EUの大規模なGMO禁止の波に最新参加国、ウェールズとブルガリア
PLorraine Chow
EcoWatch
2015年10月1日
益々多くの欧州連合加盟国が、まるで将棋倒しのように、遺伝子組み換え(GMO)作物の自国内での栽培を根絶することに決定している。
グリーンピースによれば、欧州委員会に通知する10月3日の締め切りが近づくにつれ、EU住民の65パーセントと、耕地の66パーセントを占める、少なくとも14の欧州連合加盟国と三つの地域が、その領土内で、GMO作物の栽培を禁止する過程にある。
現時点で、オーストリア、クロアチア、フランス、ギリシャ、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、オランダとポーランド、一つの地域政権(ベルギーのワロン)が、GMO作物栽培禁止の意図を、欧州委員会に正式に通知したと、グリーンピースは述べた。
ブルガリア、デンマーク、ドイツ、イタリアと、スロベニアと、イギリスの三つの地域政権-スコットランド、ウェールズと、北アイルランドから、近々通知があるとグリーンピースは述べた。
これら政府は、たとえそれが既に欧州連合内での栽培が承認されていても、28の加盟国が、そのGMO作物栽培を控えることを認める、欧州委員会が3月に成立させた“脱退”条項を選んだのだ。ウェールズとブルガリアが、増えつつある国々に加わった最新の国々だ。
ヨーロッパ中でのこのGMO禁止の波が、EUのGMO作物承認に対する不信を表していると、グリーンピースは述べている。
“少なくともEU加盟国政府の半数は、欧州委員会のGMO作物承認の動きを拒否している。彼らはEUの安全性評価を信じておらず、農業や食品を保護する措置をきちんと講じている。”と、グリーンピースのEU食品政策ディレクター、フランジスカ・アフテンベルクは、声明で説明した。
“現在、EU体制における信頼を回復する唯一の方法は、欧州委員会は、GMO作物承認に対する一時停止ボタンを押して、至急安全性テストと承認制度を改革することだ”と、アフテンベルクは結論づけた。
こうした国々の多くには、公衆衛生や環境問題の観点から、既にGMOに対する厳しい法律がある。例えば、EU28か国全てが、GMO表示を要求している。
スコットランドが、「脱退する」ことを決めた(ヨーロッパでは初めてそうした)後、スコットランドの環境食糧農林大臣リチャード・ロッホヘッドは、ヨーロッパのGMO不信の状態についてこう語った。
“スコットランド政府はGMO作物への懸念を長年もってきたが、これは他のヨーロッパ諸国や消費者も同様で、これは軽々しく片づけられるべきものではない”と彼は声明で述べた。
別の例では、フランスは既にGMOに強く反対しており、遺伝子組み替えトウモロコシのいかなる変種の栽培も禁止している。フランス(たまたま、ヨーロッパ最大の穀物産出国で、輸出国でもある)が、GMO栽培から脱退すると発表したのは、主に、ヨーロッパで栽培されている唯一のGMO作物で、ヨーロッパ・レベルで、見直しが行われている、モンサントのMON 810トウモロコシを槍玉に挙げる動きのように思える。
モンサントは、ここ数カ月、相次ぐ悪評に見舞われている。周知の通り、6ヶ月前、世界保健機関の国際がん研究機関が、モンサントの主力商品除草剤、ラウンドアップ中の化学薬品グリホサートは、発がん物質の可能性があると判断した。最近のニュースでは、同社は、いずれも原告が、除草剤が自分たちの癌を引き起こしたと主張している二つの訴訟を起こされている。
モンサントは、同社製品の安全性を主張しており、EUの反GMOの波についても率直に発言した。ラトビアとギリシャが、GMO作物を栽培しないよう要求した後、今月始め、巨大バイオテクノロジー企業は、両国は科学を無視し“恣意的な政治的理由で”GMOを拒否していると、ロイターに語った。
声明で、モンサントは、両国の動きは“MON810の安全性に関する科学的合意に矛盾し、損ねるものだ”と述べている。
グリーンピースは、プレス・リリースで、締め切りが近づくにつれて、更にEUの数カ国が、GMO禁止の波に続くと予想していると述べている。
既に我々が報じた通り、EU加盟国ではないが、ロシアは、食糧生産から、あらゆるGMOを根絶することに決めている。
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連日放映の『図書館戦争』関心はあるのだが、見ていない。
現実の図書館問題、ひどいことになっている。金儲けを第一目的にすれば、文化の維持・昂揚は目的でなくなる。前の武雄市長が導入したツタヤ図書館、系列の古本屋の安物をならべ、貴重な郷土史文献の場所は廃棄の運命らしい。くだんの市長、ツタヤ幹部に天下りしているという、あきれた話。喜ぶ利用者が多ければ、もう自業自得。
過去の歴史を改竄する恐ろしさを、昨日、孫崎享氏は、ジョージ・オーウェルの『1984年』の主人公ウィンストン・スミスの職業が、真理省で、日々歴史記録の改竄をおこなう業務であることに触れて説明しておられた。現政権による、歴史改竄の批判として。
宗主国が武力で侵略、征服したイラクでは、知識人が、記憶が抹殺されている。侵略後、警備の手薄な博物館は略奪されるにまかされた。
宗主国が生み出したISISは、シリアの遺跡を破壊し続けている。
歴史がない国の本物の歴史に対する怨念ではないか、と妄想していたが、暴力というむき出しの姿でなく、経済優先という屁理屈で、この国でとうとう始まったようにと思えた。
一世代後のこの国、英語力の高さと収入が正比例していて、日本語を読み書きするのは一部の変人だけになっている可能性皆無だろうか?
