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2016年5月23日 (月)

アメリカ - 地球上で最もおびえている国

Finian CUNNINGHAM
2016年5月20日
Strategic Culture Foundation

アメリカは、たしかに例外的だ。外国の敵と、イデオロギーを警告する、何十年にも及ぶヒステリックなプロパガンダにさらされてきた、地球上で最もおびえた国だ。圧倒的大多数の人々が、支配者連中によって、仮想の恐怖の檻に閉じ込められて、民主的自由とされるものが、ぞっとするほど酷い状態なのも不思議ではない。

だが、逆説的に、自由とされるものに関する不協和は、これ以上ひどくなりようがないほどだ。先週カンヌ映画祭での記者会見で、アメリカ人映画俳優ジョージ・クルーニーは彼の新作映画から脱線して、共和党大統領候補ドナルド・トランプについて語った。政治的リベラルさで著名で、民主党候補ヒラリー・クリントンの強力な支持者クルーニーは、右翼の実業界の大物トランプは、来る11月の大統領本選挙で勝てないだろうと予言した

クルーニーは、トランプのことを、恐怖と人種や外国人嫌いで対立を招く緊張をまきちらすデマゴーグだと切って捨てた。それは実にもっともだ。ここで興味深いのは、トランプの政治的成功の可能性に関する俳優の考え方ではない。そうではなく、アメリカ国民は、反動的な恐怖の押しつけに屈することはないというクルーニーの前提だ。

記者会見で、アメリカ人共演者ジュリア・ロバーツと、映画監督ジョディー・フォスターと並んで座っていたクルーニーは、カンヌの観客にこう語った。“恐怖がわが国を動かすようなことはありません… 我々は何も恐れていません。”

だがジョージ、恐縮ながら、その点に関しては、あなたは全く間違っている。恐怖は、少なくとも第二次世界大戦以来、そしておそらく、それ以前の何十年も、アメリカ政治における最も重要な感情的原動力だ。

クルーニーの虚勢と逆に、アメリカ人は、実に恐れている。

アメリカの大衆にとって一番怖い人さらい鬼はソ連で、その恐怖が、アメリカ政治を、約50年支配していた。ロシアと、ウラジーミル・プーチン大統領が“ソ連を復活させる”つもりだということにして、この恐怖が、再び呼び起こされたのだ。

プーチンは“新たなヒトラー”だという、ばかげた、歴史的に無知な非難をしたのは、クルーニーにとっての政治英雄ヒラリー・クリントンだ。他の多くの有力アメリカ政治家や欧米マスコミも、以来、同様にロシア指導者の悪魔化に、家畜の群れの暴走状態だ。

アメリカ政府では、バラク・オバマ大統領から、ジョン・ケリー国務大臣や、主要議員連中から、ペンタゴン幹部にいたるまで全員、世界の安全保障にとってロシアは実存的脅威だというのが、疑問の余地のない合意だ。

アメリカ人NATO軍新司令官カーティス・スカパロッティは、東ヨーロッパとバルト諸国に対するロシアの侵略とされるもののおかげで、アメリカが率いる同盟は、いつでもロシアに対する戦争に備えていなければならないと警告した

ソ連崩壊以来、四半世紀後、かくして冷戦が復活した。前回同様、またもや恐怖がアメリカ政治をあおっている。一貫して、この大衆現象には、取るに足りない客観的根拠しかない。ソ連が脅威ではなかったのと同様、現在のロシアは、アメリカやNATO同盟諸国にとって脅威ではない。

ロシアによるウクライナ“併合”と“侵略”に関する仰々しい主張は、事実的に薄弱で、うさんくさかったり、根拠がなかったりする。こうした主張は精査に耐えられない。しかし、それが問題なのではない。要するに、ロシアの悪意とされるものに関する偽りの言説、つまりプロパガンダが、ナチスのヨーゼフ・ゲッペルス宣伝大臣のデマ宣伝テクニックとさして変わらない、欧米の“自立した”マスコミにより、誇張され、何度も繰り返されているのだ。

アメリカと欧米同盟諸国は、言いなりになる報道機関の協力を得て、事実上、彼ら自身の偽りの“現実”を作り出すことに成功している。それは客観的な現実ではない。それは、欧米諸国が、ストーキングし、舌なめずりしているロシアという姿をした敵の脅威の下にあるとして描かれる、主観的な妄想“現実”なのだ。

イギリス人作家ジョージ・オーウェルが敏感に感じた通り、恐怖は人々を支配するための強力な手段だ。大衆に彼らの命に対する外部の敵という恐怖を与えれば、彼らはたやすく操作され、権力がどれほど過酷で、違法であろうとも、権力を受け入れるようになる。恐怖が、民主的権利を放棄して、檻に入る鍵なのだ。

