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2015年10月 9日 (金)

ロシアはシリアで一体何を望んでいるのか?

Tony Cartalucci

2015年10月6日
"NEO"

欧米マスコミは、ロシアによる最近の、シリア政府との共同対テロ軍事作戦を、国境外に影響力を拡大する手段として描き出している。CNNはその記事、“ペトレイアス、プーチンはロシア帝国を再建しようとしていると非難”で、これだけの主張をしている。

火曜日、元アメリカ最高司令官の一人が、シリアの情況を、歴史的核災害と比較して、悪化するにまかせていると、アメリカを暗に批判し、帝国を再建しようとしていると、ロシア大統領を非難した。

CNNも、こう報じている。

シリアにおけるロシアの動きは、中東でのロシアの影響力を維持するために、シリア地中海沿岸のロシア海軍基地と飛行場を強化し、維持し続け、アサド政権へのてこ入れをを狙うものだと、ペトレイアスは述べた。

“ウラジーミル・プーチンがやりたがっているのはロシア帝国復活だと思う”と彼は述べた。

皮肉にも、アメリカ合州国は、800以上の軍事基地を世界中に保持し、2001年以来、アフガニスタンを占領しており、ソマリア、イエメン、イラクや、シリアから、パキスタン国境まで、至るところで軍事作戦を遂行している。ロシア唯一の海外基地は、実際ペトレイアスが触れた海軍施設だ。外交政策に関する、ロシアとアメリカの、そのように明らかな格差にかかわらず、一体なぜロシアが“帝国”再建を追求していると疑われるのに、アメリカが、既に巨大な帝国を確立しており、それを維持しようと必死に戦っていることで、完全に有罪ではないのかを、ペトレイアスは決して詳しく論じていない。

ロシアのシリア政府との協力は、疑いようもなく、国境を越え戦力を投射するモスクワの能力を示しているが、あらゆる他の可能な選択肢が尽きた後、もっぱら正当なシリア政府の要求で行っているものだ。

シリアで継続中の危機を、多くが“内戦”と描いてはいるが、全くそういう類のものでなく、テロリストは、物的支援を受けており、しかも戦士の多くは、シリア国内からではなく、シリア国境を越えて入っているのは、実にはっきりしている。

グローバル電撃作戦を止める

2011年、アメリカ合州国と、その協力者、NATOと湾岸協力会議(GCC)が、北アフリカの国民国家リビアの破壊にとりかかった際、それは孤立した介入“保護する責任”という地政学ドクトリンに基づく - 言い換えれば - 人道的介入とされるものとして描かれた。

作戦が終わる前に、すぐさま明らかになったのは、始めからアメリカの狙いは、アメリカ国務省の外国テロ組織リストにあるリビア・イスラム戦闘集団(LIFG)を含む、実際テロ組織であることがわかっていながら、アメリカが率いる枢軸によって空爆と兵器供給で、支援されている多くの武装集団による政権転覆だということだ。

トリポリのリビア政府崩壊から間もなく、アメリカ軍のリビア侵略は決して、孤立した介入ではないことも明らかになった。紛争がおさまるやいなや、アメリカ-NATO-GCCが武器を与え支援した戦闘集団は、兵器と戦士を、NATO加盟国のトルコに移動を開始し、トルコは、シリア最大の都市アレッポ侵略をお膳立てする場となった。

アレッポ侵略は、シリアという国を分割して、破壊するための、リビアで行われたのと同じ、アメリカが支援するより広範な作戦の一環だった。更に、アメリカ-NATOによるアフガニスタン占領は継続中で、2003年のアメリカ侵略と、それに続く占領以来、イラクの分割と破壊がある。これを考えると、明らかになるのは、北アフリカから、中央アジアにまでわたり、ロシアと中国両国の国境に押し寄せる地域軍事征服作戦だ。

2011年、いわゆる“アラブの春”は、標的にした政府に対し、抗議行動が始まる何年も前に、アメリカ国務省が、活動家を訓練し、装備し、配置することを始めた、計画された作業であったことが最終的に明らかになったことにも留意が必要だ。これは“アメリカの組織が、アラブ蜂起の育成を支援”と題するニューヨーク・タイムズで認めているものだが、2011年の記事はこう報じている。

