バッシャール・アル・アサドの演説を聴いた
By The Saker
2015日9月17日
The Saker of the Vineyard
多くの読者と同様、私も昨日のバッシャール・アル・アサドのロシア・マスコミ・インタビューを一時間聞いた。私は感銘を受けたと言わざるを得ない。だがこれについて、より詳しくお話しする前に、このブログを長い間お読みの方なら覚えておられるかもしれないことを告白させていただこう。私はこれまで、世俗アラブ民族主義者、特にバース党員には、全く反対だった。サダム・フセインを、私が非常に酷く評価しているだけでなく(だからといって、彼が処遇され、殺害されたやり方に私が激怒しない理由にはならない)、私にはシリア人の友人がいて、彼らからも、アサドの父、ハーフィズ・アル・アサドや、彼の政権の腐敗、非常に多数のシリア人がシリア治安機関に対して抱いていた極めて現実的な恐怖心や、彼を取り巻く裕福な有力者連中について、色々聞いている。バッシャール・アル・アサドに話を戻すと、彼がいわゆる“引き渡し”プログラムで、CIAに代わって拷問をしたこと、そして、彼あるいは誰か彼に極めて近い連中が、イマド・ムグニヤを殺害したイスラエル人をかくまったのは明らかだということで、彼を許すことはできなかった。アサドをオタクだと呼んでいても、私が非難される筋合いはないだろうと言いたいだけだ。
だが、現在、私は態度を変えつつあると言わなければならない。単にアサドと彼の軍が、現在、シリア国民をダーイシュの中世的狂気と凶暴さから守っている唯一の勢力であることに疑いの余地がないだけでなく、率直に言って、この人物に私はますます感銘している。
彼に第一に感心したのは、理にかなっていることだ。特に誰を非難するつもりはないが、大半のアラブ指導者は全く理解しようがない。連中は大いに誇張したがりやで、単純な理にかなった常識に欠けている。だが、アサドは違う。彼は明らかにすべきことを知っており、自分がしていることを信じている人物として、私の心を打つのだ。もちろん、私は読心術者ではなく、どれひとつ証明できないが、彼の演説を聴いて、そう感じたのだ。
二番目の同様に、私が感じた主観的感覚は、過去四年間で、この人物の器量が大きく成長したということだ。率直に言って、戦争前の彼を聞いていると、彼はどこか、毎夏サントロペや、マルベーリャや、ジュネーブで見かける典型的なアラブ人プレイボーイのようだと感じていた。必ずしも悪人というわけではなく、単に甘やかされて育った軽薄な人物だ。確かに彼は、私には政治家のように見えなかった(あらゆる欠点があるにせよ、カリスマ的人物だったサダム・フセインと比較せずとも)。だが昨日彼を聞いていて、2015年のアサドは十年ほど前のアサドとは全く違うという印象をもった。この戦争が彼を大きく変えたと感じたのだ。
私の三つ目の、そして最後の推測は、アサド側近の変化に関するものだ。戦争の始め、将軍や大使を含む、あらゆる類の“政権幹部”が突然“民主的良心”に目覚めて、“親切の枢軸”に寝返った。アサド政権に巣くっていた、CIAに雇われたありとあらゆるくずどもは、アサドが最長でも数か月のうちに打倒されると確信していたので逃亡したというのが私の想像だ。ところが、アサドは地位にとどまり、驚くべきことに、最悪の時期でさえ、決めた方針を維持し続けた。私は事実として知っているわけではないが、アサドの最側近にいる人々の質が劇的に良い方向に変わったに違いなく、現在、彼の周囲は本当の愛国者たちによって固められているのだろうと私は推測している。
私が過去ずっと抱いていた別の疑問はこうだ。アサドには、ロシアやイランに耳を傾ける智恵があるのだろうか、それとも彼は誰にも耳を傾けようとしない誇大妄想狂なのだろうか? 明らかに彼は耳を傾けたのだ。もし彼が耳を傾けずにいたなら、ロシアは今している形の支援をしてはいなかっただろう。たしかに、ロシアは、アサドが不可欠だとは言っておらず、シリア国民が決めることだと言うのだが、シリア国民が彼を望んでいることを彼らが確信しているので、アサドを支援するには政治的に正しいやり方とも言える。しかも、ロシアが“決めるのはシリア国民だ”として、実際に言っているのは、決めるのは“シリアの友人たち”や、他のどの“親切の枢軸”でもないということだ。言い換えれば、くたばれ、アメリカ/NATO/EU/等々だ。だから、シリアの将来に関するあらゆる外交的なえん曲表現にもかかわらず、現実は、アサドはクレムリンの全面支援を受けているのだ。
最後に、ロシアは、これで、明らかに再度アサドを表舞台に「押し出し」ているのだろうと私は思う。これがインタビューの本当の狙いだろうと私は思う。アサドを、耳を傾ける、交渉ができる人物、 何よりも“信念をもった現実主義者”として売り込むのだ。
ロシアが今しているのは、こういうことだろうと思う。彼らは、ある種の軍事援助と、できるだけ多くの指導者たちに、アサドが今や、あらゆる解決策の疑い様のない不可欠な要素であることを説き伏せるのが主目的の、全主要地域国との立て続けの外交活動とを組み合わせた、多層戦略を進めているのだ。英米シオニストにとっては、これは全くの犯罪思想だ。しかし、ダーイシュによってもたらされた悪夢を見ている人々や、英米シオニストによる4年間のダーイシュ支援の結果に直面している人々は、アサドと完全に敵対し、話そうとさえも、しないままでいるのは、政治的に極めて困難になるだろう。しかも、ダーイシュに対するいかなる軍事的取り組みも、シリアと協調しなければ、全く無意味だ。アメリカと連中の傀儡どもが現在行っていることは、違法であるのみならず、全く効果もないのだ。これを、100%合法な反ダーイシュ連合(シリアは主権国家なのだから、支援する誰でも招きいれられる)を作り上げることを目指す、(あらゆる空爆やミサイル攻撃がシリア軍の地上作戦と連携することになる)効果的な、ロシアの姿勢と比較されたい。
