ギャラップ: ウクライナ国民は、オバマが押しつけたキエフ政権を嫌悪している
Eric Zuesse
Global Research、2015年12月24日
12月23日、ギャラップは“ウクライナ国民、指導部に幻滅”という見出しで“およそ10人中9人のウクライナ国民(88%)が、ウクライナ政府では腐敗が蔓延していると言い、およそ10人中の8人(81%)が、ウクライナ企業でも同じ問題が蔓延していると見ている。”と報じている。現在、8%のウクライナ国民が“政府を信頼している”と言っている。17%がペトロ・ポロシェンコ大統領の仕事ぶりを評価している。クーデター前のヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領在任時代、2010-2014、この数値は平均約23%で、現在のポロシェンコの数値ほど低くなったことは決してなかった。
ギャラップは報じている“指導部が、革命前より正しい方向に導いているというウクライナ国民の数は減っている”。しかし、あらゆる廉直で見識ある人々が、ウクライナで民主主義実現を促進したという、アメリカ政府の主張と逆に、2014年2月20日に、民主主義を終わらせてしまい - ウソだったことを知っている今、このクーデター を‘革命’と呼ぶこの言い方そのものが、2014年2月、ウクライナにおけるアメリカ・クーデターを“革命”と呼んでいるギャラップ主要顧客の一人、アメリカ政府自身のプロパガンダ-ウソを体現している。“民間CIA”企業、ストラトフォーの創設者さえ、ヤヌコーヴィチ打倒を “史上最もあからさまなクーデター”と呼んだ。そうなったのは、無数の人々によって、多くの違った角度から、イギリスBBCのような、反ヤヌコーヴィチの国々によってさえ、携帯電話やTVカメラで撮影され、ウェブにアップロードされた最初のクーデターだったからだ。そうしたビデオの中でも最良の集大成はここにあり、これが実際クーデターであって、アメリカ政府が主張しているような本物の革命などというものでは全くないことを明らかにしている。
おまけに、キャシー・アシュトン外務大臣に、打倒に関して報告するよう命じられたEU捜査官が、これはクーデターだったと彼女に報告し、しかもペトロ・ポロシェンコ自身さえ“我々”側、つまり反ヤヌコーヴィチ派連中が、それをやったと述べている。後に、連中がいかにクーデターを組織したかを示す証拠が露見した。クーデターの画策は、2013年3月以前に、在キエフ・アメリカ大使館で始まった。そして、こうした全準備の後、2014年2月4日、アメリカ国務省のビクトリア・ヌーランドが、在キエフ・アメリカ大使に、クーデター後、ウクライナを運営すべく、アルセニー・ヤツェニュクを任命するよう最終的な指示を与え、18日後の2014年2月22日、彼は、新大統領が‘民主的に’選出されるまで、首相として、ウクライナを率いるよう任命された。ところが、アメリカ政府は、90%以上が、ヤヌコーヴィチに投票したウクライナ地域の住民には、この選挙には投票させたくなかったので、2014年5月25日のポロシェンコ大統領選挙すら決して民主的なものではなかったのだ。ウクライナのこの地域(歴史的にロシアの一部だった)は、ドンバスと呼ばれているが、クーデターが押しつけた新ウクライナ政権は、2014年5月9日から、既に地域の爆撃をしていたため、クーデター後のウクライナ大統領を決めるのに全く発言権がなかったのだ。あの‘革命’なしにはこうしたことの一つとして起き得なかったろう。アメリカ大統領バラク・オバマの極めて残虐なウクライナ・クーデター。
在キエフ・アメリカ大使、ジェフリー・パイアットが、クーデター(あるいは‘革命’)を組織するのに協力して働いた、ウクライナの二つの人種差別主義ファシスト、イデオロギー的なナチス政党の一つの共同創設者はこの人物だ。しかし、パイアットが意図した人物(アンドリー・パルビー)は、クーデターでの撃ち合いや軍事計画を、他の二つのウクライナ・ナチス政党を設立した民兵組織の友人(ドミトリー・ヤロシ)にまかせていた。
更に、クーデター直後、‘対テロリスト作戦’(ATO)と呼ぶもの、あるいはドンバスの住民を絶滅し追放するための計画を連中が実行できるように、アメリカ政権のために現在ウクライナを運営している傀儡、アルセニー・ヤツェニュクが、猛烈に反ロシア人種差別主義ファシスト、というかナチスの二大ウクライナ政党の指導者連中を、国内治安と軍のあらゆる要職につけた。権威あるファシスト・アメリカ・シンクタンク、ブルッキングス研究所は、オバマにドンバスの焼夷弾攻撃を強化するよう促したが、彼はその時点では、その助言には従わないことを決めたのだ。
オバマは最終的に、ウクライナのロシア国境に、アメリカ核ミサイルを配備したがっており(ソ連独裁者ニキータ・フルシチョフが、1962年、キューバ・ミサイル危機で、アメリカにしようとして失敗したのとそっくり)、このクーデターと(クーデター政権を強固にするための)民族浄化は、自分の狙いを実現するための彼の取り組みなのだ。恐らく次期アメリカ大統領はそれに成功するだろう。こうした全ての計画は、1990年、アメリカ大統領ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュの下で始まった。そして、以来、あらゆるアメリカ大統領がそれを更に推進してきた。アメリカ合州国は1980年頃から民主主義ではない。アメリカは独裁制なのだ。それが物事がこういう状況になっている理由だ。
