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2015年9月24日 (木)

トルコはファシスト国家と化したのか?

Eric Draitser
2015年9月21日
New Eastern Outlook

ナチス・ドイツ敗北から70年、ファシズムが猛烈な勢いで再浮上した。この復活は、ヨーロッパの至るところや旧ソ連圏、恐らく特に注目すべきは、ナチズムが国粋的愛国心を装って、アメリカ合州国と欧州連合のあらゆる支援を得て、国の政治・軍事機構に、しっかりと根付いたウクライナでも見られる。西ヨーロッパの人種差別的言辞と外国人嫌いから、ギリシャとウクライナでのファシスト肖像を掲げた、たいまつ行進に至るまで、この伝染力の強い病が、またしてもヨーロッパ大陸の国民を感染させている。

ところが、すぐ東では、社会学者、政治学者や、国際左翼による華々しい批判もほとんどなしに、トルコは、静かに、攻撃的で非常に反動的な、市民的自由や人権が、いわゆる“国粋主義”の重みで踏みつぶされる国へと変身した。初代首相で、現在大統領エルドアンの指揮のもと、トルコは、ヨーロッパ諸国の社会で、自由民主主義として受け入れられたいという、かつて心から抱いていた願望を抑え、代わりに、海外での地域覇権と、国内でのファシスト暴力という路線を選択した。

さて、特に歴史的発展と文脈で見れば、ファシズムという言葉には様々な意味があり得ることに留意が必要であることを冒頭で述べておこう。本当の意味を奪ってしまう危険をおかして、この言葉をやみくもに使用しないよう注意すべきだ。実際、2015年のトルコは、ウクライナや、ヒトラー下のドイツ同様、ファシストだというのは公正ではあるまい。そのような表現は、非常に無責任で、全く正確ではないだろう。

とは言え、‘エルドアン時代’のトルコを綿密に分析すれば、トルコが、暴力を、政治的手段に、弾圧と検閲を、政府の標準慣行に、テロ支援を外交政策にしてしまっていることが明らかになる。もしトルコが、まだファシストという俗称を勝ち得ていなくとも、その途上にある可能性がある。

市民的自由と人権に対する戦争

NATOの主要加盟国というトルコの立場も大きく影響して、欧米商業マスコミによってほとんど無視されているが、エルドアン政権は、市民的自由、とりわけ、言論と報道の自由の弾圧を強化している。アメリカやヨーロッパは、まさに、こうした市民的自由の侵害とされるものについて、ロシアや非欧米世界を、頻繁にどなりつけているが、トルコのお仲間は、そのような弾圧を、標準政策にしてしまっているのだ。

その好例が、エルドアンと彼の政権にとって不都合だったり、悪影響を及ぼしたりすると見なされる記事を勇敢にも報じるジャーナリストの迫害、脅迫と告訴の可能性だ。例えば、人道援助物資を載せているとされるトルコのトラックが、実際には、シリア政府と戦うテロ集団向けの武器を満載しており、しかも、こうしたトラックを、トルコの国家諜報機関(MİT)が運用していたという、広まっていた疑惑を確認するビデオ映像と盗聴内容の書き起こしを同紙が公表した後、トルコ日刊紙ジュムフリエト編集長のジャン・デュンダルの起訴と終身刑に対する世論を見てみよう。ヒューマン・ライツ・ウォッチ(アサド政権に対して、極めて敵対的な団体)や他の団体が要求しているにもかかわらず、エルドアン政権は捜査をやめ、アンカラはジャーナリストへの脅迫と弾圧を推し進めているように見える。

実際、国際的に尊敬されているジャーナリスト保護委員会(CPJ)は、2012年と2013年、トルコは世界一多くジャーナリストを刑務所に投獄している国だと報じた。2014年、クルド支持者の一部を釈放したことにより、投獄されているジャーナリスト数は減ったものの、弾圧は新たな形の新たな標的のものとなり、かつてエルドアンの同盟者で、現在は、ライバルのフェトフッラー・ギュレンが運営する教育と経済活動の国際ネットワーク“ギュレン運動の手先”だとエルドアン政府に非難されている者が多い。この非難は、様々なマスコミ人や組織、実際には、対シリア政策、汚職や検閲や他の様々な問題で、エルドアンに異議を申し立てるあらゆる人々を弾圧するお決まりの口実と化した。

