アメリカは、シリアに侵略の損害賠償をするべきではないだろうか?
Eric Zuesse
Global Research
2015年10月31日
10月30日、金曜日、アメリカのバラク・オバマ大統領は、シリアはアメリカの国家安全保障に対するいかなる脅威でもなく、いかなる国も侵略していないのに、アメリカ特殊部隊兵士50人を、シリア領土に派兵するつもりだと発表した。実際、シリアは、アメリカ合州国やヨーロッパにも脅威となっているイスラム聖戦士に対して戦っているのだ。
アメリカは、シリアの選挙で選ばれた、欧米同盟国の世論調査でさえ、いまでも大多数のシリア国民に支持されていることを示している大統領を打倒するため、シリア(最初は爆撃で、そして現在は、最初の軍隊によって)を侵略している。 2012年、アル-ヌスラ(シリアのアルカイダ)に資金提供しているアメリカ同盟国のカタール政権が、シリアを調査すべく、世論調査会社を雇った際に判明したのは、55%のシリア国民が、アサドにそのまま大統領でいて欲しいと考えていることだった。更に、2015年9月18日に私が報じた通り、“世論調査では、シリア人は圧倒的にISISはアメリカのせいだと考えていることを示しており”こうした最近の世論調査はギャラップとつながっているイギリス企業によるものだ。
ロシアは、アメリカと対照的に、シリアを全く侵略してはおらず、選挙で選ばれた政権から、侵略をしているイスラム聖戦士や、アメリカ爆撃機に対する防衛戦争を、支援するよう要請されたのだ。そして、ロシアは現在要求された支援を行っている。
シリアを侵略し、世論調査では、いまだ大多数のシリア・スンナ派にさえ支持されているシリアのシーア派大統領を打倒しようとしているスンナ派勢力を支援する、一体どのような権利をアメリカは持っているのだろう? 私は皆無だと思う。結果的に、シリア政府は、アメリカ合州国から損害賠償を要求すべきではあるまいか? そういう要求は一体いつ出されるのだろう? そういう要求は一体どのような出されるのだろう? アメリカ爆撃による、シリア・インフラの損害は既に莫大だ。
アメリカは‘民主主義’を支持していると主張するが、実際は、全体主義でも、神権政治でも、王政でさえない、アサド政権を打倒しようとしている、二つの独裁的な全体主義神権王政と同盟している。もっとも、もし彼の父親が作った政党が、シリアの指導者になるよう彼を選ばなかったら、現在の指導者(バッシャール・アル・アサド)は権力の座についていなかっただろう。しかし、それは、絶対君主制で、支配権が、もっぱら聖職者に依存している、サウジアラビアやカタールとは、決して同じものではない。ところがアメリカは、反アサドで、この両国と同盟しているのだ。
アメリカは、もちろん、サウジアラビアのサウド王家、カタールのサーニー王家というスンナ派の諸王家が、シリアにもスンナ派政権を据えつけ、シリアをカタール(あるいはサーニー家)のガスと、サウジアラビア(具体的には、サルマン王)の石油がEUへ流れるパイプライン経路にするのを支援している。アメリカ合州国がこれを望んでいるのは、アメリカ政府が、ロシアの(非常に人気のある)ウラジーミル・プーチン大統領を大統領の座から無理やり追い出そうとしているからで、それを実現するため、ロシア経済の息の根を止めようとしているのだ。ロシアのヨーロッパへの石油とガス輸出を止めるのは、この戦略の重要な一環だ。
アメリカの狙いは、ロシアがそれで同盟国を失うことになる、破綻したシリア国家だ。そこで、10月13日、ブランドン・ターバヴィルは、“ロシアがISISを爆撃するなか、アメリカはシリアの民間発電所を爆撃”という見出しの記事を書いた。アメリカは、シリアを破壊しようとしている。ロシアはシリアを救おうとしている。そこで、ロシアはISISや他の聖戦士を爆撃しているが、アメリカはシリアのインフラを爆撃している。国を一つにまとめるためのインフラがなければ、破綻国家だが、それが、アメリカの目標だ。
アメリカは、これが狙いだとは発表していない。そうではなく、アメリカは単に、バッシャール・アル“アサド・シリア大統領は辞任すべきだ”あるいは“バッシャール・アサド抜きの新政府”を作るべく“アサド大統領が辞任すべき時は来た”と言うばかりだ。これは、ジョージ・W・ブッシュの“イラクでの政権転覆”というしつこい要求と同じだ。様々な国の指導者を置き換え、こういうことをしていると主張しても、ナチスがニュルンベルクで絞首刑になった戦争犯罪、侵略戦争ではないにせよ、武力侵略という国際犯罪にならない権利を、一体誰がアメリカに与えたのだろう?
一体どういう権限で、アメリカはこうしたことを行っているのだろう? 国際刑事裁判所は、一体なぜ公式に(大いに公式に)これを調査しようとしないのだろう?
