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2015年11月28日 (土)

SU-24の失速速度

Paul Craig Roberts
2015年11月26日

私が下記の記事で引用した、Zero Hedgeが報じた、243mphというSU-24の失速速度に異議を唱えている読者がおられる。http://www.paulcraigroberts.org/2015/11/25/turkey-is-lying-paul-craig-roberts/

私の記事は、SU-24の失速速度に何ら依存していないことを、まず申しあげたい。要点は、トルコが国籍不明航空機だと主張するものを撃墜する許可をパイロットが得るのに、17秒は十分な時間でないことだ。事前に承認を得た事前に仕組まれた出来事だったということなのだ。

さて、失速速度だ。Zero Hedgeは、243 mphが失速速度だという。他の筆者は、失速速度は、150だと言う。この飛行機の失速速度に関するオンライン情報は見つけられなかった。説明でわかったのは、多くの人々は、失速速度を、水平飛行の場合で考えているが、失速速度は、角度と操縦によって異なるのだ。言い換えれば、直線失速速度は、翼が十分揚力が得られないような位置では、もっと小さくなり得る、という風に私は説明を理解した。150 mphという直線失速速度が正しい数値だとすれば、243より、93mph少ないだけなので、243 mphは、翼角度と操縦次第では失速速度の範囲になり得よう。

SU-24に関するオンライン情報によれば、243 mphが、この飛行機の通常動作範囲を遥かに下回っていることは確実だ。超音速航空機は、そのような低速での飛行を意図していない。Zero Hedgeの要点は、パイロットが、飛行機の操縦問題が起きるような失速速度で飛行したり、その速度に近づいたりするとは考えにくいということだと私は思う。パイロットたちは、その飛行機が意図された速度の範囲で、飛行機を操縦するよう訓練されていると語っている。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTThe Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2015/11/26/stall-speed-of-su-24/
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当ブログの翻訳記事を、ご自分のブログや、掲示板に転載する方々がおられる。
掲示板に転載された記事の揚げ足をとる奇特な方がいる。まさにこの失速速度が間違っているから、Paul Craig Roberts氏の記事が間違っているかのごとく読める書きこみを読んだ。

あきれていたところに、Paul Craig Roberts氏ご本人の追加があったので翻訳した。
念のために、その掲示板を見たところ、揚げ足とりの書き込みに対し、この記事と同趣旨の鋭い指摘をする書き込みをしている方がおられた。

重箱の隅をつついても意味はないだろうが、それを指摘する方に感心。ところで、

事前に承認を得た事前に仕組まれた出来事だったということなのだ。

という点では、秘密法案も、TPPも、戦争法案も、皆ことごとくそうだろう。
報道管制をしておいて、成立させ、そのあとは提灯記事。提灯記事になるよう、始めから手配済み。

TPP、 農業だけでなく、日本経済、社会、文化すべて丸ごと破壊し、宗主国・属国大企業に差し上げる仕組みであるのに、全く報道させない。でっち上げ合意のあと、国政選挙を乗り切るための農民取り込みばら蒔き対策やら何やら、全てが入念に仕組まれていたのだ。

TPPの厳しい交渉に、全力で、国益(連中が言う国益とは何か、そもそもわからないが)を守るべく頑張ったかのごとき、読んでいて顔から火がでそうなヨイショ記事や電気洗脳箱の虚報の波。大本営広報部のTPP呆導、極力読まないようにしている。頭が悪くなるばかり。

東演による『明治の柩』が紀伊国屋ホールで上演されている。何とも残念ながら、100年前の話ではすまない。今日、現在そのまま。

    • 古河足尾銅山の鉱害垂れ流しは、東京電力福島第一原発事故後の放射能垂れ流し
    • 日露戦争出征は、戦争法案による、帝国主義侵略戦争への経済的徴兵
    • 農民押し出しへの弾圧は、辺野古基地建設反対運動への機動隊・海猿の弾圧
  • 持続可能な農業・農村の破壊は、TPPによる大規模農業、遺伝子組み換え食物推進

