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2015年11月 5日 (木)

ウクライナ、オデッサにアメリカがすえたジョージア人知事、選挙取り組みで敗北

Eric ZUESSE
2015年11月1日 | 00:00
Strategic Culture Foundation

アメリカが据えつけたウクライナ、オデッサ州知事のミヘイル・サアカシュヴィリ最初の現地で選挙に勝利するという取り組みは失敗したので、彼は自分が選んだ候補で、オデッサ市長になろうとしていたアレクサンドレ・ボロヴィクの圧倒的な敗北という選挙結果を廃棄しようとしている。

この国際的に重要な出来事の背景は以下の通り。

サアカシュヴィリは、アメリカの反ロシア・キャンペーンを率いた元ジョージア大統領で、選挙によって、大統領の座を追われ、すぐさま外国支援者であるアメリカに移住した。2015年2月、2014年2月のアメリカ・クーデターから一年後に設立されたウクライナの反ロシア政権(ジョージアで、サアカシュヴィリ政権がそうであったよりも一層激しい反ロシア政権)で、ウクライナを運営するアメリカの代理人(彼が権力を獲得するのを可能にした人々、ワシントンのアメリカ政権によっても主張されているように、あれがクーデターで、本当の‘革命’ではないことを認めたペトロ・ポロシェンコ)が、サアカシュヴィリを、オデッサ州新知事に任命したのだ。

オデッサは、常に親ロシア的な地域で、アメリカが運用している傭兵である2014年2月にクーデターを実行した同じ“右派セクター”の多くが、2014年5月2日にも、クーデター政権に反対する文書を配布していたオデッサ住民の惨殺実行しこん棒で殴打し、銃撃し、最終的に、オデッサ労働組合会館内で、生きながら焼き殺して虐殺した。サアカシュヴィリは、アメリカのクーデターで据えつけたウクライナ政府を受け入れるよう、オデッサをしゃきっとさせる人物となるべく、アメリカから呼び寄せられた。ところがサアカシュヴィリは最初の選挙という試験で、彼のオデッサ市長候補が、二対一の差で敗北した。それでサアカシュヴィリは選挙結果を受け入れないのだ。彼はこの結果を無効にしようとしている。

ロシアの国際ニュース・サイトvz.ruは、10月28日、選挙結果に対し“サアカシュヴィリ、オデッサ住民に抗議するよう呼びかけ”という見出し記事で、サアカシュヴィリとボロヴィクが、選挙をひっくり返すための抗議行動を呼びかけていると報じている。同日、同じサイトが、ウクライナ議会の“ポロシェンコ・ブロック”のオデッサ地域委員長が(接近戦でさえなかったこの投票)再集計要求に加わったとしている。

彼らは単なる‘再集計’を要求しているわけではない。彼らは選挙結果を破棄したいのだ。これは‘勝利した親ロシア派候補が投票の52%を得た選挙での再集計' 要求なのだ。一方、反ロシア候補のボロヴィクは、26%を得た。更にオデッサ地域全体は、常に、これまでの選挙で、反ロシア候補には投票せず、代わりに、中立的な、および、親ロシア的な立場さえ好む候補者を支持してきた。これは特に(投票が行われた)オデッサ市内そのものにも、あてはまる。

しかもアメリカが支援する現ウクライナ大統領で、反ロシア派がオデッサ市長になるよう全力を尽くしたポロシェンコは、国営ウクライナ・テレビで、オデッサ労働組合会館内で虐殺された人々を公に侮辱した。彼はウクライナ国民に、おそらく大多数のオデッサ住民にとっては英雄である人々を、軽蔑し、拒否するよう呼びかけたのだ。

アメリカが行った2015年7月のオデッサ地域住民世論調査では、ポロシェンコの支持率は、17%で、彼の不支持率は、79%だった。2014年5月2日の虐殺直後、主として、ウクライナのクーデターで据えつけられた虐殺を実行した政府に熱心に反対したがゆえにオデッサ住民によって選ばれた 現職市長を、ポロシェンコの配下で置き換えるためにオデッサ住民が投票に行きはしないのは明らかだ。(しかもクーデターそのものが極端に暴力的だった。後にオデッサ労働組合会館で虐殺された抗議行動参加者は、まさに残虐なクーデターに抗議していたのだ。彼らは平和志向で、オバマが据えつけた新指導部がロシアに対して始めたがっている戦争には反対だった。

これらの人々は、一部はあからさまに親ヒトラーでさえある反ロシア人種差別主義ファシストによるウクライナ乗っ取りに反対して抗議していた)。虐殺のわずか数週間前に撮影された現市長の写真があり、そのキャプションにはこうある。"ウクライナ、オデッサ。2014年4月10日。オデッサのドイツ・ファシスト侵略者からの解放にささげる1944年4月10日のパレード再現に参加したゲンナディー・トゥルハノフ議員。”彼はそこで、単にヒトラーのみならず、オバマの配下(ポロシェンコを含む)にも言及していた。結局、オバマは、人種差別主義ファシストや、あからさまなナチス連中を、ウクライナで権力の座に据え、彼らは、現在子供たちを教えてさえいるのだ

明らかに このような状況のもとでは、親ロシア派候補選出を無効にする真正の民主的動機などあり得ない。もしトゥルハノフの再選が無効にされれば、オデッサ住民は激怒するに違いない。

この選挙結果は、ワシントンのオバマ政権にとって、恐らく解決しがたい問題となろう。ワシントンは、独裁制支持を公表するだろうか? アメリカ(や他の欧米) ’報道’機関は、これを一体どう報じるだろう? 連中は単に無視を決め込むのだろうか?

