兵器としての難民 - ドイツは同盟相手を変えるのか?
Peter Koenig
2015年9月17日
Veterans News Now
ドイツは、ロシアと共に、イランと並び中東における二つの安定要因であるアサド政府を、実際に擁護し、存続を支持する可能性がある。
トルコ国内のシリア難民キャンプ – トルコ当局は、ギリシャ国境近くのエディルネ幹線上にキャンプを設けた何百人もの難民が、もし退去を拒否すれば、三日以内に強制的に退去させると発表した。
トルコは200万人の難民に熱心に門戸を開き、60億ドルもの資金を投入した難民キャンプに収容した。利他心からではなく、アメリカ、NATOとEUと共同で、地政学的兵器として利用するために。 - German konjunktion.info network.
これは説得力あるシナリオだ。トルコは長年、難民に対し、怪しげな‘門戸開放’政策を実施し、しっかり資金を得て、良く組織された難民キャンプに何十万人も抱え込んだ。最近トルコのボトラム(ギリシャの町コスへとわたるトルコの町)訪問時、難民の流れ、つまりトルコからの出国を、よりうまく管理すべく、エルドアン政権は、トルコ国境沿いの大半の難民キャンプを廃止し、イスタンブール近くの巨大キャンプに移したと言われた。
こうしたキャンプは、最終的に、NATOと連中の代理テロリスト、ISIS-ダーイシュの侵略に役立つ‘避難場所’を北シリア内に作り出すのを正当化する長期戦略の一環だ。一度シリア内に入ってしまえば、連中は計画されて久しい‘政権転覆’- 民主的に選出されたバッシャール・アル・アサド政府打倒を実行するためダマスカスに向かって進撃可能になる。
バッシャール・アル-アサド大統領の当選を祝うシリア国民
2014年6月3日、ワシントンと傀儡EU諸国が非正統だと切り捨てている国際監視団によって“自由で、公正で、透明”と見なされている選挙で、ほぼ90%の得票で彼は選ばれた。バッシャール・アル・アサドの支持率は現在も75%を越えている。
この悪魔的な計画は、既に2012年に、ネオコンのブルッキングス研究所によって立案されていた。
政権転覆のための選択肢評価と題するブルッキングス中東セバン・センターのメモ# 21。『シリア脱構築: 連合国家の為の現地化された戦略に向けて』と題する、より最近の報告が、可能になり次第、シリア国内に、いかにして“穏健派が確実な安全地帯を確立するかを述べている。アメリカや、サウジアラビアや、トルコや、イギリスや、ヨルダンや他のアラブの軍隊が、空からのみならず、最終的には地上でも特殊部隊[つまり、ISIS-ダーイシュ -筆者の見解] も送り込んで、支援するだろう。このやり方は、シリアの開かれた砂漠地帯のおかげで、技術や、巡視や、シリア現地人戦士が設置するのを外部の特殊部隊が支援できる、他の方法を組み合わせることで、考えられる敵攻撃の兆候が監視できる、緩衝地帯の設置が可能だという環境の恩恵がうけられる。”
平行策あるいは予備策として、ワシントンとNATOとトルコの非神聖同盟は、トルコの難民水門を開放することに同意し、実際に脱出を促進し、避難場所の自由支配を獲得するため - 適切な時点で出てゆかせ、ヨーロッパで、適切な圧力、あるいは、不安定化効果を生み出したりする、大半がドイツに逃れたがっている大量難民を増やすことを推進している。そう。まさにこれが起きているのだ。
シリア難民用に、国境を開放するドイツ
わずか一週間ほどの間に、ドイツは、いくつか、劇的で物議を醸すような行動をとった。そうしたものの最初のものは、特にシリア難民に対し、2015年末まで、大半がシリア人の800,000人、あるいはそれ以上の難民に、国境を開放するという、難民政策に対する180度転換の様に見える。この突然の難民歓迎は、より人間味のある難民政策を要求していた多くのドイツ人を驚かせた。
