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2015年10月15日 (木)

対聖戦士世界戦争でアメリカに取って代わるロシア

Eric Zuesse
Global Research
2015年10月12日

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と、サウジアラビア国防相ムハンマド・ビン・サルマン王子(サルマン国王の息子) の会談は、10月12日月曜早々終わった。“ウラジーミル・プーチン、サウジアラビア王子と、シリアにおける‘政治的解決’について会談”という見出しのAFP報道は、スンナ派原理主義サウジアラビア国王の息子が、父親はいまだに、シリアのシーア派非宗教的指導者バッシャール・アル・アサドを権力の座から排除し、シーア派イランとのシリアの同盟を終わらせると主張しているが、サルマン王子は、サウジアラビア国王は“シリアにおける政治的解決に賛成だ”と述べた。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は会談に関する発言で一歩踏み込んだ。彼は述べた。“双方はシリアという点で、サウジアラビアとロシアは同じ目的を有していることを確認した。何よりも、テロリスト・カリフ国にシリアを乗っ取らせないことだ。”

‘テロリスト・カリフ制’への反対に関して、サウジアラビア側の発言の引用は皆無だ。ところがサウジアラビアは、イスラム聖戦の主要財政支援者だ。(シリア国内の連中の手先については、こういう調子だ。) しかしながら、サウジアラビア国王が、シリアに関し、プーチンと再交渉すべく息子をロシアに派遣したという事実も、シリア内戦の解決における中心的存在は、全くアメリカのバラク・オバマ大統領ではなく、今やプーチンであることを示している。

非常に信憑性の高いドイツのニュース源、ドイチェ・ヴィルトシャフト・ナッハリヒテン(DWN)、10月11日(以下は翻訳)“イラクで、アメリカ抜きで、ロシアとイランが指導的役割を担う”という見出しの記事で、ロシアは、イラク政府の要請で、既にシリアにおける対聖戦士作戦を更に進め、“イラク政府から、はっきり許可を得て、対テロ戦闘をイラクにまで拡大している”と報じた。DWNは、更にこう述べている。“10月始め、イラク政府は、ロシアが、対ISIS攻撃をイラク領内に拡大するのを一任した。この条件の一つは、空爆について、イラク政府との事前調整だった。”

これは、ロシアが、9月末以来、シリア政府と合意してものと同じだ。そこで、共同情報調整センター諜報(JICC)が、ロシアによって、バグダッドに設置された。これは9月29日に発表された、ロイターが報じて、“大統領報道官のドミトリー・ペスコフはこう述べた… ロシア、イラン、イラクとシリアの間で情報を共有すべく、バグダッドに情報センターが設置される予定だ。ロシアは、イスラエルとも同様な取り組みで同意している。”

イスラエルも、それゆえアメリカからロシアへの転換の兆しを認識して、ISISを打ち破るためにすべきことを行っている。イスラエルも、この取り組みで、ロシア指導の下に加わっている。とはいえ、ロシア以外の他JICCメンバーとイスラエルの敵対的関係があるので、ロシアは同盟の他の国々とイスラエルを、隔離あるいは完全に切り離すことに同意した。ロシアは、自前の宇宙衛星や他の世界的な諜報収集手段を持ち、シリアに関するこの諜報収集体制の中心的立場にあるため、ロシアはこれができる立場にある。他の全参加国は、聖戦士を打ち破る上で、各参加国の共通の利益を、ロシア同盟諸国内部の他のあらゆる問題とは区別しておくという点で、ウラジーミル・プーチンの諜報活動を信頼している。従って、ロシアとの同盟は、個々の安全保障上の利益を損なうようなことはない。アメリカと、長年の同盟者サウジ王家が、アメリカ・ジミー・カーター政権のズビグニュー・ブレジンスキーによって、協力し、アフガニスタン内で、ソ連を打ち負かすため、“ムジャヒディン”、別名、原理主義ワッハブ主義スンナ派(つまりサウジアラビア)戦士に、アフガニスタンの親ソ連政権支持者や他の非宗教的あるいは非スンナ派の実力者を殺害するため、現地に行くよう、資金提供し、訓練し、武器を与えて始まった作戦である、サウジアラビアの国際聖戦士作戦を粉砕するために、ロシアは最大限の権限をえられるので、これはロシアにとっても利益になる。国際石油市場におけるサウジアラビアの主要競合相手は、ずっと旧ソ連の主要国、ロシアだ。

