オバマは、一体なぜ、シリアの聖戦士打倒より、アサド打倒を優先しているのか(I)
Eric ZUESSE
2016年4月16日
Strategic Culture Foundation
聖戦戦士集団に関する主要若手学者、クリスティーナ・リン博士は、4月8日のアジア・タイムズの論評でこう書いている。“1980年代 アフガニスタンで、ムジャヒディンに、スティンガー対空ミサイルを提供してひき起こされた余波の匂いを漂わせる大失策により、民間航空機の乗客は、今や携帯地対空ミサイル(MANPADS)で武装したシリア聖戦士による脅威に曝されている。
報道では、アメリカが支援する聖戦戦士集団の一部が、アメリカ製MANPADSを装備しているという。シリアにおける戦闘が最近エスカレーションしていることとの関連で、彼らが直接あるいは間接、アメリカあるいは、その中東同盟諸国から、こうした高度な兵器を入手している気配だ。
4月2日、欧米が支援するアルカイダ系列と、シリア軍の間で戦闘が勃発し、シリア停戦が終わった。停戦を破った集団には、シリアのアルカイダ(ヌスラ戦線)、中国東トルキスタン・イスラム党(TIP)、レバント旅団、シリアの自由な男たち (アハラール-シャム)、第13師団や、他の聖戦主義集団がいる。APによると、アメリカが訓練し、武器を与えている第13師団は、ヌスラ戦線やアハラール-シャムとともに戦っている。最後の二つは、トルコ/サウジアラビア/カタールが支援する「征服軍」の一環だ”。
この報告は、本質的に、アメリカのバラク・オバマ大統領が、アラブ世界で常に唯一の非宗教政党である、バース党の中東唯一の世俗的、非宗派政府を置き換える取り組みを継続していることを延々立証している。それ以外のアラビアのあらゆる政府は、少なくとも、ある態度までは、原理主義スンナ派だ。(お考え願いたい。9/11後、アメリカ政府は、アルカイダを支援していたのだ! アメリカ政府は、反聖戦士である以上に、反ロシアだ - ロシアは決してアメリカを侵略しておらず、共産主義は消滅したのに!)
リン博士は、サウジアラビア高官の発言を引用している(ドイツのシュピーゲル)“シリアに、地対空ミサイルを導入すれば、現地の勢力バランスを変えると考えている… アフガニスタンで、地対空ミサイルが、勢力のバランスを変えることができたように”。彼は、これを、1979年、アメリカと、サウジアラビアが、SAMを、後にアルカイダとなったムジャヒディンに、一体なぜ提供していたのかを、オバマの友人ズビグニュー・ブレジンスキーが説明したことに言及していたのだ。1998年、ブレジンスキーが、こうした原理主義スンナ派に武器供与するのは間違えだったと思うかどうか尋ねられて、決して間違いではなかったと答えたことにも言及しているのだ。オバマはその話の流れを継続しているのだ。ブレジンスキーは依然、あたかもロシアはソ連と等しく、“敵”に等しいと語っていた。オバマは、同じ観点から行動している。第三次世界大戦か、ロシアのアメリカ支配層への降伏で終わるという観点だ。
彼らの観点では、共産主義の終焉、ソ連の終焉と、ソ連のワルシャワ条約機構(アメリカのNATO同盟の対照組織)の終焉は何の違いも生まなかったし、生んでおらず、シリア現政府はロシアと同盟しており、ロシアは常に聖戦士を殺そうとしており、決して彼らと同盟しないので(アメリカが同盟しているようには)シリアは聖戦戦士集団に支配されるべきなのだ。
オバマは、ロシアに友好的なウクライナ政権を打倒し、それを反ロシア政権に置き換えた。彼はロシアに友好的なリビア指導者、ムアマル・カダフィを打倒するNATO爆撃作戦も率いた。そして、以来彼は、シリアで、アサドに同じことをしようとしている。
リン博士はこう続ける。
“もしシリア国内のアルカイダ系列は、実際MANPADSを装備していることが判明すれば、それは、元CIA長官デービッド・ペトレイアスが‘我々にとって最大の悪夢’と呼んだものと等しいものになる。ミサイルは、将来の攻撃を行うテロ集団の軍事能力を向上させるどころではないか。
2005年のRAND研究も、聖戦士による民間航空機撃墜は、全世界の飛行機旅行の一時的凍結を招き、世界経済に150億ドルの損失をもたらすと結論付けていた。この研究から十年以上過ぎた現在、経済損失は、150億ドルを遥かに超えるだろう。
