対ISIS戦争でのトルコの‘二枚舌’
公開日時: 2015年10月2日 17:12
RT
© Sertac Kayar / ロイター
トルコ政府は対ISIS戦争でアメリカのパートナーとなることに合意した。しかしアンカラは、それをトルコ国内のクルド・ゲリラに対する戦いをエスカレートする隠れ蓑として利用しようとしているように見えると、オクラホマ大准教授フィラト・デミルは語っている。
RT: 世界の注目がシリアに集まっている中、トルコ軍は自国内での作戦を開始しました。一体何がおきているのでしょう?
フィラト・デミル: トルコは急速に内戦へと向かっているのではと懸念します。過去二カ月ほど、暴力の連鎖になっています。それに過去数カ月に、多数のクルド都市で何度か衝突がありました… ジズレでは、20人以上の一般市民が殺されましたが、目撃者によれば、彼らの大半が治安部隊によって殺害されており、しかも一般市民だったのです。そして、11月1日選挙は、こうした紛争が、それに向かってエスカレートしてゆく出来事に過ぎないのではと恐れています。またシリアのISISに対する戦争について、トルコ政府が、アメリカと、戦争でパートナーになる協定を結んだことも申しあげる必要があります。しかし私は、トルコはこの協定を、トルコのクルド・ゲリラに対する彼らの戦いをエスカレートする隠れ蓑に使うのではと懸念しています。
更に読む: 17人のPKKメンバー、クルドの都市シルバンへのトルコ軍攻撃により死亡
RT: 世界の懸念と注目がクルド人に向けられているのに、トルコは自国民を攻撃していますね?
FD: クルド人にとって、これがある意味、イラクと北シリアにおけるクルド運動の中心となるだろうことは確実です。現在シリアでは、クルド人こそ、アメリカと同盟諸国が、ISISや、ISIS標的に対して利用できる唯一有力な地上軍です。そして、トルコは、シリア国内にいるわけでないクルド・ゲリラを、テロリストで、PKK集団分派だと見なしていますが、それには、アメリカとその同盟国が同意しておらず、ここが、トルコ政府とアメリカとの間の主要な論点なのです。
トルコのタイイップ・エルドアン大統領 © Umit Bektas / ロイター
RT: クルド民兵は、シリアとイラクのISILとの戦いを支援しており、そしてトルコも、ISISに対して戦っているのに、一体なぜ、自国内で、彼らを攻撃するのでしょう? トルコは、同じ戦争の、敵と味方の両方を攻撃しているように見えます。
FD: トルコ政府は、それは別々の二つの組織なのだとか、対テロ戦には アメリカとEUがテロ組織と見なしている、PKKゲリラとの戦いも含まれるのだと主張しています。しかし現政権は、クルドの権利とクルド自治に関しては、大きく前進していたのです。停戦協定も数年間続いていました。しかし、クルド政党が国会に議席を得るのに成功し、投票の19パーセントを獲得した6月1日の選挙以後、AKP政権が多数派を得て、[レジェップ・タイイップ] エルドアンのための大統領制を可能にするよう憲法を変えるのを防いだことにより、現大統領と彼の政権の命脈は尽きたように思えます。
私は、それが、彼がクルド人との休戦を終わらせることに決め、クルド・ゲリラに対する猛攻撃を開始した転機だったのだと思います。過去二カ月間で、100人以上が[殺害され]ましたが、多くは一般市民です。しかもシルバンを含めたこれらの都市は、全ての通信回線が切断されました。先月攻撃され、大半が一般市民の20人以上が殺害されたジズレは、9日間、世界から隔絶されました。外出禁止令が発せられ、病院に行ったり、食品や飲料水を買いにいったりすることさえ許されなかったのです。国会議員すら、これらの都市にはいることを許されませんでした。ですからもう、連中が攻撃する対象にした、クルド都市では、完全な戒厳令のようなものです。さらに、様々なクルド都市の知事が何十人も逮捕されています。
報道の自由に対しても、猛烈な攻撃が行われています。先週も、著名ジャーナリストを含めある大手新聞が攻撃されました。しかも、現大統領のエルドアンは、トルコで最も著名なジャーナリストの一人で、大統領を侮辱したかどで訴えられているハサン・ジェマルを含め、左右のジャーナリストを訴えています。
RT: 既にトルコはISIL爆撃という口実でクルド人を攻撃しているのを非難されています。トルコは、一体なぜ、クルド人の独立を恐れているのでしょう?