アメリカ-サウジアラビア同盟は、アメリカとソビエト社会主義共和国連邦との冷戦が開始した1945年に本格的に始まった。しかも、それは欧米石油会社やスンナ派のアラブ支配階級(ロックフェラー家の石油会社に、サウジアラビアでの採掘権を与えたサウジアラビアが率いる)ソ連共産主義とソ連が終焉した後も、冷戦を継続したがっていたため、ソビエト社会主義共和国連邦の崩壊後も継続した。サウジアラビアの帝国主義的野望は、具体的には、スンナ派カリフ制の復興を狙う聖戦であるが、世界レベルなので、この対立は、シーア派が多数派の国々に対する欧米の戦争でもあった。これは具体的には、サウジアラビアのワッハブ派Wサラフィー主義、最も攻撃的な原理主義、一種のスンナ派イスラム教だ。例えば、アルカイダ、ISISやタリバンは、全てワッハブ派サラフィー主義イスラム教徒で、全て、基本的に、主として、サウジアラビア王家に資金提供されている

アメリカは、ソ連をアフガニスタン侵略におびき出すため、1979年、ジミー・カーター政権末期、親ソ連政権を打ち倒すべく、アフガニスタンに入り込みつつあったサウジアラビアの‘ムジャヒディン’戦士に武器を与えることを開始した。“私はカーター大統領に対し、基本的にこう書いた。‘今やソ連に、連中のベトナム戦争をくれてやる好機です’,” カーターの国家安全保障顧問で、デイヴィッド・ロックフェラーの子分(日米欧三極委員会のロックフェラーとの共同設立者)のブレジンスキーは、1998年のあるインタビューで語っている。ブレジンスキーが、それに成功し、ソ連とソ連共産主義が終焉した後、ブレジンスキーは、彼が各時点でロシアを打ち破るために必要と思うことについて、 ロシアが全ての国々の中で最も“攻撃的”だと公式に定義して、バラク・オバマ大統領がしっかり奉じている‘必要性’について、アメリカ大統領に助言し続けた。(例えばアメリカよりも遥かに‘攻撃的’だと)

DWNは更にこう書いている。“イラク国軍指導部に近い情報筋は、イラク治安部隊の現在の雰囲気を伝えている。ロシアの対ISIS空爆は、一週目だけでも、アメリカが率いる同盟の昨年一年間の成果より大きなものを生み出した。バグダッドに、共同[イラク-シリア-イラン-ロシア] 情報収集センター[Joint Intelligence Coordination Center、略称‘JICC’]が設置されたことは、つまりアメリカ合州国に対し、イラクの期待が失望させられたことの表れだ。… そこで、アメリカはイラク治安部隊との情報交換を禁じる予定だと発表した。”

言い換えれば、イラクはある意味で、アメリカによる対ソ連冷戦再開(ただし今回は、ロシアに対し、アメリカだけがしかけている)を受け、アメリカ側からロシア側に代わったのだ。