リン博士が、これをオバマの“大失策”と呼んでいるのは、オバマが自分がしていることでひき起こされる損害に気がついていないという仮定に基づいている。しかしジェーンズ(軍事問題に関する専門サイト)の衝撃的文書を含む、同日の報道が、結果がどうなろうとも、オバマは断固アサド打倒を決めていることを明らかにしている。
匿名の“ムーン・オブ・アラバマ”ブロガーが、Global Researchに、4月8日、“アメリカ、3,000トンの兵器と弾薬をシリアのアルカイダ株式会社に送付”という記事を投稿した。そこで示されているのは送付された“2015年12月の武器簡易内容明細書”だ。匿名ブロガーはこう説明している。
“12月5日、約千トンの兵器と弾薬を積んだ一隻の船がルーマニアのコンスタンツァを出航した。兵器は、ブルガリア、クロアチアとルーマニアからのものだ。軍用桟橋のあるトルコのAgalarに航行し、更にヨルダンのアカバに向かった。2千トン以上の兵器と弾薬を積んだ別の船が3月末に出航し、同じ経路を辿り、4月4日アカバに向かったのが最後の記録だ。
公式停戦中に、シリアの‘反政府派’が大量の兵器を受け取っていることを我々は既に知っている。これらの‘反政府派’が定期的に、兵器貨物の半分を、トルコやヨルダンから、シリアのアルカイダ(別名ヌスラ戦線)に送っていることも我々は知っている。
長期にわたり、ヌスラ戦線の筋金入りイスラム主義者は、より世俗的で、民族主義者の、欧米が支援する反政府派より銃砲装備が勝っている。FSA幹部によると、ヌスラ戦線は、いつも、アサドに反対する国々の集団「シリアの友人たち」が提供する兵器の半分も、獲得している...
シリアのアルカイダによる三件の自爆攻撃で始まった、シリア政府軍に対するTal al-Eisへの最近の攻撃に、アメリカとトルコが支援する‘反政府派’が参加した。これは争う余地なく、ロシアとアメリカ間の停戦合意破棄だった。アメリカが12月に送った兵器と弾薬の一部がこの攻撃で使用された可能性が極めて高い。”
従ってオバマは、彼らが勝利するまで、聖戦士に兵器を供給すると、固く決意しているのは明らかだ。これは“大失策”どころではない。たとえ何がおころうとも、断固プーチンを打ち破るという決意だ。これは、アメリカとロシアにとってのみならず、アメリカが侵略するか、アメリカが打倒する政府にとっても影響を及ぼす。そうした結果が下記だ。
ギャラップが、140の異なる国々のそれぞれで、千人以上を調査した“2016世界幸福度報告”で、とびぬけて、シリア国民が“世界で最低のポジティブ感情体験者”で、シリアの国民は、ほかのどの国より遥かに悲惨だった。点数は36点(100点満点で)だ。第2位と、第3位のひどい国は、51の同点だった。トルコが、アサド打倒の上で、オバマの主要同盟国の一つとなる中、独裁制が強化されつつあるトルコ。地震のあったネパール。更に同点の54点で、生活が最も悲惨な4位、5位と6位の三か国だ。大半の住民がロシア領になりたいと思っているアブハジアと南オセチアに対するアメリカが支援した戦争から依然回復していないジョージア。NATOに加盟しようという政府の動きに、大多数の国民が反対しているセルビア。そして、ブッシュの2003年侵略から依然回復していないイラク。次の同点55点は、7位から、11位の最も惨めな国5か国だ。シーア派の居住地域に、アメリカの同盟者サウド王家がアメリカ製爆弾を投下しているイエメン。内戦とアメリカ爆撃から依然回復していないボスニアとヘルツェゴヴィナ。経済回復を妨げる経済緊縮政策を発動され、IMFによって貧窮化させられたリトアニア。おそらく世界で最後にマルクス主義から離脱するベラルーシ。そして、最後に、11番目にひどいのが、アメリカ・クーデターの前は、29の国々より悲惨ではなく、かつては60点で、現在より5ポイント高かったウクライナだ。ウクライナでのオバマ・クーデターは、ウクライナ国民を明確に困窮させた(強制退去させられた何百万人と、ウクライナの元ドンバス地域住民に対する民族浄化作戦で虐殺された何千人もの人々のことは言うまでもない)。
すると、アメリカ大統領がこういう発言をするのは一体どれだけ誠実、あるいは正直だと言えようか?
