一時的に電力を失ったクリミア、クリミアを永遠に失ったウクライナ
Tony Cartalucci
2015年12月11日
"NEO"
ロシアのクリミアの送電線が、ウクライナに切断され、半島と200万人以上の住民が、一週間以上、暗闇にしたという、ほとんど報道されない出来事で、連中が統轄していると主張する“ウクライナ”に対し、キエフと彼等のNATOの支援者連中が実際に持っている薄弱な支配力が世界に明らかになってしまった。
海底ケーブルで、クリミアへの電力復旧を開始するのはロシアだ。クリミアに関する論議は両側で、依然行われている、ウクライナと、そのNATO支援者たち双方の行動で、もし実際にそういう問題があったのだとすれば、“クリミア問題”にロシアが最終的に答えているように見える。
ロシア、電力を復旧させ、主権を行使
12月第一週、インターナショナル・ビジネス・タイムズは、“ウラジーミル・プーチン、電撃訪問時に、クリミア・エネルギーの橋落成を祝う”という記事でこう報じている。
ウラジーミル・プーチン大統領が、半島を電撃訪問し、ロシア本土とクリミア間送電線の最初の区間落成を祝った。地域が広範囲の停電で真っ暗になった後に、戦略的に重要な領土への彼の訪問が行われた。
ウクライナのエネルギー封鎖に見舞われたとモスクワが主張しているクリミアは、“電気の橋”が完成すれば、ロシアから電力を受け始める。海底ケーブル・プロジェクトは、12月末までに完成する予定だったが、クリミアの電源供給が止められた後、前倒しにされた。
クリミアが、ウクライナに、電力や他の必需品で依存していることが、半島がウクライナ領土の不可分の部分であることを証明する手段として利用されかねない、電力を絶ち、一週間以上、ウクライナ側から修理を阻止したテロリストを制御できないキエフは、この地域を運営する関心も能力もないことを証明したに過ぎない。
テロリストが、実際は現在キエフを占拠している特定利益集団のみならず、NATOと特にアメリカ合州国に支援されていることが、ウクライナ人と彼らの隣人たちが直面しているものがNATOとキエフにいる代理人の反対側についたことに対する懲罰的措置であることを示している。またしても、クリミア住民が、そもそもウクライナの一部として残るのではなく、賢明にもロシア連邦に再帰するよう決めさせたきっかけをもはっきり示している。
クリミア返却を主張するアメリカ
すっかりお馴染みになったパターンで、アメリカ合州国は、現実とは逆の発言をし続けている。アメリカ副大統領ジョセフ・バイデンは、ロシアにクリミアをウクライナに返すよう呼びかけたと報じられている。クリミア住民に対して行われた明らかなテロ行為や、テロの背後にあるキエフの明らかな役割にもかかわらず。
ブルームバーグは、“バイデン、ロシアによる‘違法な’クリミア占領は終わるべきだと語る”という記事でこう報じている。
ウクライナ政府との団結を誇示して、ジョー・バイデン副大統領は、ロシアのクリミア併合を“違法”と呼び、アメリカは、シリアの「イスラム国」に対する戦いで、ロシアの協力を得るために、ウクライナ支持を手放すようなことはしないことを示した。
“継続している - 私は強調したい「継続している」 - ロシアとロシアが支援する分離主義者による武力侵略に向かい合う中、アメリカ合州国は、断固ウクライナ国民の側に立っている”と、バイデンは、月曜キエフで、ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領との会談後に述べた。
モスクワ・タイムズなどの新聞は“活動家、クリミア送電線再開を阻止”という欺まん的な見出しをつけ、記事本文で、これらの“活動家”が実際は、東ウクライナに対するNATOの代理戦争で、第一戦での役割で悪名高い重武装したネオナチ民兵組織の右派セクターであることを明らかにしている。
モスクワ・タイムズはこう報じている。
活動家が、ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領が、先に、キエフは電力供給の復旧を認めると述べたにもかかわらず、ウクライナの修理班が、クリミアに、本土から電力を供給している送電線四本のうち一本の復旧を阻止したと、ロシアとウクライナのマスコミが、月曜日報じた。
カホフスカヤ-ティタン線を再開する最初の試みを、極右民兵組織右派セクター集団のメンバーが、日曜日夜に阻止したことを、RIAウクライナ通信社と、depo.uaニュース・サイトが翌朝報じた。
