大西洋横断 および 環太平洋“パートナーシップ”大企業による完全な世界征服
Paul Craig Roberts
2016年4月9日
こうした“パートナーシップ”が最初に発表された際、私が強調したように、狙いは、大企業に、事業を行う国々の法律から免れる権利を与えることだ。この免責の基本的な仕組みは、大企業の利益を侵害する法律や規制を施行している政府や、政府機関を、大企業が訴える権利を与えることだ。例えば、フランスのGMO食品禁止は、“パートナーシップ”のもとで“企業利益を損なう、貿易に対する制限になる。
“パートナーシップ”は、主権政府の裁判制度外の大企業が要員を配する“裁定委員会”を設定する。訴訟が行われるのは、この大企業裁定委員会なのだ。言い換えれば、大企業が、裁判官で、陪審員で、検事なのだ。連中が負けるわけがない。“パートナーシップ” は、選挙で選ばれる政府より上位で、そうした政府を支配する力を持った、秘密の、責任を負わない政府を作り出す。
この制度の“ファスト・トラック”を成立させた国会議員連中が一体どれだけの金を大企業からもらい、議員連中が協定を批准すれば、一体どれほど賄賂をもらえるかお考え願いたい。アメリカ、イギリス、ドイツや他国の官僚連中が、大企業による支配を代表して熱心に動いているの目にしているが、彼等はたんまりもらっていることがわかるだろう。
マーガレット・サッチャーの保守党政権で、貿易産業大臣をつとめ、現在もイギリス議会保守党議員のピーター・リリーが、わざわざ、大西洋横断パートナーシップを検討し、警告してくれている。政治家ゆえに、本人が思うほどの強い物言いはできていないが、彼の説明で概要はわかる。それに関するEric Zuesse記事はこれだ。http://www.strategic-culture.org/news/2016/04/09/british-conservative-breaks-ranks-opposes-ttip.html 該当記事の日本語訳イギリス保守党議員が造反し、TTIPに反対。
いささかでも品位と愛国心のある国会議員なら、誰も決してこのような協定を認めるはずはなく、完全には堕落していない、どの立法府も、自らの権限と機能を世界的企業に引き渡すはずがあるまい。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/
記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2016/04/09/trans-atlantic-trans-pacific-partnerships-complete-corporate-world-takeover-paul-craig-roberts/
----------
筆者、まるで小生の翻訳や、関心の対象をご存じであるかのよう。驚くタイミングの記事。
トンデモ売国条約TPPにまつわる国会討論紛糾のあと、TPPの深刻な問題を報じたメディア、あのタブロイド紙以外、あったのだろうか?
電気洗脳箱は終日、どうでもよい話題を熱心に報じていた、ようだ。(わざわざモニターしているわけではなく、紙媒体がないので、番組表がわからない。)
街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋 に、驚く記事がある。名称から「経済」が消えた。
TPPから「経済」の限定が外れた! TPPの正体は日本併合?
「街の弁護士」氏は、TPP交渉差止・違憲訴訟の会でも、中核的役割を演じておられる。
重要なお知らせ】4/11(月)TPP交渉差止・違憲訴訟 第4回口頭弁論期日および第2回総会のご案内
《お知らせ》
STOP TPP!! 官邸前アクションは、「TPP批准阻止実行委員会」呼びかけの以下の行動に合流します。
●毎週水曜は国会行動!
4月13日(水)、20日(水)、27日(水)
これまでSTOP TPP!! 官邸前アクションは基本的に第一火曜日でしたが、今後は上記の行動の一貫として主に議員会館前で抗議行動を行います。
いささかでも品位と愛国心のある国会議員なら「日本経済にプラス」などという真っ赤なウソを平然といえるはずはあるまい。
« 二重基準と露骨な偽善 - アメリカの対トルコ政策 | トップページ | イギリス保守党議員が造反し、TTIPに反対 »
「TPP・TTIP・TiSA・FTA・ACTA」カテゴリの記事
- アジア回帰:何がイギリスをつき動かしているのか?(2021.03.11)
- 最近の「クァッド」フォーラムとミュンヘン安全保障会議(2021.03.05)
- 「欧米」メディアが語るのを好まない新たな巨大貿易協定(2020.11.22)
- アメリカ、中国を狙って、ウイグル・テロ組織をリストから削除(2020.11.16)
- 中央アジアのラテン文字化はアメリカ地政学の手段(2019.12.24)
「ポール・クレイグ・ロバーツ」カテゴリの記事
- ポール・クレイグ・ロバーツは大量虐殺が好きなのか?(2022.05.01)
- ロシアの安全保障提案をワシントンが拒絶したのはまずい判断(2022.01.31)
- 欧米で、ジャーナリズムは宣伝省にとって替わられた(2021.11.23)
- ワシントンは世界の悪の中心(2021.08.19)
- 真珠湾:画策された出来事? (2020.12.10)
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 大西洋横断 および 環太平洋“パートナーシップ”大企業による完全な世界征服:
» 時代はすっかり変わってしまったのか? [岩下俊三のブログ]
とにかく選挙に勝てばいいのである。ゆえにこれから先はそのための臨戦態勢であって法案の審議などまじめにやろうなどというものはすでにいないと言っていい。
そして
それは ... [続きを読む]
» 「TPP法案成立先送り」(読売新聞)。選挙が終わるまで臭いものには蓋ってことか!? [くろねこの短語]
新宿ゴールデン街の火事にはビックリ。友人の店が心配だったんだが、どうにか難を逃 [続きを読む]
« 二重基準と露骨な偽善 - アメリカの対トルコ政策 | トップページ | イギリス保守党議員が造反し、TTIPに反対 »
コメント