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2016年5月21日 (土)

ベネズエラ、南米と、オリガルヒの復帰

John Wight
公開日時: 2016年5月16日 14:55
RT


Jorge Silva / ロイター

2013年、ベネズエラで、ウゴ・チャベスが亡くなって以来率いてきたニコラス・マドゥロ大統領による非常事態宣言は、ベネズエラのみならず、地域全体にとって、極めて重要な時期であることを示している。

左翼の理想が優勢だった時期の後、南米亜大陸が、保守と反動政治勢力による攻撃という非常に困難な状況のさ中にあることに、もはや議論の余地はない。

この攻撃の狙いは、1998年に、ベネズエラで大統領の座について、ウゴ・チャベスが鼓吹した左翼潮流を押し戻すことだ。彼自身、先住民の出身だが、チャベスは、2002年のアメリカが支援したクーデター未遂に耐えた。癌と二年間戦った後、2013年3月に彼が突然亡くなって以来、彼の死因となった癌は自然発生だったのか、それとも毒を投与された結果なのかをめぐる疑問は消えないままだ。

チャベスが亡くなる前、2009年、ホンジュラスのマヌエル・セラヤ大統領が、ホンジュラス軍によって打倒され、追放された。2012年、上院が弾劾プロセスを開始して、パラグアイのフェルナンド・ルゴ大統領が、大統領の座を追われた。エクアドルのラファエル・コレア大統領は、既に2010年、エクアドル軍によるクーデター未遂に耐えたが、エクアドル国内の状況は、緊張したままだ。一方、チャベスが亡くなって以来、アルゼンチン元大統領クリスチーナ・キルチネルが、大統領時代に、国から詐取したかどで、アルゼンチン連邦裁判所に起訴されている。最後に、そして最近、ブラジルのジルマ・ルセフ大統領が、予算を不正操作したかどでの審理待ちで、大統領職を停止されたが、この手順を、ルセフと彼女の支持者たちは、クーデターだとレッテルを貼っている。

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ベネズエラ大統領がアメリカの策謀を恐れ、60日間の非常事態
宣言


 

上記の指導者たちのそれぞれに共通しているのは、彼らが、アメリカによる政治的・経済的支配がない大陸という、ウゴ・チャベスの構想を支持し、貧しい人々、何世代にもわたり、社会の隅に追いやられ、貧困にさいなまれるがままにされ、二級、あるいは三級国民として見なされてきた特に亜大陸の先住民への富と資源の再配分を追求してきたことだ。

ベネズエラの現大統領ニコラス・マドゥロはチャベスの最も近しい仲間・支持者の一人だ。彼は前任者が始め、鼓舞した徹底的改革を継続すると誓って、大統領職を引き継いだ。ボリバル主義憲法による後援のもと、その実績は記録に残るものとなっている

キューバと協力して、チャベス政権が開始した大衆読み書き能力向上計画は、実施されたものの中で、最大かつ意欲的なものだったが、その成功は、ユネスコが、2005年にベネズエラを‘文盲のいない国’と宣言して認められた。キューバも、貧しい人々への無料医療の提供を目指した全国での病院建設で、重要な役割を演じた。

一方、国連によれば - ベネズエラの平均余命延長の施策、医療と教育 - 生活の質は、世界でチャベスのもと、2006-11の間、三番目に高い率で向上した。更に、貧困は、2002年の48.6パーセントから、2011年の29.5パーセントに減少した。2013年のチャベス逝去時、ベネズエラでは、所得の不平等も、中南米とカリブ諸国全ての中で、一番低かった。

そうした目ざましい結果を実現すべく、チャベス政権は、ベネズエラ国内の経済支配層に、戦争をしかけ、1,000社以上の資産を没収し、国外のアメリカ巨大石油企業エクソン・モービルとコノコ・フィリップスからも、所有していた油田を国営化した。彼はベネズエラで活動している他の多国籍石油会社の収入のより大きな割合も要求した。

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6,000%急騰

無料教育、医療や、憲法上の住まいの権利などとともに、基本的な必需品を入手しやすくすべく、価格統制が導入され、ボリバル主義革命は、ベネズエラ国内のみならず、地域全体、そして南の発展途上国全てにおいて、貧者や社会の隅に追いやられた人々にとっての希望の光だった。

外交政策については、全中南米そしてベネズエラ国民に対する、民主主義や、人権や国家主権を蝕む上で、アメリカ政府が果たした役割の歴史をあらゆる機会非難し、アメリカ帝国主義歴史を教育したチャベスは、アメリカ覇権にとっては手ごわい相手だった。彼は、キューバ、中国、ロシアやイラン、つまりアメリカ支配に反対し挑戦している国々との密接な繋がりを求め、作り上げ、地域全体で より緊密な経済的、政治的、および文化的統合を醸成するための無数の構想に着手した。

この政策の果実は、南米南部共同市場、ALBAとして知られている経済的、政治的、文化的統合プロジェクトと、汎中南米テレビ・マスコミ・ネットワーク、テレスールのもとで、自由貿易経済圏の存在として残っている。亡くなる前、チャベスはIMFと世界銀行への依存をやめるための地域開発銀行と地域エネルギー市場の設立という大望を抱いていた。

マドゥロが大統領に就任して以来の世界的な経済的雰囲気と、ベネズエラを経済的、社会的、政治的危機に陥らせるべく、上述のオリガルヒとその支持者が断固として行っているキャンペーンとあいまって、宣言されたばかりの60日間の非常事態が最新の出来事だ。

