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2015年10月29日 (木)

レジェップ・タイイップ・エルドアン: 解き放たれたテロリスト

2015年10月20日
James Petras
dissidentvoice.org

2015年10月12日、127人の労働組合員、平和活動家、クルド支持派や進歩派の死をもたらした、アンカラでのテロ爆発は、レジェップ・タイイップ・エルドアン政権か、ISISテロリストのどちらかのせいだとされている。

エルドアン政権の‘仮説’は、ISISかクルド労働者党(PKK)がテロ攻撃に関与しているというもので、この立場をNATO各国の全政府がおうむ返しし、全ての欧米マスコミが従順に繰り返している。連中の最近の主張は、7月、シリア国境のスルチで、33人の親クルド派活動家を死亡させた前回の爆発で、トルコ政府に犯人とされた弟を‘ものまね’し、トルコ人ISISメンバーが虐殺を実行したというものだ。

もう一つの仮説で、トルコ反政府派の大多数の意見は、テロ攻撃の企画やテロ発生を可能にするのに、エルドアン政権が、直接あるいは間接的に関与していたというものだ。

それぞれの仮説を検証するにあたっては、二つのうちどちらが、殺害に到るまでの事実を上手く説明でき、一体誰が破壊行為で恩恵を受けるのかを検証することが必要だ。

我々の手法は、アンカラでの虐殺前の、虐殺に伴う、そして虐殺後の様々な暴力行為の背後にあるものを検証することだ。犠牲者とエルドアン政権双方の政治と、特に来る2015年11月の国政選挙を考慮して彼らの政治的ガバナンス構想を、検討する。

アンカラ・テロ爆破の前例

過去数年間、エルドアン政権は市民運動活動の暴力的弾圧を行ってきた。2013年、イスタンブール中心部での大規模社会抗議行動を解散させる本格的警察行動で、政府とつながる‘開発業者’からタクシム・ゲジ公園を守っていた抗議行動参加者の8人が死亡し、環境保護や市民運動活動家が8500人負傷した。2014年5月、エルドアン支持者が所有するソマ鉱山の地下爆発で、300人以上のトルコ人炭鉱夫が亡くなった。その後に行われた抗議行動は、国家によって暴力的に弾圧された。2005年、エルドアンによって、元国有の鉱山が民営化されたが、政権取り巻き連中への販売の合法性に疑念を抱く人々は多い。

一般市民の抗議行動参加者に対する、こうした暴力的警察行為の前、あるいは後、合法的なイスラム教社会団体、いわゆるギュレン運動支持者だとされ、何千人もの役人や、有名人がエルドアン政権によって逮捕され、馘首され、捜査された。

何百人ものジャーナリストや人権活動家や出版者や他のマスコミ労働者が、エルドアン内閣高官の賄賂を批判したかどで、エルドアン政権の指示で、逮捕され、馘首され、要注意人物名簿に載せられた。

エルドアン政権は、権力をイスラム主義カルト支配者の手中に集中するため、国内の非宗教的反政府派への弾圧をエスカレートした。政府が何シリアの聖戦への途上、トルコに流入する千人もの過激派外人聖戦士や傭兵支援を強化した後、特にそうなっている。

シリアにおける武装蜂起の始めから、トルコは武装イスラム・テロリスト(AIT)の主要教練場、武器庫、そしてシリアへの入り口となった。北シリアとイラクのかなりの部分を解放し、トルコ・クルド人にとって‘自治の見本’として機能しているシリアとイラクのクルド人を、AIT戦士が攻撃し、立ち退かせ、破壊するよう、エルドアン政権が仕向けたのだ。

エルドアン政権は、残虐なサウド君主制が、AIT集団へ資金提供し、武器供与し、特に、ダマスカスの非宗教的政権やバグダッドのシーア派政権に対する都市テロ戦争訓練を行うのに加わった。彼らは、エルドアンの敵やサウジアラビアの標的、特に非宗教的なクルド人、左翼、労働組合や、イランと同盟しているシーア派が占めている人口の多い場所の爆破に精通している。

エルドアン政権のシリア介入の動機、トルコの影響力拡大(新オスマン主義)の願望と、上手くいっているクルド自治政府や北シリアとイラクにおける運動の破壊だ。

こうした目的のため、エルドアンは四つの政策を組み合わせた。

(1) 彼は、リビアやチェチェンを含め世界中からのイスラム・テロリスト採用に対するトルコの支援を大幅に拡張した。

(2) 彼は、連中のシリア入国を支援し、クルド人地域の町村攻撃を奨励した。

(3) 彼はPKKとの和平協定を破り、戦闘的なクルド人に対する全面戦争を再開した。

(4) 彼は、合法的で非宗教的なクルド派政党、人民民主党 (HDP)に対し、秘密のテロ作戦を画策した。

エルドアン政権は、トルコ社会の‘イスラム化’と、シリアとトルコ内外のクルド地域に対する彼流のトルコ覇権誇示を推進強化すべく、独裁的権力を強固にすることを狙っていた。こうした野望や遠大な狙いを実現するため、エルドアンは、政権からライバルになりうるあらゆる権力源を粛清する必要に迫られた。

