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2015年12月30日 (水)

一体なぜ第三次世界大戦が差し迫っているのか

2015年12月28日
Paul Craig Roberts

1991年のソ連崩壊は、新保守主義(ネオコン)と呼ばれる危険なアメリカ・イデオロギーを生み出した。ソ連は、アメリカの一方的な行動に対する制約として機能していた。ワシントンに対するこの制約がなくなったので、ネオコンは、アメリカ世界覇権という連中の狙いを宣言した。アメリカは今や世界のどこででも、制約されることなしに行動できる“唯一の超大国”、“一極権力”だ。

ワシントン・ポストのネオコン・ジャーナリスト、チャールズ・クラウトハマーは“新たな現実”を下記のように要約している。

“我々は圧倒的な世界大国だ。わが国は歴史が選んだ国際体制の守護者だ。ソ連が崩壊した際に、何か新しいものが、いかなるライバルにも制約されず、世界のあらゆる場所に対して断固行動できる単一の超大国が支配する全く新たな一極世界が生まれた。これはローマ崩壊以来なかって見られなかった、史上驚くべき新たな進展だ。ローマすら、現在のアメリカの手本にはなれない”

歴史がワシントンに与えた、驚くべき一極権力は、あらゆる犠牲を払ってでも守らねばならない。1992年、ポール・ウォルフォウィッツ国防次官が、ワシントン外交政策の基盤となった、ウォルフォウィッツ・ドクトリンを執筆した。

ウォルフォウィッツ・ドクトリンは、アメリカの対外・軍事政策の“第一の目的”は“旧ソ連地域であれ、他の地域であれ、かつてソ連が引きもたらしたようなスケールの脅威をもたらすような[アメリカの一方的行動に対する]新たなライバルの再出現を防ぐことだ。我々は、いかなる敵対的勢力も、グローバルパワーを生み出すような資源を持つ地域を支配することがないよう努力する必要がある。”と述べている。(“敵対的勢力”とは、十分に強力で、ワシントンから自立した外交政策を持つことができる国のことだ)

アメリカの力という一方的な主張は ユーゴスラビア、セルビア、コソボへの介入と、イラクに飛行禁止空域を押しつけ、クリントン政権時代に本格的に始まった。1997年、ネオコンは、“アメリカ新世紀プロジェクト”構想を書いた。9/11の三年前の1998年、ネオコンは、クリントン大統領に、イラクでの政権転覆と“サダム・フセインを権力の座から排除”を呼びかける手紙を送った。ネオコンは、五年間で、7つの政権を排除する計画を開始した。http://www.globalresearch.ca/we-re-going-to-take-out-7-countries-in-5-years-iraq-syria-lebanon-libya-somalia-sudan-iran/5166

情報に通じた人々は、2001年9月11日の出来事を、ネオコンが、連中の中東における征服戦争を開始するために必要だったといった“新たな真珠湾”だと見なしている。ジョージ・W・ブッシュ大統領の最初の財務長官ポール・オニールは、ブッシュ大統領の閣僚初会合における話題はイラク侵略だったと公に語った。この侵略は、9/11以前に計画されていたのだ。9/11以来、ワシントンは、8か国の丸ごと、あるいは一部を破壊し、今やシリアとウクライナ両国で、ロシアと対決している。

ロシアは、不安定化を、ロシア連邦のイスラム教地域に輸出する基地になるので、シリア/イラクを構成する地域に、聖戦主義のカリフ国が樹立されるのを認めるわけには行かない。ヘンリー・キッシンジャー本人がこの事実を語っており、脳味噌がある人間、誰にとっても明らかだ。ところが、クリントン、ブッシュとオバマ政権を支配してきた、驕りと昂ぶりで夢中の、権力に取り付かれた狂信的ネオコンは、ロシアとの関係が良好だったウクライナの民主的に選ばれた政権を打倒し、政権をアメリカ傀儡政権に置き換え、連中のトルコ傀儡に、ロシア戦闘爆撃機を撃墜させるほどまで、ロシアを追いやる覚悟ができていた。

こうした背景をもとに、世界が直面している危険な状況は、ネオコンの傲慢なアメリカ世界覇権政策の産物であることを我々は理解できる。判断の過ちと、シリアとウクライナ紛争の危険そのものが、ネオコン・イデオロギーの結果だ。

アメリカ覇権を永続化させるため、ネオコンは、ワシントンが、NATOは東方には、一インチたりとも進まないと、ゴルバチョフにした保障を投げ捨てた。ネオコンは、アメリカも、ロシアも弾道弾迎撃ミサイルを開発、配備しないことを規定したABM条約から、アメリカを脱退させた。ネオコンは、アメリカの戦闘教義を書き換え、核兵器の役割を、報復用兵器から、先制第一撃用の兵器へと格上げした。ネオコンは、ありもしないイランの核ICBMからヨーロッパを守る目的だと主張して、ロシア国境にABM基地を設置しはじめた。