インフレは急騰し、スーパーマーケットの棚では基本的物資が不足しているが、彼の政治上の敵が、社会不安を醸成するため食料供給を貯蔵しておこなっている巧妙にしたてられた政策だと、マドゥロは非難している。今やカラカスは、世界で最も暴力的な都市という不名誉のレッテルを貼られるようになっている。

ベネズエラが飲み込まれている経済的危機の主要な要素は石油価格の急落だ。投資に肩入れし、貧しい人々の期待を募らせてきた政府が支配する、ベネズエラのように、石油に依存している経済では、現在の社会危機が、社会的激変に急発展する可能性は、余りに現実的だ。

もしマドゥロ政権が、現在直面している反対派が増大する困難をうまく切り抜けることができずに、倒壊すれば、その代わりに現れるのは、過去15年間行われた改革を逆転させて、ベネズエラを‘正当な所有者’に返上すると固く決意した別物だ。もしそのような日が万一到来すれば、アメリカ国務省内でシャンペンのコルクがポンと抜ける音が窓ガラスを割らばかりに鳴るだろう。

かつて、元キューバ大統領フィデル・カストロが、革命のことを“未来と過去の間の死闘”と表現したことがある。

2016年、南米は実に恐るべき速度で、過去に急激に戻りつつある。

ジョン・ワイトは、インデペンデント、モーニング・スター、ハフィントン・ポスト、カウンターパンチ、ロンドン・プログレッシブ・ジャーナルや、フォーリン・ポリシー・ジャーナルを含む、世界中の新聞やウェブサイトに寄稿している。RTやBBCラジオの常連コメンテーターでもある。9/11後のアメリカ反戦運動の専任活動家・幹事になる前、ハリウッドで、映画業界で働いた5年間の回顧録を書いた。書名は『Dreams That Die』で、Zero Booksから刊行されている。彼は現在「アラブの春」における欧米の役割を探る本を執筆中。ツィッター @JohnWight1で、彼をフォローできる。

本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。

記事原文のurl:https://www.rt.com/op-edge/343201-venezuela-south-america-oligarchs/

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チャベスのような独立精神をもっている政治家は、属国では、トップに上り詰める前に排除されてしまう。属国では、逆に、とんでもない政治家ほど、長期政権。今苦渋をあじあわされ、未来世代にさらなる苦難引き継ごうとしているのが、その典型。

そこで、下記インタビューに是非ご注目を。

岩上安身による『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』著者・矢部宏治氏インタビュー 2016.5.20

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コメント

チャベス大統領の行動こそが本当の意味での保守政治家の姿ですね。
そこへいくと、日本の自称保守政治家たちというのは何なのかと言わなければなりません。

特に今の自民党は、対立する派閥(田中派)というものが消えてしまった所為で、日本会議のメンバーが幅を効かせており、その流れは止められないところまできてしまった感じです。

日本会議というのは、どうやらネトウヨ連中の取りまとめ役みたいな存在の様ですね。
これは自民党の中にも民進党の中にも居て、党の政策に与える影響力もある様です。
安倍傀儡氏自身もその内の1人であり、党の長ですから、他のネトウヨ連中を意識せざるを得ない境遇に置かれている訳です。
ですから、安倍氏というのは、単に米ネオコン勢力の傀儡だけに留まらず、日本会議の意見も尊重しなければならず、おまけに統一家庭連合や創価学会や下関の朝鮮街の人たちの意向も勘案しながら政策を進めなければならない訳で、さぞかし気苦労も多い事と思います。
そうしなければ自身の地位やカリスマ性を維持できないというジレンマに陥っている様にも思えます。
その割には至って呑気に毎日飲み食い豪遊、休日はゴルフばかりしているし、海外旅行はエンジョイしてるし、まーホントに訳が解からない存在ですけどね。

何れにしましても、安倍晋三氏というのは、保守政治家ではありません。
世間では、特にリベラルの方は彼を右翼と見做していますが、それは日本会議、ひいてはネトウヨに配慮した言動によるものなのであって、決して右翼ではありません。

安倍氏の性格を端的に表すなら、虚栄心の塊という事に尽きると思います。
彼は生まれた時から、周辺の人々から「ぼっちゃんぼっちゃん」と煽てられ、チヤホヤされて育った所為もあるかと思いますが、常に側近や周辺に居る人々からチヤホヤされていないと不安なのだと思います。
それでいて自分ではこれといった確たる考えというものを持っていない、からっぽな存在な訳です。

ですから、周囲の人々の意見や反応を八方美人的に政策に反映してしまうところがある様です。
自分としての確たる考え、方策というものを持たないが故に、日本会議の思想を軸にして、後はアメリカ及びネオコン勢力の意見を優先し、これに朝鮮カルトの風味を加えたレシピで政権を維持しようとしているのだと思える訳です。

こうしたゴチャ混ぜ感が、安倍晋三という人物の真の姿を隠す為には都合よく働いていて、これによって、多くの国民心理は翻弄させられ、有権者が右往左往している原因になっているのではないかと思います。

つまり、安倍晋三という人物は何を考えているのか、殆どの国民には全く解からない為、安倍晋三が善人なのか悪人なのか区別がつかず、従って有権者の人々は、安倍が極悪ペテン師である、という確証も得られず、故に「消去法で一番マシなのは自民党」という事になって、或は無力感により棄権という行動を執り、それが与党有利の選挙を作ってしまっている最も大きな原因なのではないかという結論に達しました。

だから何?とか言われると返す言葉はありませんが、今後も少しづつ、私的見解を展開していく上での足掛かりとしての基本的な認識とご理解くださいませ。

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