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2015年12月12日 (土)

ロシアのSu-24に対するトルコ攻撃のレーダー記録

Valentin Vasilescu

2015年12月5日
"Voltaire Network"


ロシア空軍幕僚長ヴィクトル・ボンダレフ大将

モスクワでの記者会見で、ロシア空軍幕僚長のヴィクトル・ボンダレフ大将が提示した内容は -  軍事協調の合意に従って、ロシアのスホイ爆撃機の飛行計画を知らされていたトルコ空軍が、攻撃位置につくよう事前に指示を受けていたことを明確にした。こられの要素は、NATOの立場を無効にしている。

シリア空域での、トルコF-16による、ロシアのSu-24への攻撃から二日後、ロシア空軍幕僚長ヴィクトル・ボンダレフ大将は、これまでのところトルコの主張しか発表していない欧米マスコミによる報道を完全に書き換える驚くべき発言を行った。

シリア作戦に関し、モスクワとワシントンが10月26日に調印した覚書に従って、ロシア司令部は、アメリカに、北シリアでの二機のSu-24爆撃機の任務を12時間前に通知した。彼等は、離陸時刻 - 午前09.40 - 高度 - 5,600から6,000メートル - 爆撃標的 トルコの辺境ハタイ県に接する、北シリアのチェフィル、モルトロウと、ザヒア地域のものを含め、任務のあらゆる詳細を送っていた。Su-24戦術爆撃機は、それぞれ4発のOFAB-250爆弾を装備し、フメイミム空軍基地を、所定の時刻、午前09.40に離陸した。午前09.51から10.11まで、ロシア爆撃機は保持領域を、それぞれ高度 5,650メートルと、5,800メートルで、シリア南部の都市イドリブまで飛行した。午前10.11、二機のロシア爆撃機は、標的のGPS座標を受け取り、午前10.16に標的上空を最初の垂直通過し、爆弾を投下した。第二次攻撃のための位置につくのに必要な操縦を行った後、午前10.24、Su-24爆撃機の一機に、トルコのF-16によって発射された空対空ミサイルが命中した。

シリア空域を監視しているレーダーネットワークによって裏付けられる的中結果の制御解析で、午前09.08から午前10.29の間に、シリア国境にあるトルコのハタイ県上空を、 4,200メートルの高度で飛行していた二機のトルコF-16の存在が明らかになった。トルコ戦闘機は、午前08.40に離陸し、午前11.00に着陸した。

ジェット機が、エンジンを起動し、ディヤルバクル空軍基地を離陸し、基地から410キロにある軍務地域に到達するために必要な時間からして、2機のトルコF-16は、ロシア爆撃機が離陸する一時間前に命令を受けていたことを示している。これはまた、二人のトルコ人パイロットは、ロシアのSu-24と交戦することがわかっていて、行動に備え、ロシアがトルコ空域に侵入したように見えるようにロシア機を撃墜する位置につけられるよう爆撃機の任務詳細を知っていたことも証明している。彼等は、つまりトルコも調印している国際条約協定に規定されている手順を適用しないようにという命令を受けていたのだ。言い換えれば、迎撃、そして視認、警告砲撃、そしてもし必要とあらば破壊という手順だ。

ヴィクトル・ボンダレフ大将によれば, Su-24爆撃機は、トルコF-16が、Su-24の方向にほぼ直角に飛行した、熱線追尾式空対空ミサイルを発射可能な地域に入るまでは、全飛行航程中、トルコ-シリア国境から5キロ以上の距離を維持していた。トルコ機は、ロシア爆撃機に対しミサイルを発射し後部に命中させるため、1分40秒もかけて、110度旋回した。この旋回のため、トルコF-16は、シリア空域内に2キロ侵入し、Su-24がトルコ空域を17秒しか侵犯しなかったのに対し、40秒留まった。この時間は、攻撃後のF-16を、フメイミム空軍基地のレーダー画面で補足するのに十分だったが、戦闘機は2,500メートル以下に急降下していた。

旋回操縦によって、F-16はミサイルを発射できる接近速度で、ロシアSu-24爆撃機の一機の背後5から7キロにつけた。攻撃後、協調行動のための連絡用の特別チャンネルを含め、パイロットからも、トルコ司令部からも、記録された無線交信はない。