ロシアと、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ネオコン、 アメリカ政府やマスコミ内部の連中の傀儡によって悪魔化されてきた。例えば、民主党の大統領指名候補者ヒラリー・クリントンは、プーチンを“新たなヒトラー”と呼んだ。ある元CIA幹部は、プーチン暗殺を呼びかけた。両党の大統領候補は、一体誰がロシアに対して最も攻撃的で、ロシア大統領に対して最も侮辱的になれるかを競っている。

その効果は、核大国間の信頼の破壊だった。ロシア政府は、ワシントン ワシントンは自国法すら、まして国際法など尊重せず、ワシントンはどのような協定も守るとは信頼できないことを学んだ。この信頼の欠如と、ワシントンや売女マスコミが吐き出し、ヨーロッパの愚かな各首都でおうむ返しにされるロシアに対する敵意とが、核戦争の基盤を築いたのだ。NATO(本質的にはアメリカ)は、通常戦争でロシアを、ましてロシアと中国同盟を打ち破れる見込みはなく、戦争は核戦争になるだろう。

戦争を避けるため、欧米の挑発への対応で、プーチンは挑発的にならず、控えめだった。ところが、プーチンの責任ある振る舞いを、ネオコンは、弱さと恐れの印だと誤解した。ネオコンは、オバマ大統領に、ロシアに圧力をかけつづければ、ロシアは降参すると言ったのだ。ところがプーチンは、ロシアは降伏しないことを明らかにした。プーチンは、このメッセージを様々な機会に伝えていた。例えば、2015年9月28日、国連70周年に、プーチンは、ロシアは、世界の現状には、もはや我慢できないとのべた。二日後 プーチンは、シリア国内のISISに対する戦争を指揮することになった。

ヨーロッパ政府、特にドイツとイギリス、核戦争への動きの共犯だ。この二つのアメリカ属国は、ロシアに対するワシントンの見境のないプロパガンダ攻撃を可能にし、自らもプロパガンダを繰り返し、ワシントンの経済制裁と他の国々に対する介入を支持している。ヨーロッパがワシントンの延長に過ぎないものであり続けるかぎり、アルマゲドンの可能性は高まり続けるだろう。

現時点においては、核戦争が避けられる方法は二つしかない。一つは、ロシアと中国が降伏して、ワシントンの覇権を受け入れることだ。もう一つは、ドイツかイギリスかフランスで、自立した指導者が権力の座につき、NATOから脱退することだ。そうなれば、ロシアとの紛争を引き起こすためのワシントンの主要な道具であり、それゆえ、あらゆるヨーロッパ諸国と全世界にとって、地球上で最も危険なNATO軍からの一斉脱退が始まるだろう。もしNATOが存続し続ければ、アメリカ覇権というネオコン・イデオロギーとともに、NATOは、核戦争を起こすだろう。

Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTが購入可能。

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2015/12/28/why-wwiii-is-on-the-horizon-paul-craig-roberts/
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もし集団的自衛権と、改憲が推進されれば、アメリカ覇権というネオコン・イデオロギーとともに、日本は、中東・アフリカへの侵略派兵をさせられ、アジアで局地戦を起こさせられるだろう。原発が攻撃されれば、原爆投下と似たような結果になるだろう。そういう宗主国の長期計画が、異常としか見えない、傀儡政権の前のめり戦争準備の根底にあるはずだ。宗主国が慰安婦問題決着を命じたのも、そうした思惑を円滑に推進するためだろう。

慰安婦問題、方針を変えることは必ずしも悪いことではない。
問題は、方針を変えた理由が何かだ。という斎藤美奈子「本音のコラム」をネットでちらり拝読した。一部だけ引用させていただこう。

1 自らの過ちに気づいて心を入れ替えた。
2  逆らえない相手に翻意や譲歩を命じられたので、しぶしぶ従った。
3  本当は考えを変えたわけではないが、変えたふりをして、その場を乗り切ることにした。
1なら良い。

1の可能性、100%ないだろう。100% 2に違いない。

孫崎享氏は、Twitterで、こう書いておられる。

慰安婦問題、何故今急に動き出したの。答え簡単です。米国の要請です。28日朝日「日韓が合意に至った場合、米政府は「歓迎声明」を出す方針。米国は日韓両政府に対し、合意に至った場合は最終的な妥結とするよう、水面下で強く求めていた。」米は対中戦略上日韓協力の必要を認識、双方に指示。

白井聡氏は、Facebookで、こう書いておられる。

今回の合意に関してポジティブなことがあるとすれば、次のことでしょう。まず、安倍晋三氏は、「国家の関与は証明されていない」といった類の妄言を二度と口にできないであろう、ということ。このことは、この世の中から不快なことをほんの少しだけ取り除いてくれる。それからもう一つは、今回の「合意」形成の経緯から、「日本の歴史修正主義者が歴史を修正できる範囲は、アメリカが決める」という構図があらためて周知されたことかもしれません。自国の歴史もアメリカ様から与えてもらう「愛国者」! この惨めな現状がさらされたことは、一つの前進かもしれません。

