破綻国家ウクライナの大半はロシアに入る
Wayne MADSEN
2015年12月15日 00:00
Strategic Culture Foundation
ペトロ・ポロシェンコ大統領の名を冠したペトロ・ポロシェンコ・ブロック(PPB)の代議士オレグ・バルナが、アルセニー・ヤツェニュク首相に襲いかかり、彼の局部と首をつかんで、演壇から引きずりだし、完全に破綻した国家ウクライナを世界に見せつけるという、ウクライナ・ヴェルホーヴナ・ラーダ(国会)の第三世界風の政治的未熟さが暴露される出来事が最近起きた。口の汚いヨーロッパ担当アメリカ国務次官補長官ビクトリア・ヌーランドお気にいりのウクライナ指導者ヤツェニュクは、出来事に対して、ポロシェンコ・ブロックの代議士たちは“魯鈍な連中”だと反撃した。
この議会制度どたばた喜劇が演じられたのは、崩壊しつつあるウクライナ経済に、家族(息子)が個人的に利害関係を持っているジョー・バイデン副大統領が、ウクライナ“民主主義”を称賛したわずか数日後のことだ。
ソ連からの分離賛成投票をする数カ月前の、1991年8月1日に、キエフのヴェルホーヴナ・ラーダで行った演説で、“自殺行為的国家主義”という差し迫った状況に対して、ウクライナ国民に警告した、当時のアメリカ大統領、ジョージ・H. W・ブッシュが正しかったのは明らかだ。ウクライナ国民が、ユーゴスラビアの運命を避けるための警告として、ブッシュは言った。“アメリカは、遠い国による専制政治を、自国による暴政に置き換えるために独立を求める人々を支持するつもりはない。民族的憎悪に基づく、自殺行為的国家主義を推進する人々を支持することはしない。”
ブッシュの息子、ジョージ・W・ブッシュは、2004年、ブッシュ政権内のネオコン徒党が、ウクライナ最初の“カラー名称”クーデター“オレンジ革命”を仕組んだ際に、父親の忠告を無視した。政策がモスクワの政策により同調しているヴィクトル・ヤヌコーヴィチが大統領選挙に勝利した。ところがジョージ・ソロスの手先連中が、中央情報局(CIA)工作員の支援を受け、大規模な街頭抗議行動を画策し、その結果、親アメリカ、親NATOのヴィクトル・ユシチェンコが大統領となり、ヤヌコーヴィチが大統領になるのを妨げた。
2014年、多くの国際監視団によって、自由で公正だとされた2010年の選挙で、大統領の座をかちとったヤヌコーヴィチが、またしても、ソロスと、アメリカ国務省と、CIAが仕組んだ“ユーロマイダン”蜂起と名付けられたもう一つの巨大な街頭革命で追放されるという二度目の稲妻が起きた。超億万長者で、チョコレート帝国の所有者、ポロシェンコが、大統領になった。ヌーランドは2013年のアメリカ-ウクライナ財団での演説で、ウクライナ政権を打倒するのに、アメリカが、50億ドルの予算を使ったことを認めた。
父親ブッシュが、ウクライナに、ロシア、当時のソ連について離れないようにと助言忠告したのに加えて、アメリカの喜劇俳優ボブ・ホープが、1943年、戦争中のラジオ聴衆に語っていた、“ボブ‘慰問団’ホープが、現在ロシアにいる様々なナチスに申しあげます。‘クリミアは割に合いませんよ。’”1943年のホープの発言は、自ら認めたナチスが、国家や地方の政府機関を運営し、住民投票で、ロシア連邦の自治共和国へと変わった、クリミアや、ロシア東部のドンバス地方やオデッサのロシア語話者住民に対して、クリミアに電力を送る送電線鉄塔へのテロ攻撃を含め、破壊工作という犯罪を支援している現在のウクライナにとっても、今日的意味を帯びている。キエフや他のウクライナの地域で、権力の座にあるナチスにとって、ホープは正しかったのだ。“クリミアは割に合わない”。半島は常にロシアだったが、ソ連共産党書記長、ニキータ・フルシチョフが、ウクライナに“贈り物”としてあげて初めてウクライナの一部になった。クリミアの住民と土地は、ソ連のヨシフ・スターリン後継者が簡単に手放せる類の動産ではなかったのだ。
