アメリカ、イギリスとEUは、今や独裁制
Eric ZUESSE
2016年5月22日
Strategic Culture Foundation
予備選挙中、民主党と共和党候補者に対して行われた、全ての大統領候補1対1で民主党対共和党世論調査で、事実上、どの共和党候補者に対しても、好ましい民主党候補者はバーニー・サンダースだが、彼が党指名候補になるまいことはほぼ確実で(それに関しては、更にここにある)、民主党のどの候補者に対しても、好ましい共和党候補者はジョン・ケーシックだが、彼も共和党指名候補になるまいことはほぼ確実だというのは一体どうしてそうなるのだろう。
ネット上での好感度では、それぞれの党で、サンダースとケーシックが最高だが、いずれの候補者も、11月8日の本選挙の対象になることはまずあるまい。これは一体どういう‘民主主義’だろ。
“サダムの大量破壊兵器”(存在すらしていなかった)を廃絶するための2003年イラク侵略で、イギリス保守党首相でなく‘労働党’首相トニー・ブレアが極端に保守的な(つまり攻撃的な侵略とりわけウソをもとにした)をして、ジョージ・W ブッシュのポチをつとめるようなことに一体どうしてなったのだろう? これは一体どういう‘民主主義’だろう?
EU中で、人々が、GMOやラウンドアップやグリフォセートなどの有毒化学物質や、TTIPのような有毒な‘貿易’協定に反対しているのに、政治指導者連中が、こうしたもの全てに対して、全力で推進しているなどということがありえるのだろう? それが議員でありつづける方法なのだろうか? 民主主義では、そういうことはない。
独裁制というのは、国民によって支配されるのでなく、国民を支配する国家政府のことだ。これには、共産主義者(‘労働者’独裁)、ファシスト(大企業独裁制)など様々な種類があるが、そうしたものは専門用語の微妙な差に過ぎず、根本的には同じひどい代物であり、この酷い代物のあらゆる変種において、二つの人々階級がある。支配するエリート階層と、支配される大衆だ。あらゆる種類の独裁制は、エリート支配階層を、法を超越するもの、法律に違反しても、大衆に対して法的責任を負わないものとして扱い、大衆を、(エリート支配階層に対して協力的かどうかによって)恣意的に、いかなる法律違反に対しても、政府(エリート支配階層)に対して全面的に責任を負うものとして扱うため、どの独裁制においても、法の前での権利の平等は存在しない。(例えば、ホームレスは刑務所に送られるが、強欲な銀行幹部は尻ぬぐいしてもらえる。)
多くの独裁制において、支配者は目に見えない。こうした支配者たちは舞台裏にいて、非公式で、名目的な支配者連中というのは、実は支配階層の代理人で、実際には、国民を代表してはいない。目に見えない支配者(実際には、主に目に見えない支配者の個人的代理人として)国会ではなく、ビルダーバーグ会議や、三極委員会のような秘密国際会議に集まる。目に見えない支配者たちは、これ見よがしではなく、極めて目立たない傾向があり、 全く“政治家”タイプでなく、決して大言壮語しない。彼らは、誰も感服させる必要がない。彼らは、人々が服従してくれれば良いのだ。
5月17日、稀なほど献身的な民主主義者で、イギリス国会議員でもある、イギリス議員(MP) クレイグ・マレー、が彼の素晴らしいブログに“保守派は、選挙違反をしても、守られることになる”という見出し記事を書いて、“露骨な国家プロパガンダ操作”が行われており、“この国では、選挙法は、権力の座にある連中には適用されない”ことを示している。イギリスでは、権力者たちは、法律違反しても、たとえ違反が明らかに文書化されていても、とがめられずに済むことを、彼は示したのだ。
アメリカが民主主義かどうかについてのアメリカ合州国で唯一の学術研究で、民主主義ではないことが判明している。研究は、1980年以来提案された、アメリカの1,779件の個別法案を検討し、裕福な人々(“オリガルヒ”)の関心だけが、法案の運命に影響することを見出した。庶民の懸念(ある事柄についての世論調査に反映されるような)は影響していない。
1945年に、民主的諸国(更に、重要だが、共産主義独裁国家ソ連)が、ファシズムを打ち破ったとは言え、結果的に、民主的諸国は、もはや民主主義ではない。そうした国々は全て、何らかの支配階級“オリガルヒ”か他の連中によって支配されている。
こうした進展の極地が、国家(民主的なものであるかないかとは関係無く)主権を、多国籍企業独裁制に移譲させ、食品の安全、製品の安全、労働者の権利や、地球温暖化や、他の環境問題の規制強化を禁じ、権限を多国籍企業の主要株主連中に移譲するためのアメリカのバラク・オバマ大統領が提案し、成立させて、法律にしようとしている、国際‘貿易’協定、TTIP、TPP、および/またはTISAなのだ。