パンフレットにあった文章を、そのまま転載させていただこう。

「明治の柩」の中は、田中正造か今の我々か

赤上剛

 田中正造は、明治という時代の枠にとらわれた古い人間なのか、あるいはそこから突き抜けていた人物なのか。
 今、「文化の日」が「明治の日」に変えられようとしている。十一月三日は明治期の「天長節」、戦前の「明治節」、明治天皇の誕生日だ。平和憲法「発布日」のこの日を「憲法記念日」として再出発しようと国会で運動したのが作家山本有三たち。保守派の反対で「文化の日』とされた。なぜか。「憲法記念日」にすると明治天皇祝日に戻せなくなる。「憲法記念日」は「公布(施行)日」の五月三日にすり替えられた。それが動き出した。すでに「建国記念日」(神話の神武天皇即位日)は復活している。
 私は田中正造記念日としたい!十一月三日は田中正造の誕生日。(旧暦。天皇は新暦)最大の公害は「戦争」と「原発」だという。「戦争」について、正造は日清戦争に賛成したが日露戦争には反対した。また、「原発」につながる近代公害第一号が足尾銅山鉱毒事件。正造は被害民とともに真正面から戦った。その鉱毒事件・谷中村事件とは何であったのか。
 足尾銅山の鉱毒(煙害と毒水)によって渡良瀬川流域三十万人が苦しんだ。日清・日露戦争を勝ち抜き西洋列強に追いつかんとした明治政府は、鉱毒被害をほぼ無視し銅山を温存した。生命の危機まで追い詰められた被害民は、政府への請願「足尾銅山操業停止」運動(大押出し)を何度も行った。政府は、多数のリーダーを兇徒など刑事犯として監獄へぶち込んだ。正造は明治天皇へ直訴する。盛り上がった世論に政府がとった措置は、被害民運動をつぶすこと。鉱毒は洪水とともに押し寄せる。「渡良瀬川の改修工事と最下流の谷中村を遊水池にする」政府方針を出す。運動は分裂し谷中村は孤立した。日露戦争のさなか正造は谷中村へ移住し反対運動に専念。栃木県会は「臨時土木費」名目で谷中村買収を決議し土地買収で村民を追い出す。谷中村民の意思は無視され廃村、藤岡町に強制合併された。「土地収用法」を適用しても応じない村民の家屋を強制破壊。残留民十六戸は仮小屋を作り踏みとどまる。政府と県は早くから谷中村の堤防破損個所を修理せず放置して谷中村を水没させた。毒水攻め、食料攻めだ。些細な仮小屋工事も、死者の谷中村墓への埋葬も「河川法違反」。正造死後、正造の祠(ほこら)を庭に建てても違反。すべて、「法律」「勅令」等による措置だと。
 ことし、集団的自衛権が閣議決定変更で容認され、安保関連法が強行採決された。いずれも憲法学者こぞって立憲制の否定・憲法違反だと断じている。
 東電福島原発事故から四年、いまだ十一万人の避難者がありながら原因究明もなく、誰一人責任をとらず、原発再稼働と海外輸出に政府・業界はまっしぐらだ。
 なぜこうなったのか。政・官・業・学(現在は、司法・労組・マスコミまで拡大)の癒着による①原因究明の不作為・遅延②被害の矮小化・未調査③被害者切り捨て・棄民化④加害責任の否認・加害企業温存⑤経済あっての国家という構図である。根底には『戦争体認』がある。
 正造の戦いの武器は、大日本帝国憲法。亡くなる年の最後の演説会でも憲法発布勅語(前文)を大きく張り出した。「朕(天皇)は、臣民の権利及び財産の安全を貴重し及び之を保護し…」。
近代憲法である限り「人民の権利保障」が前提にある。
 憲法を無視し法律を矢玉に人民を的にした「亡国」の圧制は許せない。「日本を見んとせば谷中村を見よ』と正造はいう。谷中村を守ることは憲法をまもること。だが、人民は谷中村事件から何も学ばなかった。逆に政・官・業・学は悪政の指針を身につけた。今も解決に至らない「チッソ水俣病」等の公害地域や、「沖縄辺野古」への政府の棄民・分断政策が足尾銅山鉱毒事件・谷中村事件と見事に重なり合う。
 戦争は銅増産優先、鉱毒被害無視、被害民運動を弾圧する。戦争は弱者を切り捨てる。世界共通だ。この鉱害闘争の現場から正造は戦争反対、軍備全廃論にたどり着いた。軍備費を青年の留学費に変え外交によって戦争をなくせと。
 晩年の正造は明治国家と帝国憲法の限界に気づき、「今の憲法、法律、教育のすべてを全廃して、天神を基とする〝広き憲法〟を設けるべし」と主張した。私たちが手にした「平和憲法」がまさにそれだろう。
 だが、谷中村事件から学ばず、戦争責任も原発事故責任も未だあいまいなままに過ごしてきた我々。
 田中正造は明治時代の「古い戦い」をしたから『明治の枢』に入れられたのか。だが、平和憲法がありながら明治精神・戦争体制へ復帰せんとする勢力に押し負けている我々こそ「明治の枢」へ片足を突っ込んでいるのかもしれない。
 劇団東演の『明治の枢』を見て、誰が「正造を叱る言葉」をかけられるか。
 戦後最大の危機を百年前に見通していた正造はいう。
〝人民は、人民の経験を信じて一歩譲るべからず〟

(田中正造研究家)

赤上剛氏の著書に、『田中正造とその周辺』がある。

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コメント

RTのビデオをみた。僕は樺太に1947年(八歳)までとどまり、多少の露語は解すようになった。すずか様のおっしゃるとおりだ。アメリカなんぞを信用し、座標資料などを提供すべきではなかった、という悔しさが滲みでた発言だ。その前の露通信員の質問の中には、仏と協力してだいじょうぶなのか、という裏の意味がこめられていたのではないか。仏に対し、汚い真似はするなよ、という牽制を示した会見だ。主導権は完全に露にある。

プーチン大統領が暴露している通りだと思うぞ。
あの時間にロシア爆撃機が通ることを事前に知っていた。
これらはトルコとロシアを争わせるためにCIAが行った軍事行動であることをプーチン大統領が暴露。
イタリアではトルコ(IS)にいく武器が取り押さえられている。

グーグルマップの写真を見ると道路が妙にはっきりしていて国境を見間違えることはなさそうですね。

もしも土邀撃機の追尾を認知していたならば、追われる露戦闘機が失速速度で飛ぶなどありえない。全速でふりきったことでしょう。ならばあの突出部の空は、わずか2−3秒で飛びぬける。土戦闘機はシリア領空でじゅうぶん後方からミサイルを撃ったのだ。

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