トルコはウソをついている
Paul Craig Roberts
2015年11月25日
Tyler Durdenが、Zero Hedgeに、トルコ、ロシアそれぞれによるロシア爆撃機の飛行経路を掲載した。http://www.zerohedge.com/news/2015-11-24/17-seconds-changed-world-leaked-letter-exposes-turkeys-hair-trigger-reality
トルコが、三つの理由でウソをついているのがわかる。
一つ目の理由は、NATO諸国政府は、口を開けば、ウソを言うことだ。
二つ目の理由は、SU-24が、17秒間トルコ領空にいたが、1.8キロしか進まなかったというトルコの主張は、SU-24が失速速度で飛行していたことを意味するからだ! あらゆる欧米マスコミは、余りに無能で、簡単な計算もできないのだ!
三つ目の理由は、17秒の領空侵犯というトルコの主張が本当だとすれば、ロシア軍用機を撃墜するという、非常に重大で無謀な行為に、正式の許可をトルコ人パイロットが得るのに、17秒は短過ぎることだ。もしSU-24が、空中を飛んでいられないような速度ではなく、通常速度で飛行していたのであれば、領空侵害とされるものは、短すぎて、認識できないものだったはずだ。撃墜は事前に準備されていたに違いない。トルコは、空対空交戦はおこさないという協定を、ロシアがばか正直に信じているのがわかっていて、パイロットに機会を待つよう命じていたのだ。最近の記事で、私はこの無謀な行為の理由を挙げた。http://www.paulcraigroberts.org/2015/11/24/turkey-has-destroyed-russias-delusion-of-western-cooperation-paul-craig-roberts/(日本語翻訳はこちら)
国連安全保障理事会に対するトルコの説明自体がウソであることをさらけ出している。書状にはこうある。“今朝(11月24日)国籍不明の2機のSU-24が、トルコ領空に接近した。問題の航空機は‘緊急’チャンネル経由で5分間に10回警告され、方向を南に即座に変更するよう要求された。”
航空機がSU-24だと、トルコが特定できた通り、SU-24はロシア航空機なのだから、一体どうして航空機の国籍が不明なことがあり得よう? トルコは、国籍不明航空機を砲撃して、アメリカやイスラエル航空機を撃墜するような危険を冒すだろうか? もしSU-24が、1.8キロを飛行するのに、17秒かかったのであれば、SU-24は、5分でわずか32.5キロしか進めないことになる。超音速航空機が失速速度で、17秒、ましてや5分間も飛行できる等と信じる人がいるだろうか?
どこかの欧米諸政府や、欧米マスコミから、なんらかの真実が報じられるなどと期待してはならない。政府もマスコミも、欧米諸国民が、無知で、気がつかず、あらゆるばかげた話を信じてくれると期待できるのを知っている。欧米では『マトリックス』が、完全掌握している。ロシアはこの事実に目覚めることが必要だ。
今朝のNPRで、マスコミが、政府プロパガンダ機関であることが確認できた。NPRのダイアン・リーム・ショーで、一団のゲストを出演させた。一人だけ情報に通じていた。ロンドンスクール・オブ・エコノミクス中東研究所教授だ。それ以外の“専門家”は典型的な能無しアメリカ人だった。全員ウソばかり繰り返した。“ロシアは、ISIS以外の全員を攻撃している。”地域を監督しているアメリカ人将軍が最近、議会に“わずか5人”の我々が訓練した“反政府派”しか残っていないと語ったのに、ISIS以外、一体誰がそこにいるのだろう。ところが“穏健派反政府勢力”神話は、こうしたウソつき連中のおかげて生かされ続けている。
