中南米指導者に対するアメリカのメディア戦争(II)
Nil NIKANDROV
2016年4月5日
Strategic Culture Foundation
最近のアルゼンチン大統領選挙での、キルチネル派敗北は、共和国提案党指導者マウリシオ・マクリが享受した広報とプロパガンダの強みによるところが大きい。こうした強みを得られたのは、アルゼンチンの放送、新聞界を支配しているクラリン・メディア・グループのおかげだ。マクリは“アメリカ候補”と呼ばれていたが、彼が政権を握って、それが証明された。バラク・オバマがブエノスアイレスを公式訪問し、これから到来するアメリカ-アルゼンチン関係黄金時代について語った際には実に楽観的だった。
この関係を築くため、マクリは、ベネズエラに対して敵対的姿勢をとり、おまけに、彼がキルチネルの12年間の支配“結果を入念に研究している”と明らかにした。1994年のブエノスアイレスのアルゼンチン・イスラエル相互協会爆破事件を捜査していたアルベルト・ニスマン特別検察官殺害への彼女の関与を巡って、現在、クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル非難の声は益々大きくなりつつある。ニスマンは、ある説によれば、爆破に関与したイラン人の“刑事免責を確保する”ための共謀のかどで、フェルナンデスと、外務大臣エクトル・ティメルマンを告訴する計画だった ...
タブロイド紙が、ネストル・ キルチネルの秘書で、愛人だったとされているミリアム・キロガの“暴露”を掲載した。彼女の暴露が、汚職、資金洗浄や、クリスチナ・フェルナンデスとその家族の関与に関して広がっている噂に火をつけた。クリスチナが今後の大統領選挙に出馬するのを防ぐため、NSAがさらなる資料を作り出す可能性は充分にある。この汚い戦争を画策する連中にとって、“盗聴”で得た材料がいつも断片的で、表面的で、徹底的な照合が必要なことなどどうでもよい。工作員連中は、長年続くメディア熱狂の種になるスキャンダラスな非難を、ひたすら広めることに力を注いでいるのだ。
* * *
ボリビアのエボ・モラレス大統領は、長年、在ラパス・アメリカ大使館の腹立ちのまとだったが(2008年のフィリップ・ゴールドバーグ大使追放という理由だけでも)、アメリカ諜報機関が、この政治家の信頼性を損なうために画策した暴露の影響を受けずにはいられなかった。大統領が連続三期目に出馬することを認めるようボリビア憲法を改訂する2月21日の国民投票は、モラレスの敗北に終わった。大統領の前パートナー、ガブリエラ・サパタの話に有権者が惑わされたのだ。大統領は二人の間に息子がいたが、幼児で亡くなったと語っていたが、サパタは逆の主張をした - 男の子は生きていて、彼女の家族が世話をしている。この衝撃的なニュースを現在タブロイド紙が徹底的に利用している。
メディアは、高等教育を受けていないサパタを、中国企業CAMCの幹部にすえるため、モラレスがした配慮に関する情報も公表した。同社が得た数百万ドルの契約は、モラレスの影響力のせいだとされている。このニュースは、かつて内務省諜報機関のトップで、(1990年代に)ボリビア最大の麻薬カルテルに協力する副業で稼いでいたジャーナリストのカルロス・ヴァルヴェルデ・ブラヴォが公表したものだから、スキャンダルにおけるCIAの手ははっきり見える。一部のカルテル・メンバーは、コカインが外国に輸送する際、ヴァルヴェルデが発行した許可書を使用していた。装飾用立像内部に仕込んで、麻薬をアメリカに送る恐ろしい仕事のあと、彼は逮捕され、数年間の禁固刑を受けた。釈放後、彼はラジオ・ジャーナリストの仕事を始め、今はアメリカ大使館のレセプションにいつも招待され、そこで彼が“標的暴露”する主題を提供してもらっている。
* * *
中南米政治家の中でも、ワシントンを不安にさせているのは、穏健派民族主義者で、メキシコの2018年大統領選挙勝者となる見込みが一番高い候補者アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドルがいる。彼は“メキシコのポビュリスト”に変身する可能性がある。オブラドルは大統領の座を求めて再三出馬したが、舞台裏での陰謀と票計算操作が、最終結果に影響した。特に疑わしいのは、2012年、制度的革命党候補者エンリケ・ペニャ・ニエトに敗北したことだ。オブラドルの今度の出馬は成功すると予想されており、彼の敵が昔ながらのトリックを使って阻止するのは困難だろう。オブラドルに共感を持った政治仲間やブロガーたちが常に、命が危ないと彼に警告している - これが、メキシコで政敵を処分する伝統的手法なので。
オブラドルは、暗殺されることを恐れているか、一体なぜもっと本格的な警備体制を要求しないのか、と質問されることが良くある。危険を過小評価することなく、落ち着いて、彼はこう答えている。“何ももたず、何も恐れない人なのです。もし犯罪人連中が何かするつもりなら、連中の狙いを実現するために、あらゆる権力機関を買収するでしょう。だから、暴力に勝利する唯一の方法は平和的社会動員しかないのです。しかも、投票という形になれば、国民がこの国に蔓延している腐敗にうんざりしていることを示せますから、それが最善です。”
オブラドルは、彼に対するアメリカ諜報機関の脅威に充分気づいているのだろうか? もちろんだ。明らかに、これこそが、彼が常にウゴ・チャベスから距離を置いてきた理由だ。2013年3月5日に、ベネズエラ指導者が亡くなった際、オブラドルはこうツィートした。“私はチャベスとは何の繋がりもなかった。私の敵たちは、私を攻撃するのに彼のイメージを利用した。”ワシントンの彼に対する不信感を払拭し、再度、大統領の座を争うのにこれで充分だろうか? それは疑わしい。アメリカ諜報界は、オブラドルの政治的出世を押しつぶすための様々な手段を持っているのだ ...