実際、2014年12月、ザマン紙が“武装テロ組織立ち上げ”に関与していると主張して、トルコ警察は、トルコで最も人気のある新聞の一つザマン新聞本社を強制捜査した。当局は、ザマン編集長エクレム・ドゥマンルや、サマンヨル・メディア・グループ会長ヒダイエト・カラジャと、プロデューサー、脚本家と監督を興隆した。

トルコ・ジャーナリスト協会(TGC)と、トルコ・ジャーナリスト労働組合(TGS)は、エルドアン政権による強制捜索と、ジャーナリストに対して続いている弾圧を非難する共同声明を発表したが、そこには、こうある。

“テロ組織メンバーだという容疑で、公正な裁判を受ける彼らの権利を侵害して、約200人のジャーナリストが、かつて投獄されていた。ジャーナリストたちは現在、再び投獄されている。こうした展開は、トルコにおいて報道の自由と思想の自由が罰せられており、報道が自由ではない一連の国々と同列となっていることを意味する。”

国際組織も、この報道の自由の甚だしい侵害に対する怒りを表明した。国際ジャーナリスト連盟(IFJ)と、その地域団体、ヨーロッパ・ジャーナリスト連盟(EFL)はこう述べた。“報道の自由とトルコ民主主義に対する、この恥知らずの攻撃に我々はがくぜんとしている…政府中枢での腐敗暴露から一年後、当局は、国に反対する見解を表明する人々を標的に、報復しているように見える…この最新の行動は、ジャーナリズムへの当局の軽蔑が衰えていないことを実証している。”

もちろん、言論の自由、そしてマスコミ一般に対するアンカラの戦争は、ザマン紙やジュムフリエト等の定評のあるマスコミに対するもののみならず、市民メディアやソーシャル・メディアに対しても行われている。エルドアンの取り巻き連中や、彼の公正発展党(AKP)内の政治エリートの腐敗を立証する録音がツィッターに漏えいしたことに反撃して、エルドアンは、ソーシャル・メディアを攻撃し、政府は即座に、ツィッターへのアクセス制限に動いた。国家安全保障の脅威どころではないのに、ソーシャル・メディアが、私腹を肥やし、国内の反対意見を弾圧しながら、外国のテロリストに武器を与えている、政権のむき出しの腐敗と犯罪行為を知る手段となっていることに、エルドアンは立腹した。

漏えいに対抗し、“国際社会は、ああ言えばこう言うものだ。私は全く気にしない。誰もがトルコ共和国がいかに強力かを見ることになる。”と述べて、エルドアンは、フェースブックやユーチューブを含むあらゆるソーシャル・メディア・サイトの全面禁止まで示唆した。自らを大統領というより、オスマン・トルコ皇帝や、絶対君主だと思い込んでいるエルドアンにとって、この種の誇大妄想症狂の言辞が当たり前になっている。

実際、今年早々、エルドアン政権は、重要な選挙の直前に、二度目として、ソーシャル・メディアを閉鎖した。例により、検事が人質に取られ、後に殺害された画像が、オンラインで広まった後、裁判所で、ソーシャル・メディアが“武装テロ集団のためのプロパガンダ”を広めていると政府は述べた。だが、もちろん、あの行為は、AKPに敵対的で、与党に反対する青年を動員するに利用されていたソーシャル・メディア・ネットワークを閉鎖するための好都合な口実になったのだ。

ソーシャル・メディア・サイトに対する規制は、それ自体、必ずしも、全て否定的ではないことに留意すべきだ。実際、国々には、ソーシャル・メディアを非常に強力な武器として活用する、でっち上げのカラー革命式の不安定化から防衛する手段として、自らのサイバースペースを支配する権利がある。しかし、例えば、サイバースペースに対して、体系的な、首尾一貫した支配をしている中国などと異なり、トルコはそうした支配を、政府の都合のいいように、散発的に利用するだけなのだ。法律に基づく一貫した対策というよりは、大統領兼独裁者の気まぐれに見える。

国粋主義の抗議行動参加者か、ファシストの殺し屋か?