エジプトの4月6日青年運動、バーレーン人権センターや、イエメンの青年指導者、エンツァール・カディなどの草の根活動家たちを含む、地域を風靡した、反乱や改革に直接関与した多数の集団や個人は、国際共和研究所、全米民主国際研究所や、フリーダム・ハウスなど、ワシントンに本拠をおく非営利人権団体から訓練と資金提供を受けた…

ニューヨーク・タイムズは、これらワシントンを本拠とする団体は、全てアメリカ国務省によって資金を提供され、指示されていることを認めている。

共和党機関と民主党機関は、共和党や民主党と緩やかにつながっている。こうした機関は、議会によって作られ、開発途上国における民主主義を推進するよう助成金を送るため、1983年に設立された全米民主主義基金経由で資金提供されている。米国民主主義基金は、議会から年間約1億ドル受け取っている。フリーダム・ハウスも、大部分の資金を、アメリカ政府、主として国務省から得ている。

似たような政権転覆作戦が、ロシアの西国境、ウクライナで直接実行され、アメリカが支援したネオナチ過激派が、選挙で選ばれたキエフ政権を、暴力的に打倒した。クーデターのすぐ後、臨時政権は、政党から、文字通りネオナチ過激派に反対して必然的に立ち上がった武装集団に至るまで、あらゆる反対派の粉砕に着手した。

そして当初の成功時、アメリカが支援する世界中の不安定化、戦争や政権転覆の波が地球上を覆う中、アメリカの傲慢さを封じ込めるのは困難だった。

2011年、アトランティックの、“アラブの春: ‘モスクワと北京を攻撃するウイルス’”と題する記事で、まさに、ワシントンの大詰めが一体何かを暴露するものだ:

[アメリカ上院議員ジョン・マケイン]は述べた。“一年前、ベン-アリと、カダフィは権力の座から去った。今度はアサドが、来年権力の座にいるまい。このアラブの春は、モスクワと北京を攻撃するウイルスだ。”といってマケインは降壇した。

アラブの春をウイルスにたとえるのは、この上院議員にとって新しいことではないが、私の知るかぎりでは、コメントで、ロシアと中国を結びつけた点が新しい。

マケイン上院議員の枠組みは、この会議で飛び交っている勝ち誇った態度を反映している。アラブの春を、欧米の企画による産物で、他の非民主的政府と戦う手段として使える可能性があるもの見なしているのだ。

アメリカ政治家たちの発言と、いわゆる“アラブの春”と、ウクライナの政権転覆作戦が画策されたものであるという確認された証拠の両方を勘案すれば、実際“アラブの春”が確実に “欧米の計画による産物”であり、アメリカが完全に、モスクワと北京を含む、あらゆる国々に対して、利用しようとしている“手段”であることは明白だ。

2011年当時、アメリカが支援する政治的不安定化が中断したものを、終わらせるための軍事力の利用は、十分理解されていなかった。アメリカはいまや、リビア、シリアとウクライナを、直接あるいは代理の軍事力によって破壊しており、西ヨーロッパや、北アフリカの一部と東ヨーロッパを征服し、ロシアを征服しようとした、ナチス・ドイツが1930年代と40年代に用いた電光石火の軍事征服のスローモーション版、第4世代の電撃戦をアメリカが行っているのは明らかだ。

現在、ロシアは“帝国”建設に関心はなく、究極的に、確実に、モスクワそのものを狙った、欧米による明らかな征服を止めることに関心があるのは明らかだ。

ロシアは、均衡を望んでいる

ロシアとシリアの関係は、NATOとウクライナのキエフを占拠している現在の臨時政権との関係とは全く異なっている。シリアは長い歴史がある独立した機構や政策をもった主権国家だ。キエフの臨時政府には、文字通り、ウクライナとその国民の運命を直接支配している外国人がいる。パートナーを探し求めているロシアと、従順な代理人を探し求めているワシントンとの差異が、欧米が永続させようとしている単極世界と、ロシアや他の新興諸国が、それを置き換えようとしている多極世界とを、差別化しているものだ。

シリアにたいするロシアの関与は、第一に、必然的にモスクワ自身に向けられている不安定の波と軍事征服を止めることであり、更に将来そのような波を作り出すことを、事実上不可能にするよう、世界中での勢力均衡を確立することだ。