FD: トルコは、クルド人が国家意識を高めて、独立することを恐れています。そして、シリア国内における、あらゆる独立運動を、トルコ政府は国家安全保障に対する脅威と見なしているのです。私は事実無根だと思いますが。
本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。
記事原文のurl:http://www.rt.com/op-edge/317425-turkey-kurds-isis-pkk/
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戦争法案の次は、TPP。
ウソつかない。「TPPには入らない」から
「聖域を守る」、そして
「聖域どころか、何もないスッポンポン」
政権与党のデタラメさがこれだけ露骨な交渉はないだろうに、大本営広報部は文字通り、政府TPP広報の垂れ流し。電気洗脳箱も同様。何度もしつこく書く、虚報記事を読みたくて購読しているのではない。スーパー・チラシが生活上不可欠なので、その包装紙を眺めている。
エルドアン大統領、10月7~9日来日の見通しだそうだ。
主目的は、11月15、16日にトルコ・アンタルヤで開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議を前にした事前調整。安倍晋三首相と会談するほか、原子力発電所建設に参加するなどトルコと関係の深い日本企業のトップとも会談する。
難民問題やらIS問題やらでの、日本側発言が今から気になる。またもや「IS犠牲者」が出たあと。
電気洗脳箱や大本営広報紙で脳が破壊されるのを防ぐべく、下記シンポジウムにでかけた。
2015/10/04 シンポジウム「日中友愛外交の道を探る」(鳩山由紀夫・矢吹晋・孫崎享・荒井利明)
講師と題目は下記の通り。
報告: 矢吹 晋氏 (横浜市立大学名誉教授)
「原点から再考しよう」
報告:孫崎享氏(東アジア共同体研究所所長)
「独仏は協力、日中は対立、なぜ?」報告:荒井利明氏(元滋賀県立大学教授)
「私たちにとって中国とは何か」
特別発言:鳩山友紀夫氏
(東アジア共同体研究所理事長、第93代内閣総理大臣)
近著:鳩山友紀夫・高野孟など『なぜ、 いま東アジア共同体なのか』(花伝社、2015年)司会:高野 孟氏(ザ・ジャーナル主宰)
開会挨拶:西川伸一(政治制度研究センター)
閉会挨拶:村岡 到(NPO日本針路研究所)
共催:明治大学・政治制度研究センター
NPO日本針路研究所協賛:週刊金曜日
矢吹 晋氏 (横浜市立大学名誉教授) 「原点から再考しよう」講演の一部だけ、いい加減な記憶を基に転記させていただこう。必ずしも、発言通りの正確な書き起こしではないので、ご注意を。
「安倍談話は、中学生の下手な作文以下の代物」と辛口だった。大賛成。
安倍首相は、英語でセキュリティー・ダイアモンド構想を発表している。中国封じ込め構想。日本の「マスコミ」は決して翻訳して報じないが。中国は当然それを読んでいる。
先日の対日戦争勝利パレードが行われた背景を説明してくださった。日本は、中国には、宣戦布告をせずに、戦争をはじめた。
それゆえ敗戦も、中国に対しては曖昧な形になっている。中華民国は日本に宣戦布告をしている。
1945年(昭和20年)8月15日の玉音放送には、
朕ハ帝國政府ヲシテ米英支蘇四國ニ對シ其ノ共同宣言ヲ受諾スル旨通告セシメタリ
とあり、
また
曩ニ米英二國ニ宣戰セル所以モ亦實ニ帝國ノ自存ト東亞ノ安定トヲ庶幾スルニ出テ他國ノ主權ヲ排シ領土ヲ侵スカ如キハ固ヨリ朕カ志ニアラス
とあるが、
中国には、宣戦布告はしていなくとも、「他國ノ主權ヲ排シ領土ヲ侵ス」行為をしていることは明らか。
また、
然ルニ交戰已ニ四歳ヲ閲シ
とあるが、これも、中国に対する戦争の発端、1937年(昭和12年)7月7日盧溝橋事件から計算したものではない。そこから計算すれば、8年。そして、尖閣諸島を「棚上げ」状態でなくしたこと。
更に、靖国参拝強行。
等々、多々あって、日本の対中国封じ込め構想、安倍政権のやり方に反発して、昨年、今年の抗日戦勝利の軍事パレードを決定したもの。挑発したのは、日本側であって、中国ではない。歴史を歪めて、きちんと反省をせずに、 (将来世代に)謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない、というのはいけない。
明治大学での講演なら探せばわかるだろうと当てずっぽうにでかけた。国会前の戦争法案反対集会を威嚇する物々しい警備を連想する警備車両隊列に驚いた。何とシンポジウム会場、その警備に守られた建物の中だった。威嚇されたり、守られたり。
大変な人数の警備陣。警備当局から、早い退去を促されて元首相は途中で退出。忍者屋敷から消える雰囲気。素晴らしい講演を拝聴して出てくると、お茶の水駅前で、なにやら鳩山元首相批判をしているようだった。
大本営広報部、大政翼賛会のジャーナリズムでは決して読めない話ばかり。矢吹晋氏の下記のページ、貴重な情報が無料で掲載されていると、孫崎享氏が紹介しておられた。
矢吹氏、雑誌「情況」の最新号にも寄稿しておられるという、明日にも拝読しよう。
下記二つのIWJ記事で、セキュリティー・ダイアモンド構想、安倍政権中国封じ込め構想と、尖閣諸島棚上げ合意記録の概要、お分かりいただけるのでは?
岩上安身のニュースのトリセツ】「対中国脅威論」の荒唐無稽――AIIBにより国際的孤立を深める日本~ 安倍総理による論文「セキュリティ・ダイヤモンド構想」全文翻訳掲載
2013/12/10 外務省が削除した日中「棚上げ」合意の記録 尖閣諸島問題の核心について、岩上安身が矢吹晋氏にインタビュー
虚報の大本営広報部ではなく、情況を理解するための情報が得られる独立メディアは必要不可欠。
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コメント
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日本からではトルコの動きが理解しずらかったのですが、海外記事で”国内事情”がみえてきました。トルコの本音は、ISISがクルドを制圧して欲しいようで、やはりトルコは裏で支援していそう。ISISを支援している国々を明るみにだすことは、息の根を止める一番の攻撃でしょう。
投稿: 赤胴鈴之助 | 2015年10月 5日 (月) 18時10分