2014年6月、ポロシェンコがウクライナ大統領となって間もなく、アメリカ政府の為にウクライナでギャラップが行った世論調査は“ウクライナの危機において、ロシアは、概して肯定的な役割、概して否定的な役割、どちらを演じたと思うか答えてくださいという質問に対する回答の‘概して肯定的’のパーセント”で地域別内訳(27ページ)を示している。そこでは、ウクライナ全土が、6つの地域に分類されており、そこには、2010年に、ヤヌコーヴィチ反対投票をした地域(5月25日の選挙で除外された地域)のみならず、最も強くヤヌコーヴィチ支持投票をした二つの地域、ドンバス(90%以上が彼に投票し、“東部”と呼ばれるウクライナの東半分を構成しており、この地域全体で、35.7%が、ロシアの“ウクライナ危機における役割”は“概して肯定的”と評価したことが示されている)と、クリミアも(この6地域の一つで、約75%がヤヌコーヴィチに投票し、71.3%がロシアの“役割”は“概して肯定的”だったと答えた)含んでいる。ロシアの“役割”を、3%以上が“概して肯定的”と評価した唯一の他の地域は、ここでは“南部”と呼ばれているオデッサ周辺の地域で、28.4%の住民が“概して肯定的”とした。
クーデター前のウクライナの他の三地域全ては、大統領選挙が2014年5月25日に行われた地域だ。この地域を、ギャラップは、中央(“概して肯定的”は2.4%)、北部(“概して肯定的”は1.8% )と西部(“概して肯定的”は1% )として分類している。だから、ポロシェンコは、全ウクライナの大統領として選ばれたとはいえ、この極端に分裂した国の最も反ロシアな半分の有権者によってのみ選ばれたのだ。そして現在、他の二つの地域(ウクライナの半分の、圧倒的にヤヌコーヴィチ支持派地域)の住民は、ウクライナから分離し、(これらの地域が長い間その一部だった)ロシアに再度合併しようとしていたのだ。クリミアとドンバス。クリミアは、プーチンによって、ロシア編入を受け入れられたが、ドンバスは受け入れられなかった。
ロシアがクリミア住民の、ロシア再編入への懇願を受け入れたこと、そして、ロシアが、ウクライナからウクライナのドンバス地域住民を絶滅する、そして/あるいは、追放するというオバマが押しつけた政権の民族浄化計画に反対していることで、アメリカのオバマ大統領は、ロシアに対して経済制裁を課した。オバマの残虐な2014年2月のウクライナ・クーデターを受け入れたのと同じ欧州連合が、彼のウクライナにおける民族浄化キャンペーンも受け入れたのだ。そしてオバマは、ジョン・ケリー国務長官による、内部の反対にもかかわらず、それを最終的に継続するよう主張している。
調査ジャーナリスト、歴史研究者のEric Zuesseは新刊「彼らは全然違う: 民主党対 共和党の経済実績、1910-2010」および「キリストの腹話術師:キリスト教を生み出したイベント」と「封建主義、ファシズム、リバタリアニズムと経済学」の著者。
本記事の初出は、Global Research
Copyright Eric Zuesse、Global Research、2015
記事原文のurl:http://www.globalresearch.ca/gallup-ukrainians-loathe-the-kiev-government-imposed-by-obama/5497679
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2014年12月にロシアとの間で「 密漁・密輸出対策に対する協定」が発効し、ロシアからの輸入が規制されているおかげだろうか、タラバガニが値上がりしているようで、年金生活者にはつらい年末。年に一度しか食べられない。
昨日読み始めた『亡国記』あっというまに読了。シリア難民、人ごとと思えなくなった。何とも不思議なへなへな防潮堤の浜岡原発が、南海トラフ地震で破壊して話は始まる。小松左京の『日本沈没』を思い出した。
購読する大本営広報部書評では決して紹介されない内容。東京新聞に紹介記事がある。
「最悪」想像する力を 原発事故テーマに『亡国記』執筆 北野慶さん(作家)2015年11月14日
ロシア・ウクライナ関係で、本記事と真逆の主張の本を読んだ。はなから期待しなかったが。
『ロシア怪伝』というべきか。ロシアは、クリミアを武力で奪取したから、経済制裁されて当然とする一方、宗主国が画策したクーデターについては全く触れない不思議な論説。北方領土についても同様。孫崎享氏の発言と真っ向から対立する官製主張。
対立する主張、両方が正しいことはありえない。どちらかが正しく、どちらかが間違っている。
政府や国を存分に批判する言論の自由、ここでも保障されていることを証明している。
宗主国・属国についてでなく、ロシアと中国についての批判であれば全く自由だ。
ヒラメ族、宗主国・属国について的確な批判を書くはずがない。
購入して読んだ自分の責任。
