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2016年2月16日 (火)

ロシア正教総主教と教皇が歴史的会談を行い、キリスト教徒迫害反対の呼びかけに署名

公開日時: 2016年2月12日 19:38
編集日時: 2016年2月13日 05:41
Russia Today

ロシア正教会のキリル総主教と教皇フランシスコは、キューバ、ハバナでの初めての歴史的会談後、共同声明に署名した。二人は世界の指導者たちに、中東のキリスト教徒が“完全に絶滅されること”を防ぎ、これらの地域からの難民を助けるよう呼びかけた。

“我々の視線は、何よりもまず、キリスト教徒が迫害の犠牲者になっている世界のこの地域に向けなければなりません。中東と北アフリカの多くの国々で、わがキリストの兄弟姉妹の家族、村や都市丸ごと完全に絶滅されつつあります”と宣言は述べている。

キリル総主教と教皇フランシスコは地域における人道上の問題の深刻さを強調し、イラクとシリアでの紛争に注目し、国際社会に立ち上がって、救援するよう強く促している。

“シリアとイラクでの紛争で、既に何千人もの犠牲者が命を奪われ、他の何百万人からも住まいや生計の手段を奪ってしまった。我々は、国際社会に対し、紛争とテロを終わらせることを目指すこと、同時に、対話により、国内平和を迅速に回復することに貢献することを強く促します。苦しめられている住民や、近隣諸国に安全を求めている多数の難民に対し、大規模人道支援が保証されるべきです。”

二人は人類文明の進歩に関する見解を分かち合うとともに、両教会の関係と彼らの信者の問題も話し合った。

宣言は、テロに反対して団結し、過激派によって拉致された人々の解放を支援するよう世界に呼びかけている。

“2013年4月に拉致されたシリア正教会アレッポ大司教のパウロ・ヤズィギと、ギリシャ正教大司教ヨハネス・イブラヒムを含め拉致された人々の運命に影響力を及ぼすことができる全ての人々に、彼らの速やかな解放を確実にするため、あらゆる努力を払うよう呼びかけます。”

二人はウクライナにも触れて、“社会を深刻な経済的、人道的危機に投げ込んだ”暴力を非難し、あらゆる側に、紛争の平和的解決を受け入れるよう強く促した。“我々は、紛争に関与する全ての関係者に、思慮と、社会連帯と、平和構築を目指した行動を要請する。”

両教会は現在、歴史的違いの一部を克服し、21世紀の難題と直面するための取り組みで協力することを検討している。“人類の文明は画期的な変化の時期にはいりました。我々のキリスト教的良心と、我々の司祭としての責任が、共通の対応を必要とする問題に直面して、受け身のままではいないよう強いているのです。”

家族の‘危機’と同性婚を巡る懸念

文書によると、キリル総主教と教皇フランシスコは“多くの国々における家族の危機”に関する懸念についても話し合った。二人は“他の形の共同生活”が、男性と女性の結合と“同じ水準に置かれている”ことへに“遺憾”を表明した。

同時に二人は“聖書の伝統で神聖とされている、結婚における男性と女性の異なる天職としての父性と母性という概念が、世間の良心から消え去りつつある”ことを懸念していると述べた。

“正教とカトリックは家族についての観念を共有しています … 家族は結婚に基づく、自由に与えられた、男性と女性との間の貞節な愛の行為です。愛が二人の結合を確定し、お互いに贈り物として受け入れることを教えるのです。”

‘ようやく兄弟になれました’