キエフは、自分の領土で起きていることを管理できないのか、右派セクターや他の集団に、クリミア封鎖を始めるよう命じたのかのいずれかだ。いずれにせよ、バイデン副大統領の、ロシアはクリミアをウクライナ支配下に戻せという呼びかけは、よくて無責任だ。文字通りのネオナチによる、200万人の一般市民への電力遮断 -あからさまな戦争犯罪 - クリミアに関するロシアの行動と、ロシア連邦内に居場所を求めようとしたクリミア住民自身の決断の正当性を更に示すだけのように見える。
主権ゲーム
キエフ政権のみならず、それを作り出し、今日まで、その存在を永続させているNATOの違法性が、ウクライナの領土的一体性を維持するため、両者が訴えようとしている原則をむしばむのを促進している。ウクライナの先では、似たようなシナリオが、NATOがロシア国境に益々近く拡張しようとしている、東ヨーロッパ中で展開しつつあり、ファシズム、および/またはナチズムとつながった過激派ではない同盟相手を見つけるのが益々困難なことに気がついている。
これら過激分子と同盟することで、NATOが支援する政治、経済と、治安の支配下にある住民たちが、クリミアが、あるいはドネツクとルガンスクの分離共和国がしたように、ロシア側につく可能性が高まる。
東ヨーロッパ以上に、NATOによるシリアとイラクの主権侵害の継続が、ウクライナに関する主権と領土的一体性を訴えることが、飛躍的に一層困難にしている。欧米は、シリアをいくつかのより弱小な地域に“バルカン化”することを繰り返し呼びかけている。地域における力の、あるいは世界的な力のバランスが変われば、自分たちの同盟相手が分割される運命に直面した場合に、国家主権と領土的一体性に対し、既存諸国に示したこの軽視のしっぺ返しを食らうことに、欧米は気がつくかも知れない。
クリミアのロシア連邦への再編入は、それがその最中に起きた、NATOが推進している無法状態ゆえに可能になったと主張するむきもある。この無法状態が続けば、クリミアはひたすらロシア連邦の奥深くへと追いやられるのは確実だ。
Tony Cartalucciは、バンコクに本拠を置く地政学専門家、著者で、特にオンライン誌“New Eastern Outlook”に寄稿している。
記事原文のurl:http://journal-neo.org/2015/12/11/crimea-loses-power-temporarily-ukraine-loses-crimea-forever/
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最近の孫崎享氏のメルマガで大いに驚いたことがある。若者の世論に関するアエラ記事についてのもの。
12月14日号アエラ掲載「本誌1030人調査でみる18歳の世論」
男子 女子
・安倍内閣を支持する 54.6% 33.6%
支持しない 45.4% 66.4%
・原発の再稼働 賛成 66.4% 36.9%
反対 33.6% 50.9%
・安保法制 賛成 59.0% 36.9%
反対 41.0% 63.1%
投票の参考にするのは
テレビ 62.9% 66.2%
新聞 40.6% 30.9%
ネット 33.0% 27.8%
「投票の参考にするのは」に驚いたのだ。ネットは玉石混淆というのはわかる。まともな情報を報じているのもは少ない。しかし、ごく少数は、まともな情報を報じている。
大本営広報部は、決して玉石混淆では全くない。内容は厳格に管理されていて、実に均質で安定している。必要な情報を報じているものはほとんど皆無で、虚報だらけという意味で、厳格に管理されていて、均質で安定している。
ちなみにこのブログを読まれている方で、50歳以上の方は推計3.8%。10代の方は、5.7%。
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コメント
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60歳男性、チェンマイ在住。アエラの調査結果を読ませて頂いて、「あらためて」日本に絶望しました。日本で奮闘していらっしゃる筆者様には誠に失礼ながら、やっぱり日本はダメだ。
投稿: コメット | 2015年12月13日 (日) 12時06分