トルコの「悲しきサルタン」の締まりつつある首縄
Finian CUNNINGHAM
2015年11月29日| 00:00
Strategic Culture Foundation
わずか数年間、欧米政府やマスコミの寵児だった、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領、自称新オスマン皇帝は、トルコを近代化し、活気ある経済を監督し、トルコを、アジアに対する戦略的架け橋に位置づけた人物だと称している。
しかしアメリカが率いるシリア政権転覆計画にエルドアンが関与しているおかげで、彼の一族の石油密輸や盗品遺物から、テロ・ネットワーク向け銃密輸入に到る相当な犯罪的事業を、今や着実に暴露しつつある。大本の「悲しきサルタン」は無事うまくやってのけたが、彼は首の回りで益々締まりつつある、有罪を示す首つり縄の端にいる可能性がある。
外国が支援する傭兵旅団に対する約5年にわたる戦争で、シリア政府を支援するロシア空爆が、トルコ与党AK党核心部の腐敗と、とりわけ、エルドアン一族の家業を暴露した。
今週、エルドアンが一体なぜ、ロシアSu-24戦闘機の致命的撃墜を命じたたのかという一つの要素は、ロシアが、トルコ支配者の犯罪構想を酷く破壊しつつあることに対する報復なのだ。何百台もの石油輸送車や、東シリアと西イラクの聖戦テロ・ネットワークが乗っ取った他の施設の破壊が、エルドアンの儲かる不正な商売に打撃を与えている。
テロ旅団にとって、一日100万ドルの稼ぎと推定される密輸の経路は、違法商品を世界市場で貿易する、エルドアンの息子ビラルが所有する認可された海運会社によって統合されている。トルコのアンタリヤで開催された最近のG20サミットで、ウラジーミル・プーチン大統領が明らかにした通り、ロシア諜報機関が、この密輸帝国をあらわにした。更なる有罪を示す詳細が、今後数週間に報じられるものと期待される。
今週、ロシア戦闘機撃墜後、エルドアンは、石油コネクションを、大胆にも“中傷”として片づけた。
しかし、プーチンが、いささかの皮肉をこめて反論したように、何千台もの石油を満載したトラックが軍に厳しく警備されたトルコ国境を通過することで成立する違法事業に、アンカラ当局が気づかないとは到底想像しがたい。
シリア情報相オムラン・アル-ズービによれば、密輸品の中には、シリアの古代遺跡パルミラやイラクのニムロドのような都市から盗まれた貴重な遺物があると考えられている。これら2,000年前に由来する遺物は国連により世界遺産の貴重品として指定されている。世界遺産の品々が、個人的利得とテロ資金源のため略奪されているなら、それはエルドアンや彼のAK党のお仲間連中のうさんくさい価値観について何事かを物語っているのだ。
シリアやイラクの国有施設から聖戦士によって盗み出されている石油の取り引きは、トルコとつながった巨大な国境越えループの半分に過ぎない。
毎日のように兵器を満載したトラックの車列が、トルコからシリアに舞い戻っている。これらの武器代金は石油密輸の利益で支払われ、アルカイダとつながるアル・ヌスラ戦線や、いわゆる 「イスラム国」(IS、ISIS、ISIL、あるいは ダーイシュとして知られている)を含む多数の聖戦テロ集団の間で配給される。武器取り引きは、エルドアンやAKP指導部と緊密につながるハカン・フィダンが率いるトルコ国家情報機関(MIT)が監督している。
フィダンは、先月、ISテロ集団擁護論を発言したと国営アナドル通信社で報じられた。“ISISは現実で、我々は「イスラム国」のように、しっかり組織された、人気のある体制を根絶することはできないことを受け入れなければならない”、とフィダンは言い、さらにこう続けた。“それゆえ、欧米の仲間たちには、イスラムの政治潮流に関して考え方を変え… シリアのイスラム主義革命家たち[テロリスト]を粉砕するというウラジーミル・プーチンの計画を阻止するよう強く促したい”。この発言が余りの論争を引き起こしたために、アナドル通信社は、後に以前の発表を否定する記事を掲載した。
