ブリュッセル攻撃:ISISとのつながりの本当の含意
2016年3月22日
Tony Cartalucci
New Eastern Outlook
フランス生まれのベルギー人でテロ容疑者のサラ・アブデスラムをブリュッセルで逮捕したわずか数日後、まさに同じ都市で、組織的テロ攻撃が起き、少なくとも28人が死亡し、更に多数が負傷した。
2015年11月にパリ・テロ攻撃を実行した - アブデスラム・ネットワークが直接関与していたかどうかは不明だが、ヨーロッパ当局が、攻撃をISISに結びつけたと、NBCニューズが既に報じている。
アブデスラムの“テロ組織”
ブリュッセル警察は、ナジム・ラシュラウィと、ムハンマド・アブリニを含む他の数人のアブデスラム共犯者とされる連中を、依然追っている。
ラシュラウィとアブリニは、北米、ヨーロッパや、オーストラリアでの一連のテロ攻撃に関与した他の全ての容疑者と同様、欧米治安機関には良く知られており、ISISの下で、ダマスカスに対して戦うべく、シリアにでかけたことが記録されており、アブリニは過去何度か逮捕され、投獄されており、ラシュラウイは既に2014年に、ISISのために戦うヨーロッパ人徴募に関与する裁判との関係で彼の国際逮捕状が発行されている。
インターナショナル・ビジネス・タイムズは、記事“最新のISISパリ攻撃逃亡者捜索: ナジム・ラシュラウィとムハンマド・アブリニは一体何者か?”でこう報じている。
31歳のムハンマド・アブリニは、11月11日にアブデスラムとともに、パリに向かう道路のガソリン・スタンドで二日後、攻撃に使用されたルノーのクリオに乗った姿を撮影されて以来、ヨーロッパ最重要指名手配逃亡者の一人だ。ヨーロッパの逮捕令状中で、“武装した危険な”とされるモロッコ系ベルギー人は、軽犯罪と強盗のかどで、短期間刑務所に入った後、シリアに旅したと見なされている。
インデペンデント紙は“ナジム・ラシュラウィ: ベルギー警察、パリ攻撃用の自爆ベルトを作成した可能性のある容疑者捜索を開始”という見出しの記事でこう報じている。
ラシュラウイは電気機械工学をスカールベークのカトリック高校アンスティテュ・ドゥ・ラ・サン・ファミーユ・デルメで学び、2012年に卒業したと考えられている。彼は既に2013年にシリアにいたことが知られており、2014年には国際逮捕状の対象だった。
また、ラシュラウィのDNAは、テロ・ネットワークとつながる7箇所で発見されたとされているので、彼も少なくとも、今回彼を2015年のパリ攻撃後に収集された証拠と照合する参考として、DNAサンプルを提供するのに十分な期間、拘留されていたように見える。
また、アブデスラム自身に関しても、BBCは“パリ攻撃: 加害者は何者か?”と題する記事でこう報じている。
報道の中には、彼は強盗のかどで投獄され、そこで、首謀者容疑者のアブデルハミド・アバーウドと会ったと報じるものもある。彼は先に、欠勤のかどで、ブリュッセル市電の技術者を首になっていた。オランダ警察は、サラ・アブデスラムを、2月に短期間拘留し、大麻保持のかどで、彼に70ユーロ(49ポンド)の罰金を科したと述べている。
言い換えれば、容疑者全員が、長年、断続的に、欧米治安機関の鼻先にいて、捜査対象で、刑務所に投獄されていたのに、依然、少なくとも一つの注目を浴びるテロ攻撃 - 可能性としては二件、実行することができ、関与している容疑者の大多数が、かつてISISとともに戦うためシリアにでかけ、 まるで連中に過激行動を次の段階に引き上げるのを奨励するかのように、どういうわけか、何のおとがめも受けずに、ヨーロッパに再入国し、社会復帰を認められたのだ。
ブリュッセル爆破は、既にISISに結びつけられている
ガーディアンの“ブリュッセル攻撃: アブデスラム逮捕の報復か?”は、ブリュッセルでの爆破を、アブデスラム逮捕と、パリ攻撃テロ・ネットワークと結びつけようとしている。論説は、これらのテロ攻撃が、現地資源を利用して、現地人-ヨーロッパ人 - によって実行されていることを認めている。
ブリュッセル攻撃が、この同じテロ・ネットワークと結びつけられことになれば、この悲劇を、難民に対する自分たちの狙いを推進し、シリアにおける戦争そのものの力学さえ変えるのに利用しようとする連中の企みを大いに困難にするだろう。
外国から入り込み、ヨーロッパの標的に対して暴挙を実行する外国人の奔流というよりも、ヨーロッパ人が明らかに既に過激化しており、ISISとともに戦うために、シリアに出かけては、帰国している。
ブリュッセル攻撃が、このISISとつながるテロ集団の仕業であることが判明するようなことになれば、ヨーロッパ治安機関が、2015年パリ攻撃よりずっと前から容疑者全員を良く知っていたことを考えれば、よくて犯罪的怠慢、最悪の場合は共謀を示すことになる。