見聞きしたり読んだりした自己責任といえば、先日のTPPバラ色試算のデタラメ報道には驚いた。大本営広報部・大政翼賛会は、この国家ぐるみのオレオレ詐欺の真実を絶対報じない。騙して、選挙圧勝を実現するための虚報洗脳こそお仕事。それだけ見聞きし読んでいれば、脳は萎縮するだけに思える。
TPPについて、ブレル、うそつくだけの売国集団が、そしてその提灯持ち連中が何を言っても信じてはいけない。自己責任ではなく、自爆行為。子々孫々にまでたたるだろう。
日刊IWJガイドの一部を転載させていただこう。皆様に、是非とも有料会員になられるようお勧めする。大本営広報では見られない読めない事実を知ることができるのだから。
■TPPでGDP14兆円アップ!?驚天動地の「バラ色」政府影響試算の杜撰な実態
12月24日、出来の悪いクリスマスジョークのようなニュースが飛び込んできました。
政府は、TPPによる経済効果の試算を取りまとめたのですが、なんと、GDP(国内総生産)14兆円アップ、農林水産分野はわずか2100億円ダウン、という、なんとも「バラ色」の予測を発表したのです。
政府は2013年にも試算を発表しているのですが、その時は、GDPは3.2兆円アップ、農林水産分野で3兆円ダウンという予測でした。この2年、TPP交渉においていかに日本が不利な状況であるか、という事実は次々に明らかにはなりましたが、GDPが4倍にも好転するような情報は、一つもありませんでした。
そもそも2013年の試算ですら、「廃業した農家が一人残らず全員、別の職に就くことができる」、「農産物の生産減少が加工業や輸送業に及ぼす影響についてはスルーしている」などなど、政府にとって都合の良い、杜撰なものでした。
東京大学大学院の鈴木宣弘教授はNHKの取材に応え、「私の試算では、GDP=国内総生産はほとんど増えないし、農林水産物では1兆円を超える被害が出て、自動車分野もむしろマイナスの影響があるという結果になる」と断言し、「今回の試算は過大に評価されている」と批判しました。
※TPP試算 GDP14兆円押し上げる効果(12月24日 NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151224/k10010351921000.html
その鈴木教授が加わっている、「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」は2013年、政府のデータを基に独自試算を行った結果、【農産品19品目だけ】でも、生産額が2兆5142億円(総生産額の26.1%)、全国の農家の所得が4081億円(総所得の13.9%)減少し、それがもたらす関連産業への影響は計11兆6918億円、全国の所得が1兆7692億円減少する、という恐るべき結果を発表しました。
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・2013/07/19 【IWJブログ:「TPPは政府が掲げるメリットとは逆行した帰結を生む」農業生産減少は地域産業に平均3.7倍の影響、関連産業で計11.7兆円減少
~大学教員の会が都道府県別の影響試算】
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/92177
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政府は今回、分析結果を公表していますが、「輸出入拡大→貿易開放度上昇→生産性上昇→実質賃金率上昇→労働供給増」などと、風が吹けば桶屋が儲かるレベルの楽天的な見通しが書かれているばかりで、その根拠はきちんとは明示されず、2013年の試算と同じく杜撰なものです。
この驚天動地のTPP影響試算については、来年の通常国会の主要テーマの一つとなること必至。IWJも、この影響試算のデタラメさ、嘘、矛盾を追及し、「悲劇的な本当の影響試算」を明らかにしていきたいと思います。
近いうちに、必ず、鈴木教授のより詳しい話を鈴木教授の寄稿か、岩上さんによるインタビューか、あるいはその両方か、とにかく必ずお伝えします!
ところで先ほど紹介したNHKの記事、さりげなく「TPPへの署名を前に~」などと書いていますが、IWJでは繰り返しお伝えしていますが、TPPは「まだまだ各国で深い溝があるけど、とりあえず合意したと言っておこう」という段階です。それを日本でだけ「大筋合意」などと喧伝し、まるでほぼ決まってしまい、後は署名の手続きするだけのように報じていますが、実際は、まだ何も決まっていません。これは報道による既成事実化を狙うもので、悪質な情報操作そのものです。
NHKをはじめ、マスメディアの毎日の報道には、こうしたさりげない情報操作がいたるところに散りばめられています。マスメディアの報道だけを鵜呑みにしないでください! どうか、皆さん、気をつけていただきたい!
正式な協定文書も、国会での議論も、国会での承認も、批准も、各国の調印もまだです。NHKの報道は、しれっとした顔でこうした情報操作を行うので、本当に油断も隙もありません。
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