“難民は残虐なアサドから逃げているのだ。”敵の心臓を取り出して食らい、頻繁に斬首し、最も凄惨な残虐行為をしているのは、ISISではなく、常にアサドであることに留意願いたい。出演しているのは、アサド非難の“専門家”だ。“専門家連中”は、難民はISISからではなく、アサドから逃げているのだと語った。難民問題は、ISISではなく、アサドの責任なのだ。あきらめて、シリアを、ワシントンのISIS子分連中に引き渡さないがゆえに、全てアサドの責任なのだ。
“専門家連中”は、ISISは、ワシントンが作り出したものであることや、パリ攻撃まで、ワシントンとISIS双方の不意をついたロシア空爆に対し、言葉の上でも武器の上でも、ISISを、ワシントンが強力に支援していたことを全く認めなかった。ISISに対するアメリカの責任を、TVで元国防情報局局長が認めた事実を考えれば、これは驚くべきことだ。https://www.rt.com/usa/312050-dia-flynn-islamic-state/
NPRに料金を支払っている、だまされやすいアメリカ国民は、ウソとプロパガンダを支持し、死と何百万人もの難民を生み出し、第三次世界大戦への道を進んでいる。政府の説明責任を問う責任を果たし損ね、人々がまっとうな情報を知るのを不可能にし、欧米マスコミ売女は、犯罪に加担している。欧米マスコミは死と破壊の応援団を演じているのだ。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/
記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2015/11/25/turkey-is-lying-paul-craig-roberts/
----------
Paul Craig Roberts氏、映画『マトリックス』を題材にした、アメリカ社会分析をいくつも書いておられる。映画『マトリックス』をご覧になっていないと、記事の真意ややわかりにくかろう。『マトリックス』、決して楽しい映画とは思わないが。映画中の下記セリフが全てを語っている。
"ネオ、マトリックスというのはシステムだ。そのシステムは我々の敵だ。しかし、その内部に入りこんで、あたりを見回すと、何が見えるだろう?
ビジネスマン、教師、弁護士、大工。我々がまさに救おうとしている人々の心だ。だが、我々が救い出すまでは、これらの人々は依然としてそのシステムの一部
だ。それで彼らは我々の敵になっているのだ。こうした人々の大半は、システムから切り離される用意が、まだできていないことを、君は理解しなければならな
い。そして、彼らの多くは余りに慣らされ過ぎていて、絶望的なほど、このシステムに依存しているために、彼らはそのシステムを守ろうとして、闘おうとするのだ。" - マトリックス (1999)
下記の文章、そっくり、そのまま。
今朝のNPRで、マスコミが、政府プロパガンダ機関であることが確認できた。
NPRに料金を支払っている、だまされやすいアメリカ国民は、ウソとプロパガンダを支持し、死と何百万人もの難民を生み出し、第三次世界大戦への道を進ん
でいる。政府の説明責任を問う責任を果たし損ね、人々がまっとうな情報を知るのを不可能にし、欧米マスコミ売女は、犯罪に加担している。欧米マスコミは死
と破壊の応援団を演じているのだ。
この記述、時間、局名、国名を入れ換えれば、そのままだと、昼のバラエティー洗脳番組を見ていて実感。そもそ、司会者は人気お笑いタレントだったりする。ニュースさえ報じなければ、毒にも薬にもならないが、ニュースが悪質な洗脳呆導。見たくて見ていたのではなく、記事を翻訳しながら、属国は宗主国とは違うかどうか検証するのが目的。
キャスター、コメンテーター、まともな発言をすると、御用新聞のプロパガンダ恫喝によって、降板させられたり、煽情週刊誌で、叩かれたりする。危惧していた通り、見ている報道番組、二つとも、揃って売国奴に叩かれている。傀儡ファシストは、まともな保守を許せない。
一方、昼の洗脳バラエティー、北朝鮮テレビ並の大本営広報部の呆導番組ゆえ、御用新聞・御用週刊誌によって、叩かれることはない。そういう大本営広報洗脳番組で時間を潰すほど、人生暇ではない。