ボンダレフの結論は、トルコのパイロットが、トルコ・シリア国境でロシア爆撃機撃墜をするため数週間訓練を行い、待ち伏せ攻撃の最終的な詳細は、離陸前にロシアが送った情報が届いた後の12時間に、- 恐らくNATO同盟諸国とともに -トルコによって入念に精緻化されたということだ。

Valentin Vasilescu -

英語への翻訳
Pete Kimberley

記事原文のurl:http://www.voltairenet.org/article189543.html
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属国大本営広報部、宗主国・属国傀儡に不利な情報は報道管制する。爆撃機撃墜の話題のみならず。

反鉱害を訴え、持続可能な経済・農業を主張し、徹底的反戦を主張した田中正造、天皇直訴で有名だが、直訴は、1901年(明治34年)12月10日、東京市日比谷。114年前の昨日。

IWJで、【IWJ検証レポート】113年の時を超えて届いた田中正造の「直訴状」 〜「足尾鉱毒事件」の跡をたどった天皇陛下の胸中を探る旅(記者:原佑介)が読める。

報道管制で徹底しているのが、TPP。ヨイショ記事・報道以外は許さない。「検証TPP 全国フォーラム」の報道、大本営広報部では全く見聞きしたことがない。

TPP 隠された危険を検証 調印・批准阻止へフォーラムとして、「赤旗」に載っているのが読める。日本農業新聞にも掲載されているようだ。

記事にはないが、フォーラム資料に収録された鈴木宣弘東京大学教授の下記文章を一読すれば、TPPの御利益なるものの実態、それを推進する異常な連中の本性、即わかる。 

隠され続けるTPP合意の真実と今後の対応策

東京大学教授 鈴木宣弘

どこまで国民を欺くのか~TPP合意の政府説明の異常

 米国では、TPP(環太平洋連携協定)の影響試算を出し、それに基づいて議会で議論する手続きと日程が明示されているのに、我が国では、TPP協定の日本語版も国民に示さず、影響試算もいつ出すか曖昧にされたまま、国会決議を守ったと強弁するための国内対策だけが先に示され、しかも、関連団体から要望を聞いたふりをしただけで、対策も半年以上前に決まっていた。政府が考えている以上のセーフティネット政策の必要性を要請項目に挙げた団体には、政権党の幹部が激怒し、役所を通じて、政府が考えている以上のことを要請するなと事前に要請事項の削除を迫るという、信じられない「暴挙」が行われた。
 6,000ページに及ぶ協定の日本語版がそのうち出されたとしても、その条文の背景説明を求めると、交渉過程は4年間秘密なので説明できないとの回答が返ってくるだろう。そして、どさくさに紛れて批准してしまうという、こんな異常な手続きが「民主主義国家」で進められている。

米国の「草刈り場」日本

 TPP(環太平洋連携協定)が合意に達したとされたアトランタ会合で、日本は、決着することを目的化し、合意のためには何でもする「草刈り場」と化して、他の国が「よくそこまで譲れるね」というほどに譲歩を一手に引き受けた。
他の国が医薬品の特許の保護期間などで最後までもめたら、どちらともとれる表現を提案し、火種を残したままでも、とにかく合意した形を作ろうとした(現に、豪州政府の「成果:バイオ医薬品」によると、『重要なことは、この規定は、豪州の現在のバイオ医薬品に関する5年間のデータ保護又は我々の健康に関する制度の他の部分は、一切変更しない、従って医薬品のコストは増大させない」と発表し、米国が反発している(JC総研木下寛之顧問による))。
 日本政府は、自動車での利益確保に、ハワイ会合を決裂させるほどにこだわった(ハワイ会合の「戦犯」は本当は日本だった)のに、アトランタでは、それさえ差し出した。TPP域内での部品調達率が55%以上でないとTPPの関税撤廃の対象とならないとする厳しい原産地規則を受け入れたが、TPP域外の中国やタイなどでの部品調達が多い日本車はこの条件のクリアが難しくなっている。また、米国の普通自動車の2.5%の関税は15年後から削減を開始して25年後に撤廃、さらには、メディアも意図的に報道しなかったが、大型車の25%の関税は29年間現状のままで、30年後に撤廃するという気の遠くなるような内容である。
「農林水産業への影響は軽微のウソ

