イスラエルのために、イスラエル・ロビーは責任をとわれるべきだ
Paul Craig Roberts
2016年4月1日
10年前、ロンドン・レビュー・オブ・ブックスが、アメリカ最高の二大学の著名学者、ジョン・J・ミアシャイマーとスティーブン・M・ウォルトによるイスラエル・ロビー に関する記事を掲載した。翌年、出版社Farrar, Straus and Girouxが勇気を奮って『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』を刊行し、amazon.comで、圧倒的な357もの5つ星評価を得た。
イスラエル・ロビーと、アメリカ合州国の外交政策の実行として無力なパレスチナ人から火と剣で盗んだ土地でできているこの小さな国家イスラエルの、大変な影響力を持った批判勢力だ、余りにも軽視されたままでいる。狂ったイスラエル・ロビーは激怒した。ミアシャイマーとウォルトは悪魔化され、ヒトラーを連れ戻したがる反ユダヤ主義者だとされた。
2006年にも、ジミー・カーター元大統領の著書、『カーター、パレスチナを語る―アパルトヘイトではなく平和を』、Simon & Schusterから刊行され、ニューヨーク・タイムズのベストセラーとなり、amazon.comで圧倒的な846もの5つ星評価を得た。カーターは、アメリカ大統領として、イスラエルとパレスチナに和解をもたらそうと最善を尽くし、イスラエルが和解の障害であることを誠実に説明したのだ。イスラエル・ロビーは、カーターを反ユダヤ主義者として悪魔化し、カーター・センターの理事会のユダヤ人が辞任した。
イスラエル・ロビーには、ミアシャイマー、ウォルトや、カーター大統領のような名声も名誉を持った連中は皆無だ。ロビーの工作員たちは取るに足りない連中で、中傷や、誹謗や、イスラエル政府の政策対して、いささかでも批判するあらゆる人々の評判を損なうことで生計をたてているのだ。
これは、つまりイスラエル・ロビー連中は、イスラエルの振る舞いが余りに凶悪で、いささかの検討にも耐えられないものであることを知っていることを意味している。“反ロシア”とレッテルを貼られずに、モスクワを批判することができるし、“反米”とレッテルを貼られずに、ワシントンを批判することができるが、“反ユダヤ主義者”とレッテルを貼られ、ホロコーストを再開させたがっていると非難されずに、イスラエルを批判することできない。
ところが、ゲシュタポが不誠実だが、効果的だったのと同様、イスラエル・ロビーも不誠実だが、効果的だ。ロビーは、アメリカの出版社McGraw-Hillに対する覇権を確立した。臆病な出版社は、自社の広く使われていた教科書、Global Politics: Engaging a Complex Worldを燃やし、破壊することを強いられた。本は、パレスチナが、パレスチナ人が暮らす土地から、少数のパレスチナ人ゲットーが散在するシオニストに占領された土地への変化を示す正確な地図を掲載していたために破壊しなければならなかったのだ。
こうした地図はインターネットで入手でき、現役でおられる充分勇敢な教授の方々は、学生にこれに注目するよう呼びかけ、学生にインターネットを紹介することができる。地図を含むものに対する検閲にMcGraw-Hillが服従したことに関するローレンス・デヴィッドソンによる記事のURLは下記だ。
http://www.informationclearinghouse.info/article44487.htm
イスラエル・ロビーの振る舞いは、ミアシャイマー、ウォルトやカーター大統領が行ったより、ロビーによる遥かに強力な批判が保障されていることを示している。2007年、ロビーは、カトリックのデポール大学に手をつっこみ、ロビーによって、イスラエルの敵と宣言された、イスラエル-パレスチナ紛争に関する著名なユダヤ人学者ノーマン・フィンケルシュタインに終身地位保証を与えるという終身地位保証委員会の決定をくつがえさせた。デポール大学学長、運営陣と、理事会の臆病さが、持っていることを誇りにしながらも、持っていることを常に否定し続けているロビーの権力を示している。
2015年、イスラエル・ロビーは、イリノイ大学に手をつっこみ、スティーブン・サライタに与え、彼が受け入れた、終身地位保証指定を取り消させた。サライタは、終身地位保証のあったバージニア工科大学を辞職して、自宅も売ったのに、結局、サライタとの契約破棄と引き換えに、大学への大変な金額の寄付を言い出されたらしい、イリノイ大学学長フィリス・M・ワイズと、大学理事によって、終身地位保証指定を取り消されてしまったのだ。サライタは、イスラエル政府の行動に関して多少の批判をツイートで発言して、彼は学者から反ユダヤ主義者へと変身させられた。
世界中のあらゆる国の中で、イスラエルだけは、確立した事実をもとにした専門家による批判さえも許されない。この種の権力は違法で、受け入れ難い。アメリカの大学や出版社がこれに従っているという事実は、アメリカ合州国における言論と、学問研究の自由の死を示している。
ロビーの権力は、イスラエルにとって危険だ。ロビーとシオニスト政府が、不可抗力にたよっていると、他の国々とは疎遠になり、イスラエルそのものが不死身であるという傲慢な感覚を生み出してしまう。アメリカ外交政策を支配する能力についてイスラエル政治家が表明する誇りと、アメリカ国内での学者任命、ジャーナリスト任命や、教科書会社の判断に対する影響力に対して、ロビーが享受している誇りは、最終的に行き過ぎた傲慢に至るだろう。その間にも、イスラエルは、イスラエルを苦悩と悲嘆の未来から救うことを意図した建設的な批判をしてくれる友人たちを根絶する作業で多忙だ。イスラエルにとっての結果は孤立だ。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
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記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2016/04/01/for-israels-sake-the-israel-lobby-must-be-held-to-account-paul-craig-roberts/
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大本営広報部大政翼賛会広報誌を読むのをやめ、電気洗脳箱も歌番組、音楽番組、ドキュメンタリーに特化したおかげで、洗脳情報に出会うことが大幅に減った。読みたいニュースは、ネットで読める。たとえば、
安倍応援団が民進党・山尾志桜里の「地球5周分」ガソリン代を追及も、安倍首相はその倍以上「地球12周分」を計上!
