メルケル、トルコを悪魔的に抱擁
Finian Cunningham
公開日時: 22 Oct、2015 16:18
編集日時: 22 Oct、2015 16:27
"RT"

ドイツのアンゲラ・メルケル首相と、トルコのタイィップ・エルドアン大統領 Tobias Schwarz / Reuters
EU難民危機を緩和する“代償”として、シリア国内に“安全地帯”を作るよう、トルコはドイツに圧力をかけている。これは、NATO軍が結局、ロシア軍と対立することになり、シリア紛争をエスカレートさせかねない悪魔的契約だ。
ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、先週末大急ぎでイスタンブールにでかけ、トルコが強く望んできた欧州連合加盟に関する大転換で締めくくった。僅か数週間前、トルコ加盟反対を繰り返したのに、驚くべき動きで、トルコのEU加盟推進を支持するとメルケルは発表した。
“トルコが切り札を全部持っている”とドイツ・マスコミのドイチェ・ヴェレは述べた。第二次世界大戦以来、最大の人々の大規模移動である、ヨーロッパの移民危機におけるトルコの極めて重要な役割を考えれば、これには同意せざるを得ない。国際移住機構によれば、今年だけで、約600,000人の難民がEU国境に到来した。
大半の大移動は、現在250万人の難民を擁するトルコからのものだ。その大半は、トルコの南国境、シリアの約5年間にわたる紛争から生じている。
トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領とアフメト・ダウトオール首相は、この危機がもたらした好機を、EUに、難民の流れを止めるには“トルコが必要”だということを認めさせるに利用しようとしている。これこそ、メルケルや他のEU高官が、先週、アンカラ政権に、一体なぜ新たに芽生えた気遣いを示したかという理由だ。
更に読む: もしトルコが、ヨーロッパへの難民流入を止めれば、30億ユーロ、ビザ無し化と、EU加盟交渉
先週日曜、エルドアンとダウトオールと会うため出発する前、ドイツ首相は“あらゆる選択肢が議題だ”と述べた。後に、指導者たちは“行動計画”を作り上げたと語り、計画は、ベルリンとアンカラで計画されている、よりハイ・レベルの会合で、今後数週間でまとめられる予定だ。
分かっていることは、今やメルケルが、28か国のEUへのトルコ加盟を巡る交渉復活を支持していることだ。2005年以来 トルコの人権問題実績と、少数派クルド住民に対するアンカラの弾圧を巡るEUの懸念から、交渉は棚上げになっていた。
メルケルが確認したもう一つの明らかなEUの譲歩は、トルコが現在世界で最大と言われる大量難民を受け入れていることに対する支援として、30億ユーロ(34億ドル)の支払いだ。アンカラは国内にいる難民の面倒を見るため、既に80億ドル費やしたと主張している。
アンカラがEU要求にしている三つ目の妥協は、北シリアに“安全地帯”を設定するという以前からの要求の受け入れだ。メルケルは、ダウトオールと記者会見を行った際、その話題については留保したが、トルコ首相はこの問題について抑えようとはしなかった。
“シリア国内での安全地帯設置は、トルコの絶対要求だ”とダウトオールは述べた。“シリアに安全地帯を設置し、難民をシリア国内に止めておく必要性を、私が繰り返す理由だ”と彼は補足した。

ドイツ、ベルリンの保健社会局(LaGeSo)前の敷地で、登録のために並ぶ移民 Fabrizio Bensch / Reuters
戦争が2011年3月に勃発して以来、トルコは、北シリアに、いわゆる安全地帯を設置することを強硬に主張している。しかしワシントンもヨーロッパ同盟諸国も、この考え方にはしり込みしている。本質的にシリア政府軍の排除を意味する、シリア国内のそのような緩衝地帯を維持するには、欧米諸大国による大規模軍事介入が必要になるからだ。実際、それを実施するには、アメリカとNATO戦闘機と地上軍を必要とする飛行禁止空域なのだ。
しかし、悪化する移民危機が情況を変え、トルコに決定的影響力をもたらしているようだ。特にメルケルは、難民の奔流を止めるよう圧力を受けている。彼女のこれまでの亡命希望者に対する“門戸開放政策”は、他のEU加盟国が更なる負担を分け合うことを拒否して、まずい結果を招いている。
今週ドイツでは、右翼のペギダ運動が開催した反移民抗議集会があった。しかも、それが動員しているのは、極右だけではない。多くがメルケルのキリスト民主党の中核的支持者である中道派ドイツ人すら、難民流入をめぐる懸念で増えている。ある最近の世論調査では、メルケルの受け入れ姿勢を支持するドイツ人は、わずか三分の一しかない。
ハンガリー、クロアチアとスロベニアが国境検問所を閉鎖したため、冬が近づく中、何万人もの難民が地獄のような状態に直面しており、多くがオーストリアとドイツへ向かう必死の旅に向かっている。ぬかるむ野原で凍えている移民家族が機動隊と争っている、マスコミ映像で、EUのイメージは国際世論の非難の的になっている。危機がどうしようもなくなり、メルケルは明らかに、それに関して何かするよう強いられたのだ。
トルコは好機に更につけこもうとしているようだ。メルケル出国後、ダウトオールは、トルコは決して“強制収容所”にはならないと警告した。
首相はトルコ・マスコミにこう語った。“‘お金をくれれば、彼らをトルコに留まらせる’というような考え方は受け入れられない。”ダウトオールは、挑戦的に、こう補足した。“メルケル首相にも言った。トルコがあらゆる難民が暮らす強制収容所のような国になるのを受け入れる人などいない。”