 農林水産物で「重要品目は除外」と国会決議しながら、重要5品目に含まれる関税分類上の細目586品目のうち174品目の関税を撤廃し、残りは関税削減してしまい、自動車ではほとんど恩恵がないという合意内容で、日本の経済的利益を内閣府と同じGTAPモデルで暫定的に試算してみると、控えめに推定しても、農林水産物で1兆円、食品加工で1.5兆円の生産額の減少が生じる一方、自動車でも、むしろ生産額の減少が生じ、全体で日本のGDP(国内総生産)は、わずか007%しか増加しない可能性がある。

表1TPP「大筋合意」の日本経済への影響の暫定試算

                   「大筋合意」    全面関税撤廃
GDP増加率               0.069%    0.184%
GDP増加額               0.5兆円    1.3兆円
農林水産生産増加額    ▲1.0兆円    ▲2.1兆円
食品加工生産増加額    ▲1.5兆円    ▲2.1兆円
自動車生産増加額        ▲0.4兆円    2.8兆円

資料:GTAPモデルによる東大鈴木研究室試算。

注 関税、輸入制度、原産地規則等の変更に伴う影響を試算したもの。内閣府が算入した「生産性向上効果」(価格下落と同率で生産性が向上)及び「資本蓄積効果」(GDP増加と同率で貯蓄が増加)は未考慮(GTAPモデルは国産品に対する輸入品の代替性を低く仮定しているため、関税撤廃の影響は過小評価傾向になることに留意「大筋合意」内容を暫定的に組み込んだ試算で確定値ではないことに留意。

政府は農林水産業への影響は軽微であるとし、国内対策を少し行えば、国会決議は守られたと言えると主張しているが、内閣府のモデルでも少なくとも1兆円の損失が見込まれるのを軽微とは言えない。そもそも、政府は、前回、関税撤廃された場合の生産減少額として、鶏肉990億円、鶏卵1,100億円、落花生100億円、合板・水産物で3,000

億円と示し、これだけでも5000億円を超えていた。今回は、同じ品目が全面的関税撤廃という同じ条件なのに、「影響は軽微」という説明は、まったく説明がつかない。またV現在の輸入先がTPP域外だから関係ないというのは間違いで、関税撤廃で有利になったTPP域内国からの輸入に置き換わる可能性(貿易転換)があることこそがFIA(自由貿易協定)なのである。
 すべては、「TPPはバラ色」との政府見解に合わせて「影響は軽微」だから、この程度の国内対策で十分に国会決議は守られた」というための無理やりの説明である。コメについては備蓄での調整のみ(しかも5→3年と短縮)、牛豚肉の差額補填の法制化と豚肉の政府拠出の牛肉並みへの増加、生クリームを補給金対象にする、などの対策は、牛豚肉の赤字の8割補填から9割に引き上げる点を除いて、TPP大筋合意のはるか半年以上前に決まっていた。TPPの農産物の日米合意と「再生産可能」と言い張るための国内対策はとっくの昔に準備されていて、あとは「猿芝居」だったのである。

「踏みとどまった感」を演出した「演技」

 牛肉関税の9%に象徴されるように、今回の主な合意内容は、すでに、昨年4月のオバマ大統領の訪日時に、一部メディアが「秘密合意」として報道し、一度は合意されたとみられる内容と、ほぼ同じだ。つまり、安倍総理とオバマ大統領は、昨年4月に、実は、寿司屋で「にぎっていた」のである。
 そのわずか2週間前に日豪の合意で、冷凍牛肉関税を38.5%→19.5%と下げて、国会決議違反との批判に対して、19.5%をTPPの日米交渉のレッドラインとして踏ん張るからと国民に言い訳しておきながら、舌の根も乾かぬうちに9%にしてしまっていたのであるから、恐れ入る。
 その後は、双方が熾烈な交渉を展開し、必死に頑張っている演技をして、いよいよ出すべきタイミングを計っていただけの「猿芝居」だったのだ。フロマンさんと甘利さんの徹夜でフラフラになった演技はすごい。「これだけ厳しい交渉を続けて、ここで踏みとどまったのだから許してくれ」と言い訳するための「猿芝居」を知らずに将来不安で悩み、廃業も増えた現場の農家の苦しみは、彼らにとってはどうでもいいこと。いかに米国や官邸の指令に従って、国民を騙し、事を成し遂げることで自身の地位を守るのがすべてなのである。
そもそも、3.11の大震災の2週間後に「これでTPPが水面下で進められる」と喜び、「原発の責任回避に「TPP」と言い、「TPPと似ている韓米FTAを国民に知らせるな」と箝口令をしいた人達の責任は重大だ、このような背信行為に良心の呵責を感じるどころか、首尾よく国民を欺いて事を成し得た達成感に浸っている。すべてがウソとゴマカシで塗り固められている。