非宗教的民族主義のケマル主義軍人の投獄と排除から、彼は開始した。彼はギュレン組織にいる彼の元支持者の粛清に進んだ。

HDPの躍進のおかげで、国政選挙で彼は多数派を獲得しそこねた彼は、組織的テロ作戦を推進した。彼の‘公正発展党’支持者連中を動員して組織した暴徒が、HDP事務所を破壊し火を放ち、活動家たちをめった打ちにした。エルドアンのテロ作戦は、2015年7月、シリアのクルド難民や、エルドアンが支援するISISが支配する、国境の反対側にあるシリアの大きな町コバニで、イスラム主義テロリストに抵抗し、窮地に立っている戦士を支援している左翼活動家のスルチにおける若者集会に対する爆発という結果となった。33人以上の活動家が殺害され、104人が負傷した。爆発の前に知っていた二人のトルコの秘密諜報員、あるいは‘警官’が、PKKに捕らわれ、尋問され、処刑された。国家が支援した虐殺として広く信じられているものに対するこの報復が、エルドアンが、クルド人に対する戦争を再開する口実になった。エルドアンは即座に武装、非武装、両方のクルド人運動に対し戦争を宣言した。

エルドアン政権は、政権のISISとのつながりを無視して、スルチ・テロ攻撃はISIS自爆犯が実行したという主張を持ち出した。彼は大規模な捜査をすると発表した。実際、それはおざなりな一斉検挙と、どうでもよい容疑者連中の釈放だった。

もしISISがこれとアンカラ虐殺に関与していたのであれば、連中は、エルドアン大統領の命令によるトルコ諜報機関の命令と指示で行ったのだ。

スルチ虐殺: アンカラ版の舞台稽古

スルチは三カ月後のアンカラでのエルドアンによるテロ攻撃の‘舞台稽古’だった。

またしても、主要標的は、クルドの野党政党(HDP)や、主要な進歩的労働組合や職能団体や反戦活動家だった。

またしても、ISISと彼のつながりをみとめずに、エルドアンはISISを非難した。いくつかの事実が、トルコ国家の連座を暗示している。

1)   爆弾は、一体なぜ殺りく現場のすぐ近くにある警察と諜報機関本部横でなく、武装していない抗議行動参加者たちの真ん中に置かれただろう?

2)   爆発直後、一体なぜエルドアンの警察は攻撃をし、抗議行動参加者に対する救急医療を妨げたのか?

3)   人気の高い指導者や、独立した調査員や、標的とされた団体の代表が爆発現場を検証するのを、一体なぜ阻止したのだろう?

4)   エルドアンが、極端に愛国主義的な街頭デモ参加者を、合法的な選挙活動を行っていたクルド人に対してけしかけながら、すぐさまPKKの停戦協定提案を拒絶し、大規模軍事作戦開始したのは一体なぜだろう?

5)    警察は一体なぜ事件後、会葬者を攻撃したのだろう?

テロ攻撃で恩恵をうけるのは一体だれか?

テロ攻撃で恩恵を受けるのは、エルドアンの短期的、長期的な戦略的政治目標であって、他には誰もいないのだ!

何よりまず、彼らはHDP党の活動家や反戦左翼や労働組合員を殺害した。虐殺後の政府によるHDPに対する暴力的攻撃は、エルドアンにとって、トルコ憲法を変えるために必要な、独裁的権力を得られるよう選挙で多数派を獲得する可能性を増したのだ。

第二に、それは下記を狙っていた。(1)トルコとシリアのクルド人のつながりを弱めること(2)進歩的なトルコの労働組合、非宗教的な専門職、平和活動家やクルド民主党の間のつながりを破壊すること(3)右翼超国家主義トルコ人暴徒を動員し、HDP選挙事務所攻撃と破壊すること(4)民主主義支持派活動家や進歩派を威嚇し、エルドアンの国内における権力掌握とシリア介入に対する異論を沈黙させること。

テロ攻撃に至るまでの間の、市民運動団体や野党に対する連続的な暴力攻撃や、自立した官僚の追放や逮捕に関与したいたのは誰かという疑問に対する答えは、エルドアンだ。

イスタンブールのクルド人地域や、スルチとアンカラ・テロ攻撃前の各地における暴力作戦と爆発の背後にいたのは一体誰だろう? 答えはエルドアンだ。

結論

最初に我々は、アンカラ・テロ攻撃に関する二つの仮説を対置した。エルドアン政権の仮説、つまり、トルコ政府から自立した勢力としてのISIS、あるいはPKKが、トルコとクルド市民団体主要活動家の残虐な殺害に関与しているというもの。そしてエルドアン政権が黒幕だという、その反対の仮説。