エルドアンによる厳しいマスコミ弾圧にもかかわらず、トルコ・マスコミの一部は勇敢にも、シリアでの戦争に油を注いでいる石油-兵器集団に関する手厳しい報道を掲載している。今週、クムヒュリエット紙編集者ジャン・ドゥンダルが、“国境越えの膨大な武器取り引きをトルコ諜報機関が監督していることを暴露する写真証拠を載せた記事を発表したため、スパイ”と国事犯のかどで逮捕された。エルドアンは、“国家機密”を暴露したかどで、編集者を終身刑にすると脅している。
別のトルコ新聞、Today’s Zamanも、エルドアンの庇護を受けているアダナ州検事アリ・ドガンがうっかり漏らしたことを今週報じた。兵器を満載し、トルコの諜報機関が運用している2,000台のトラックが、シリア国内の戦士に火器を運び込んでいたことを、検事が発言で、うっかり暴露してしまったのだ。
そこで、シリア情報相アル-ズービが、今週のロシアSu-24撃墜 - パイロットの死をもたらした - シリアへのロシアの軍事介入が引き起こしている深刻な損害を理由とするエルドアンによる報復行為だと主張をするわけだ。この損害は、エルドアンと彼の一族の取り巻きに対する膨大な財政的損失のみならず、シリアのバッシャール・アル・アサド大統領に対する政権転覆のための戦争の取り組み全てに対するものを含んでいる。
ロシア・マスコミとのインタビューで、シリア情報相は述べた。“全ての石油はレジェップ[タイップ] エルドアンの息子が所有する企業に送られていました。これが、ロシアが、IS[「イスラム国」]インフラに対する空爆を始め、500台以上の石油トラックを既に破壊した際、一体なぜトルコが苛立ったのかという理由です。これが実際、エルドアンと彼のお仲間の神経に触れたのです。連中は石油だけでなく、小麦や歴史的遺物も運び出しています。”と、アル-ズービは付け加えた。
もしエルドアンが、ロシア熊の目を突いて逃げおおせると思っているなら、とんでもない間違いだ。ロシアは、シリア-トルコ国境沿いの爆撃作戦を強化し、北に向かう石油輸送トラックと、逆の流れの南へ向かう兵器トラックを爆撃している。シリア国境の町アザズでは、今週のロシア空爆で、武器を搭載していたと考えられている20台の車両を破壊したと報じられている。空爆で7人が死亡した。
アンカラは、国境を越えた車列はシリアのトルクメン人に“人道支援物資”を運んでいたと主張している。トルコのアフメト・ダウトオール首相は、一般市民をほのめかして、ロシア空爆が、トルクメン人“同胞兄弟姉妹”を標的にしていると苦情を述べた。
だがこれは、トルコF-16戦闘機によって撃墜されたSu-24からパラシュート降下したロシア人パイロットを残虐に殺害し、今週悪名を獲得したまさに同じトルクメン人民兵だ。
第10沿岸旅団といった名称のトルクメン人民兵たちは、ダマスカス政府を打倒するため、他の聖戦テロ集団、アル・ヌスラ戦線やISと連携して戦っている。北シリアに暮らしているが、民族的に、トルコ人とつながっているトルクメン人は、シリアでのエルドアンによる秘密テロ戦争を遂行する上で、重要な役割を演じてきた。
昨年、2014年4月、トルクメン人民兵が実行した、ラタキア県北部沿岸の村ケサブでの虐殺で、88人のアルメニア人キリスト教徒が虐殺された。生存者によれば、13人の犠牲者が斬首された。この攻撃には、アル・ヌスラ戦線やISや“穏健世俗派反政府勢力”とされて、欧米政府やマスコミに、大いに支持されているいわゆる自由シリア軍の旅団も関わっている。(この虐殺に関する続きのコラム記事は、後日発表予定だ。)
重要なのは、最近、トルクメン人司令官が、彼の戦士たちに十分な兵器を供給しないことを巡り、エルドアン政権に激しく抗議したことだ。
アブデュルハミト・サルタン旅団のトルクメン人司令官オメル・アブドゥッラーがこう言ったとされている。“我々は耐えがたい残虐の中でも生き残ろうとしているが、トルコの支援が必要だ。”彼はロシア空爆に触れて言った。“毎日我がトルクメン人同胞は死んでいる。我々は[エルドアン]政府の支援を期待している。一体なぜ彼等は我々を放棄したのだろう? 我が殉教者は日々倒れている。一体なぜ我々は放置されているのだろう? 私には理解できない。”