「TPPがビジネス・チャンス」のウソ

 日本が、ここまでして合意を装いたかったのはなぜか。アベノミクスの成果が各地の一般国民の生活には実感されないのを覆い隠すため、TPP合意発表で明るい未来があるかのように見せかけようとした側面もある。しかし、ビジネス拡大のバラ色の世界が広がるかのように喧伝されているが、TPPがチャンスだというのはグローバル企業の経営陣にとっての話で、TPPで国民の仕事を増やし賃金を引き上げることは困難である。冷静に考えれば、ベトナムの賃金が日本の1/36という下での投資や人の移動の自由化は、日本人の雇用を減らし、賃金を引き下げる。端的に言うと、グローバル企業の利益拡大にはプラスで、中小企業、人々の雇用、健康、環境にはマイナスなのがTPPだ。

「健康と環境は訴えられない」のウソ

 特許の保護期間の長期化を米国製薬会社が執拗に求めて難航したことに、「人の命よりも巨大企業の経営陣の利益を増やすためのルールを押し付ける」TPPの本質が露呈している。グローバル企業による健康・環境被害を規制しようとしても損害賠償させられるというISDS条項で「濫訴防止」が担保されたというのも疑問だ。タバコ規制は対象外に(カーブアウト)できるが、その他は異議申し立てしても、国際法廷が棄却すればそれまでである。健康や環境よりも企業利益が優先されるのがTPPだ。

「消費者は利益」のウソ

 消費者の価格低下のメリットが強調されているが、輸入価格低下の多くが流通部門で吸収されて小売価格はあまり下がらない。さらには、日本の税収40兆円のうち1割程度を占める関税収入の大半を失うことは、その分だけ消費税を上げるなどして税負担を増やす必要があることになり、相殺されてしまうのである。
 さらには、米国などの牛肉・豚肉・乳製品には、日本では認可されていない成長ホルモンなどが使用されており、それが心配だと言っても、国内で生産農家がいなくなってしまったら、選ぶことさえできなくなる。

「食の安全基準は守られる」のウソ

 食品の安全性については、国際的な安全基準(SPS)の順守を規定しているだけだから、日本の安全基準が影響を受けないという政府見解も間違いである。米国は日本が科学的根拠に基づかない国際基準以上の厳しい措置を採用しているのを国際基準(SPS)に合わさせると言っている。例えば、「遺伝子組み換え(GM)でない」という表示が消費者を「誤認」させるとして、「GMが安全でない」という科学的根拠が示せないならやめろと求められ、最終的には、ISDS条項で提訴され、損害賠償で撤廃に追い込まれることも想定しなくてはならない。
 それらを隠して、「TPPはバラ色」と見せかけ、自身の政治的地位を少しでも長く維持するために、国民を犠牲にしてでも米国政府(その背後のグローバル企業)の意向に沿おうとする行為は容認できない。

米国の要求に応え続ける「底なし沼」

 農産物関税のみならず、政権公約や国会決議で、TPP交渉において守るべき国益とされた食の安全、医療、自動車などの非関税措置についても、軽自動車の税金15倍、自由診療の拡大、薬価の公定制の見直し、かんぽ生命のがん保険非参入、全国2万戸の郵便局窓口でA社の保険販売、BSE(牛海綿状脳症)、ポストハーベスト農薬(防かび剤)など食品の安全基準の緩和、ISDSへの賛成など、日本のTPP参加を認めてもらうための米国に対する「入場料」交渉や参加後の日米平行協議の場で「自主的に」対応し、米国の要求が満たされ、国民に守ると約束した国益の決議は早くから全面的に破綻していた。
 しかも、『TPPとも米国とも関係なく自主的にやったこと」とうそぶきながら、結局、TPP合意の付属文書に、例えば、「両国政府は、①日本郵政の販売網へのアクセス、②かんぽ生命に対する規制上の監督及び取扱い、③かんぽ生命の透明性等に関してとる措置等につき認識の一致をみた。」などの形で前言がうそだったこと、国会決議違反を犯したことを平然と認めているのが、なんとも厚顔無恥である。国民を馬鹿にしているとしか言いようがない。
 さらには、米国投資家の追加要求に日本の規制改革会議を通じて対処することも約束されており、TPPの条文でなく、際限なく続く日米2国間協議で、日米巨大企業の経営陣の利益のために国民生活が犠牲になる「アリ地獄」にはまった。