しかし、たとえ攻撃が外国人ISIS戦士の仕業であっても、そもそも、ISIS創造と恒久化における、欧米の明白な役割を考慮すべきだ。
欧米が作り出したISISは、地政学的強要のための武器
世界を“カリフ支配”へと変えるというISIS自身の狙いとされるものは、漫画的なまでにばかげている。現実は、ISISが、世界でも、アメリカとその同盟国が、直接介入できない地域に出現し、実力を行使しているのが明らかだ。これには、北アフリカ、中東、更には遥かアジアまでが含まれる。
“陰謀論”どころか、漏洩した2012年の報告書(.pdf)で、アメリカ自身の国防情報局(DIA)が認めており、そこにこうある。
もし状況が展開すれば、東シリア(ハサカとデリゾール)に、宣言した、あるいは宣言しないサラフィー主義国を樹立する可能性があり、そして、これは、シーア派拡張の戦略的最深部(イラクとイラン)とみなされているシリア政権を孤立させるため、反政府派を支援している諸国がまさに望んでいることだ。
“サラフィー主義国”の樹立を求めているこの“支援している諸国”とは一体どこかを明らかにするため、DIA報告書は、こう説明している。
欧米、湾岸諸国と、トルコが反政府派を支援している。ロシア、中国とイランが政権を支援している。
この告白と、先の2007年、練達のジャーナリスト、セイモア・ハーシュが、ニューヨーカー記事で、“リディレクション”で、アメリカとサウジアラビアが、シリアとイランに対する代理戦争をしかけるため、アルカイダを利用することを計画しているのを暴露したことからして、アルカイダもISISも、ダマスカス、バグダッド、テヘランや、モスクワに対してさえ戦争をしかけるために欧米が利用していることは明らかだ。
ISIS補給線は、確実かつ明らかに、NATO加盟国トルコ領から伸びており、アメリカや地域同盟諸国が、それをすっかり遮断しそこねて、シリアとイラク内のISISが占領している領土への要員や物資の流入を支援、ほう助さえしているように見える。こうした補給線こそが、ありもしない“穏健反政府派”ではできない形で、過去5年間、ダマスカスと、その同盟者たちに継続して、圧力を加えることを可能にしてきたのだ。
インドネシアでは、ジャカルタが明らかに北京寄りにバランスを変え始めると、東南アジアの国に対して、死者をともなう最初の攻撃をISISが実行した。タイの同様なバランス変更も、アメリカからの“ISIS攻撃”が差し迫っているという脅しが飛び出した。
“文明の衝突”の炎が猛烈かつ意図的に煽られているヨーロッパで、ISISは、左右の過激派を力づけ、それにはさまれた、団結、中庸や、和平を求める声をかき消すための不変の手段として機能している。彼らが、警察国家の成長や、国内での外国人嫌い傾向の蔓延、海外でのさらなる戦争の正当化を可能にしているのだ。
いくつかの欧米新聞は、ベルギー攻撃を、既に、ヨーロッパ治安機関の“無能”として描き出そうとしているが、ISISの戦闘能力の源が西の彼方ではなく、国内にあり、欧米権益集団に反対するのでなく、欧米権益集団を支援しているように見える今、一体なぜこの“ISISとの戦争”が延々続くのかについて、もっと分かりやすい説明があるはずだ。
Tony Cartalucciは、バンコクに本拠を置く地政学専門家、著者で、特にオンライン誌“New Eastern Outlook”に寄稿している。
記事原文のurl:http://journal-neo.org/2016/03/22/brussels-attack-the-true-implications-of-isis-links/
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著名自民党候補予定者、5又の活躍と総会屋雑誌週刊誌。JA関係者を殴る参議院議員。上から下まで強者ぞろい。
EU機関が集中し、風光明媚なブリュッセル、大昔の出張時に容易にホテルが見つからなかった経験がある。結局あきらめ、近くの都市に宿泊し、早朝快速電車で通勤するしかなかった。わずかばかり空いた時間に、有名な市庁舎広場でビールをのみ、「小僧」を見学し、オルタ邸宅前を通っただけ。ムール貝は食べ損ねた。こういう事態など夢想しない出張。航空運賃も、ホテル代もお役人ではないので最小限だった。
大本営広報部電気洗脳箱と毎回書いているが、稀に例外はある。
BS朝日 ザ・ドキュメンタリー 東京が焼き尽くされた日~今語る東京大空襲の真実~
そして、報道ステーション。緊急事態条項。来月から、見ない。
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