遺伝子組み換え食品や成長ホルモンたっぷりの肉については、ヨーロッパやロシアと違って、この国、宗主国最高のモルモット、いや、最高のカモ。
そういう国は、進んで、TPPに、飛んで火にいる秋の虫。
GMOを食べろ、というだけでは済まない。TPPは生活丸ごと破壊政策。
電気洗脳箱も、大本営広報誌も、もっぱら、マイナンバー広報と、TPP合意洗脳報道。テロップを見るだけで、もうひどい船酔い気分。
国営放送、予定を変えて(というか、予定通り)特別ヨイショ洗脳垂れ流し番組。余り気分の良くない尊顔を拝まされた。解説している皆様、官僚と練り上げた予定原稿でも読んでいるのだろうか。明日あたり、日本全国で、お祝いの提灯行列や盆踊りでもおこなわれそうな雰囲気。
内容は全て秘密なのだから、冷静に考えれば、本来慶賀も弔問もできないはずで、一体どちらが妥当かを論じるのが、ジャーナリズムというものだろう。
垂れ流ししかしていないのだから、明らかに洗脳機関。上品に言えば広報機関。
小選挙区制導入時もそうだった。あらゆるマスコミなるもの、提灯持ちでしかなかった。
TPPの場合は、肝心な中身の問題点を完全に隠蔽する官報、公害垂れ流し。
大本営広報部、関税の話ばかりしているが、TPPの本当の狙いは、関税などではない。宗主国議会図書館の文書に銘記してあるではないか。宗主国支配層は属国傀儡ほどウソつきではない。本音をはっきり記録に残している。
官報、公害垂れ流しに、むきになって関連記事を翻訳している。
そこで、精神安定のために植草一秀の『知られざる真実』の最新記事。
大筋合意TPPの安倍政権政権公約違反は明白
大本営広報と異なり、IWJは、TPP問題を一貫して報じている。(農業新聞もあるが。)
2015/05/26 危険な農薬、医療費・薬価の高騰、主権の喪失――「食の安全」「医療の安心」「国の主権」がすべて崩壊するTPPに多くの市民・有識者から根強い反対の声
違憲訴訟を実際に起こしておられる組織がある。戦争法案と同じで、これも賛成議員を落選させないと、大半の庶民の生活、徹底的に破壊される。
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コメント
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「TPP大筋合意」に被せるように報じられる連日のノーベル賞受賞。医学・生理学賞と物理学賞の連続受賞は実に素晴らしいことで、受賞された研究者達の目覚ましい業績に異論など出る筈もありませんが、どこか作為性を感じる今日この頃。
最近、マスメディアを賑わせた芸能人達の闘病劇、結婚劇、離婚劇。あるいは巷を不安に陥れる連日の凶悪犯罪。これらに一時の話題性があったとしても、それは持続せず、次から次へと新しい話題で塗り重ねて行かないと国民の耳目の独占し続けることが叶いません。それだけ私達は飽きっぽく忘れ易いのです。
それに対し、ノーベル賞は最も権威のある賞であることは国民に周知されています。権威主義に支配される日本国民にとってもノーベル賞の受賞は自分達の自尊心をくすぐる格好のニュースなのです。しばらくの間、様々な話題を振りまくのでしょう。だからこそ、私は、この時期に連日のようにノーベル賞受賞のニュースが駆け巡る事に違和感を感じるのです。おそらく、そんな事は無いと信じたいのですが、宗主国への献上が滞り無く執り行われた事に対するご褒美だとしたら。日本国民がそのニュースに酔い痴れ、ちっぽけな自尊心をそのニュースを再生産する毎に満たし、思考停止に陥るのであれば、宗主国と植民政府の現地人高官に願ったりです。
私は、E.W.サイードの言う『知識人』になりたいと思う。福沢諭吉が唾棄した「貧智者」でありたいと思う。権威主義と知的レジュームの軛から自らを解き放つ反知性主義者になりたいと思う。
投稿: 海坊主 | 2015年10月 6日 (火) 22時01分