記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2016/04/05/the-us-media-war-against-the-leaders-of-latin-america-ii.html
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韓国での選挙結果、脳味噌グズグズの世界最大の属国とはえらい違い。信じられないまっとうな結果。この国では、首をしめてくださる売国政党が不動だ。本来、売国奴は壊滅するはずなのに。
中南米で、宗主国の意思と違う、国民のための政策を推進するトップは、ことごとく排除されつつある。
ひるがえって、この世界最大の属国、恥も外聞もなく、国民のためではなく、宗主国支配層のための政治をしゃにむに推進しているので、宗主国支配層の覚えは実に目出度い。まったくゆるがない。国民にとって、悲惨な結果を保障するのだが。宗主国大企業のために、国民を搾取すればするほど、宗主国大企業、ジャパン・ハンドラーは可愛がってくれる。
という記事を見た。とうとう、そういう時代になった。小生もロシア移住を夢想していた。寒いのは大嫌い、夏にパンツ一枚裸で暮らすのが楽しみの人間に実につらい選択なのだが。売国傀儡を喜ぶ阿呆の集団の中で暮らして楽しいことは何もないのだ。
永久属国暮しにはもう疲れた。精神的にもう耐えがたい。係累がいなければ、とっくに実行していたかもしれない。言葉の問題もあるだろうが、属国に暮らすストレスに比べれば、どうということはない。仕事で何度か訪問した。知人もできた。最近あまり訪問しないので疎遠だが。
モスクワから数時間の都市のアパートで静かに暮らしたいと思う。彼らのダーチャ、菜園、大変なものだ。モスクワ中心部に住む知人も、電車で数時間のところに、ダーチャを持っていた。数人家族で宿泊も可能な場所だった。
ニンジンやジャガイモや様々な野菜が山のようにとれる。それを酢付けにしてたべる。ジャガイモをガレージ地下に貯め込んでいる様子を拝見したことがある。台所の流しの数倍の量のジャガイモが蓄えてあった。鶏肉なり、豚肉、牛肉さえ購入すれば一年暮らせるだろう。
自宅冷蔵庫はすかすか。ロシア経済崩壊した後も庶民が生き抜けたのと対称的。TPPで更に壊滅的になる。
アメリカ、仕事上重要で、訪問回数も一番多いと思うが友人皆無。毎回出張がつらかった。
これだけの売国政治、TPPの実態がわかった後、自民党、公明党、やら、いわそる野党中に救う売国奴、全員落選するのが当たり前だろう。
本来、国会周辺、反対デモで埋まっているはずだ。
ところが、そういう兆しは皆無。
この国、もう完全に終わっていると、つくづく思う。
読者の皆様を阿呆といっているわけでは決してない。おさななじみの数人に限って、はっきり阿呆といっているだけ。連中と二度とあうつもりはない。誤解なきよう。
大本営広報部・電気洗脳箱のシリア選挙報道、宗主国の視点そのもの。有名俳優のお嬢様も宗主国のご意向を、モミ手氏の意向で100%反映しておられる。
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「亡命者たち」について
ナチス・ドイツ支配の欧州からの亡命者,特に,ユダヤ人のことはよく耳にする。しかし一度亡命したが祖国が占領支配から解放された後,祖国に帰った画家も居る。また藤田嗣治画伯のように戦時中の絵が軍部の政策に協力したという理由で多くの批判を浴びたためか,フランスに渡って再び日本の土を踏まなかった人もある。
ところで加藤周一は「日本から外国への移民はあった。政治的理由による亡命者は,十五年戦争の当時の狂信的な軍国日本からさえも,きわめてまれであった」という(夕陽妄語Ⅵ,19頁,朝日新聞)。
その日本国で,在日ロシア大使館に日本人3人からの亡命の申請があったという。その理由は,「反米の立場を理由に日本政府から圧力をかけられている」からだということらしい。申請のあった在日ロシア大使館は,この問題を日本外務省に伝え,この申請について調査中だという。しかし亡命申請に対する関連ニュ-ズをほとんどみない。ブログにおいても同じ。なぜか。