昨日アサド演説を聴きながら、最終的には、アメリカが引き起こした狂気は終わり、大半の世界指導者たちが正気を取り戻し、更に言い表せないほどの恐怖で、中東や更に外部まで脅かす前に、ダーイシュのたわごとを止めることに本気で関心を持っている全員にとって、アサドと話すことは単なる“選択肢”ではなく、最優先事項であることを悟ることを彼は確信しているのだと私は感じた。
私は彼が正しいことを願っている。
記事原文のurl:http://thesaker.is/listening-to-bashar-al-assad/
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国会前の大学教授による「鉛筆も購入しないように」発言を批判する記事をみかけた。
戦争で一番大儲けする企業と、たまたま同名なだけ。鉛筆会社は系列ではない。昔何かの機会に、それを読んでいたので、スピーチを聞いた際、「アレレッ!?」と思った。
仕事で系列電気メーカー工場に伺ったことがある。若い女性社員も消防署員の様な服装をして、構内移動時も、歩かず、走っていたと記憶している。プロレス番組スポンサーだったので、休憩時間にリング床を電気掃除機で清掃する場面を、子供時代何度も見た。それで、あの銘柄のクリーナー買ったことがない。同社エアコンも止めよう!なら良かった。
うっかり系列と間違えた不買運動を呼びかけまずかったろう。しかし、連中、そういう「重箱の隅をつつく」暇があったら、国際問題の真相をついて欲しいものと思う。ありえないが。
電気洗脳箱、すっかり大政翼賛会洗脳モードに復帰。参院選挙までに忘れさせるために。
購読している新聞、一面には大きく戦争法案のことが載っていて、中を開くと、TPP締結が遅れる懸念が書いてある。
戦争法案とTPP、共に、宗主国による属国支配強化の手段。
片方の戦争法案については、多少は反対論もあると報じることもあるが、
TPPについては、反対論一切載せず、洗脳わい曲報道ばかり。
対策は、本日、海坊主様に書き込みを頂いた様に、戦争法案、TPP加盟に賛成する議員をことごとく落選させることだろうが、決して不可能とは思わないが、言うは易く行うは難し。
たとえば「戦争法廃止の国民連合政府」の進展を見れていれば成否、想像がつきそう。
高校生時代から、自分の首をしめる政治家に投票する人々の考え方が理解できずにいる。今も。
正確に言えば、インチキな小選挙区制により、20%程度の連中が、大多数をとれる仕組みになので、不思議なB層の人々が、大多数というわけではないのだろうが。
しかし、このインチキ制度、そもそも支配層の手先、大本営広報が必死に売り込んだもの。それゆえそうしたインチキな仕組みの詳細を大本営広報は決して批判することはない。
『満州暴走 隠された構造 大豆・満鉄・総力戦』安冨歩著 角川新書
第四章 満州の崩壊 そして魂の脱植民地化へ
224ページの小見出しに
私たちは今、満州国に住んでいる
とある。
小生、何度も書いているが、満州について本格的に研究された方がおっしゃるのだから本当なのだ。詳しくは各自お読み願いたい。
227ページにはこうある。
「押しつけ憲法を変えろ」とか「自衛隊を外国へ派遣しろ」と言います。しかし、これは議論のポイントが間違っているのです。
日本にとって根本的な、最大の問題は、この「魂が植民地化されている」という事実です。
だから、単に甘やかされて育っただけの、あの軽薄な人物の演説は聴く聞く気にならない。
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コメント
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アサド大統領の言っていることは、間違ってはいないだよね。特にISISとかはね。
ロシアがシリアに軍を送り終息を図ろうとしているが、果たしてうまくいくかな?アサド大統領の言う欧米側を抑えないとISISはどうしょうもない気もする。
日本の問題は不正選挙と最高裁が日本政府の言うことをきいていることではないか?憲法違反について最高裁というか裁判所はちゃんと権限を持っているのに、日本政府の言うことをきく機関に成り下がっている。
投稿: すずか | 2015年9月20日 (日) 16時40分
『リベラル派の判断力のリトマス試験紙』になったのが『シリアとクリミア』いまだに『戦争屋に騙されたまま』の反安保派もいます。
投稿: ローレライ | 2015年9月20日 (日) 15時34分
以前、カダフィ アサド は民衆の敵という世論のような中で、はやくつかまれと新聞を読んでいました。NATOの空爆が少ないことに腹をたて、空爆強化でカダフィが敗れたときは喜んだものでした。ところが、最近ネットをみるようになり、世界の情報を知るにつれ、邪悪な一部の人間がマスコミをコントロールし、人々を自分たちの利益のためマインドコントロールしているという図式が見えてき、今やアサドはこの勢力に孤軍奮闘立ち向かう勇者だということがわかりました。海外記事は海外からの視点で解説され真実がより理解できるようになります。、翻訳 ご紹介いただきありがとうございます。
戦争法案も海外の邪悪な勢力を追い詰めてゆけば、主人のいなくなった犬のように路頭に迷うだけになるでしょう。
投稿: 赤胴鈴之助 | 2015年9月20日 (日) 11時35分