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2015年12月22日 (火)

IMF専務理事クリスティーヌ・ラガルドを、1パーセントが団結して支持

Paul Craig Roberts
2015年12月20日

ワシントンは、最有力フランス大統領候補として、またIMF専務理事としてのドミニク・ストロス=カーンを、ニューヨークでホテル・メイドを強姦したという冤罪を着せて排除した。あきらかな冤罪は、完全なでっちあげでであることが判明し、不起訴にせざるを得なかった。一方、ストロス=カーンは、IMF専務理事の辞任と、フランス大統領選挙からの脱落を強いられた。ワシントンは、ストロス=カーンが、ワシントンの綱領に十分には服従しないと判断し、彼を排除したのだ。

ワシントンは、傀儡オランドを、フランス大統領に選出させ、IMFのストロス=カーンを、好都合なクリスティーヌ・ラガルドに置き換えた。

ラガルドは、1パーセントだけのために働いている。彼女は、ギリシャ負債は、ギリシャが返済可能な金額に減額すべきだというIMFの専門職員の決定を覆した。ラガルドは逆に、1パーセントが、ギリシャという国家とギリシャ国民を略奪することを可能にし、多くの若いギリシャ女性を、食べ物を買う金を得るための売春に追いやっている。

Stephen Lendmanが下記記事で指摘している通り、ラガルドの犯罪は、当然の結果をもたらした。彼女は、フランス財務大臣時代、大物実業家ベルナール・タピに利益を与えるため、フランスの国益に反する裁定をした。腐敗した検事たちは隠蔽しようとしたが、フランス司法体制は、彼女は裁判を受けるべきだと裁定した。http://www.wsj.com/articles/imf-chief-lagarde-ordered-to-stand-trial-in-france-1450373023 裁判を受けるべきだという司法命令にもかかわらず、彼女はIMF専務理事を辞任する必要はない。1パーセント連中が、お仲間を守ってくれる。IMF理事会は“理事会は、依然、効果的に職務を果たす専務理事の能力に対する信頼を表明する”。

彼があきらかな冤罪で逮捕された際、ストロス・カーンに対しては、そのような信頼の表明はなされなかった。

裁判を受けることになったラガルドIMF専務理事

Stephen Lendman

容疑は、有益な社会改革を犠牲にして、アメリカが支配するIMFと欧米財界の権益を代表している彼女最大の犯罪とは無関係だ。

この機関の事業は、追いはぎ、融資と引き換えに、経済的、財政的厳しさを無理やり押しつけ、 更に債務返済のための融資、新たな無限の循環借金の日雇い労働が続き、財界が大儲けする最後の手段としての高利貸だ。

予想通り、庶民が一番苦しめられる。借金のわなに陥った国々は、社会民主主義、市民的権利や、人権とは相いれない過酷なIMFの命令に従うことを強制される。

天然資源は露天掘りされ、物質的な富や国有企業や他の重要資産は公営から私営に移管され、暗黒郷のよどみへと空洞化し、仕事につく能力がある国民は奴隷へと変えられる。

ごく少数の特権階級を除き、結果は、言葉で言い表せる中で最悪だ。極端な貧困、飢餓、栄養失調、病気や苦痛に満ちた早期の死に悩まされるのだ。

ワシントンは、新自由主義の悲惨巨匠として働くべく、ラガルドを就任させたのだ。

フランス財務大臣としての彼女の活動は、以前、重大な不正、具体的に言えば、大物実業家ベルナール・タピと、フランス国家が争った紛争で、捜査されたことがあった。

以前彼女は、そのために働くと誓った政府に不利に、彼に対し、4億300万ユーロを支払う仲裁命令を出していた。

フランス破毀院(司法訴訟に関する最高裁判所)のジャン・ ルイ・ナダル検事総長は、先に、タピに違法に恩恵を与えるべく、ラガルドが彼に対する控訴審裁定を覆し、脱法行為をしたという疑惑も含め、タピ調査書類を公開するよう命じていた。

フランス司法委員会は、ラガルドに裁判に出廷するよう命じた。彼女は延々続いている、いわゆるタピ事件で、職務過失のかどで訴えられた。彼は棚ぼたで手に入れた大金を返金するよう命じられた。

先週木曜日のフランス共和国司法院司法委員会裁定を、専門家たちは驚きだと語った。9月、検察官たちは、訴訟をやめるよう奨めていた。

彼女の代理人は“ラガルドは、フランスの国益を最優先し、法律を完全に遵守して行動したことを再度明言する”という声明を発表した。

彼女は裁定を不服として控訴している。結論が出るまで何カ月もかかる可能性がある。

IMF広報責任者のゲリー・ライスは“理事会は、依然、効果的に職務を果たす専務理事の能力に対する信頼を表明する”という声明を発表した。

彼女の使命は、それ以外の全員を犠牲にして、有力な財界に恩恵を与えることだ、とまで彼は説明しなかった。

アメリカの全面的支持を得ている彼女が率いる機関の通常業務が中断されることは決してない。

Stephen Lendmanはシカゴ在住。 lendmanstephen@sbcglobal.netで連絡できる。

編集者、寄稿者としての最新刊は“Flashpoint in Ukraine: US Drive for Hegemony Risks WW III.”

