チャベス殺害。CIAと麻薬取締局は自分たちの痕跡を隠蔽
Nil NIKANDROV
2016年3月14日
Strategic Culture Foundation
ジャーナリストのエバ・ゴリンジャー(アメリカ - ベネズエラ)は、ベネズエラ大統領ウゴ・チャベスの死を巡る不審な状況に繰り返し疑問を呈している。ウェブサイトaporrea.orgが彼女の発言を引用している。“ワシントンが、ウゴ・チャベス政権中に実現しようとしていたあらゆることが、彼不在の今、実現されつつある。チャベスが患った癌は並外れて攻撃的で、不審で、チャベスが殺害された可能性があるという更なる証拠が、日々現れつつある。”
チャベスに、癌の最初の兆候が見つかったのは2011年5月だ。6月、彼はハバナの専門センターで二度手術を受けた。キューバ人外科医たちは、あらゆる予防策にもかかわらず、しつこく持続し転移していたd悪性腫瘍を発見し除去した。新たな手術が必要になった。力に溢れ、肉体的にたくましい、この強健な人物が、2013年3月5日に、58歳で逝去した。
この話題を拡張して、エバ・ゴリンジャーはこう書いている。“数年間、彼の側近の一人で、彼と二人だけになる機会が多く、彼に食べ物、コーヒーや水を運んだ一人の人物が現在、アメリカ合州国で保護されている証人であるということを知るだけで十分だ。間もなく、レムシー サラサールの隠密行動と、ワシントンの諜報機関との密接な協力が暴露されるだろう”。
ウゴ・チャベスの首席ボディーガードの名前は、大統領が生きている間はマスコミが触れることはほとんどなかった。仕事の性格上、レムシー・ビリャファニャ・サラサールは世間の注目を浴びるのを避け、撮影されるのを好まず、目立たないようにしていた。チャベスは、彼を信頼のおける高潔で専門的に訓練されたボリバル主義士官と見なしていた。2002年4月の親米クーデターの企みに関するV番組で、正に大統領はそう表現していた。陰謀連中は、チャベスを三日間排除するのに成功したが、国民と軍の支持を得て、彼はミラフロレス大統領官邸に意気揚々と帰還した。彼は、大統領官邸の屋上にいた軍に歓迎されたが、その中でも、誇らしげにベネズエラ国旗を振っていたサラサールは容易に見分けられ、この画像は、反革命に対する勝利の象徴になった。
奇妙なことに、サラサールについては僅かしか知られておらず、しかも大半が口の堅いアメリカの情報源からのものだ。彼は、1974年、ベネズエラ首都のスラム地区ペタレで暮らす大家族に生まれた。高校卒業後、海軍兵学校に入学し、1998年に卒業した。彼は、そこそこの学生で、55人のクラスで、27番目で卒業した。それでも、1999年に、サラサールは大統領護衛に指名された。ティト・リンコン・ブラボ国防大臣とレムシーの最初の妻の父親が、この就職に重要な役割を演じた。サラサールは、チャベスの個人秘書になった。大統領の生活の大変な勢いのおかげで、仕事の負荷は極めて重かった。
2002年の出来事後、サラサールは意外にも地方(ファルコン州の)プント・フィホの海軍基地に配置されたが、2006年、チャベスは、サラサールに元の警護任務復帰を命じた。
チャベス死後、サラサールは、国会議長ディオスダド・カベジョの警護を行っていた。ところが、サラサールの行動がおかしいことから、カベジョは不安になった。当時、チャベスの死因や、関与した可能性がある人々に関する議論が依然盛り上がっており、カベジョは最終的に、サラサールを他の仕事に移動させるよう、国防大臣に要求することになった。この時期のある時点で、サラサールは再婚した。新妻は陸軍士官学校卒業で、士官着任の剣を、チャベス自身の手から受け取ったアナベル・リナレス・レアルだ。しばらくの間、アナベルは、ビンセンテナリオ銀行で、ベネズエラ国軍口座の仕事をしており、つまり、彼女は海外からの武器購入に関する秘密情報を知り得る立場にいた。新婚夫婦は、ハネムーンのため、ドミニカ共和国への旅行許可を申請した。承認が与えられ、間もなく、カップルは、サント・ドミンゴに向かったが、そこからスペインに飛んだ。麻薬取締局所属の特別機が、サラサールと彼の家族を、スペインからアメリカに運んだ。
これが、アメリカ諜報機関プロパガンダの代弁人を務めることが多いスペイン語新聞ABCワシントン特派員エミリ・J・ブラスコによるサラサール亡命の説明だ。彼らが政権から離脱した本当の目的”を判断するため、アメリカは、スペインで、サラサールに長い尋問を受けさせたと彼は主張していた。