10月10日、イランのプレスTVは、“ロシア艦船が入ると、アメリカは、航空母艦をペルシャ湾から撤退させた”という題名で、こう報じた。

ロシア戦艦が地域に入ると、アメリカ合州国は、アメリカの巨大原子力航空母艦セオドア・ルーズベルト号を、ペルシャ湾から撤退させた。

NBCニュースによれば、アメリカ海軍がペルシャ湾内に航空母艦を遊弋させていないのは、2007年以来初めてのことだ。

木曜、ロシアが26発の長距離巡航ミサイルをカスピ海艦隊から、シリア国内のテロリストに対して発射した翌日、ペルシャ湾から戦艦を撤退させたとペンタゴン当局は述べた。

アメリカ軍当局は、約5,000人の水兵と65機の戦闘機を搭載した航空母艦を、保守を行う必要上から撤退させたと発表した。

10月3日“欧米同盟は崩壊しつつある”という題名の記事で、2011年の親ロシア派リビア、そして2013年の親ロシア派シリアに対する、オバマ政権の爆撃作戦が、ヨーロッパに殺到している多数の難民を、いかに生み出したかを、そしてそれが、ソ連崩壊と、ソ連の共産主義の終焉までは、イデオロギー上の対立として合理化されていたが、実際には、ずっとそうであったし、今も、アメリカ帝国(“欧米同盟”、北大西洋理事会、NATO、CENTCOM)を、ロシア国境までだけでなく、あらゆるものの中で最もうまみのある天然資源の宝庫、ロシアそのものの内部にまで拡大しようという企みであることが、今や明らかになっている、アメリカの世紀の終わりと、アメリカ帝国終焉の始まりを引き起こして終わることを説明させていただいた。

オバマは、それゆえ、今や二期目に実現したいと願っていたように、アメリカの支配階級が、ロシア石油や他の天然資源の民営化を始められるように、ロシアとその資源を、彼の財政援助者に引き渡せる可能性はなさそうだ。

おそらく、バラク・オバマ大統領センターは、彼が望んでいるほど壮大なものにはなるまい。それを稼働させておくために、死ななければならない人の数は、多分ずっと少なくてすむだろう。おそらく、アメリカとサウジアラビアの支配階級は、結局、対ロシア核戦争はしないだろう。おそらく、1991年、ソ連とワルシャワ条約が終焉した際に終焉しているべきだったNATOは、間もなく終わるだろう。

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調査ジャーナリスト、歴史研究者のEric Zuesseは新刊「彼らは全然違う: 民主党対 共和党の経済実績、1910-2010」および「キリストの腹話術師:キリスト教を生み出したイベント」と「封建主義、ファシズム、リバタリアニズムと経済学」の著者。

記事原文のurl:http://www.globalresearch.ca/russia-supplants-the-u-s-in-global-war-against-jihadists-saudi-arabia-favors-a-political-solution/5481704

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「ソ連にベトナムを」ブレジンスキー発言については、下記翻訳記事の末尾で触れた。

アフガニスタン: チャーリー・ウィルソンとアメリカの30年戦争 2010年6月10日

プーチン大統領年内来日の可能性はなくなったと、大本営広報にあった。当然だろう。
ウクライナ紛争を巡って、宗主国の指示通りに喧嘩を売り、宗主国のパシリとして活動する戦争法案を成立させておいて、日本の言う「北方領土四島」を返還しろ、という要求をつきつけても、彼がわざわざやってくる意味、皆無だろう。

相手は、この国と違い得るもの皆無の中、かもねぎを背負ってくる属国ではない。

自分がしていることを、相手にも、期待するのだろう。売国外交を。

戦争法案や、TPPのように、庶民にとって、本質的利益皆無で、宗主国・属国大企業の利益にしかならない政策を推進しても、B層国民の支持が得られ続ける国とは違うだろう。

新聞では、TPPヨイショ報道をしている大手大本営広報部、週刊誌では、まっとうな記事を報じているらしい。買うべきかいなか悩んでいる。宗主国医療並に、情報も、金持ち優遇?

「日本人には革命の歴史がないから民主主義の大切さがわからないのでは」 〜前ニューヨークタイムズ東京支局長らが日本の言論の自由の「惨状」を痛烈批判!

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コメント

次の部分が文章のつながりがよく分かりません.