1945年に第二次世界大戦が終わって以来、自国内における、より進歩的で民主的な発展に対する防壁として、欧米はソ連との冷戦が即必要になった。アメリカ人作家デーヴィッド・タルボットが、著書『The Devil’s Chessboard』の中で、ウオール街、ペンタゴンと、イデオロギー的に偏向した政治家連中が、冷戦の不安と、“悪のソ連”に関する恐怖をもとにして、一体どのようにして、怪物のような軍産複合体と、エリート支配階級の儲けのため、経済資源の途方もない消費を作り出すことができたかを鮮やかに描いている。

懐疑的で、より自立した、少数派の知的な政治家や作家や芸術家が、冷戦の主張に疑問を呈すると、彼らは有無を言わせず“赤”やら“売国奴”やらとして排斥されたり、デーヴィッド・タルボット説得力のある主張をしている、ジョン・F・ケネディ大統領の場合に、実際に軍産複合体によって暗殺されたりした。

この倒錯した歪曲と、アメリカの経済資源の無駄 - 他のあらゆる社会的要求をしのぐ、毎年、年間6000億ドルの軍事予算は - まさに恐怖によって画策されてきたのだ。アメリカや、同盟諸国の重要な権益を、“実存的脅威”から“防衛”あるいは“保護”するために、アメリカの軍事力は、至高かつ、極めて神聖でなければならない。ロシアと、それよりやや劣るが、中国が、世界的脅威という役割を与えられ続けている。

この目的のため、過去70年間、婉曲的に“ニュース”と呼ばれる、容赦ない心理学的プログラムに、アメリカ国民はさらされ続けてきた。ヨーロッパ人もそうだ。ロシアを悪魔化する点では、おそらく全ヨーロッパでイギリス・マスコミがもっとも酷く反動的だ。

欧米大衆に対する心理操作は目にあまる。反ロシアの主張は荒唐無稽だが、驚くべきことに、人心操作は、一定程度成功している。

しかしながら、恐怖によって国民を支配するのはかつてそうであったほど全能ではない。旧冷戦中、欧米大衆は、“悪の”ソ連の脅威描写の影響を遥かに受けやすかった。

ところが、今やそうではない。ブッシュ-ブレアの対イラク戦争やリビアやシリアやウクライナを含む、アメリカが先導する他の犯罪的政権転覆工作のための口実のウソをでっち上げていることを巡り、欧米マスコミは信用をなくして長い。現在、欧米市民は、ロシアのマスコミや、自国内の批判的なインターネット・メディアを含む代替情報源によりアクセスしやすくなっている。デマ宣伝テクニックは、いまでも依然影響力が強いとは言え、かつてほど効果的なものではない。

一般市民の認識におけるこの新たな歴史的展開は、ヨーロッパ中で、ロシアに対して攻撃的なアメリカ政府の政策に卑屈に従っていると見なされている政府に対する大衆の不満の増大に反映されている。アメリカが率いる対ロシア経済制裁が、自分たちの雇用、事業、輸出収入を直撃しているのに、なぜ経済緊縮策を受け入れさせられるのからと、諸国民は怒って問うている。ロシアとの緊張をやたらに挑発すべく、NATO軍に何十億ドルも注ぎ込まれているのに、公共サービスやインフラ用の財源は無いと言われて、諸国民が怒り狂うのはもっともだ。

もちろん、大衆の要求に合わせることに関する欧米政府の優先順の異様さは、ばかげていて、不当で、持続不可能だ。欧米支配者連中が、民主的現実のそのようなばかげた否定をして、逃げきれる唯一の方法は、恐怖の要素を利用することだ。皮肉にも、例外的で、自由で民主的だと高らかに述べ立てられている国アメリカ以上に、恐怖の要素が利用されている場所はどこにもない。

ジョージ・クルーニーは、勇敢さと豪胆さが、実生活より、フィクションで大きく輝く、銀幕に固執する方が良いだろう。“アメリカ人は何もおそれていない”と彼は実生活で主張している。ジョージ、その点については、あなたの国民こそが、地球上で最も怯えているのだ。しかも洗脳体制が余りに素晴らしいため、あなたも彼らも、そのことすら知らない。大変な人心操作を、実際、うすうすとさえ感じ取っていないはずだ。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2016/05/20/america-most-frightened-nation-earth.html
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この部分に一番共感。国名だけ入れ替えれば、そっくりそのまま。

この目的のため、過去70年間、婉曲的に“ニュース”と呼ばれる、容赦ない心理学的プログラムに、日本国民はさらされ続けてきた。ヨーロッパ人もそうだ。ロシアを悪魔化する点では、おそらく全日本で、〇〇新聞と××テレビがもっとも酷く反動的だ。