国際マスコミでのサラサールに関する記事は調子が似ており、明らかに同じ情報源によるもので、チャベスが生きていた間は、サラサールは“筋金入りのボリバル主義者”だったが、彼の死後、サラサールは、政権から離れることに決めたことを強調協調している。それゆえ、サラサールは、亡命の手配のみならず、彼自身と妻や子どもの安全に関する何らかの約束も得るため、13か月、麻薬取締局と秘密交渉をした。だが、CIAには言及されておらず、触れられているのは麻薬取締局だ。この理由は明らかだ - CIAはスパイ機関であり、彼がチャベス殺害に関与していた話題を、ベネズエラのSEBIN(セルビシオ・ボリバリアノ・デ・インテリヘンシア・ナシオナル=ボリバル主義国家情報局)防諜機関が捜査すると知っているために、この“殺し屋局”との長年にわたる秘密の繋がりの可能性を示すあらゆるものを、サラサールの保護者たちが避けようとしているのだ。
現在、この夫妻はアメリカにいて、連邦の保護のもとで暮らしており、様々な話題で、証言をしているが、主に、軍指導部を含む、ボリバル主義政権の様々な人物の麻薬密輸への“関与”だ。サラサールが亡命するずっと前から、アメリカ諜報機関が、マスコミに、ディオスダド・カベジョと、彼とつながりのあるベネズエラ人将軍によって率いられている集団だとされるいわゆる“太陽カルテル”(カルテル・デ・ロス・ソレス)の存在に関するニセ情報を埋め込み始めたことに留意が必要だ。アメリカ諜報機関が、彼のことを、最もチャベス後継者となる可能性が高いが、より過激な反米観の持ち主と見なしたため、カベジョは先制策によって、評判を落とされた。亡命直後、サラサールは、カベジョに対するこの組織的中傷にスカウトされた。サラサールから得た(というよりは、CIAと麻薬取締局にいる彼のハンドラーから)情報の一部を、2015年4月、ワシントンとマドリッドで、同時に刊行された著書『ブーメラン・チャベス』でエミリ・J・ブラスコが利用している。
とりわけサラサールは、ディオスダド・カベジョのある小旅行に随行し、その際、彼は、ファルコン州のパラグアナ半島から、麻薬を満載した高速艇を深夜に出航させるのに、議会指導者が(!)“直接関与”しているのを目撃した様子を詳しく語っている。これらの麻薬は一体誰宛だったのか、そして一体なぜこれが、ペンタゴンの監視前哨や、CIA支局や麻薬取締局事務所がある、アルバやキュラソー島に極めて近い場所で行われたのか、サラサールは説明していない。ブラスコの説明によれば、船はキューバに向かっていたと結論できる! おまけに、サラサールは、カベジョに随行しながら“床から天井まで、帯封されたお札が山また山の”彼の“アメリカ紙幣で一杯の秘密の装甲金庫”を見る機会もあったと主張している。これはまさにハリウッド映画に出てくる麻薬密売組織のボスの隠し場所だ。サラサールの説明によると - というかアメリカ諜報機関が彼のために考え出した作り話 - 護衛の一人が麻薬取り引きに参加するのを拒否して経験した問題で堪忍袋の緒がきれ、サラサールが亡命する決断を促した。“彼らは彼を肉体的にせん滅すると脅した”。
親米マスコミは、チャベス殺害準備へのサラサールの関与という必然的に沸き上がる疑問を言い繕うべく最善を尽くしている。彼らは、サラサールに関して疑念はありえないと主張している。彼が直属する連中が麻薬密輸にかかわっていることに気がつくまで、彼は政権のため立派に尽くし、チャベスに心酔した。ところが、SEBINが行った捜査で、サラサールの“非の打ちどころのない清廉潔白さ”に関する疑惑が投げかけられた。彼の母親さえ、レムシーの大統領護衛の仕事は彼にとって重荷だったと認めている。しかしサラサールの主な雇い主は、別の誰かだったので、彼はチャベスから慌てて距離を置こうとはしなかったが、雇い主たちは、彼がしっかり職務を果たすよう主張した。
ベネズエラの太陽カルテルとシナロラ・カルテルとの間のつながりに関する最近のマスコミによる暴露は、敵の評判を落とす狙いで、アメリカ諜報機関がでっちあげている“取り引き”の想像力と活力を明らかにしている。2015年の8月と9月“チャポ”グスマン自身、共同事業について話会うために、ベネズエラを訪問したとされている。2009年と2010年、ベネズエラへの彼の“業務”出張と、ディオスダード・カベジョと親密な、ウゴ・カルバハル将軍との友好的関係に関して軽く触れられたことがあった。これは、麻薬取締局が、2014年夏、彼の外交パスポートにもかかわらず、アルバ島から拉致し、アメリカに、麻薬密売業者として送り出そうとしたのと同じカルバハルだ。島の当局が、そういうことができないようにし、将軍はベネズエラに帰還し、マドゥロ大統領、ディオスダド・カベジョや、他のボリバル主義の指導者たちに英雄として歓迎された。麻薬取締局のカルバハル狩りが終わったと考えるのは浅はかだろう。アメリカ機関がでっち上げた証拠のおかげで、彼は依然連中の“指名手配者リスト”に載っている。このリストには、麻薬取締局が、太陽カルテルの首謀者として特定した他の人々の名前も載っている。
