“対テロ戦争”はウソであることを、これらの表が証明している
Rebecca Sumner
The Canary
2015年11月28日
ずっと昔“対テロ戦争”で世界はより安全になると言われたものだ。ところが永久戦争の14年後、世界中のテロ攻撃は、6,500%と驚くほど急増した。
テロを終わらせることが目標だったのであれば、“対テロ戦争”は絶望的な失敗だ。2001年に開始されて以来、テロ攻撃と、それで殺害された人々の数はうなぎ上りだ。
2000年-2014年の国別テロ死者数
上の図は、経済平和研究所が発表した、『2015年世界テロ指標』からのものだ。この指標は、昨年のテロによる全死者の78%が、5か国だけで生じていると書いている。イラク、アフガニスタン、ナイジェリア、パキスタンとシリアだ。
1. イラク
イラクが指標第1位で、2014年、テロ死亡者は衝撃的な9,929人 - 全ての国の中で最高記録だ。下記の図(指数の数値に基づく) イラクでのテロ攻撃の増加が、2003年の侵略直後から始まっていることをはっきり示している。(青は件数、赤は死者の数)
2. アフガニスタン
第2位は、アフガニスタンで、不朽の自由作戦が、9/11から数週間後に開始され“対テロ戦争”の最初の標的となった国だ。作戦の目的の一つは、アフガニスタンが テロリストの温床になるのを防ぐことだった。ところが、14年間の介入で、テロ事件は、2002年の30件から、2014年の1591件へと、5,000%以上増えている。
3. ナイジェリア
年々、300%以上、テロ死亡者数が増加している、ナイジェリアは、指数で第3位だ。ボコ・ハラムとISILによる死者の合計は、2014年の世界テロ死亡者の半数を越える
4. パキスタン
パキスタンでは、2002年以来、テロ攻撃は、4,000%以上増えた。9/11以前の14年間、パキスタンでは、わずか一件の自爆攻撃しかなかったが、以来、14年間で、486件の自爆攻撃があり、6,000人以上が亡くなったと、メフディ・ハッサンは書いている。
5. シリア
2011年に始まったシリア内戦では、グラフではっきりわかる。明らかでないのは、連合国空爆がテロ事件数に影響したのか、したのであればどのようにだ。
対テロ戦争は更なる戦争を生み出し、さらなるテロを生み出す
昨年、もっともテロの多かった5か国中、“ナイジェリアだけ、その年、アメリカ空爆も軍事占領も経験しなかった”と世界テロ・データ分析で、ジャーナリストのポール・ゴッティンガーが書いている。
イラクの場合には、欧米の介入がテロの急増をもたらしたことが広く認められている。イギリス諜報機関とアメリカ政府の報告書も、同様に認めており(トニー・ブレアすらもが、うっかり口を滑らせそうになっている)、アルカイダの戦略家アブ・ムサブ・アル-スリが、その結果を祝っている。
イラクでの戦争が、ほぼ独力で、聖戦運動丸ごと救済してくれた。
欧米の失敗した介入が10年以上続いた結果、恐らく290万人もの人々が死亡し、イラク国民に途方もない苦難を引き起こしている。ニュー・ステーツマンで、メフディ・ハサンが指摘した通り “もし爆撃が‘機能していれば’、イラクはとうの昔にスカンジナビア風のユートピアに変身していたはずだ。”ところが逆に、テロ活動の新記録で、イラクは混乱状態にあり、更なる外人戦士たちが日々イラクに押し寄せている。
シリアの場合には、つながりはさほど明瞭ではない。アメリカの諜報機関でさえ、連合国の爆撃により、何百人もの一般市民や、何千人もの戦士が死亡した後も、ダーイシュ (Isis)が一年前より、決して弱体化していないのは確実だと認めている。実際、戦士の人数は、20,000-31,500人から、少なくとも昨年、80,000人にまで膨れ上がっている。
世界テロ指標は統計分析を行い、二つの要素がテロと最も関連することがわかった。
国家が行う政治的暴力の水準と、国内における武力紛争の水準だ。報告書で、[…] 1989年から2014年までの全テロ攻撃の88%が、武力衝突が起きたか、関与した国々で起きた。
“対テロ戦争”が優れている点が一つあるとすれば、更なる戦争を生み出すことで、もう一つ優れた点があるとすれば、更なるテロを生み出すことだ。
木曜日、デービッド・キャメロンは、それで“我々はより安全になる”と主張し、シリア空爆をイギリスが開始する‘道義的理由’を主張した。だが、対テロ戦争が我々をより安全にしないのは極めて明白だ。もし、テロを打倒するのが目標なのであれば、破壊ではなく、生み出すものに対する戦いを始めるべきなのだ。
写真は、アメリカ軍/Flickr.
最初の図は、経済平和研究所、『2015年世界テロ指標』
以降の各図は『2015年世界テロ指標』のデータにもとづく、著者によるもの。
記事原文のurl:http://www.thecanary.co/2015/11/28/entire-war-terror-lie-charts-prove/
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宗主国の銃撃事件、映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』を思い出した。今年は、銃の売り上げが、これまでになく多いという。
永久対テロ戦争で儲かるのは、無限に兵器を売り続けられる軍需メーカー、そのリベートをもらえる与党政治家。こういうものに傀儡は前のめり参加。自分のポケットは重要だが、後は、庶民など野となれ山となれ。
『日刊ゲンダイ』
許していいのか TPP合意文書「日本語訳」がない驚愕
国民の将来を未来永劫、世界企業囲い込みの餌食にする法制度で、二番目に大きな経済圏の国の言語を正文にしないよう、意図的に工作し、主権を積極的に放棄する異常な傀儡政権のとんでもない実態を批判しない組織「傀儡権力の番犬」以外、形容しようがない。
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» 英仏の欺瞞に満ちたシリア空爆 (対テロ作戦の真のねらい) [時事解説「ディストピア」]
イスラム国(IS、ダーイシュ)を支援していた国として
アメリカ、イギリス、フランス、イスラエル、トルコ、サウジアラビア等が挙げられるが、
先のパリのテロ事件を口実に、この内の半数以上がシリアへの空爆を強化し始めた。
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