現代ロシアの先祖、キエフ大公国(ルーシの国)の発祥地ウクライナは、単なる破綻国家であるのみならず、危険なまでに破綻している。現在ウクライナは、中東や北アフリカのテロリスト、イラクとレバントのイスラム国(ISIL)に対する武器と傭兵の供給者だ。ウクライナは、億万長者で、バイデン家の雇い人、イゴール・コロモイスキーのような悪党オリガルヒが、犯罪企業を運営し、一部は高度な武器を持ったネオナチ民兵を徴募している巨大な泥棒政治の国だ。
ネオコンと、連中のシオニスト同盟者連中が、ウクライナを、対ロシア戦争をしかけるための、欧州連合、NATOと、ヨーロッパ中央銀行の巨大な傀儡国家に本質的に変えてしまったのだ。ウクライナは、欧州中央銀行、世界銀行と国際通貨基金に独立を移譲して、独立国家であることのあらゆる権利を破棄してしまった。悪党と、ナチスとネオコンに支配されたウクライナに対して一つだけ提案があるが、それは、ドネツク、ルガンスク、ハリコフ、ドニェプロペトロフスク、オデッサ、ザポロージェと、ニコラーエフを、自治共和国として、あるいはロシア連邦の州として、ロシア語話者の州への組み込み、クリミアやセヴァストポリに加わるというものだ。
ポロシェンコが任命したオデッサ知事である、指名手配犯で元ジョージア大統領のミヘイル・サアカシュヴィリは、国に対する彼の多くの犯罪に対して裁判を受けるべく、すぐさま、ジョージアに帰国すべきなのだ。
ポルタワ、スームィ(アントン・チェーホフ博物館がある都市)、キロヴォフラード、リウネや、旧キエフ大公国諸州、キエフ、チェルカースィと、フメリニツキー(最後の二つは、ロシアを愛するコサックの祖国だ)を含む、ロシア史で重要な位置を占めるウクライナの他の州も、自治共和国として、ジトミール、ヴォルィーニと、ヴィーンヌィツャとともにロシア連邦に組み込まれるべきなのだ。かつて古代のキエフ大公国の一部で、現在、ウクライナのザカルパッチャ州で暮らしている、沿カルパチアのルシン人、あるいは“ルス”も、ロシア連邦内で自治共和国の資格を認められるべきだ、沿ドニエストル共和国のロシア語話者住民とともに。ルシン人(あるいはルシニア人) や、もともとモルドバ共和国から作られた、沿ドニエストルのロシア人は、それぞれ、ウクライナ人や、モルドバのルーマニア人より、母なるロシアに近い。南東ヨーロッパに平和をもたらすために採用されるべきは、コソボを生み出した無責任で迅速な“国造り”ではなく、混乱から、賢明な秩序を生み出す、この種の“国造り”だ。
リヴィウを取り巻く極端な右翼民族主義のウクライナ人地域、テルノーピリ、イヴァーノ=フランキーウシク(“スタニスラウ’として自治の立場を得るべき)や、チェルニウツィーをも含む歴史的なガリツィアは、“ガリツィア”あるいは“西ウクライナ”として、暫定的独立を認められるべきだ。しかしポーランド人、スロヴァキア人、ハンガリー人や他民族集団の少数民族の権利を保障するため、西ウクライナ/ガリツィアは、チェコ共和国、ハンガリー、スロバキアとポーランドのヴィシェグラード4か国(V4)に、民族浄化、国際テロ、武器密輸と資金洗浄の中心地となるのを確実に防ぐと答えるべきだ。
ウクライナのドンバスとオデッサ地域のロシア語話者住民を脅かし、ナチス・ゲシュタポの二つの部隊、ウクライナ民族主義者組織 (OUN)と、ウクライナ蜂起軍(UPA)という戦時ナチスの要員に、復員軍人恩給を認めている国家が、第二次世界大戦中に、ドイツ・ナチスを打ち破ったの軍人たちを擁している連合国諸国と共に国連加盟国として受け入れられるべき正当な理由など皆無だ。戦時の親ナチス・ウクライナ人民族主義指導者ステパーン・バンデーラを崇拝する一方で、ナチズムと戦った人々を讃える彫像を取り壊すような国は、21世紀、存続可能な国民国家としての地位に値しない。