これは明確に述べられたロシア政策であるのみならず、ロシアが地政学の舞台ではっきり追求しているものだ。ロシアの正当性と増大しつつある影響力の基盤は、ロシアが国際法の原則、国家主権の尊重と、多極的未来の推進を遵守していることにある。モスクワが、こうした原則を裏切ってしまえば、モスクワは即座に正統性と影響力を失い、見当違いを激化させて、世界舞台で孤立化している欧米に、加わることになる。

欧米では、政界もマスコミ界も、ロシアによる将来の多極構想に触れるのを避けているだけでなく、現実には欧米こそが新帝国主義者なのに、ロシアを虚構の新帝国主義者として描くのには、どんな苦労も惜しまない。

リビアは既に破壊され、イラクは苦闘中で、もしシリアが崩壊すれば、イランは、アメリカ自身の政策文書によってさえ、次の番となる。地図を見れば、イランの後は、アメリカが支援する無数のテロリストが南部ロシアに殺到するのを、ほとんど止められなくなることがわかる。モスクワは、場所を選び、防衛戦を敷き、欧米がロシアを狙って整列しているものを止めるため、それを確保する必要があるのだ。その場所が、どうやら、シリアということのようだ。

地図を見れば、ロシアは帝国を拡張しているのではなく、周囲至るところで、不安定化させている明白な企みと、最終的にロシアそのものを標的とする前に、ロシアは苦闘しているのだ。ロシアはシリアで一体何を求めているのだろう? ロシアは、他の全ての国々が目指しており、そうする権利がある、自己防衛を目指しているのだ。

ロシアは帝国建設をしているのではなく、ネオナチやテロリストやNATO軍自身を含む代理人連中により存在を脅かすものが、国境に至るのを止めることを目指しているのだ。

Tony Cartalucciは、バンコクに本拠を置く地政学専門家、著者で、特にオンライン誌“New Eastern Outlook”に寄稿している。.

記事原文のurl:http://journal-neo.org/2015/10/06/what-does-russia-want-in-syria/

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オールジャパン 平和と共生」というものの集会で、憲政記念館に行ってきた。
5時30分開始と思い込んで、なんとか間に合うようたどり着いた。結構空席があり、あと5分で始まるのに大丈夫かと思ったが、開始時間を誤解していたのだ。5時55分開始。

開始前には超満員。立ち見の方多数。500人のところに、700人つめかけたという。壁際にずらり。すかさずの拍手やら掛け声やら大変な熱気。なんとなく、国会前の戦争反対集会。雨はふっておらず、屋外ではないのだが。そう、あの掛け声や喝采。歌舞伎に似ているかも。

なぜか、ふと損保業界の故品川正治氏講演会を思い出した。

壇上は呉越同舟?著書や講演を拝聴している方が多いので個人的には違和感皆無。
聴衆の方々も超党派、高齢の方が多く、小生より上の世代が多いように思えたが、TPP反対や戦争法案反対でも、活躍しておられるお子さん連れの若い母親の方々もおられた。

あまりに演壇の方が多いので、一人5分という時間制限。中身は濃い。

共産党副委員長小池晃氏の挨拶に対する拍手、とりわけ大きかったように思う。
メーターで計測したわけではないので曖昧だが、個人的希望観測というわけではない。

著書のほとんどを拝読させていただいている孫崎享氏のスピーチ、極めて簡潔。
「協力しなければ勝てない」というのと、「問題はメディアです。」100%同意する。

まさに今夜の時論公論では、アホノミックスのヨイショ報道。

彼ら、一体、あの伊東光晴京都大学名誉教授の名著『アベノミックス批判 四本の矢を折る』を読んでいるだろうか?いや、知っていて、無視しているに違いない。
デタラメを言って、視聴料を徴集している国民をだまして、恥ずかしくないのだろうか?

アベノミックス批判 四本の矢を折る』、刊行後にすぐ拝読し、知人にさしあげ、再度購入し、別の知人にさしあげた。それで手元にあるのは、三冊目。

第七章 安倍政権が狙うもの 隠された第四の矢を問題にする
は、まさしく、戦争法案を的確に予言されたものに思える。
一流学者は、分野を越えて一流だ。
同じ伊東光晴京都大学名誉教授の『日本の伏流』も感心しながら拝読したが、これも若い知人に差し上げてしまった。また購入しなければなるまい。(正確に言えば、雑誌『世界』連載中愛読し、筆者は、伊東光晴氏をおいて、ほかにないだろうと勝手に想像していた。勘があたって実に嬉しい。大学の試験なら、優がとれたかもしれない。)