昼のバラエティー洗脳番組、愚劣プロパガンダ、批判されるような論者は決してださず、御用学者・御用評論家ばかり登場させる。
今日も元官僚氏の顔をみて、音声を消した。あの人が出る番組は見ないか、音声を消している。いらいらして翻訳作業ができないため。
素人が、洗脳番組を見て、真相を推測するのは、ラクダが針の穴を通り抜けるより困難。人生の無駄。何本見ても、読んでも混乱するだけ。お金を支払って、洗脳でない情報を得て、真相を推測するしかないだろう。ただより高いものはない。
今回の記事に関連する翻訳記事は「トルコ」のカテゴリーでお読みいただけるが、一部をリストしておこう。
« 欧米の協力というロシアの希望を破壊したトルコ | トップページ | SU-24の失速速度 »
「マスコミ」カテゴリの記事
- 反政府派最大メディアの一つがザハロワとインタビューした後、発禁にするようショルツ首相が命令(2024.07.19)
- 文字通り我々を狂わせている支配者連中(2024.06.26)
- このようなニセ・ニュースが戦争を引き起こす可能性はないのだろうか?(2024.06.22)
- 人々の注意を操って世論を歪めるメディア(2024.06.14)
- 「情報源」が夢想したハリコフ包囲網(2024.05.24)
「アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事
「NATO」カテゴリの記事
- ウクライナ状況報告:ウクライナ軍司令官、クルスク侵攻では戦略が欠如していたとを認める(2024.09.08)
- 戦争屋と平和屋をどう扱っているかで社会の健全さが分かる(2024.09.07)
- ウクライナ - ロシア・ミサイル攻撃、スウェーデン人教官たちに命中(2024.09.05)
「ロシア」カテゴリの記事
- ウクライナ状況報告:ウクライナ軍司令官、クルスク侵攻では戦略が欠如していたとを認める(2024.09.08)
「ポール・クレイグ・ロバーツ」カテゴリの記事
- 腐敗したアメリカ支配層に宣戦布告したかどでトランプは暗殺されるのだろうか?(2023.06.26)
- ポール・クレイグ・ロバーツは大量虐殺が好きなのか?(2022.05.01)
- ロシアの安全保障提案をワシントンが拒絶したのはまずい判断(2022.01.31)
- 欧米で、ジャーナリズムは宣伝省にとって替わられた(2021.11.23)
「ISISなるもの」カテゴリの記事
- NATOの対ロシア代理戦争は常に本質的にテロだった(2024.04.06)
- クロッカス・シティ・ホール襲撃事件に関連する記事の抜粋(2024.03.26)
- ロシア・は・戦争中・だ(2024.03.26)
- テロリストとの切っても切れないつながりを確認したアメリカ(2022.07.14)
- 背信のエルドアンは大トゥーラーンのためロシアを破壊しているのか?(2022.02.07)
「トルコ」カテゴリの記事
- ガザ地区で外国人傭兵を使っているイスラエル(2024.05.03)
- 岐路に立つトルコ:エルドアン時代は終わったのか?(2024.04.14)
- トルコ地方選挙、空爆:トルコや地域や、より広汎な世界への影響?(2024.04.09)
- トルコのウクライナ「支援」(2024.03.31)
- NATOとイスラエルの超強力なおとぎ話に勝てないロシアのハードパワーと中国のソフトパワー(2023.11.28)
「シリア」カテゴリの記事
- フィクション 歩きながら政治について語る二人のアメリカ人(2024.07.20)
- イスラエル・アメリカ関係の様々な神話やストレスを粉砕したイランの無人機攻撃(2024.04.19)
- アメリカは「中東で紛争を求めていない」と言いながらに中東に積極的爆弾投下するバイデン(2024.02.16)
- 中東でのアメリカ駐留を終わらせる(2024.02.08)
- 致命的なイスラエル空爆とアメリカ制裁の間で苦闘するシリア民間人(2023.08.15)