ジャーナリストや一般市民の弾圧は別にして、トルコも、人種差別に基づく暴力行為を頻繁にする超国家主義者、ファシスト集団の高まりに直面している。今月始め、様々なファシスト団体のメンバーが、国内、様々な市で、多数のクルド人の政治事務所や、クルド人が所有する企業を攻撃した。首都アンカラでは、若者集団が、トルコの親クルド政党、人民民主党(HDP)本部を攻撃した。ファシスト暴漢どもは、ビルに侵入して炎上させる前に、投石した。

そのような攻撃は、それぞれイタリアとナチス・ドイツの黒シャツや、褐色シャツ(突撃隊員)ファシストの大いなる伝統で、2014年5月2日、ウクライナのオデッサで、何十人もの無辜の男女がウクライナ・ナチスによって殺害された反ファシスト抗議行動参加者への攻撃を不気味なほど彷彿とさせる。実際、ビル焼き打ちには、二つの攻撃の忌まわしい類似点があり、攻撃を防いだり、攻撃が始まった際も介入したりするようなことは何もしないに等しいように見える警察の共謀を示唆している。

同様に、クルシェヒル県では、憎悪に満ちたトルコ至上主義の立場を奉じるファシスト政治団体である民族主義者行動党(灰色狼としても知られている)のメンバーと支持者が、HDP事務所を攻撃した。クルシェヒル市では、連中の暴漢が、人種差別が動機のヘイト・クライムとテロとしか表現しようがない行動で、少なくとも20社のクルド人が所有する企業に放火した。クルド労働者党(PKK)を、テロ組織と非難し、PKKと支持者に対し、暴力的、非暴力的、両方の戦争をしかけながら、エルドアン政権は、自らのファシスト連中による暴力行為を、全く見て見ないふりをしているのだ。

テロ支援国家トルコ

エルドアン大統領は、シリアのアサド大統領打倒を再三、呼びかけており、トルコが、シリア政権転覆を最も声高に語る国の一つだということは誰もが知っている。シリア政権打倒のための攻撃に至る前、トルコは対ダマスカス戦争の最前線にいる多数のテロ集団を受け入れていた。このように、トルコは聖戦戦士動員のるつぼなのだ。ワッハーブ主義過激派とファシズムとの区別に関する意味論的議論をせずとも、両方のイデオロギーが、優位と権力を目指す中で、同様に至上主義者で、暴力的外観を信奉していると言うだけで十分だろう。

2012年、ニューヨーク・タイムズは、ムスリム同胞団との長年のつながりを利用して、CIAが、トルコ-シリア国境のトルコ側から、反アサド勢力に武器を与え、資金提供していたことを確認した。ところが、トルコの裁判所や、エルドアン政府によって標的にされているのと全く同じ新聞各紙の第一面で明らかになった情報のおかげで、トルコ諜報機関も、ヌスラ戦線や他のテロ集団に武器を与え、補給をしていることが明らかになった。

秘密の不安定化戦争だけどころか、シリア現地での積極的な軍と支援の役割の両方で、トルコは直接関与している。実際、ジュムヒュリエットが入手し、トルコ裁判所に提出された盗聴の書き起こしと、衝撃的なビデオ画像によって、無数の目撃者が述べていることが裏付けられている。トルコの治安部隊は、シリア国内でのアルヌスラ戦線や他の聖戦集団のための、砲撃と支援作戦に直接関与してきた。これは、トルコのヘリコプターや重火器が、2014年中と現在の作戦の両方で、アルヌスラや他のテロ集団の支援で使用されたという、カッサブや他の都市の目撃者説明を裏付けている。

トルコは、テロを支援していることで、ファシストということになるのだろうか? そうではない。もちろん違う。もしそれが唯一の判断基準であれば、全ての欧米諸国が“ファシスト”扱いされることになろうが、この単語は歴史的意味も含め、すっかり意味を失ってしまう。とはいえ、テロは、地域を彼自身のイメージ通りに作り替え、中東を新オスマン帝国の勢力圏と覇権で書き換えるというエルドアンの狙いの手段だ。そうした偏執狂は、連中がボナパルト主義者であれ、ファシストであれ、エルドアンのように誇大妄想的な指導者にとっては、きわめて典型的だ。

とはいえ、国内での政治的弾圧は、けんか腰の外交政策や、自分の信奉者以外のあらゆる人々の権利や福祉の徹底的無視とあいまって、エルドアンを、ずばりファシスト陣営に位置づけることになる。これは大げさな表現で、ヒトラーやムッソリーニや、現在のウクライナの政治指導者やオリガルヒと同じ次元で、エルドアンに言及すべきでないと主張することも可能だろうが、明らかな差異があるのだから、それももっともな指摘だろう。

