのに使われている。それで数人が虐殺された、子どものお誕生会を無人機攻撃標的にしたと、オバマは、はっきり発言した。最高位の人物がみせるお手本からして、アメリカ諸都市が、またもや、警官が日々子どもを銃撃し、人々がお互いに記録的な数で殺し合うようになって不思議があるだろうか?

それなのに、このあべこべの世界では、オバマは平和の人と見なされており、常備軍のない世界、何世紀もの大量虐殺戦争と帝国主義的搾取に対し、アメリカ合州国が、他の国々に賠償金を支払うはずの世界を、きっぱり呼びかけていたにもかかわらず、ブラック・パンサーは、暴力集団として記憶されている。

だから、バラク・オバマよ、平和が戦争であると我々全員に教えてくれてありがとう。戦犯行為の隠蔽に、マーチン・ルーサー・キングのマントを利用できたのは、あなただけだ。ジョージ・オーウェルの予言を完成してくれて、ありがとう。

ジョージ・カシアフィカスは、「The Subversion of Politics」の著者。

記事原文のurl:http://www.counterpunch.org/2016/05/11/thank-you-barack-obama-for-showing-us-that-peace-is-war/
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孫崎享氏、彼氏の広島訪問は「卒業旅行のようなもの」と書いておられる。大賛成。
選挙を前にした首相の為の政治パフォーマンスだろう。

TPPなるとんでもないものを押しつける宗主国大統領を大歓迎する属国民の未来は真っ暗。
ハノーバー市民にならって「Yes. We can stop TTP」という巨大バナーが、サミット会場や広島のビルにつり下げられることは、この属国に限って絶対にないだろう。

到底、ありがとうなどという気分にはなれない。

都知事の政治資金用途はしつこくほじくるが、TPPを推進した御仁が国会を欠席した件も、TPPの中身についても全く報じない犯罪洗脳装置の画面を見ながら、あきれている。

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コメント

オバマが初当選したとき、私は、大阪の高校や中学の元英語教師のグループ(8人くらい)で作る、チョムスキーなどを読む会に入っていました。メンバーは ほとんどK党の党員です。一人は、いつもオバマを応援する「Yes, we can. 」のバッジを 胸につけていました。私以外はオバマ当選に大喜びで、彼の就任演説を読もうという提案に、私は「読むに値する内容ではまったくない」と反対しました。結局読みませんでしたが、次には「東欧でオバマが反核演説をした。素晴らしい内容だ。これを読もう」と言い出しました。

彼らは 小浜市が町おこしに オバマを応援するという失笑してしまう行動をとるのと 頭の構造では まったく変わりません。高校の元教師であっても K党員であっても 属国のB層市民として宗主国を崇めずにはいられないのです。堤未果さんの「貧困大国アメリカ」の3部作などは 読書力がないので 読めないようでした。副島隆彦さんが、アメリカによる洗脳が解かれるには、頭が割れるようなものすごい苦痛を味わうことになると 書いていましたが、右から左まで洗脳は徹底していると思います。

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