現時点での疑問は、民主主義は既に余りに酷く傷つけられてしまっていて、オバマが推進している、このような条約でさえも、‘民主的’政府によって批准され得るのかどうかだ。もし、その疑問に対する答えが、イエスであれば、我々は、既にファシストの国際的勝利という『素晴らしき新世界』 - 第二次世界大戦後ではあるが、ファシストが最終的に、単に可能性があるというのではなく、明らかに、そして決定的に、予見しうる将来ずっと、国際条約、特に多くの国々が関与する条約は、事実上終了させるのが不可能なので、おそらくは永久的に勝利することになるだろう。(こうした永久性の好例はNATOだ。ソ連とワルシャワ条約軍事同盟が1991年に終焉した際、NATOの存在理由は終わっていた。ところが、それが今日でさえ存在しており、今やその極致だろう第三次世界大戦をもたらそうとして、我々を脅かしている。)
我々は、その逆のプロパガンダに取り巻かれているので、我々が独裁制の中で暮らしているという考えかたが信じがたいように思えたとしても、ファシズムに関する寓意的小説『1984年』の主人公、ウィンストン・スミスのインスピレーションがある。彼は自分が編集しているプロパガンダに失望するのだが、最終的に心を入れ替え、光明を見出した。結局、ビッグ・ブラザーは彼の救世主なのだ。元アメリカ上院議員ゲーリー・ハートが、それ以前の、幻滅したウィンストン・スミスの視点から最近書いたが、多分、彼のような人ですら光明を見出し、“古代の共和国のために確立された基準と比較すれば、アメリカ共和国は著しく堕落している”などということを言うのを辞めるだろう。多分、誰にとっても、買収されてしまう金額があり、それが支払われてしまえば、皆光明を見出すのだ。しかし、例え彼が買収されなくとも、1948年の昔に、オーウェルの小説がただ寓話化しただけの現実の、驚くほど正確な記述をしているのだ。ウィンストン・スミスは、それほどよく似た精神が、1984年ではなく、2015年に書かれることに衝撃をうけるだろう。
オーウェルは、彼の時代に、一体どの年を小説の舞台にすべきかで苦労した。同様に、我々もまだ、その時期に至ってはいない。結局、舞台は核戦争の後に設定されていた。国際協定 - 同盟 -は、既にかなり長い間、存在しているように見える。オーウェルの小説は、“2025年”とでも呼ばれるべきものだったのかも知れない。あとわずか数年。もう待ちきれない(もし我々が核戦争の生存者の中に入れればだが)。
それが国際支配階層の手口だ。もし我々が連中に耐えれば。だが、もし我々が耐えなければ、どうなるのだろう? 彼ら以上に強力なものは皆無だ。だが、それで話は終わるのだろうか? 連中は究極のやっかい者なのだろうか? NATOは、その頂点に達することなく終われるのだろうか? それとも、何か他に道があるのだろうか?
記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2016/05/22/us-uk-and-eu-are-now-dictatorships.html
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冒頭画像、映画『1984年』のものだろうと想像する。
翁長知事「安倍内閣は出来ることはすべてやる、と枕詞のように言うが、出来ないことはすべてやらないという意味合いでしか聞こえない」
「死体遺棄の疑い」という表現の不思議。「レイプ殺人死体遺棄」ではないのだろうか?
某局、まず都知事の話題、次にアイドル・ストーカー犯罪を実にしつこく扱い、軍属によるレイプ殺人事件、それと比較して、実にあっけないほど短時間。
属国が、宗主国の基地を沖縄に押しつけているため、沖縄に基地があるゆえに起きるという制度的理由の事故よりも、偶発的タレント横恋慕事件を大きく扱う神経、正常ではない。お上、あるいは大本営広報部幹部指示による時間配分だろう。電気洗脳の機能丸出し。
広島訪問には元捕虜が同行するという。敵もさるもの、ひっかくもの。ハノーバーのように、ビルから、Yes, We can stop TPP.という巨大バナーが垂れ下がる可能性この属国では皆無。
呆導を見たいのでなく、歪曲度確認目的で翻訳しながら聞いているだけ。それでも腹がたつ。
都知事候補、大阪から、あのスゴイ人物が横滑りする可能性が大きそうだ。
東京都民なら、喜んで投票しかねないと、幼なじみを思い出す。
まともな都知事候補、宇都宮氏しかおられないだろうと、思うのだが。
衆議院同時選挙、自民党大勝利で永久属国地獄へ真っ逆様地獄絵図が待っていそう。
洗脳呆導ではなく、重要な問題追求こそ重要。
甘利明・前経済再生相が雲隠れ!?「甘利問題」を風化させるな!岩上安身による「甘利前大臣疑惑追及チーム」座長・大西健介衆議院議員インタビュー。自民党が提出した睡眠障害の診断書は循環器内科医が書いていた! 2016.3.16
海兵隊兵士の事件被害者を追悼し、米軍の撤退を求める緊急集会 2016.5.22
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