しかも、それは欧米石油会社やスンナ派のアラブ支配階級(・・)ソ連共産主義とソ連が終焉した後も、冷戦を継続したがっていたため、ソビエト社会主義共和国連邦の崩壊後も継続した。

ロシアによるシリアのテロリスト空爆に対する純粋な報復のためか、あるいはロシアの戦意を挫きシリアから撤退させる国民世論を喚起させるために、ロシア国内でイスラム過激派の名で大規模なテロが起こる可能性があるのではないかと危惧しています。その兆候は既に出てきているようです。

ロシア国内で「IS」といかに戦うべきか?
http://jp.sputniknews.com/russia/20151014/1031335.html

願わくはその危惧が杞憂であること、あるいはテロ計画があっても優秀なロシアの各情報機関が未然に食い止めてくれること、さらにはもし万一テロが起きてしまった場合でも政府と国民が真の正義の実現のために何が必要かを見極めて冷静に対処することを期待しています。

ドイツはメルケル首相が難民を積極的に受け入れ人道的と美談になっているが、額面どうりには受け取れない。まず難民が出てきたときいち早く受け入れを表明、喝采を浴びたが話が出来過ぎ。更に一番は 難民問題本質の解決である、ISISを壊滅させるというところにはふれず、世論を人道問題にうまくすり替えている。これによりISISは欧米からの脅威から免れることができ、米国とともに高笑いをしているでしょう。メルケル首相は人道のお面をかぶっている傀儡。ただ誤算があった。①シュンゲン条約により欧州各国に難民が殺到した。②難民の数が増えすぎた これらにより欧州の人々は難民問題
の本質の解決を真剣に考えるようになり、気がつき始め、人道の化けの皮も剥がれ始めている。
中東に秩序がもどり、難民の人々が人間らしい生活に戻れるよう、願いたい。 

中東の現状はますます混迷化してきている。
アメリカがアサド反政府団体に武器を輸出している。
シリアはロシアとアサドによる連携で国境閉鎖などでISISの逃げ道をつぶしている。
ここにきて中国軍がシリアに到着。
トルコがISIS爆撃を決意。
その他の国も順次、シリアに軍を派遣してきている。
現状、ロシアとシリアの連携でISISなどのテロ組織壊滅が普通に実行されてきているのにその他の国も協力を申し出る理由はなんだろうね。特に中国とその他の国の動向は怪しい。これがイラクやらイランがISISの壊滅にシリアと協力する分ならさほど問題ないだけどね。
TPPについてだけどマレーシアなどの報道を見る限りTPPは合意すら決まっていない。
日本のマスゴミは一体何から日本市民の目をそらしたいのかな?川内原発?それとも東北の原発?郵政の上場?マイナンバー?6か所村にある中間貯蔵施設?それともアメリカのデフォルト?

わざわざご指摘ありがとうございます。関心があるのは、もちろんリンク先「記事の題名」です。

マスコミの実態そのものについては、例えば下記記事を訳しております。「欧米」には、残念ながら、我々が暮らす国も当然入るでしょう。

現実を覆い隠す、専制政治宣伝係としての欧米‘報道’機関
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-0d93.html

“ドイツ政治家はアメリカ傀儡”ドイツ人ジャーナリストはアメリカ支持記事を書くよう強いられている
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-a3f5.html

“大手マスコミの主立った連中は皆CIAの手の者”

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/cia-c991.html

マーティン・ファクラー前NYタイムズ東京支局長がどのような人なのか存じ上げませんので、この方個人に対しては何も申し上げるつもりはありません。

ただ、NYタイムズ紙はほかの「有力メディア」と同じようにアメリカの軍事侵略を支援、国内外の民主主義を破壊する手助けをしています。かつて、CIAと結びついた戦闘集団の麻薬取引を明らかにしたジャーナリストを攻撃して自殺に追い込んだこともあり、言論の自由を尊重しているとは思えません。彼らに民主主義云々という資格はありません。

こうしたことが昨日今日にはじまったことでないことは、例えば、1977年にカール・バーンスタインがローリング・ストーン誌で明らかにしています。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977)

言うまでもなくバーンスタインはウォーターゲート事件を明らかにしたことで有名な記者ですが、1977年にワシントン・ポスト紙を辞めました。そして「CIAとメディア」という記事を書いたわけです。

その記事によりますと、当時でも400名以上のジャーナリストがCIAのために働き、1950年から66年にかけて、ニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供したとCIAの高官は語ったそうです。

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