もちろんその理由は,在日ロシア大使館が調査中であるからであろうが,大使館内に入れてもらえなかったのだから,取材する気が報道側にあれば取材できるはずであるからしっくりこない。小生の考えでは,亡命ということが「きわめてまれであった」ことが取材する側の意識を低からしめているとしてか思えない。
棄民という言葉があるが,小生は棄民ではなくて棄国人である。日本国を棄てたのである。なぜ日本国を棄てたのかという理由は,本ブログをお借りして前に述べたことがあるからくり返さないが,「政治的圧力」を日本政府から受けたわけではないから,亡命でなくて,棄国である(もちろん公安に尾行され,電話を盗聴されたたことは幾度となくあるが)。
ところで話を戻すと,なぜ日本人は亡命しないか。加藤によれば,
1.日本政府が批判者を弾圧し投獄はしたが,国外追放はしなかった(強制的亡命)
2.亡命先の言語習慣と殊に日本のそれとの著しいちがい
3.長い鎖国の伝統があり,政治的信条が知識人においても国家に超越しなかった(例外は,軍国日本下の大山郁夫や野坂参三)
の3つの理由からであるという。
今回,政治的理由から亡命を申請した日本人3人はスイス系だというが,この意味が分からない。続報に期待するところだが,日本政府から「どのような圧力」を受けているのか,まず明らかにすべきだろう。パスポートを申請しても発行してもらえないのかどうか。あるいは出国(出獄)禁止であるのかどうか。次に日本政府批判とあるが,「その批判内容」もまた不明である。
しかし問題は,3人の日本人の「政治的信条が国家に超越しているのか,どうか」であろう。外貨持ち出し制限がなくなり,海外旅行が普及した日本で,ソチやクリミアあるいはモスコ-に行こうと思えば行くことは可能である。いくらでもロシア国内で亡命申請は可能である(日本国内で亡命申請してロシア大使館に受け入れられなかった場合,彼らはどうなるのであろうか)。
もし3人の「政治的信条が国家に超越している」とすれば,彼らは伝統的な日本人ではない。過去のことは水に流し,未来のことは分からないから思い煩わない。「大樹の陰を追い掛けて」行動すれば,何事も無事にこなせる。寄らば大樹の陰。そういう日本人であるのかないのか。
天草四郎時貞らのキリスト教一派は神を神君家康の徳川幕府より上位においた。戦前・戦中の河上肇はマルクス主義を軍国日本の上に置いた。バスティ-ユ監獄を襲撃した人たちは,人権をフランス国家よりも上位に置き,ロマン・ロランは反戦思想を国家より上に置いた。日本人は何を国家の上に置くのだろうか。
追記: 米国が主導するようになったTPPはISDS条項を含むから,日本国憲法(国家)に超越する越太平洋協力関係である。与党野党が入れ代わるたびに政策が変わると,多国籍企業の投資が制限されたり,解除されたりで安定した収益が損なわれる。そこで憲法とその下位法令に超越し,二大政党のとる政策が似通うとも,あるいは180度異なろうとも,投資が無駄にならないようにという考えで考案されたのが,TPPであろう。
追記2: 滅多に個人の考えは表明しないが,小生の場合,国家の上に置くのは,日本国憲法である。加藤がしばしば例に挙げるのは,ヴォルテ-ルだったと思うが,ヴォルテ-ルは,「私は家族を愛するが,家族より故郷を愛する。故郷を愛するがより国を愛する。しかし国よりも地球を愛する」と言ったという。小生の場合,ヴォルテ-ルのように偉くはないので,日本国憲法で我慢したい。
投稿: 箒川 兵庫助(16-に) | 2016年4月17日 (日) 01時45分
それで思い出しました。貧困層がチャベス政権になってから増えただのなんだのと一方的な決めつけを繰り返している在ベネズエラ日本人のブログです。
https://venezuelainjapanese.com/
管理人さんはどう思われますか。
投稿: 特命希望 | 2016年4月14日 (木) 13時55分