シリア難民を乗せた客車へのあるドイツの町での心温まる歓迎
ほぼ同時に、ドイツは、不釣り合いな人数のシリア人以外の人々やISISや他の聖戦戦士分子や集団の侵入を恐れ、‘国境開放’という重要なシェンゲン協定を乗り越えて、国境管理を再開した。アメリカが訓練し、資金を与えているそうした不安定化集団が既にヨーロッパにとどまっていることが分かっており、もし必要があれば、すぐさま選挙を操作したり、アラブの春風の、より最近ではウクライナの大規模デモを組織したりできる。そうした不安定化集団のスポンサーとして、ワシントンで最も悪名高い組織の一つは全米民主主義基金 (NED)で、彼らは国務省から何億ドルも得ている。
NEDは、ベネズエラ、エクアドル、ブラジル、アルゼンチン、スーダン、シリア、レバノン、イランを含む、世界中の何十もの更に多くの国々における不安定化、あるいは不安定化しようという取り組みの原因だ。
全く何の罰も受けずに、無法に、何のためらいもなく、世界覇権を得るために活動しているワシントン・ネオリベラル帝国の、果てしない邪悪を、我々は容易に忘れたり、信じられなかったりすることが多い。戦争産業に依存する経済を維持するため必須のもの、絶えざる戦争と紛争で食べているのだから、それでも十分ではないのだが。やはり連中が支配している主流マスコミ、つまりアメリカという戦争の犬を振り回す‘シオニスト英米の金融・マスコミ尻尾が、我々を毎日ウソと歪曲したニュースで洗脳し、帝国の善良さについて、我々に良い印象を与え、平和で調和的な主権国家の共生を求める人々全てを中傷するおかげで、我々はそれを忘れたり、信じられなかったりするのだ。
例えば今日9月16日、NYタイムズはこう報じている。
“最近のロシア兵器や機器のシリア配備で、プーチンが大統領に復帰して以来、ロシア[プーチンとあって]とつきあうか、孤立化させるかの選択というオバマを支配してきた葛藤は最終段階を迎えた。”住宅を、町を、文化を、生活を破壊し、何千人ものシリア人、イラク人、アフガニスタン人、リビア人、イエメン人を殺害し、生き残った人々を祖国から脱出させているISIS-ダーイシに対して、オバマ政権が、中東における代理人達、最も重要な国だけ上げれば、サウジアラビア、カタールやトルコと共に、資金と武器与えていることについての一言の言及でもご覧になっただろうか?
いや。ゼロだ。
記事は更に続いて多くの[アメリカ-シオニスト・エリート -筆者注]は“会えば、プーチンの思うつぼにはまるだけで、世界的ごろつきに報酬を与えてしまうと懸念していると言う。”果てしないテロを世界中に広める世界唯一のごろつきは、オバマとアメリカ (ごく少数)、ヨーロッパ(の全て)とアジア(少ないが増えつつある)の彼の子分だけなのに。
それが全てではない。NYTは更なる知恵を与えてくれている。
“オバマ大統領の辞職要求に長年抵抗してきたバッシャール・アル・アサド大統領の政権にてこ入れするためのロシアによる動きは、「イスラム国」テロリ組織と戦う上でのやり方の食い違いを明らかに示している。”
8月29日、ホワイトハウス前で、アメリカによるシリア軍事介入の可能性に反対する抗議行動参加者の行進。Saul Loeb / AFP – Getty Images
主権国家の、民主的に選出された指導者に辞任を要求するオバマは一体何様だろう? NYTや、ご同類マスコミを読んでいる方々が、そうした発言が全く違法だという疑問を思いつかれることが一体あるだろうか? 欧米の読者・視聴者は、こうした類の覇権の傲慢さが、自らの頭上に降りかかる可能性に思い至ることはないのだろうか? ワシントンが指揮した酷い残虐行為で、長年自国が苦しめられている、シリアのバッシャール・アル・アサドは、欧米の覇権王オバマに辞任を要求する、同じ権利を持っていないのだろうか? 一体どうすれば、そうした同等の仮説が出てくるのだろう?