IWJによる「オールジャパン 平和と共生」 野党結集 総決起集会中継があったようだ。

集会に遅れて?登場した岩上安身氏の発言は最後のほうになった。理由は取材に時間がかかったため。その取材は下記。なんと、今は会員でなくとも見ることができる。

IWJ「「10月8日(木)日本共産党・志位和夫委員長インタビュー」:岩上安身氏」

しつこく何度もかいている。

大本営広報部洗脳紙媒体や電気洗脳箱に、お金を払う余裕があれば、そちらは極力止め、IWJ購読にしぼられた方が精神的、知的衛生に良いだろうと愚考する。

岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

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コメント

>現実には欧米こそが新帝国主義者なのに、ロシアを虚構の新帝国主義者として描く。
sugiyamaさんの言われる通りです。ノルウェー何てつい最近ロシアに占領されるなんて言う我が国のネトウヨレベルの妄想ドラマを放送したそうで。
http://jp.sputniknews.com/europe/20151010/1014934.html
「ロシア、ついにノルウェーを「占領」?

トルコがアメリカにISIS空爆のため自国の空港を提供しているi一方、ロシアのISIS空爆に対しては領空侵犯を唱えているのは ”トルコの二枚舌”と言われる所以。

ロシアはシリアで一体何を望んでいるのか?-続

10月3日にロシアの空軍機がトルコの航空域を侵犯したということは故意に犯したものではないとロシアはトルコ側に正式に謝罪したようだが、その後もその事実をもってNATO,トルコ側はロシア側の行動を何度も非難しているとSputnikは報じている。こうなると水かけ論に発展してしまうだろう。
筆者もその場に居合わせたのではないから、はっきり言えないが、やはりNATO,西側はロシアのやることに何でもイチャモンをつけたいようだ。Sputnik 記事の抜粋を付け加えておく。

On Monday, Turkish authorities said that a Russian military aircraft had violated the country’s airspace on October 3 from Syria. Moscow officially apologized for the incident, which, according to the Russian Defense Ministry, was caused by poor weather conditions.

Read more: http://sputniknews.com/world/20151006/1028086769/nato-envoy-turkish-airspace.html#ixzz3o5F0tXfi

今のところ、ロシアが行っているISなどのテロ組織の空爆に関しては、問題ないと思う。問題なのはロシアが行っているトルコの領空侵犯だ。トルコは、ロシアに対して抗議活動を続けているがまるで無視している。ロシアが行っているトルコに対する領空侵犯はテロ撲滅のためでもダメだと思う。

ロシアはシリアで一体何を望んでいるのか?

Tony Cultalucci 氏、マラデェツ! この論文は秀逸。管理人さんの翻訳もいつもよりこなれている。ロシアのIS爆撃の意義はマスコミでは語られることがない。マスコミはいつも米擁護の論調をくりかえすばかり。しかしCultalucci 氏が鮮やかにロシアの置かれた地政学的立ち位置を分析。☞「 欧米では、政界もマスコミ界も、ロシアによる将来の多極構想に触れるのを避けているだけでなく、現実には欧米こそが新帝国主義者なのに、ロシアを虚構の新帝国主義者として描く。」
Cultalucci 氏の分析は明快:
要はロシアの行動は自国の領土拡張主義に基づくものではないと明言。単極的世界観に立脚するのではなく、プーチン持論の世界を多極的観点から見ていくということに尽きる。そのような多極構想に立脚することにより世界は平等互恵の関係を保持できるのであり、それによりおのずから、地政学的にもロシアの独立性が守られるのだということを自ら証明しようとしているのだ。

わが母校、訪日中のトルコのヒトラー氏に名誉博士号授与。あれ程毀誉褒貶(誉・褒は寡聞にして知らないが)ある人物になぜ?校章入りのローマ式の旗竿を高く掲げ、総長以下教授連が色とりどりのアカデミック・ガウンで入場してくる入学式はナチの行進を彷彿とさせたが、昔からファシズムに親和性があるのでは…と言ったら意地が悪過ぎるだろうか。彼氏の返礼は難民問題についての欺瞞的なお説教。そもそもの原因が自国の外交政策にあることは決して言わない。悪徳政治家といえども、かつてアイゼンハワーがアメリカを支配する軍産複合体の脅威に警鐘を鳴らしたように、一端の真実でも語ってくれればまだ救いがあるのだが。

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