ジョージ・クルーニーが記者会見した映画『マネー・モンスター』だろう。

Paul Craig Roberts氏が再三『マトリックス』を引き合いにだして説明されるように朝から晩まで、ありとあらゆる「マスコミ」なるもので洗脳されれば、目のさめようがないだろう。

大本営広報部のドキュメンタリーを昨夜みた。
ウクライナ・クーデターや、オデッサ事件を巡るウクライナとロシアのテレビの比較らしきもの。ロシアのテレビ局の歪曲を強調するのが狙いに見えた。

オデッサ虐殺については、記事を翻訳したが、当時、大本営広報部で事件の詳細に触れた紙媒体、電気洗脳箱報道、記憶にないのだ。あったのだろうか?

そもそも、キエフ・マイダン・クーデター、ウクライナ・ナチスを活用して、宗主国がしかけたという部分に全くふれずにいる「マスコミ」というもの自体、婉曲的に“ニュース”と呼ばれる、容赦ない心理学的プログラムだろう。

ファシストによる虐殺の問題自身ではなく、その虐殺状況の報道を歪曲しているといって、ロシアのテレビ報道を非難するお気楽さ。

「妊婦が虐殺された」という写真を見て、志願兵になった人が映された。
しかし、その被害者、妊婦ではなかった、という。
それで、写真を見て志願兵になった人に、あの被害者は、妊婦ではなかったがどう思いますかと、再確認していた。
志願兵になった人は、それでも、後悔しないと語っていた。
「でも、テレビにだまされたのではありませんか?」とそれでも質問していた。

自分の頭の蠅を追え!としか思えない。

TPPは素晴らしいものだというウソの提灯報道をしている人々が、ロシアのテレビのオデッサ虐殺報道歪曲を、鬼の首をとったように語る下劣さにあきれる。

自ら、今まさに、ロシアのテレビのオデッサ虐殺報道歪曲どころではない、売国契約売り込みを推進するか、隠蔽するかしているではありませんか?

売国協定TPP、 安保条約のように、二国間条約ではないので、一方的に辞めます、といったら、一年後にやめられる、というしろものではない。一度発効したら、未来永劫奴隷になる。

どこかの書き込みを見るとロシア報道非難の番組絶賛ばかり。読んでびっくり悲しくなった。

びっくりと言えば自民党・小島健一神奈川県会議員、のけぞりそうな発言をしている。
それをいうなら、谷垣幹事長も同様にすごい。

自民・谷垣幹事長、民進・岡田代表を批判 共産との連携に「失望禁じ得ない」
宗主国に完全にすりよれば安全という全く理解不能な論理。

庶民には、自民党、恐ろしいカルト集団にしか見えない。

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コメント

“世界中の反米国がアメリカを狙っている”という被害妄想に憑かれているんでしょうね。
そして“アメリカを狙っている”国を先に叩く。いつの日かやり返されることなど夢にも思わないで。

「アメリカ国民が洗脳されている」という事実はなにか不思議な気がする。英語の苦手な日本人を洗脳するのは比較的たやすいかもしれないが、「英語の読み書きのできる」アメリカ国民の場合、RT や PressTVなど、諸外国の英語映像媒体をいくらでも見る事が出来るし、ポール•クレイグ•ロバーツ氏やNEO、Strategic Culture Foundation など、良質な活字媒体を「直接」読む事も出来る。アメリカ国民の生活をつぶさに観察した経験が無いのであくまでも想像だが、バスケ、野球、アメフト等のスポーツ、ハリウッド映画、SyFyやUniversalなどのTVドラマ、娯楽化したワイドショーなどが豊富にありすぎて、「お堅い」活字媒体など読む人間は少ないのかもしれない。考えれば考えるほど日本とおんなじだ。

敵基地先制攻撃が当然の権利でもあるように公然と主張する国家、アメリカ。それに同調する属国指導者。

「やられる前に、やっちまおうぜ!」という論理は、その直前までの経緯(アメリカがして来た事)を全く無視するか、あるいは(アメリカがして来た)その罪を無かったことにしたい下心が見え見えです(既に脛に傷を持ってます)。ある民族が他方を征服してきた歴史は消える事が有りません。その民族は征服された他方からの復讐に怯えつつ刻を過ごすのです。そして再び火種に火がついた時、先に手を出すのは先の歴史で手を出した方、すなわち征服した方である場合が多いようです。

元を正せば自分達の罪から始まっているのにも関わらず、それを誤摩化して他者を悪魔化し、相手の脅威を吹聴し、敵基地先制攻撃を正当化しようとするアメリカは、真の意味で「地球上で最も怯えた国家」であることに間違いありません。

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