“アメリカが世界中で、進んで実力を行使することが、混乱に対する究極的な防衛手段であり、シリアの残虐さや、ロシアの挑発を前にして、アメリカが行動し損なえば、我々の良心に反するのみならず、将来更なる侵略を招くことになる… ウクライナでは、ロシアの最近の行動は、ソ連戦車が東ヨーロッパになだれこんだ日々を思い起こさせる。だが、これは冷戦ではない。世論を形成する我々の能力が、ロシアを即座に孤立化させるのに役立った。アメリカ指導部のおかげで、世界は即座にロシアの行動を非難した。ヨーロッパと、G7は我々に加わり、経済制裁を課した。NATOは、東ヨーロッパの同盟諸国に対する我々の誓約を強化した。IMFは、ウクライナ経済の安定化を支援している; OSCE監視が、世界の目に、ウクライナの不安定な地域を明らかにした。この世界世論と国際機関の動員が、ロシア・プロパガンダや、国境のロシア軍や、目出し帽をかぶった武装民兵への対抗力として機能している。”
“目出し帽をかぶった武装民兵”連中とは、ちなみに、アメリカ-CIAが雇った傭兵だ。彼はそれを知っているはずだ。彼はウソをついているにすぎない。
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大本営広報部の海外ニュース、高校生時代から、信じていない。
子ども時代、フスマの張り替えをする際、貼ってある古い新聞記事が興味深くて、じっと読んでいると、作業の邪魔になると怒られたものだ。張り替えの邪魔だ、と。
全く知らない地域の、全くわけがわからない話を、子どもがどうして知りたかったのか、今もわからない。小学校の生徒だったのか、幼稚園児童だったのか、全くわからない。
子ども時代の素朴な好奇心をそのまま維持しているがゆえに、訳知りの上司や同僚からは嫌われたのだろうと思う。好奇心なくして、新商品開発ができるはずがないと思うのだが。
極端な例は、小生を商品開発エリートと見なしたのか「結婚式に是非きてください」といった男が、廊下であっても口をきかなくなったことがある。もちろん、結婚式には招かれなかった
それでも実に根性がある営業担当者がいて、「結婚式に是非、出席してください」といわれて感動した。小生を呼ぶ不利益を分かって招待してくれたのだ。首にした連中と同席するのがいや、当日お祝い金だけ届けにいって、お詫びした。
『明治維新という過ち』という本を読んでいる。長い間疑問に思っていたことを、同じように考えている方がおられるのにびっくり。
この国、150年近く、テロ集団が支配している、ということだろうと納得。今のイスラム国の理不尽なテロと、薩摩・長州のテロはそっくり。
薩摩・長州の背後にはイギリス・アメリカがいた。ウクライナ・クーデターとそっくりなことが150年近い昔に行われ、そのまま益々悪化しているというふうに理解した。
藤永茂著『アメリカン・ドリームという悪夢』と、表裏一体の本のように思える。
そして、『永続敗戦論』と表裏一体のように思える。
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