そのようなナチスが率いる国家は、ナチスのヨゼフ・ティソのスロバキア共和国、フィリップ・ペタン元帥のフランス・ヴィシー政権、アンテ・パヴェリッチのナチス・クロアチア独立国、ノルウェーのヴィドクン・クヴィスリング政権、ブロニスラフ・カミンスキーが率いた、オリョール、クルスク、ブリャンスクとポロツクからなるロコト自治国というロシアのナチス傀儡政権、そしてラドスワフ・オストロフスキのベラルーシ中央ラーダ等の破綻したナチス傀儡諸国と並んで、歴史のかなたに消えさることこそはるかに相応しい。ポロシェンコとヤツェニュクの政権や、連中のネオナチ突撃隊や、ヌーランド、夫のロバート・ケーガンや、キエフのアメリカ特使ジェフリー・パイアットなどの悪事を助長するシオニスト・ネオコン連中に、現代ヨーロッパに居場所はない。ドンバス、オデッサ、ヘルソンと、キエフ大公国を、皮肉にもNATOに守られる身となっている模造ナチス国家から切り取り、ロシア連邦に加える方が、遥かに良い選択肢だ。
記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2015/12/15/failed-state-ukraine-join-most-russia.html
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デパート・ショーウインドーのマネキン搬出のような映像。
足から先に出すのは棺桶を運ぶ時の習慣だと、スプートニクの解説にあった。
国会の第三世界風の政治的未熟さが暴露される出来事、こちらでも最近起きた。
文字に選ばれた不安な安全法制、つまり戦争法案強行採決とされている事件映像。
ヒゲ氏がパンチを繰り出したように見える?議事録もないだろう、あの騒ぎ。
そのようなナチスが率いる国家は、破綻したナチス傀儡諸国と並んで、歴史のかなたに消えさることこそはるかに相応しい。
チェルノブイリ原発事故がおきたのは1986年。ソ連崩壊は、1991年。
福島第一原発事故がおきたのは2011年。すると破綻は、2016年?
やることなすこと全て、崩壊させるための策と考えれば、納得がゆく。
ウクライナの地名は、ウクライナ語読み、ロシア語読み、さらにポーランド語読みまであるようで、素人には複雑怪奇。というわけで、地名は、ウクライナ語発音に限定せず(わからないので、できない)、聞き慣れている?呼称に置き換えただけの不正確きわまりないもの。
ギョエテとは俺のことかとゲーテ言いの世界。あしからず。
スームィ(アントン・チェーホフ博物館がある都市)という地名、初めて聞いた。
著名作家、あちこちに博物館があるのだろう。泊まった屋敷が博物館になっているらしい。
現地滞在時の体験を「結婚申し込み」、「退屈な話」、「森の精」、「カモメ」に折り込んでいると英語のサイトにあった。
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龍様
「一概に与党自民党が横暴なのだ…とも言えませんよ」とは驚きのご指摘。
そもそも、こういう状況だったのではありませんか。
参院安保法制特別委で安保法案5法案が強行採決される直前、自民党の鴻池委員長の周りに集まっていたのは、野党どころか、与党ばかり。
それも、指揮官役の佐藤「ヒゲの隊長」正久議員以外全員、安保法制委員会以外の部外者の議員が集まって人間の壁を作っていた。
9・17参院特別委、安保法案を強行採決。そのとき、鴻池委員長の周囲は委員会以外の議員ばかりだった。
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/9ae89fff8f9ead852d3dcdf685a2da2d
投稿: メタボ・カモ | 2015年12月31日 (木) 18時03分