サラサールの発言は、彼がこれまで培ってきた立派な愛国者のイメージと大きく食い違っている。チャベスは、2013年3月ではなく、2012年12月に亡くなったのだというサラサールの主張は極めて示唆に富んでいる。チャベスの縁者全員が、ボリバル主義政府、キューバ指導部、キューバ防諜機関メンバーとともに、この策略に加担していたというのだ。これは“マドゥロ派”権益のために仕える政府当局の連続性を保持すべく行われた。そこで、12月以降、大統領が署名しあらゆる政令や決議は不正で、マドゥロ政権は違法と宣言される可能性があるというのだ。
一方、ベネズエラ指導者の“麻薬取引”を報じる雑音は益々大きくなりつつある。アメリカ諜報機関が立案した計画は、実に明白だ。サラサールが、チャベスを殺害した容疑者である可能性が最も高い事実から世界中の人々の目を逸らすことだ。ボリバル主義のマスコミは、サラサールを“ユダ”と呼んでいる。ベネズエラの公式(と非公式)機関は、彼の犯罪活動、CIAと麻薬取締局の代表と彼との秘密会合、アメリカに大統領の旅行日程や、彼が面談予定の人物に関する情報や、チャベスの生体試料を与えていた可能性に関する証拠を収集している。
アメリカは、この作業を妨げるために最善を尽くしている。マドリッドでは、例えば、CIA支局が、ベネズエラ国防担当大使館員を巡る危機を作り出して、野党議員をスパイしていると非難している。だが、もちろん本当の問題は全く違う。チャベス殺害に関する恐ろしい暴露の脅威。今は、具体的に、一体誰が真実を全て暴露するのかを言うのは困難だ。政治家を、このようにリンチ殺人することに承服できないと考える誰かが、スノーデンのような理想主義者になって終わる可能性がある。物質的報酬が有効だという多少の希望がある。ベネズエラ指導部は、ウゴ・チャベス殺害を画策し、実行した人物に関するあらゆる具体的な情報に対して、金銭的報酬を支払うことを決定した。
記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2016/03/14/murder-chavez-cia-and-dea-cover-their-tracks.html
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トランプが共和党候補になったら、クリントンを支持すると、あのアーミテージ様がおっしゃったという。それだけで、ヒラリー・クリントンがいかなる人物か瞬間に理解可能だろう。
中南米の重要な動き、大本営広報部は常に軽視する。セラヤ排除クーデター時もそうだった。「米軍基地の民間空港転用」を主張していた彼が、早朝、パジャマのまま?拉致され、地位を奪われたのを知って、鳩山首相を待ち受ける排除策一体どういうものか、想像してみたものだが。大本営広報部による、セラヤ排除クーデターの詳細な分析・報道見た記憶皆無。
余りな売国条約を推進したご本人、不明な病気がひどくて、二カ月姿を表せないという。TPP隠しの策略だろう。
TPP隠しの策略と言えば、「声かけ問題」もそうだろう。我々や孫子の人生にほとんど影響のない些細なことは重箱の隅をつついて報じる。TPPについては、全く報じない。
話題逸らしのどうでもよい話題を延々呆導する大本営広報部電気洗脳箱、昼間の番組で、突然、保育所問題を扱った。不思議に思ったが、要するに、火消し洗脳。有名な寿司友が出てきて、贅沢をいうから入れないといわんばかりの屁理屈。
傀儡新自由主義支配層が15年間言いっぱなしで、実行しないことは、今後も実行しない。
彼らはもともと、福祉など考えていない。福祉より、スポンサー、巨大企業の利益が第一。
この番組に対する書き込みに「いっそのこと全テレビ局停波にしてほしい。白痴が減る。」というものがあった。座布団一枚!
これから待望のインタビューを拝見する。
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