トルコのToday’s Zaman紙が指摘しているように、十分な武器を受け取っていないというトルクメン人主張は、シリア国内に向かっているトルコ諜報機関MITの兵器輸送トラックに関する大きな疑問を引き起こす。何千台もの国境越えの車列に積み込まれていた機関銃や大砲や迫撃砲は一体どこに行ったのだろう? もしトルクメン人旅団は補給線を切断されつつあるのならば、それは、アンカラの兵器が、その代わりに、アル・ヌスラ戦線やIS等、他の聖戦集団に注ぎ込まれていることを示唆する。
シリアでのロシアの軍事介入が、ワシントンと同盟諸国がその目的のために配備したテロ旅団の兵卒たちを全滅させ、アメリカが率いる政権転覆を狙う犯罪的戦争の形勢を決定的に不利にしつつある。
トルコの自称絶対的指導者エルドアンにとって、ロシア介入は、彼の膨大な個人的損失をも銘記させることになった。トルコを新たなオスマン地域大国として復活させるという彼の傲慢な構想は粉砕されつつある。彼の指導の下、トルコの国際的評判は悪臭を放つ下水へとはまりこみつつある。
しかも、紛争に対する彼の一族の犯罪的関与も、あばかれつつある。250,000人以上の命を奪った犯罪的な侵略戦争をあおった彼の責任が、エルドアンの前に首吊り縄のように迫っている。確かに「悲しきサルタン」だ。
記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2015/11/29/noose-tightens-on-turkey-sultan-of-swing.html
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終日外出していて良いことは、つい電気洗脳箱にスイッチを入れずに済むこと。
大本営広報部電気洗脳箱の自称ニュースは見聞きするに耐えないが、宗主国メディアが制作したドキュメンタリーには立派なものもある。ビデオに取らなかったのを後悔した。
新・映像の世紀「第2集 グレートファミリー 新たな支配者」
「沖縄の基地反対運動は日当2万円+送迎・弁当付き」といういい加減なデマをふりまく宗主国宣教師、売国大本営広報部から決して批判されない。
日当2万円+送迎・弁当付きであるなら、小生も喜んで参加したい。招集元を明確に報道するのが筋ではないだろうか。ご教示いただければ、すぐにもでかけたい。
年金生活者には負担の重い航空運賃、那覇から現地までの交通手段がわからないこと、更に、宿泊方法の見当がつかないので、行きたいと思いながら行けずにいる。
昔仕事で出張したついでに、ちゅら海水族館を楽しんだ経験ならある。業務出張ゆえ、航空運賃もホテル代金も会社負担。追加の宿泊代だけ自腹だが、大した負担ではなかった。
記念式典発言。例により呼吸しながらつくウソ。翻訳するとこういう意味になるのだろう。
「これからも国民を搾取し、宗主国のためにやるべきことは決然と実行し結論を出す売国無責任政党であり続ける」
「60年前、われわれは宗主国による資金援助の下に立党した。大義は属国日本の確立だ」
「TPPで生まれる新たな市場は日本の農産品を待ってなどいない。農業壊滅時代を必ずつくっていく」
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なにか、とても奇妙な傾向だと思ってここ何回かのエントリーでちらちら書いたけど、どうして日本のメディアはそんなにトルコに肩入れするのかを改めて考えてみた。
私は当初、なんであれロシアが悪いからという意識の延長にあるものと思っていた。これはまぁ、近代日本(...... [続きを読む]
こんにちは。遅くなりましたがトラックバックさせていただきました。
いつも貴重な情報を翻訳して見せていただき、本当にありがとうございます。
投稿: DEEPLY JAPAN | 2015年12月 3日 (木) 17時58分