仮説上の二容疑者の動機、行動、得られる恩恵と権益を検討した結果、事実を最も上手く十分に説明し、解釈するのは、諜報工作員を通して、虐殺の企画と組織にエルドアン政権が直接関与していたという仮説だ。

付随する仮説は、実行、つまり爆弾設置は、ISISテロリストによるものかも知れないが、それも、エルドアンの警察機構の管理下でというものだ。

James Petrasは、ニューヨーク州立大学ビンガムトン校社会学名誉教授。

記事原文のurl:http://dissidentvoice.org/2015/10/recep-tayyip-erdogan-terrorist-unleashed/

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大本営広報部電気洗脳箱、南シナ海、宗主国による航行の自由作戦一辺倒。解説者が、お馴染みの元外交官氏や、有名財団の研究員氏の場合、終わるまで音声を消している。

あるいはマイナンパー詐欺。電気洗脳箱は、マイナンバー推進関係者しか、出演させない。連中が言っている、マイナンバーの恩恵、全くありがたみを感じない。嫌悪感のみ。

トルコやシリアの問題については、電気洗脳箱ほとんど触れない。大使館前での事件、電気洗脳箱呆導だけで、事件の背景を納得される視聴者おられるのだろうか。

この爆破事件を含め、トルコ問題、シリア問題についての二時間以上にわたる下記緊急インタビューは必見。この記事が想定する可能性をも大きく越えている。

内藤教授ご自身「テレビ・ラジオではちょっとしか話せないから不満だが、IWJなら話したこと全部伝えてくれるからいい」と前置きされたという。時間的には長いが、内容的にあっという間。

大本営広報と違い、一方的洗脳でなく、貴重な視点を教えていただける。全編を見るには、会員になるか該当アーカイブを見る料金を支払う必要があるが、その価値は十分にある

2015/10/15 「平和」デモへの爆弾テロで大混乱に陥ったトルコ 米国に追従し「対IS戦線」で中東に首を突っ込む日本も同様の「テロの標的」に 〜岩上安身が内藤正典氏に緊急インタビュー!

内藤先生のご本、真面目な読者ではなく、拝読したのは下記のみ。
理由は単に金銭とスペースの欠如。

「シリアの人は、むれない」という趣旨の発言が再三あったと覚えている。それで、最近読んだ「個人主義」大国イラン: 群れない社会の社交的なひとびと (平凡社新書) を思い出した。イランの人々、実に群れない人々のようだ。本気でイラン観光を計画したことがある。ところが、インチキ航空会社のおかげで、No show扱いされ、予定便に搭乗しそこない、観光は夢と消えた。「禁酒がつらいのでよかった」とあきらめるしかない。もう一生ゆけないだろう。

旅行といえば、数日前、数年前購入した『旅は道づれガンダーラ 改版』を読了。松山善三・高峰秀子ご夫妻、最高のお仲間と、タリバンに破壊される前のバーミヤン石仏を見ておられた。うらやましい。同じルートを観光するのが夢だった。これも、治安上、経済上、到底かなわぬ夢。それを言うなら、シリアのパルミラも。

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コメント

土内務省発の国境侵犯地図をみた。これは、土側が撃墜攻撃をあらかじめ企図計画したものであることを暴露している。そう考えないと、
数十秒しか余裕のない、突出部上空での遭遇攻撃はできない。露戦闘機の飛行パターンをつかみ、待ち伏せし、十秒ほどで撃ち落とす作戦だったと思う。ドンバス上空でのマレーシア旅客機撃墜作戦を企画したグループが、撃墜した下手人パイロットにやらせたのではないか。ヒトラーは書いたことは実行する。マケインもそうだ。

FARS NEWSは写真を削除したようです。情報欺瞞と判断したのでしょう。しかし撃墜について沈黙している。イランはなにかを企図しているのではないか。

FARS NEWSには露戦闘機に土戦闘機がミサイルを発射した瞬間をとらえた写真がでている。露国防省発とあるが、本当に露MoDがだしたものだろうか。露戦闘機を旅客機にしたものが、既にマレーシア機撃墜事件のあとに出て

いる。FARS NEWSはイランのニュース社だ。露国防省の評判を落とすようなことをするとは
思えないのだが。

アメリカって海洋法に関する国際連合条約に加盟していないんだね。
南沙諸島について口を出すなら最低限、海洋法に関する国際連合条約に加盟をしろと中国が正論を振りかざした。
南沙諸島の問題に関してはアメリカが口を出すのは間違っているしな。
今回の問題は中国がアセアンとの話し合いを無視して人工島を作った。これは大問題である。
元凶は中国だが、部外者であるアメリカが口に出すのは間違っているな。
ちなみに中国内部でも華僑の方々は、中国について批判しています。華僑の方々の目的は、自由の航海による商売だからね。この辺はユダ金と違うな。
問題はRCEP、FTAAPをもTPPに含ませようとアメリカと中国が画策しているみたいだ。

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