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コメント

          『戦後世代の戦争責任(加藤周一著作集24)』を読んで

  慰安婦問題は戦争,特に旧日本政府による侵略戦争の問題である。だとすれば,慰安婦問題は,戦後生まれの小生をはじめ,孫子の問題でもあるということが出来る。すなわち,過去の戦争,その一部である慰安婦問題は三億円や十億円でケリが着く問題ではない。孫子の代まで反省し続けても解決されるものではないと考える。なぜなら,「戦争を行うことは誰が決めるのか」と考えれば,「政府に代表される権力が決める。しかし,権力だけでは戦争はできない。戦争に協力する大衆の存在・支持があり,「その戦争と戦争犯罪が生み出した諸々の条件(『歴史としての二〇世紀』,加藤周一著作集24,平凡社」)」が,孫子の代になっても存続しているからである。

  戦中・戦前に起きたことに対して「生まれていなかった私には(戦争の)責任はない」と言った日本会議の,厚化粧の女性議員がいる。しかし,「戦後世代にも間接的な責任がある」というのが加藤の考えである。小生は今,その考えに賛成する。

  しかるにどのような「間接的な責任」があるのであろうか。加藤は「政府の側からの操作と大勢順応主義,この両方が重なると戦争支持になるんです」と指摘する。「政府による操作」については指摘されているように,首相自身からご馳走になるTV社長・重役,各新聞社マスコミ幹部がいて,報道内容を規制している。公共放送局は偏向して公正・中立ではない。しかしラジオだけはまだそれほど報道管制を強いられていない(『大竹まことの紳士交遊録』など健在である)。
  一方,トルコでは,某新聞社のように政府による逮捕・弾圧にもめげず政府の悪事を暴く,権力批判のメディアが残っている。それを支えるデモもある。加藤は「少数派になることを恐れるな」と言ったが,クルド族の暗殺された指導者に見られるように,少数派は「命がけ」である。そこには山崎行太郞先生の主張される「人を殺す思想」ないし「人が殺される思想」が漂っている。つまり,トルコの逮捕された新聞記者や,ISISへの密輸を暴いて「反逆罪」に問われた軍将校には政府に操作されない何かがある。

  オリンピック景気囃し立てや株価つり上げによって景気がよくなっていると見せかける政府によるアメ操作もあるが,ムチは「緊急事態法」である。これはナチス・ヒトラ-による手法と同じで,ベルリン・オリンピック開催,(効果のない)軽減税率,花火大会等によって「大衆の歓心」を買う。それに対するのが緊急事態法でこれは日本版・秘密警察ゲシュタポである。政府に反対する少数派を逮捕,壊滅させる。まことに正直な麻生太郎氏が言ったとおりである。

  最後の大勢順応主義について。三度,加藤を引用すれば,大衆の側には「だまされる」ことの快感,つまり操作された方が気持ちがいいという感情がある。GDPが二期連続してマイナスであれば,景気後退と言うのが世界常識なのに,景気がいいという政府発表にしたがった方がいいという大衆感情。あるいは「欺されて」いた方がいいという心情。欺されていれば戦争責任はないと言い逃れできる???そこから,投票には行かなかったので,戦争法に賛成した覚えはないという言い逃れまで遠くない。

  また「上からの命令」にしたがった方が無難であり,政府や上司批判の少数派にならずに済む。小生幼き頃,グアム島やフィリピンの島で横井氏や小野田氏が発見されたことがあった。そのとき「(直属の)上官の命令がない限り云々」の言葉が発せられたように記憶している。
  「上官の命令」と対をなすのが,体制順応主義。大勢に従って「佐渡へ,佐渡へと草木もなびく」ように生きれば生活上の問題は少ない。なびかなければ,橋田氏の「渡る世間は鬼ばかり」が待っている。なびけば,「渡る世間に鬼はない」。ここから,差別まで遠くない。

  (弾圧された後)皆が戦争賛成,それ行けドンドンと言うとき,大勢に反抗することは難しい。その結果が日本の十五年戦争であり,先の大戦である。ゆえに「戦後に生まれた人個人には戦争中のあらゆることに対して責任はないと思います。しかし,間接の責任はあると思う。戦争と戦争犯罪が生み出したところの諸々の条件の中で,社会的,文化的条件の一部は現在も存続している。その存続しているものに対しては責任はある。・・・・その後に生まれた人たちにも責任はあるんです。なぜならそれは現在の問題だから。」と,加藤は主張する。

  慰安婦問題は,諸々の条件,社会的条件,文化的条件の一部の中に含まれるであろう,「人間に対する尊厳,平等の意識」の問題である。これらの意識が日韓外相会談やカネ目で解決されるはずもない。ゆえに韓国の慰安婦の皆さんは「あんた,だれ?」と,事情説明にやってきた外務大臣に言葉を投げつけたのである。
   

慰安婦問題の日韓合意は、一見望ましそうにみえますが、実際は孫崎享氏の解説で、中韓VS日 から 中VS韓日 にシフトして日中戦争に一歩近づけたというのが真実でしょう。それにしても朝日新聞をあれだけ叩いた、売女マスゴミが平然としているのは、呆れたをとうりこしてあっぱれ。

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