掲載するようお送りしたのに、そのどれも掲載されなかった、私のニュース報道や解説を受け取ったアメリカのニュース編集者(100人以上だ)の一人でも、是非とも、各自のニュース報道で、公にこの疑問に答えていただけないだろうか? 私はここで各編集者の方々に問いたい。もしもアメリカが、こういうことをする権利を有しているとお考えであれば、公開で、一体なぜなのかをご説明いただけるだろうか?
あるいは、もし説明頂けないのであれは、読者なり視聴者なりの方々に、この疑問をお考え頂けるよう、この疑問を呈しているこの記事を是非掲載してもらえるだろうか?
この記事は、事実上、全てのアメリカ報道機関に送付されている。いずれかが掲載してくれるか、あるいは、彼らが一体なぜアメリカのシリア侵略を支持するのかを説明してくれるかどうか、見ようではないか。
調査ジャーナリスト、歴史研究者のEric Zuesseは、新刊「彼らは全然違う: 民主党対 共和党の経済実績、1910-2010」および「キリストの腹話術師:キリスト教を生み出したイベント」と「封建主義、ファシズム、リバタリアニズムと経済学」の著者
本記事の最初の発表元はGlobal Research
記事原文のurl:http://www.globalresearch.ca/shouldnt-the-u-s-compensate-syria-for-invading/5485716
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Global Research 良い記事をまとめて紹介したり、良い新規記事を発表したり、貴重なサイト。
寄付を求めているが、Paul Craig Roberts氏と同様、PayPalなので、皆様が寄付するのは困難かも知れない。代案に、Credit Cardとあるが、対象は北米のみ。なにか他に寄付の方法はないのだろうか?と、裕福ではないメタボ中高年は疑問に思っている。
この文章、そのままこの国の大本営広報部にも言える。
是非とも、各自のニュース報道で、公にこの疑問に答えていただけないだろうか? 私はここで各編集者の方々に問いたい。もしもアメリカが、こういうことをする権利を有しているとお考えであれば、公開で、一体なぜなのかをご説明いただけるだろうか?
あるいは、もし説明頂けないのであれは、読者なり視聴者なりの方々に、この疑問をお考え頂けるよう、この疑問を呈しているこの記事を是非掲載してもらえるだろうか?
本当に重要な真実、大本営広報部は伝えない。両派とも野党風与党別動隊である異神分裂騒ぎについても、TPPについても、郵政株上場についても。
大本営広報部の洗脳情報ではない、自立した個人、組織による下記のような記事・報道こそ、拝読に値する。
日本郵政株式上場に見る売国大国ニッポン
植草一秀の『知られざる真実』2015年11月1日
2015/10/25 SEALDsと学者の会主催のシンポジウムに1500人!山口二郎氏「彼らが新しい政治文化を開いてくれた」
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なしくずし拡大過程とアメリカ特殊部隊兵士50人
E. Zuesse氏の本翻訳記事によれば,「10月30日、金曜日、アメリカのバラク・オバマ大統領は、シリアはアメリカの国家安全保障に対するいかなる脅威でもなく、いかなる国も侵略していないのに、アメリカ特殊部隊兵士50人を、シリア領土に派兵するつもりだと発表した」。またスプ-トニクによればその50人は「軍事顧問役」だという。
この2つのニュ-ズを読む前にたまたま読んでいたのが,『歴史としての二〇世紀』(加藤周一著作集24,平凡社)であった。その中に,「三 戦争の原因,決定,過程」という項目がある。そこで取り上げられているのが「なしくずし拡大過程」である;
ときは「六○年代の初め,米国がヴィエトナムのサイゴン政府に送った軍事顧問なるものは,はじめは二○人だった。それが二○○人になった。戦争をするわけではないでしょう。そのうち戦闘を少し手伝った方が能率がいいということでちょっと手伝う。それがもうちょっと二○○○あればすむんじゃないか,といって,二○○○人が出て行く。しかし二○○○人で戦争は片づかなかった。」・・・送った兵士は,「五○○○人,翌年一万人,最後には五○万人にも達していた」という。
今回はシリアにロシア宇宙空軍がいるから,オバマの50人はそれほど膨らまないだろうが,米国のヴィエトナムに対する「なし崩し拡大過程」と構造が似ている。また,時のゴ・ジェン・ジム・サイゴン政府が米軍の介入を要請したことは,シリア政府がロシアに要請したことと同じかもしれないが,ロシアには国連の同意がある。しかし結果は異なるのかもしれない。なぜなら,ヴィエトナム戦争で米国は負け、米軍が追い出されたが,ロシアとシリア政府は不法侵入テロ集団ISIS国をシリア国内から追い払うことができそうであるからである。
しかし最大の違いは,誰もが想像するように,オバマの五〇人がテロ集団SIS国を援助するかもしれないことである。
追記:二〇世紀は戦争の世紀だと加藤はどこかで言っていたが,『歴史としての二十世紀』(加藤周一著作集24,平凡社)はロマン・ロランの反戦思想など面白く,文章が平易である。若い人で興味のある方は,是非読んでいただきたい。
投稿: 箒川 兵庫助(2-ゐ) | 2015年11月 2日 (月) 18時50分