しかしながら、もし読者が、トルコの監房に収監されているか、毎日の帰宅時に、危険が迫っているのではないかと肩越しに振り返っているジャーナリストであれば、差異は取るに足りない。もし読者が、自分の父親や兄が、トルコ政府が提供した兵器で、国の破壊を叫び続けているテロリストに殺害されるのを目撃したシリアの子供であれば、差異は重要ではない。

つまるところ、トルコが既にファシストなのか、ファシズムへの途上なのか、単に右傾化しているのかはさておき、過去数十年間のトルコ共和国、不安定な地域における、民主的リベラリズムと現実主義の指針となるはずだった、イスラム国家のNATO加盟国というものは、もはや、はるか昔の記憶にすぎないというのが、厳しい現実だ。

Eric Draitserは、彼はニューヨークを本拠とする独立の地政学アナリストで、StopImperialism.comの創設者で、RT論説記事のコラムニスト。本記事は“New Eastern Outlook”オンライン誌独占。

記事原文のurl:http://journal-neo.org/2015/09/21/has-turkey-become-a-fascist-state/

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これからどうなる安保法 (1)米要望通り法制化 東京新聞 本当のことを書く新聞があるのに驚嘆。

購読料を支払って読みたい新聞だが、いつものスーパー・チラシが入っているかどうかが心配で新聞切り換えられずにいる。購読していれば、この号、スクラップして保存できただろう。

大本営広報部の深夜番組、とうとう売り出し中の女性政治学者登場。あわてて消した。

シリア内戦や難民問題記事を読みながら、いつも冒頭の画像を思い浮かべていた。いつもは、わが国トップの、この画像。

記事を読んでいて、トルストイの小説『アンナ・カレーニナ』冒頭の一節を思い出した。

幸せな家族はどれもみな同じようにみえるが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある

念のため、ロシア語原文を貼り付ける。半角ではなく、全角になってしまうのが残念。
Все счастливые семьи похожи друг на друга, каждая несчастливая семья несчастлива по-своему.

参考にはならないが、アメリカ語ではこう訳してある。

Happy families are all alike; every unhappy family is unhappy in its own way.

不幸な属国のトップは誰も皆同じように見える。

記事を読みながら、こう妄想したくなった。残念ながら、こじつけではないだろう。

辺野古の反基地運動に対する攻撃を防いだり、攻撃が始まった際も介入したりするようなことは何もしないに等しいように見える警察の共謀を示唆している。

戦争法案反対の抗議行動の声に対し、“国民は、ああ言えば、こう言うものだ。私は全く気にしない。誰もが日本がいかに強力かを見ることになる。”と述べて、首相は、大本営電気洗脳局やユーチューブを含むあらゆるソーシャル・メディア・サイトの全面管理を実行している。自らを首相というより、将軍や、絶対君主だと思い込んでいる彼にとって、この種の誇大妄想症狂の言辞が当たり前になっている。

つまるところ、日本が既にファシストなのか、ファシズムへの途上なのか、単に右傾化しているのかはさておき、過去数十年間の日本、不安定な地域における、民主的リベラリズムと現実主義の指針となるはずだった戦争を放棄した平和国家は、もはや、はるか昔の記憶にすぎないというのが、厳しい現実だ。

妄想はさておき、厳しい現実をしっかり報じているIWJの記事をお読み願いたい。岩上氏、戦争法案反対抗議行動の取材時、脚立から転落して負傷されたという。

【緊急アップ!】「警察は右翼団体を利用しているのでは」暴力行為を黙認した沖縄県警の不可解な対応――安保法制の成立翌日、辺野古新基地建設に反対する座り込み行動440日目に起きたテント襲撃事件

2015/09/07 「まさに米国の米国による米国のための制度だ!」法廷に入りきらないほどの傍聴人が詰めかけた「TPP交渉差止・違憲訴訟」の第1回口頭弁論〜山田正彦前農水相ら原告が報告集会

【岩上安身のツイ録】寝ぼけている民主党の議員へ 〜「対米追従」「新自由主義」路線からの大転換が進む欧米諸国、安倍政権とは真逆の方向へ転進中!「戦争法案成立後」の時代を見通せ

岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

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コメント

難民急増の時、トルコがISISを空爆すると聞き、ちゃんとした国かと思いましたが、その後(ISISと戦っている)クルドにも爆撃を加えたというニュースを聞き、トルコを理解できませんでした。米国と歩調をあわせているので、マスコミも真実を伝えようとしないようです。海外記事でトルコがみえてき、またテロ支援の内部矛盾で多くに人が本性にきがついてゆくでしょう。

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