9月15日、集団安全保障条約(CSTO)の安全保障理事会は、テロリストや過激派集団による活動の急増や、CSTO諸国の国境状況の不安定化を含む、現在最大の軍事的、政治的課題に対する効果的対応を見いだすことに焦点をあてて、タジキスタンのドゥシャンベでサミットを開催した、。CSTO加盟国は、ロシア、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギスタンとタジキスタンだ。
CSTO委員会での演説で、プーチン大統領はこう述べた。
ドゥシャンベにおける集団安全保障条約(CSTO)の安全保障理事会でのウラジーミル・プーチン大統領演説
“現地の [アフガニスタン、イラクやシリアを含む地域]状況は極めて深刻だ。いわゆる「イスラム国」は、イラクとシリア領土のかなりの面積を支配している。テロリストは既にメッカ、メジナやエルサレムを標的にしていることを公に述べている。活動を、ヨーロッパ、ロシア、中央と東南アジアに拡張することも彼らの計画にある。
我々はこれを懸念している。過激派は、残念ながら、ヨーロッパ諸国、ロシア連邦や旧ソ連共和国の多くを含め、世界中の多くの国々からきているISISによるイデオロギー的洗脳と軍事訓練を受けているのだ。そして、もちろん我々は、彼らがわが国の領土に戻ってくる可能性を懸念している。
世界的、地域的安全保障に対する基本常識と責任感が、この脅威に対し、国際社会が協力することを要求している。地政学的野望を退け、好ましからぬ政府や政権の転覆を含め、隙につけこむ狙いを実現するための、いわゆる二重基準や、個々のテロ集団を直接、間接に利用する政策を投げ捨てる必要がある。
ご承知の通り、ロシアは、過激派に対抗すべく、迅速に広範な連合を構築することを提案している。テロと戦うため、イラクとシリアの国軍が現在行っている様な対応をする用意がある国々、あるいは既に対応している国々全てが団結する必要がある。私は申し上げたいが、テロリストの侵略に対抗して、我々はシリア政府を指示する。我々は必要な軍事技術支援を提供し続けるつもりであり、他の国々にも参加するよう促したい。”
ドイツの、大胆で物議を醸している行動に話を戻そう。ドイチェ、ヴィルトシャフツ・ナハリヒテン(DWN)紙は、2015年9月12日こう報じている。
“予想外の動きで、ドイツは、アメリカが作った反プーチン同盟を離脱した。ドイツは今や、公式にモスクワがシリアですぐに行動する用意があることを歓迎し、ロシアとフランスと共に戦争を終わらせるための取り組みを開始したのだ。これは、難民の絶え間ない流れを止めるためのものだ。ドイツは、何千人もの兵士に即応体制を命じた。”http://www.sott.net/article/301791-Germany-moves-away-from-the-US-anti-Putin-alliance-and-joins-forces-with-Russia-in-coalition-to-defeat-ISIS
「イスラム国」やその関連テロ組織に対する共同行動に対するウラジーミル・プーチンの呼びかけに耳を傾け、ワシントン-NATO-トルコが新たに生み出した新たな不安定化用兵器“難民ミサイル”に直面して、ワシントンと共にでなく、ロシアと共に戦うため、欧米が生み出したISIL-ダーイシのテロに対し、自国領土から戦争を行う用意をするため、ドイツが再び憲法を踏み越えたのは偶然ではあるまい。
ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、ドイツや他の西ヨーロッパ諸国は、継続中のシリア危機を解決するにはロシアが必要だと述べた。
ドイツは、ホワイト・ハウスの表裏ある完全な偽善を、とうとう理解したのかも知れない。一方では怪物に資金提供し、支持し、一方では怪物と戦うという偽善を。ISISに対する形ばかりの攻撃で、‘避難場所’を活用し、現実にはダマスカスに向け前進させている。このような裏表がある戦略は、もちろん新しいものではない。自称世界の覇者は、両世界大戦を含め少なくとも100年間、これをやりつづけてきた。
戦闘機を「イスラム国」テロと戦うためにを送るつもりだと既に宣言したオランド大統領が、ドイツと共に、ロシア側につこうとしている。
もし、戦闘機を「イスラム国」テロと戦うためにを送るつもりだと既に宣言したフランスのオランド大統領が、ドイツと共にロシア側に加わり、そしてもし他のヨーロッパ諸国が続けば、サウジアラビアのロシアとの和解(http://www.globalresearch.ca/western-sanctions-on-russia-russia-china-cooperation-a-tectonic-shift-of-the-global-economy/5473158)や、いわゆるイランとの‘核合意’などによっても実証されている、地政学上、有意義な変化となる可能性がある。P5+1諸国(中国、フランス、ロシア、イギリスとアメリカ合州国、+ドイツ)によるこの画期的決断は、ネタニヤフの抗議や、アメリカ議会でのあり得る反対がどうであれ、世界によって、広く中東での新たな好機として見なされている。核合意は既に影響力を及ぼしている。アメリカの‘経済制裁’が依然行われているにもかかわらず、新たな外交・事業投機者連中が、世界中からイランに群がりつつある。