国連難民機関UNHCRは、トルコを出て、ギリシャに行き、更にヨーロッパへと向かう移民の数は、ここ数週間で増えていると報じている。これは、トルコ当局が、結果として生じる移民の流れで、EUに対するアンカラの交渉力が強化できることを知って、難民のヨーロッパ移動を開放するという暗黙の政策を活用している可能性を示唆している。
もしEUが、メルケルの指揮のもと、北シリアに安全地帯を設定するというトルコの要求に応じれば、それは良からぬ影響をもたらすだろう。トルコはかつて、こうした地域を、戦略的に重要な北部の都市アレッポ近くまで侵入させることを要求していた。安全地帯は“反政府戦士”の避難所としても利用されよう。トルコや欧米の同盟諸国は、こうした反政府派を“自由シリア軍”“穏健派”戦士と呼んでいる。しかし自由シリア軍は、様々なアルカイダ集団や「イスラム国」過激派聖戦士に対する虚構の偽装であるのは公然の秘密だ。
エルドアンとダウトオールのトルコ政府は、欧米のシリア政権転覆秘密作戦における過激派傭兵の主要支援者と見なされている。トルコの野党やシリア政府によれば、トルコは、外人聖戦士と武器の主要輸送路として機能している。
アンカラが“安全地帯”の設置を主張するのは、紛争で難民になった一般市民を支援するのが主な動機だというが、政権転覆用の傭兵に、シリア政府軍による軍事攻撃からの援護を与えることが本当の狙いであるのは明らかに思える。
ロシア戦闘機が シリア政府を支援し、様々な過激派軍団を現在激しく攻撃しているので、トルコ国境沿いに設置される飛行禁止空域は、NATO軍をロシア軍と直接紛争させることになる。
シリアのバッシャール・アル・アサド大統領に対するあからさまな計画を遂行するというトルコの狙いを、ドイツ政府が感じている可能性はある。しかし、ヨーロッパ移民危機が激化するにつれ、メルケルは、言いなりになっているかのように見える。特に自国民の間で不満が増大しているため、彼女は早急に難民危機を食い止める必要に迫られている。
しかしながら、もし彼女がアンカラの“安全地帯”要求に譲歩すれば、今度はNATOがロシアと対抗することになり、シリア紛争は計り知れないレベルにエスカレートされる。
ずっと単刀直入で効果的な代案がある。シリアのアサド大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が打ち出したものだ。つまり、ワシントンと、トルコを含む同盟諸国が、犯罪的な政権転覆策謀をやめて、シリア政府の主権を尊重することだ。
Finian Cunningham(1963年生まれ)は、国際問題について多く書いており、彼の記事は複数言語で刊行されている。アイルランドのベルファスト生まれの農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまで、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。20年以上、ミラーや、アイリッシュ・タイムズや、インデペンデント等の大手マスコミ企業で、彼は編集者、著者として働いた。現在は、東アフリカを本拠とするフリーランス・ジャーナリストで、RT、Sputnik、Strategic Culture Foundationや、Press TVにコラム記事を書いている。
本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。
記事原文のurl:https://www.rt.com/op-edge/319416-merkel-turkey-migrants-syria/
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Russia Today、国政選挙在外投票にまつわるトルコ大使館前騒動が早速記事に。
Several injured in violent brawl outside Turkish embassy in Japan
前にも書いたが、トルコについても、何も知らない。
素晴らしい本を二冊拝読した。同じ著者による日本語文法教科書、用例が著者ならでは。
著者の小島剛一氏のブログには「トルコがまたも言論弾圧」という記事もある。
- 『オスマン帝国500年の平和』も興味深く拝読したが、絶版のようだ。
- 『クルド人もうひとつの中東問題』恥ずかしながら飛ばし読みのまま。
- 『新版世界各国史 西アジア史Ⅱ イラン・トルコ』は積ん読状態
- 『トルコを知るための53章』も積ん読状態。
大本営電気洗脳箱の「専門家」によるトルコ・クルド状況解説、10分で解説できる内容ではないという司会者発言には全く同意するものの、素人には、むしろ怪説に聞こえた。
TPPや戦争法案を、徹底的に歪曲する大本営広報部に、素人が納得する解説を期待することがそもそも無理とは分かっていても、料金を払わされているのだけ残念。
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メルケル首相は、米国のご機嫌を取ろう下心で、難民問題の原因を放置しながら、偽人道対処療法でごまかそうとする致命的な過ちを冒した。難民の発生を抑えず、受け入れだけをしていれば、偽人道は破綻し、国民が真実をしるようになる。性懲りもなく、ISISを裏で支援しているトルコに、頭を下げ難民のお願いをする(場所はイスタンブール)という過ちを繰り返している。トルコの思うつぼである。
国民は真実をしるようになれば、ISISを激爆しているロシアを非難する愚かな指導者どもをひきずりおろすであろう。難民の方々が故郷にもどれ、静かで平和な欧州が戻ることを願いたい。
こうしている時も米国は、対岸の火事を眺めながらせっせと難民を作り出し、今度は日中戦争を画策しているようである。
投稿: 赤胴鈴之助 | 2015年10月28日 (水) 09時15分