初めまして、いつも新しい様々な情報で勉強させてもらっていますm(_ _)m
国際情勢について知らない事ばかりで驚かされる日々なのですが、記事の中に一文だけ気になる物があったのでコメントさせてもらいました。
>ヒゲ氏がパンチを繰り出したように見える?議事録もないだろう
あの場面は民主党の帰化議員が老齢な議長の背後の死角から飛びかかり無理矢理妨害しようとしていたので、元自衛官でもある議員が文字通り議長を守るために返り討ちにしたんです。
成人男性が全身で飛びかかり、その体重と勢いを持って無防備な老人に背後から直撃する。
もし仮にあの蛮行を阻止できなかったら議長は怪我をしていたかもしれないし、傷害罪になるような暴挙にでたのが日本人ではなく帰化した中韓の傀儡議員だった時点で言わずもがな。
今の安倍政権も多くの問題を抱えているのは確かですが、それ以上に野党には議員としての、日本の政党としての資格も良識も無いような中韓の工作員ばかりなので、一概に与党自民党が横暴なのだ…とも言えませんよ(^_^;)
投稿: 龍 | 2015年12月16日 (水) 11時16分
昨日のロバーツ氏の論文に感銘を受け、今日の論文の提案に一縷の希望を見出します。いつも素晴らしい記事のご紹介をありがとうございます。
ドンバスでは、現在また非常に不穏な情勢に戻りつつあり、特に、先週のバイデン訪問以降、砲撃回数がかなり増えているようです。ドローンを飛ばし偵察の結果、ウクライナ側のバッファーゾーンの住宅街に戦車が配備されているということをモスクワの報道は伝えています。昨夜の討論番組で、小生の尊敬するイーシェンコ氏(現在ロシアに亡命中のウクライナ政治学者)は、「今月30日のウクライナのデフォルトは避けられない。これによるキエフ政権の崩壊状態は避けられない。これを糊塗するためにキエフはドンバスの戦争に傾注せざるを得ない。」との見通しを語っていました。
http://www.tvc.ru/channel/brand/id/36/show/episodes/episode_id/42558/
投稿: 石井のひよこ | 2015年12月16日 (水) 05時24分
記事中のルシンという名前に記憶を呼び起こされた。友人のロシア語通訳の奥さんがルシンというカルパチアロシア民族の出身だった。たしか彼女は故郷をルテニアと呼んでいた。奥さんはポーランド人で、差別と迫害を恐れルシンであることをずうと秘匿していたという。ポーランド人は人種民族の差別をしないということだったので、半信半疑で彼女の話しを聞いていたものだ。第二次大戦後、ポーランドはナチスに協力した少数派民族狩りを行ったそうだ。その中にこのルシン人がいたという。三万人ほどがナチス流、あるいはスターリン流のやり方で、ポーランド国内各地に強制移住させられたらしい。「ビスラ作戦」と呼ばれた。女子の殺害もあったとされる。また1960年代にはユダヤ人に対する政治的迫害が行われ、彼らは大挙してイスラエルに逃れたという。ポーランド人はユダヤ人を保護した民族ではなかったのか。
ブレジンスキはポーランドのユダヤ系貴族の出だという。ある国を内部崩壊させるに、どこの国にも少数派というものは存在するのに、そこの少数民族や宗教少数派の反感憎悪を煽り、人権回復、民主回復の名の下に、蜂起させるのが彼流の天才的戦略なのだという。僕でも思いつくから、僕も天才か。ならば、ロシアはポーランドに対し、ルシン人とユダヤ人の人権回復と迫害への謝罪を勧告してはいかがだろう。ドイツにはトルコ人への、フランスには北アフリカ系民族への、イギリスにはパキスタン人やインド人への、日本には朝鮮人への、ラトビアとエストニアにはロシア人への、そして最も重要なのは、アメリカには4000万人と云われる、極貧層への、差別と抑圧搾取を止めるよう勧告してもらいたい。
投稿: 熱心な読者 | 2015年12月16日 (水) 03時38分