説明責任を果たさずしての批准はあり得ない

 米国では批准が容易でない状況にある。米国議会がTPA(オバマ大統領への交渉権限付与)の承認にあたり、TPPで米国が獲得すべき条件が明記されたが、通商政策を統括する上院財政委員会のハッチ委員長(共和党)がTPP合意は「残念ながら嘆かわしいほど不十分だ」と表明し、このままでは議会承認が難しいことを示唆し、再交渉も匂わせている。
ハッチ氏は巨大製薬会社などから巨額の献金を受け、特に、間、ISDSからタバコ規制が除外できることなどを問題視している。次期米国大統領の最有力候補のヒラリー・クリントンさんはじめ、労働者、市民、環境を守る立場から与党民主党はそもそも反対である。「巨大企業の経営陣の利益VS市民生活」の構造だが、双方から不満が出ている。米国議会批准のために水面下で日本がさらに譲歩することが懸念される(もうしている模様)。
 農業について、政府は「規模拡大してコストダウンで輸出産業に」との空論をメディアも総動員して展開しているが、その意味は「既存の農林漁家はつぶれても、全国のごく一部の優良農地だけでいいから、大手企業が自由に参入して儲けられる農業をやればよい」ということだ。しかし、それでは、国民の食料は守れない。食料を守ることは国民一人ひとりの命と環境と国境を守る国家安全保障の要である。米国では農家の「収入―コスト」に最低限必要な水準を設定し、それを下回ったときには政府による補填が発動される。農林漁家が所得の最低限の目安が持てるような予見可能なシステムを導入し、農家の投資と増産を促し輸出を振興している。我が国も、農家保護という認識でなく、安全保障費用として国民が応分の負担をする食料戦略を確立すべきである。
 TPPに反対してきた人や組織の中にも、目先の自身の保身や組織防衛に傾き、条件闘争に陥る人もいるだろう。しかし、それでは国民は守れないし、現場で頑張っている地域の人々や農家に示しがつかない。結局、組織も見放される。現場の人々ともに、強い覚悟を持ち、食と農と暮らしの未来を切り開いていくために主張し続ける人たちが必要である。
食料のみならず、守るべき国益を規定した政権公約と国会決議と整合するとの根拠を国民に示せない限り、批准手続きを進めることは許されない。

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コメント

                      TPP大筋合意内容の日本語完訳を
 
  鈴木宣弘東京大学教授の『どこまで国民を欺くのか~TPP合意の政府説明の異常』を拝読した。久しぶりに素晴らしい論文を読んだ気がする。原子力ムラの御用学者たち,IAEAのオルガリヒ(高給を蝕む御用学者)の主張とは違い,疑問を抱かせない,理路整然とした主張である。まだ東大にこの人あり。日本にこの人あり。環太平洋にこの人あり。おそらく世界にこの人ありであろう。

  「放射能は浴びた方がいい」,「メルトダウンはしていません」,「プルトニウムは飲んでも安全です」といったウソは懐かしいとしても,I.F.スト-ン記者は「どの政府もウソをつく」として自前の新聞を発行された。今,スト-ン氏がご存命ならば,TPPに関する「日本政府・官僚のウソ」を何と評論するであろうか。

  「TPP審議は米大統領選が終わって,新政権ができてから」と米共和党院内総務某は言ったそうだ(東京新聞朝刊,13.12.2015)。これも「ウソ」かもしれないが,希望にとって一条の光であるかも知れない。クリントン候補もトランプ候補もTPP反対であるという。しかしクリントン候補などは大統領になった途端,ヒラリと身をかわして「TPP賛成」に回るかもしれない。