提灯収監誌へのブーメランが傑作。
刊行直後購入しながら、なぜか未読のままだった『最終兵器の夢 「平和のための戦争」とアメリカSFの想像力』を読み始めた。著者H.ブルース・フランクリン氏、ユダヤ系アメリカ人学者。
アメリカの果てしない兵器開発、戦術開発の歴史が、文学作品、映画を紹介しながら克明に描かれている恐ろしい内容の素晴らしい本。hontoの書評で概要はご理解いただけよう。wswsの興味深い映画解説を連想した。アメリカSFや、ハリウッド映画が嫌いなのだが、本書を読んでそのプロパガンダ性、うさん臭さがいやだったのだと大いに納得。帯にも「アメリカによる兵器開発の歴史とアメリカ文化の共犯関係を追跡する」とある。
引用されている『博士の異常な愛情』、大昔、出張時に現地でビデオを購入し、怖いもの見たさで見た。見なければよかったと思ったが、現代の為政者、軍人、映画の登場人物とどこが違うのだろうという疑問を持てたのが余祿。
一つだけ残念なのは、原書があまりに大部なため、二つの章は翻訳されず、概要説明になっていること。もし読者が多ければ全訳版を出したいとある。全訳はまだ刊行されていないので、翻訳のない二つの章、当面、原書で読むしかなさそうだ。
宗主国のいいなりに、この列島の若者を戦場に送る戦争法案、ますます恐ろしく思えてくる。
自動車をふくむ日本産業にとってもうまみが皆無、ひたすら宗主国大企業、金融・証券、アグリ企業に貢献するだけのTPP推進も、安全保障のためという妄想が背景にある。
戦争を無意味に延々継続させた呪文「国体護持」など、何の役にもたたなかった。
国の主権、国民の主権を放棄して、「安全保障」の呪文意味があるわけがないだろう。
兵器産業と、そのキックバックを受ける買弁以外、日本におけるTPP受益者、思いつけない。「豚は太らせてから喰え。」食う連中は楽しいだろう。その略奪・簒奪の仕組みが完成しようとしている。喰われる豚には何も知らせないまま。
IWJが朝10:00から夕方の5:00までの報告集会TPP協定の全体像と問題点-市民団体による分析報告 Vol.2-を中継。ありがたいことだ。非常に長い集会。説明資料そのものが、そもそも140ページという大部のものに更新されている。pdf形式の資料が以下のサイトから無料ダウンロードできる。http://notppaction.blogspot.jp/
紙媒体は購読を停止したので、この催しを報じていないことは確認できない。報道しているはずはまずない。電気洗脳箱各局も当然報道するまい。
虚報を流して、国民を悲惨な戦争の泥沼に引き込むのは、あからさまな詐欺・犯罪だろう。しかし、情報を完全に隠蔽し、真っ赤なウソのヨイショ記事をたまに書き放送し、誤った判断をさせ、与党や、TPPを推進する「野党のような顔をした与党別動隊」への投票を誘導する報道も、陰険な詐欺・犯罪だろう。TPP、要するに下記の画期的な本が解明したアメリカによる日本支配の総仕上げ。
今朝の日刊IWJガイドの一部を転載させていただこう。
本日午前10時から午後5時までチャンネル5で、TPPテキスト分析チームが都内で開催する「TPP協定の全体像とその問題点―市民団体による分析報告―Vol.2」を中継します。
午前中は「農産品関税と食の安心・安全」「医療・医薬品・国民皆保険の行方」、お昼休憩をはさんで、午後から「政府調達・公共サービス・国有企業」「金融・投資・サービス貿易」をテーマに、報告と質疑が行われます。公開されている協定本文と付属書だけでも5000ページを超える膨大な量を読み解き、懸命に問題点をあぶり出してきたTPPテキスト分析チームの報告は必見です!ぜひご視聴ください!
※チャンネル5はこちら!
http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=5また、2月5日に同チームが開催した第1回目の報告集会は、公共性に鑑み、非会員の方にも全公開しています。まだご覧になっていない方は、こちらもぜひご視聴いただくとともに、会員登録やご寄付・カンパなどでIWJの活動をご支援いただきますよう、お願いいたします!
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※2016/02/05 報告集会 TPP協定の全体像とその問題点 ―市民団体による分析報告―(動画)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/286062※【国会ハイライト:TPP】「しっかり守れた」と強弁する農産品も7年後にはすべて関税撤廃の可能性!?民主党・福島伸享議員が安倍政権が隠す驚きの譲歩内容を追及!石原伸晃TPP担当大臣の呆れた無責任答弁
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/286054※2015/11/13 山田正彦氏×首藤信彦氏×内田聖子氏、TPPの協定案公開を受け緊急集会! ~二度と後戻りができない「毒素条項」 発効後も日本は国益を売り渡し続ける!?
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/274780・【IWJブログ】「TPPに署名しないか批准しないことが、民主的に選ばれた議会の責務」!!国連人権理事会の専門家アルフレッド・デ・サヤス氏が国際法および国際規約違反を示唆して警告!!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/294437※ご寄付・カンパでのご支援をよろしくお願いします!
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