“ようやく我々は兄弟になれました”というのが、二人が出会った際、教皇フランシスコが総主教に言った最初の言葉だったとTASS通信は報じた。

“これから、より容易になるでしょう”とキリル総主教は応えた。

“この会談が神のご意思であることは明らかだ”と教皇は母語のスペイン語でのべた。

“適切な時に、適切な場所で、我々は会談しています。神のご意思によって可能になったことを再度強調したい”とキリル総主教は、教皇に語った。

二人の宗教指導者は、二時間の非公開会談に向かう前にカメラの前で温かく抱擁した。

その日早く、キリル総主教は、ハバナの革命広場での儀式で、キューバ独立の英雄ホセ・マルティを讃えた。

中東のキリスト教徒の大きな期待

中東におけるキリスト教徒迫害の増大が、約1,000年の分裂にもかかわらず、両教会を近づけた問題の一つだ。

“我々が直面する問題、特に地域のキリスト教徒の生存について、二つの宗派の指導者が共同の立場にたつことを期待しています” シリア正教会首座、イグナチウス・エフレム二世アンティオキア総主教は、会談前、RTに語った。

「イスラム国」(IS、ISIS/かつてのISIL)は、イラク、シリア、更には他の場所で、何千人ものシリア人キリスト教徒を殺害し、追放し、世界の歴史遺産を破壊し、地域からキリスト教の痕跡を組織的に絶滅しつつある。

欧州議会が“戦争犯罪”に等しいと呼ぶものと、聖戦士による“虐殺”で、何十万人ものキリスト教徒が拷問され、強奪され、強制的に改宗させられている。

“現在、中東のキリスト教徒は迫害されています。テロリスト、彼らを中東から暴力的に強制退去させようとしています。彼らは宗教の陰に隠れて、彼らが異教徒と見なす全ての人々を殺しています”とシリア正教会のガブリル・ダウード司祭は、RTに語った。“それがキューバにおける歴史的会談が、なぜ我々にとって極めて重要かという理由です。”

この会談には、中東を遥かに超える意味あいがあると観測筋は語っている。

ロシアとウズベキスタンへのバチカン教皇大使イワン・ユルコヴィッチは、フランシスコ教皇とキリル総主教との会談には極めて大きな“象徴的影響”があると考えている。

彼は会談を“とても良い出だし”と両教会にとって新たな始まり“象徴”と呼んだ。“この歴史的会談は、実に長年の双方による積極的な接触の果実です”と彼はRTに語り、“我々は同じ文化の一員です”と述べた。

1054年に起きたローマとコンスタンチノープルとの分裂は、政治的、文化的、そして教義的差異に起因している。分裂は決して完全には癒やされていない。ギリシャ正教会の総主教と教皇は、1960年代中期まで、相互破門をしていた。カトリック教会と違い、正教会には全体を統括する教皇はいないが、キリル総主教は、1億5000万人以上の信者を誇る最大の正教会を率いている。

 

 

記事原文のurl:https://www.rt.com/news/332309-pope-patriarch-meeting-cuba/
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この出来事から連想した記事を挙げておこう。宗教とは何かは小生の理解力を越えている。

宇宙開発を宣伝しながら、続々幹部を粛清する人物はひどい。美しい国といいながら、戦争と売国に励む身近な人物は、ひたすらおそろしい。付ける薬はない。

余りな口きき賄賂の証拠録音公開(性格には文字おこし?)。賄賂は犯罪だろう。しかし、それ以上に、日本を売り飛ばすTPPそのものが余りな犯罪。そちらを議論しないでどうする?

常に支配層を支援してきた週刊誌が暴露報道した時から、TPPそのものから目をそらす高等作戦だろうと疑っている。

ウクライナに触れた、というのが意味深長に思える。アサド大統領(アメリカが言う通り、残虐な暴君なのかも知れないが)イスラム国と違って、キリスト教徒を狙って虐殺したり、教会を破壊したりはしないという事実を両者は把握しているのだろう。

モスクワ総主教、信者数は、正教会の中では、圧倒的に多いだろうが、記事末尾にある通り、正教会全ての長というわけではない。名誉的には?コンスタンチノープル総主教が一番上ということのようだ。

最近刊行されたばかりの東京復活大聖堂(ニコライ堂)司祭、クリメント北原史門著『正教会の祭と暦』から引用させていただこう。

10ページ

コンスタンディーヌポリ総主教(全地総主教)は、複数の総主教が集まる際に議長を務めたり、最上の上座に立ったり座ったりということはありますが、全世界に勅令・指令のようなものを出す権限はありません。。