寄らば大樹の陰 日本とトルコの共通性
尖閣諸島はアメリカの防衛の範囲内とオバマに言ってもらって喜ぶ日本外務省。NATO規約第5条に訴えたトルコ。どこか似ていないか。言語も似ているそうだ。定説はないが両者ともウラル・アルタイ語に属する。しかし問題を起こし,より強い集団に逃げ込むのは日本もトルコも似ている。寄らば大樹の陰。しかしそれだけではない。
先月だったか時間の感覚がないが,エルドガン大統領が日本をなぜか訪問した。選挙集票マシンを買いに来たのではという噂も流れた。小生は噂は信じないが,総選挙の前に海外出張とは余裕がありは過ぎないか。爆弾テロがあり,その犯人も捕まらない。靖国の公衆便所の爆発犯も捕まらない。両者とも捕まらない点で共通性がある。
小生の妄想は妄想に過ぎないが,エルドガン大統領の息子Bilal氏がISISの頭目と思われる人物と食堂で一緒に食事をしたときの写真がネット上に出回っている。これは妄想の産物ではないだろう。しかし,環境破壊につながるからもう少し工夫を探すべきだと考えるが,国連決議を経てロシア航空宇宙軍はISISの石油精製施設やタンカ-車を爆撃し始めた。
Su24MがF16によって撃墜された一帯は,武器や弾薬はもちろん食料などがトルコ領からISOS側に引き渡されるル-トがたくさんある。逆に精製された石油がISISからトルコ側に流れるル-トも複数ある。指摘されているように,息子Bilal氏はそれらのル-トを利用して莫大な利益をあげてきたが,密輸は空であれ,地上であれ,シリア国にとって殲滅・撃墜モノだろう。
今回の撃墜は,トルコ国が「テロ支援国家」であることを世界に知らせしめた。他方,日本国の首相はカイロ宣言を知らずカイロ声明を出し,ISIS退治に2億ドルの援助をすると発表した。この発表は素直に受け取れば,テロ撲滅に連結するが,ISISを造ったのが誰かと考えれば,アメリカ・イスラエル,サウジアラビアそしてカタ-ルであるから,ISISに敵対する2億ドルとなるはずがない。すなわち,ISIS支援の別ル-トであるに過ぎないから日本もトルコ同様「テロ支援国家」である。
おそらくP.C.ロバ-ツ氏のいう「切り札」とは,大国アメリカやNATOの威を借る日本やトルコが「テ支援ロ国家」であることをロシアが大きく世界に宣伝することであることのように思われる。
追記:安倍首相が約束した2億ドルの行方は,おそらくISISの負傷兵がヨルダンやイスラエルで治療を受けているから,その治療費に充てられているのであろう。収支決算報告書をみたいものである。しかしそれを期待してはいけない。なぜなら,シリア難民大移動,米軍機によるMSF病院空爆,ロシア旅客機墜落,パリテロ,Su24M撃墜など次から次へと事件が起こり,一つ一つの事件がじっくり検討される余裕がないのが世界の現実であろうからである。ゆえにまた近いうちに,世界を騒がせる事件が起きるに違いない。その結果,誰が一体得をするのであろうか。
追記2:エルドガン大統領が辞任しなければ,トルコ軍はク-デタを起こし,エルドガン一家を追放するだろう。この点で,トルコと日本とは異なっている。自衛隊幹部の主流派が安倍首相を追放することはないだろう(古代ギリシアには好ましからざる政治家を対象にした陶片追放というモノがあったが)。
追記3:建物のこともよく分からないのだが,トプカブ宮殿はキリスト教寺院を壊した上に造られたそうである。それはイスラムが征服した場合,キリスト教会が壊された後にモスクが建てられた南欧に共通らしい。しかし基本的にトプカプは建て増しの建築であり,日本の武家屋敷と同じ建て増しで,ベルサイユ宮殿や中国の四合院のように全体から部分へと建築が練られたのではない。必要に応じて建て増しをする,つまり,部分の積み重ねが全体となるのがトプカブ宮殿や武家屋敷であると,加藤周一は説く(『日本文化における時間と空間』,岩波書店)。
トルコ研究者のご意見を拝聴したい。
投稿: 箒川 兵庫助(2ーや) | 2015年11月27日 (金) 18時03分