http://www.claritypress.com/LendmanIII.html

彼のブログはsjlendman.blogspot.com。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTThe Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2015/12/20/the-one-percent-rallies-behind-imf-director-christine-lagarde-paul-craig-roberts/
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原発関連事業を強力に推進してきた大企業、7800人リストラ予定という。本来、禁断の事業を柱にし、ババをつかまされ、その柱がおれれば、結果は明白。一番の稼ぎ頭が、一番の迷惑、重石に転化する。後は、人命を直接喰って生きる寄生事業、兵器生産と輸出に頼るしかないように素人には思える。それはこの国の一億総自殺を目指す政策と符合する。

世界平和の実現を妨げている、というより戦争を拡大・継続しているのは、永久戦争国家の宗主国や主要大国の兵器産業、戦争関連企業。平和になったら、想像を絶する大リストラを強いられる。そうなると、戦争を推進する政治家を、賄賂で養うことができなくなる。

America’s Permanent War State: Money is Raining Down on the US Military Complex

Paul Craig Roberts氏、IMF専務理事関係で、下記記事を書いておられる。

大本営広報部、改憲発議に必要な2/3を目指す首相と会談した元政治家の動向をしつこく流すが、連中が、改憲発議に必要な2/3を獲得した際に、緊急事態条項を盛り込んで、一機にファシズム化を推進する計画については全く報じない。

2013年7月28日の麻生副総理発言

憲法はある日、気づいたらワイマール憲法が変わってナチス憲法に変わっていたんですよ
誰も気づかないで変わった

あの手口に学んだらどうかね

思いつきでなく、この緊急事態条項のことを、本気で言っていたのだ。大本営広報部・大政翼賛会は、緊急事態条項の問題点を完全に報道管制している。国丸ごと宗主国の大企業に差し上げるTPPで使った手法、完全報道管制の繰り返し。3万円の買収バラマキと、軽減税制と、スタジアム案しか報じない。

共産党を除く与野党7党が憲法に緊急事態条項を書き込むことに賛成している。

と右翼呆導記事にあるが、社民党も反対と聞いたような気がする。反対しないファシスト政党に投票してはいけない。

「憲法改正には国民を騙すことが必要不可欠だ。引き続き新しいファシズム時代にふさわしい憲法のあり方について、国民的議論や理解が深まらないよう努めたい」のがトップの本音

憲法「改正」という言葉自体、攪乱を目指す売り込み用偽ラベル。

宗主国支配層や、傀儡国家の財界がけむたがる正論を発言をすると、ドミニク・ストロス=カーンのような目にあわされる。フランスでも、日本でも。

日本の政策も、(ラガルド同様)宗主国財界に尽くすものと厳しく批判しておられる植草氏の下記最新記事は、二つの集会と、一つの記者会見についての報告。

主権者の力の結集が安倍政権退場の原動力

その集会の一つ「饗宴」で、実に重要な発言をされた伊波洋一・元沖縄県宜野湾市長インタビュー。日本は、宗主国の兵器メーカーを儲けさせるための戦場になる。

緊急事態条項も、憲法破壊も、TPPも、原発再度稼働も、全て太らせた豚をくいつくしていただくための施策。

2015/12/21 岩上安身による伊波洋一・元沖縄県宜野湾市長インタビュー(動画)

「王様は裸だ」と君は指摘する(できる)だろうか ~岩上安身寄稿の新刊 『「今を伝える」ということ」』、本日発売

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コメント

バーニー・サンダースにとって大切な数少ない民主党「討論会」第3回目が19日(先週土曜の夜)にニューハンプシャーで行われた。
しかしその前日より、民主党全国委員会(DNC)のシステム不具合を利用したサンダース陣営の不正アクセス、クリントン側とDNCからのサンダースへの批判、サンダースを罰するため有権者データのアクセスを拒否したDNC、それを不服としたサンダース陣営による提訴などが米国内外メディアで大きく取りあげられたのは周知のとおり。

※大まかな概要についてはDemocracy Now!の2015/12/21(月)記事で日本語で書かれているようです。ご存知ない方は御覧になってください。
 http://democracynow.jp/

バーニー・サンダースは草の根活動によって地道に着々と支持を伸ばし、討論会の2日前には大きなバックアップも得た。
来年2月からの大統領選挙へ大きく影響する、今回の民主党討論会へ賭けていた矢先のことだ。