南西ドイツにあるこの基地は、在ヨーロッパ・アメリカ空軍とNATO基地司令部のみならず、全世界のアメリカの軍事作戦の玄関口でもある。
ドイツはいまだに ヨーロッパ最大のラムステイン・アメリカ空軍基地を受け入れており、そこで、アメリカ合州国世界ドローン計画の大半が調整され、実施されている。憲法が自国領土からの戦争という形による攻撃を禁じているドイツ国内の米軍基地によって、何十万人もの人々が殺害されているのだ。大規模な反ラムステイン抗議行動が、9月末に予定されている。ドイツ人の意識は、ネオコン・シオニスト・ワシントン覇権の殺人装置にもはや我慢できないほど高まっている。
ドイツは、ロシアと共に、イランと並び中東における二つの安定要因であるアサド政府を、実際に擁護し、存続を支持する可能性がある。これは、ヨーロッパが次第にロシアに対する敵意や経済的孤立化から離脱する兆しの可能性がある。
変化は、ヨーロッパがドルとユーロという不換紙幣制度が破滅への道をたどっているアメリカ-欧米支配という沈みつつある船から距離をおき始めていることによっても示されているようだ。その代わり、ヨーロッパは、2014年3月、中国の習近平国家主席がメルケル女史に提案した新シルク・ロードに向け、東との新関係に扉を開く可能性がある。この新たに開いた扉の敷居が越えられ次第、新たな無数の経済、金融上の機会がドル-ユーロ完全支配を打ち破るかも知れない。
Peter Koenigは、経済学者で、地政学専門家。彼は元世界銀行職員で、世界中で、環境と水資源について広範囲に働いた。彼は、Global Research、ICH、RT、Sputnik News、TeleSur、The Vineyard of The Saker Blogや、他のインターネット・サイトに良く寄稿している。彼は事実と、世界銀行での世界中での30年間という経験に基づいたフィクションの「Implosion - An Economic Thriller about War、Environmental Destruction and Corporate Greed」の著者でもある。彼は「The World Order and Revolution! - Essays from the Resistance」の共著者でもある。
記事原文のurl:http://www.veteransnewsnow.com/2015/09/17/521637refugees-as-weapon-and-germany-shifting-alliances/
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固有名詞を変えると、そのまま日本。たとえば下記。
日本はいまだに極東最大の嘉手納アメリカ空軍基地を受け入れており、そこで、アメリカ合州国のアジア・中近東における攻撃計画の大半が調整され、実施されている。憲法が自国領土からの戦争という形による攻撃を禁じている日本国内の米軍基地によって、膨大な数の人々が殺害されているのだ。大規模な反辺野古新基地抗議行動が、9月末に予定されている。日本人の意識は、ネオコン・シオニスト・ワシントン覇権の殺人装置にもはや我慢できないほど高まっている。
話題のシリア難民問題で最大の役割を演じているのはトルコ。そこで昔読んだ『トルコのもう一つの顔』を読み直した。まだ読んでいなかった『漂流するトルコ トルコのもう一つの顔 続』も。著者にはもう一冊興味深い日本語の本がある。『再構築した日本語文法』。この本の主題、今回の話題に直接関係ないのでご紹介、今回は割愛する。トルコについての二冊を再読・拝読しながら、これだけの言語学者の方が、日本語について書いておられないのは、あまりに残念と思ったので、再度調べてきがついて購入した、とだけ申しあげておこう。
『トルコのもう一つの顔』を最初に読んだ時は実に驚いた。再読してまた驚いている。トルコ歴史の本というか、トルコ専門の学者には絶対に書けない内容だ。トルコの言語を研究する学者が、学問に誠実なあまり、トルコ政府から国外退去させられてしまう。言語を調査する学者が、現地に入れないことが、どれだけつらいことだろう。『漂流するトルコ トルコのもう一つの顔 続』は、長い年月の後、ようやく再入国を許されての体験。またしても強制退去させられるが。
この本を読んだこと、実に驚いたことをすっかり忘れ、カッパドキアに行きたい、とか、ギョレメに行きたいと、実現しようのない夢想とはいえ、ミーハーなことを考えていたのが恥ずかしくなった。
物理学者であるがゆえに、アメリカ史の真実を描くことができた藤永茂氏の『アメリカインディアン悲史』を連想する。トルコ政治史や、歴史を専攻している学者先生は、こうした衝撃的な真実を書けない。書けば、再入国できなくなる。藤永茂氏はアメリカ研究者ではないので、思う存分書けたのだろう。