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調査ジャーナリスト、歴史研究者のEric Zuesseは新刊「彼らは全然違う: 民主党対 共和党の経済実績、1910-2010」および「キリストの腹話術師:キリスト教を生み出したイベント」と「封建主義、ファシズム、リバタリアニズムと経済学」の著者。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2015/11/01/us-imposed-georgian-governor-ukraine-odessa-fails-electoral-attempt.html

 

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2014/5/2のオデッサ労働組合会館における虐殺事件、属国大本営広報部は全く報じない。宗主国の息がかかった悪行は存在しないことにするのだろう。この虐殺については、2014年5月7日に下記記事を翻訳してある。

キエフと右派セクターによるオデッサ水晶の夜 (写真・閲覧注意!)

 2022/2/28追記キエフと右派セクターによるオデッサ水晶の夜 (写真・閲覧注意!)』英語元記事が削除されており、リンクしておいた凄惨な写真が表示されない。

 読者の方から下記の魚拓ページをご教示いただいた。この問題のページの凄惨な写真が全てみられる。

https://web.archive.org/web/20140515000559/http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-4bc4.html

あの小泉・竹中コンビによる郵政民営化からはじまって、とうとう三社株式上場。
戦争法案、TPPで大破壊をしたあとの総仕上げ。

強硬な安保改訂後、退任した岸の後、池田は所得倍増論でしのいだ。
同じことを、孫は一人二役を演じるわけだ。
強硬に戦争法案を通し支持率低下したのを、株上昇を演じて選挙を乗り切る作戦。

大本営広報部、電気洗脳箱、株を買えたうれしそうな皆様の姿を宣伝する。
もちろん、一応バランスをとって、冷静な?方々も一応写しはする。

多数の皆様が郵政株を買ってウハウハし、自民党や公明党に投票するのだろうか。
NTT株売り出し時に、同期生が何とか購入しようと大騒ぎをしていたのを思い出す。
強烈な出世志向だった彼とは十年以上あっていない。会うことはあるまい。自分の出世に役立たない人間は相手にしないのが、彼の哲学だった。

マイナンバー、国民支配強化ができる国と、それで金儲けができるIT企業のためのプロジェクトにすぎないだろう。

警視庁機動隊による辺野古基地反対派への弾圧本格化。
70年安保の時のあのゲバ棒・ヘルメット連中と機動隊の対決とは全く違う。
非暴力な人々、多くは中高年の方々をこぼうぬきし、ぶつかる光景。

故品川正治氏が指摘する沖縄マスコミと本土マスコミの違い、頭から離れない。
目覚めさせる沖縄マスコミと、眠らせる本土マスコミ。

 

激突の時代』の連続講座・第4回 第11章 日本のマスコミ から、ごく一部を引用させていただこう。225ページから、226ページ。太字は小生が加工したもの。

 国民に怒りを持たせない

 マスコミの現在の姿勢を言で言ってしまえば、とにかく国民に怒りを持たせない、あるいは怒りの的を外してゆこうというものです。そういう役割をご本人たちが意識しておられるかどうかは別として、私はその点を非常に問題視しています。
 私は沖縄で発行されている「琉球新報」と「沖縄タイムス」の二紙をとっていますが、この二紙は、国民の不満を「怒りにまではしない」という報道姿勢は持っていません。そこが日本のマスコミ全体と大きく違うところです。
 もちろん沖縄の問題では、事実関係を報じるものとしては、大手全国紙でもしばしば一面をにぎわせています。非常に大きな紙面形成になってもいます。けれども、沖縄の二紙と本土のマスコミとでは、どこが違うかというと、「怒りを起こさせない」という本土と、「そうではない。本当の事実を知らせないといかんという沖縄この違いが大きいでしょう
 沖縄の新聞を読み始めた頃、本土とどこか違うと感じたのですが、そのことはすぐに分かりました。それ以来、この点を非常に強く意識しています。

   占領支配と日本マスコミ

 それではなぜ、日本のマスコミは全体として「怒りを起こさせない」となってしまったのか。その本を正せば、第二次大戦での日本の敗戦と、その後の米軍を中心とする連合国の占領支配に遡ります。

以下略

54-55ページにでは、大略下記のような発言をしておられる。

政府の理不尽な行動に反対の声をあげる官邸前の原発再稼働反対や、オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会があっても、マスコミは触れたがらない。取り上げるにしても、むしろニュースとして、なにか珍奇なものを見るような形でしか報道しない。

警視庁機動隊による辺野古基地反対派排除行動を報道・記録する「マスコミ」ではない組織はある。

2015/11/04 【沖縄】辺野古ゲート前抗議の模様(動画)

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コメント

マスコミとして正しく機能しているのは弱小地方新聞かあるいはブロガーぐらいではないか?他は全然ダメダメ・・・電通が原因だとしてもだ。
米軍基地は沖縄ばかりあげているが最新兵器などが集中しているのは横須賀基地だな。沖縄の米軍そのものはどんどん引き上げている。
米軍基地周辺は相変わらず日本市民に迷惑しかかけていない。これは沖縄県だけに限ったことではない。
問題はグアムの移転費用を日本に支払わせようとしている性根が気に入らん。岸がアメリカのスパイであったことはすでに暴露されている。その状態で行った法律や外交条約はすべて無効であろう。何せ内政干渉に他ならないからだ。

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