いつもながらニュース番組などでバーニー・サンダースの存在や言葉が流されることはほとんど無い。
今回の民主党討論会でもサンダースは視聴者から好感を得たが、その重要な内容や好評価についてメディアは報道しない。
http://www.huffingtonpost.com/brian-hanley/bernie-sanders-sweeps-onl_b_8847040.html
あのスノーデンすらツイッターで評価「サンダースは思いがけないことに、外交政策において、10年もの間失敗した従来のやり方を繰り返すクリントンやオマリより信頼がおける」
‎@Snowden
Sanders unexpectedly more credible on foreign policy than OM and Clinton, who repeat conventional wisdom that failed for a decade.#DemDebate

一切サンダースを表に出さなかった米マスコミは、討論会の前日にここぞとばかりにスキャンダルを報道。(必然的にヒラリーが被害者として好感度を上げた)

ところがいま、DNS(民主党全国委員会)やクリントンが沈黙している事実について、一部の米メディアやジャーナリストたち(ワシントンポスト、MSNBC、DemocracyNow!、そしてインディペンデントニュースなど)が、疑問を投げかけ始めている。

DNSは、なぜ今回の大統領選のための「民主党の討論会」を極端に少なく設定したのか(民主党討論会はたった6回。共和党はその2倍以上を行う予定)
DNSは、なぜすべての「民主党討論会」を米国民の視聴率が低くなる日にわざわざ設定したのか(土曜日、スターウォーズが公開されるクリスマス前の休日の夜、NFLの初日など)
DNSは、なぜ以前から不具合のあるシステムを改善しなかったのか。
DNSの有権者データをサンダース陣営が見れたのなら、クリントン陣営が見ていた可能性もあるのではないか。
DNSへの提訴で、サンダース陣営がクリントン陣営に公正な内容公表の参加を呼びかけているにもかかわらず、なぜクリントン側は応じないのか。
民主党選挙活動の決定権を持つDNSに対して、クリントン以外の候補者(サンダースとオマリ)が不満と改善を訴えたが、なぜDNSは応じなかったのか。

批判の言葉は、「批判していた本人たち」へ返ろうとしている。

現在DNSのトップに君臨するデビー・ワッサーマン・シュルツ委員長が、2008年のヒラリー・クリントン大統領選挙の宣伝活動組織(キャンペーン)の副長だったこと。
DNCの有権者システムを管理する会社NGP/VANの設立者であり元オーナーであるナサ二エル・パールマン(?)が、2008年の大統領選キャンペーンでヒラリー陣営の技術責任者だったこと。
DNCのマスターファイルを管理するNGP/VANの責任者が、1992年クリントン-ゴアの"War Room”、その後のクリントン政権のホワイトハウスでのキャンペーンに携わっていたこと。
DNSのシュルツ委員長の甥も、NGP/VANのスタッフであること。
これらの事実が次々と暴かれ、ネットニュースのコメント欄などを賑わせている。

https://www.washingtonpost.com/news/the-fix/wp/2015/12/18/the-hillary-clinton-bernie-sanders-data-fight-explained/

http://freebeacon.com/politics/morning-joe-panel-dnc-rigging-primary-hillary-clinton/

http://thirdrailnews.org/2015/12/22/bernie-sanders-vs-the-dnc-and-the-bubbling-of-new-american-political-parties/

http://theweek.com/articles/595485/why-democratic-party-cant-beat-bernie-sanders-democratic-socialist-army

大富豪やネオコン団体から大献金を受け、国務長官の立場で私用で(秘密裏に)やり取りしていた国家機密内容を公示しないヒラリー・クリントンを「被害者」として、国民に大きなアピールをしながら民主党の代表する女性初大統領へ押し上げる。
サンダース陣営の落ち度を大げさに触れ回り、「大義名分や道徳」を駆使してさげすみ、批判して、評判と人気を下げる。
公正であるはずの民主党委員会や民主党システムですら、ヒラリー・クリントンの強力なサポーターによって固められている。

そして残念ながら、米メディアは今後も、すでに民主党代表がヒラリーに決まったような報道と、トランプ報道ばかりを続けなくてはいけないのだ。

米ウエスチングハウスを相場の3倍で買収させられ、安倍首相の外遊に同行し、武器・原発をセールス、安倍自民に巨額の献金をする東芝は、国民の年金をつぎ込んで、安倍政府に守られています。。
▼巨額損失処理の恐れ 東芝を襲う“米ウエスチングハウス爆弾”
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/162167
▼不正経理で揺れる原発メーカー東芝を安倍支持率維持のために買い支えるGPIF  消えた年金、漏れた年金、そして消される年金  亡国のアベノミクス 私物化こそ正義
http://moriyama-law.cocolog-nifty.com/machiben/2015/06/post-3565.html
▼密室による国家統治  グローバル資本無責任の法理
http://moriyama-law.cocolog-nifty.com/machiben/2015/06/post-6612.html
▼ハゲタカファンドと自民党(日本政府)のグロテスクな二人三脚
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/66081bdfc245d4f7201f181d5cd4a158

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