森嶋通夫『智にはたらけば角が立つ――ある人生の記録』を読み直していたら、こういう記述があった。70ページ
私は「メイド・イン・ジャパンの経済学者」になりたいと思っていた。水準の高い研究をしておれば、日本に閉じこもっていても十分な国際的学問活動ができると思っていた。
今では日本で中心的役割をしている50歳以下の主流派経済学者の大部分は、アメリカの大学の博士号をとっている「メイド・イン・アメリカ」の学者であり、「メイド・イン・ジャパン」は二流品のレッテルになってしまった。このことは戦後の日本がアメリカの文化的植民地になってしまったことを意味する。
これは、政治学、歴史学にも言えまいか。学位をくれた先生には逆らえない。経済学も政治学も、新規情報を仕入れるには、再三現地訪問が必要になるだろう。入国拒否をされるような言動は現役の間はしにくいだろう。したがって、
アメリカの大学で政治学や、歴史学の博士号をとっている「メイド・イン・アメリカ」の学者が活躍していれば、このことは戦後の日本がアメリカの文化的植民地になってしまったことを意味するだろう。
『トルコのもう一つの顔』から一部ご紹介しよう。1991年の著書ゆえ、変わっている部分もあるだろう。その点、ご注意を。
35ページ
トルコ政府代表は「クルド民族というものは存在しない」という答弁を続けている。
71ページ
「トルコ国民はすべてトルコ語を母言語とするトルコ人だ」
74ページ
アルメニアという国が歴史上「一度も存在しなかった」とトルコの学校では教えている。また「ジンギス汗はトルコ人である」ことになっている。
そして、164ページ
1980年までは「トルコ語純化政策」を政府が音頭を取って進めていた。大ざっぱな喩えをすれば、日本語から漢語やカタカナ書きの外来語を全廃して「やまとことば」だけで、司法、行政、立法、物理、化学、哲学、文学などなど、ありとあらゆる分野の専門用語を全部間に合わせようというのに等しい試みであった。
芝居『国語元年』ご覧になったことがあるだろうか?大本営放送で始めて見て感動した。
爆笑につぐ爆笑だが、言語、方言、民族、政治、色々考えさせられた。
明治維新の際、それまでばらばらだった日本人の言葉に共通語を作ろうというお話。
明治七年、東西の話し言葉がテンデンバラバラだった頃。文部省官吏の南郷清之輔に「全国統一の話し言葉を制定せよ」という命令が下った。
苦心惨たん。人工的な日本語も作ってみるが、うまく行かない。言語は権力が上から無理やりおしつけるものではない。というお話。トルコ政府関係者の方にも、是非ご覧頂きたい作品。紀伊國屋サザンシアターで9/23まで上演中。方言を駆使する俳優の皆様に敬服。
見損ねた方は、大本営広報部が昔放送したドラマのDVDをお求め頂きたい。
冒頭で、南郷清之輔が言う。「言語が統一されていないと、戦争ができない。」
これこそ日本政府が英語公用語化に、やっきになる理由の一つだろうと邪推する。
『英語化は愚民化 日本の国力が地に落ちる』が、その代わり、宗主国は、世界最大植民地の兵隊を一層使いやすくなるという巧みな仕組み。属国傀儡政府の政策、当然、全て自国民の生活を宗主国に捧げるためのものと思えば腹もたたない。
徴兵制は導入しなくとも、経済的徴兵制は瞬時に実現する。その時に、皆が英語の命令が聞き取れるに越したことはない。
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赤胴さんの上記のコメントはとてもいいですね。やさしい言葉で核心をついている。
『トルコのもう一つの顔』,『漂流するトルコ トルコのもう一つの顔 続』⇒ご紹介ありがとうございます。
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次の言葉は当方が小学校時代に習った「日本は単一民族」と間違った教育を受けたこと→アイヌの存在を無視した教育と全く同様の内容をトルコ政府代表が答弁し続けている。以下同様。
「トルコ国民はすべてトルコ語を母言語とするトルコ人だ」
また、当方はアルメニア訪問時、アルメニアの古い歴史に感嘆したものだが、「アルメニアという国が歴史上『一度も存在しなかった』とトルコの学校では教えている、」とは愕然とする。友達のアルメニア人美人は何というか!?
投稿: sugiyama,hideko | 2015年9月22日 (火) 22時47分
トルコに200万人の難民がいるというのは初耳でした。現在の難民問題を日本のマスコミは表面だけ伝えているので理解不能でしたが、 ワシントン-NATO-トルコが新たに生み出した兵器“難民ミサイル” という解説はおぼろげながら全体像がみえてきます。ドイツ フランスが難民問題で目を覚まし正しい道を進むよう願っています。
戦争法案 賛成論者が”自衛隊はこれからお金がかかる”と上から目線でいっていましたが、すでに経済的徴兵始まっています。
投稿: 赤胴鈴之助 | 2015年9月21日 (月) 09時20分