  そこで選挙大好きの小生としてはトランプ氏に賭けたいと思う。なぜなら,彼の選挙資金は自前であり,大企業からの大口寄付を期待していないからである。福沢諭吉の「一身独立して一国独立す。」

  ところで同朝刊によれば,上院議員の三分の一,下院の全議員の改選される。TPPまたはTTIP反対という世論の高まりによって,彼ら立候補者の多くは「TPP」反対を唱えるだろう。しかし当選後はどうなるであろうか。TPP反対だった安倍旧自民党が政権をとった途端,TPP賛成に回ったことを思い出せば,予断を許さない。
  しかし問題は局長級の人事である。カトラ-やフロマンはUSTRに留まるのであろうか。ヤング国連大使や,焼いても煮ても食えないヌ-ランドなどは交代するであろう。ジョ-・売電副大統領も交代だろうからウクライナ問題解決に一歩近づくかもしれない。

  対して日本は,7月の参院選で自民党,戦争大好き公明党が相変わらず政権を維持するのに十分な議席をとるだろう。共産党は躍進するが,民主+維新は大敗北???くっつけばいいというモノではない。しかしまだ小生の水晶玉にはハッキリした陰影が浮かんではいない。
  しかしTPP反対派にできないことがないわけではない。まず大筋合意したとされるTPP合意案の「日本語訳」を,多くの方が指摘しているように,自公民政権に強く求めることである。民主+維新の興亡はこの一手にかかっていると言っても過言ではないだろう。しかしながら,戦争法反対議決の時,牛歩戦術をとらなかった野党に期待する方が愚かなのかもしれない。ただただ,ギヨエテが言ったように,「もっと灯りを」,「日本語正文を」と街頭に出て道行く人に訴えるか,立候補者事務所に電話を掛けるほかに手段はないのかもしれない。
 
  とは言え,もう一つできることがある。それは日経新聞などに投書することである。日経は読者の投稿欄を設けていない。しかし社説などで読者に反論することがある。例えば小生,三〇年間日経の熱心な読者の一人であったが,日経は読者を大事にし,耳を傾けてくれる(ことがある)。
 例えば,小学校段階からの英語教育反対論を伝えたことがある。「その理由は,日本人は英語ができるようにならないのは(外人と)話す内容がないからである」といった趣旨の意見を日経に述べたところ,社説で反論されたことがある。また,「HPやブログは英語で書かれることが多く,日本語やアラビア文字などではHPが作成されにくい」と社説子が論じていたので,『別刷りでは「アラビア文字でのHPが作成されるようになった」と報じているではないか』と,反論したことがある。以後,日経は英語教育論をぶたなくなったような気がする。

  業界紙日経は業界に都合の悪い記事は書かない。書いたとしても書き時を考えて書く。悪影響が拡がらないように日時を選んで書く。TPPについても同じであろう。株取引は社員は禁止されていたが,トップが取引をしていることがバレ,即刻辞任した。下着泥の嫌疑が掛けられている遠藤某大臣とは違って,トップは潔い。また社説子のように正論に弱く,誤りを素直に認める。なぜならCNNや売女マスコミのように買収されていないからである。
  ただただ業界紙であるにすぎないから,繰り返すが,読者の声欄はないが読者の意見を無視できない。ゆえにTPP正文の日本語訳を日経に求める手紙を出すことは,無駄であったとしても,無意味ではないと考えるがいかがか。
 
追伸: 日経は嘘(ウソ)はつかないだろうと推認する。容易には証明できない,デタラメな理由を付けて株価の上下や為替の乱高下を解説してはいるが,「ウソ」は書いていないだろうと信じる。(甘いかな???)
追伸2: 原発報道はピュ-リッツァ-賞に値すると思うが,東京新聞は買収されていなくてもTPP賛成派であった。それがどうも今朝の記事に見られるように,TPPに懐疑的になってきた。盲腸の手術代が200万円も300万円もするアメリカ暮らしに愛想を尽かして日本に戻ってきた元女優某の話も大きく影響しているのかも知れない(手術代の高さについてはIWJの記事ですでに紹介されている)。もし日経がダメなら,東京新聞に期待することもできる。
 

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