島田裕巳著『宗教消滅 資本主義は宗教と心中する』を、興味深く拝読した。衰退しているのは日本の新興宗教だけではないようだ。残念ながら、正教についての言及、なかったような気がする。

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コメント

>アサド大統領(アメリカが言う通り、残虐な暴君なのかも知れないが)
…いやあぁん、、アサド大統領をそんな風に言わないでぇ。。(つд⊂):゜。
管理人様は、アサド大統領が素晴らしい指導者だということはご存知でしょうけど、
●カトリック教徒は西側が偽情報を流していると批判、シリア大統領はキリスト教徒も守っているとも
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201512220001/
●アサド大統領が教会に突如訪問・平和の歌を歌う冬至の日に
http://blog.livedoor.jp/genkimaru1/archives/1973342.html
●シリアの大統領選:アサド支持は本物であることを証明
現職のアサド大統領が再選を果たした。88.7%の圧倒的な得票率であった。3年以上にわたる「内戦」を戦い続けながら、これだけの支持を得たということは、彼の治世がシリア国民の支持を広範な形で受けていたことを示している。シリアのキリスト教徒とイスラム教少数派のアラウィ派もアサドを支持した。
http://rockway.blog.shinobi.jp/Date/20140609/
●メディアが伝えないシリアとアサドの裏側
シリア国民の約10%は数多いキリスト教の一派に属しているが、シリアの政治や社会生活に完全に溶け込んでいる。
http://ameblo.jp/wake-up-japan/entry-12104281455.html
●アサド大統領「欧州はオイルマネーの為に自分達の価値観を売り渡している」
http://jp.sputniknews.com/politics/20151223/1360062.html
●シリア女性「私達はなぜ戦争に行くのか」を語る
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20151227/1374535.html
●失われた楽園:2011年に内戦が始まる前の繁栄するシリア
http://jp.sputniknews.com/photo/20151130/1248676.html

「ローマ•カトリック教会」の教えはヨハネ•パウロ教、原始キリスト教の教えを正しく伝えているのは「正教会」だと思っていす。高橋保行著「ギリシャ正教」(講談社学術文庫)による。 中国経由で日本に伝わった「大乗仏教」は「龍樹および無着•世親教」、東南アジアやスリランカの「上座部仏教」こそがゴータマ•シッダールタの教えであるという関係に似ています。
ローマ法王とロシア総主教の「1000年ぶりの会見」が「中東アフリカ地域のキリスト教徒を迫害から救うため」とはにわかには信じられません。ローマ•カトリック教会側に何やら「下心」が感じられる会見であると思うのは私だけでしょうか?

たしかに、ロシア正教会のキリル総主教とカトリックの教皇フランシスコが会った意味は大きいと思います。

シリアで戦闘が始まった翌年、2012年の5月下旬にホウラで住民が虐殺されましたが、その際、西側の政府やメディアはシリア政府軍に責任を押しつけて批判していました。それに対し、ローマ教皇庁の新聞にはサラフ主義者/ワッハーブ派、または傭兵が虐殺を実行したとする報告が載っていました。それ以降、ローマ教皇庁はシリアに対する外国勢力の侵略を批判する姿勢を崩していません。

こうしたバチカンの姿勢を西側のメディアは重視せず、今回の会談も大きく取り上げていないのではないでしょうか。

【参考】
"Peace in Syria could be saved if everyone told the truth. After a year of conflict, the reality on the ground is far from the picture that imposes disinformation in Western media": says a testimony sent to Fides Agency by the French Bishop Philip Tournyol Clos, a greek-Catholic Melkite Archimandrite, who recently visited Syria, by traveling to different cities, like Damascus, Aleppo and Homs. (http://www.news.va/en/news/asiasyria-the-desolation-of-homs-and-the-war-of-in

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