アメリカ先住民と、継続するアメリカ焦土作戦
Finian CUNNINGHAM
2015年8月28日| 00:00
Strategic Culture Foundation
ナバホとアパッチは、19世紀末に征服された最後の偉大なアメリカ先住民ネイションだ。ワシントン指揮下のアメリカ軍の焦土作戦によって諸部族が虐殺された。定住地や放牧用地の破壊は、諸部族の立ち退きに、そして彼らの最終的服従に、大いに貢献した。
キット・カーソン大佐は、残っていた反抗的なインディアン・ネイションに対する“白人”絶滅戦争の先駆者の一人だった。ナバホとアパッチは、北米大陸南西部で何千年も平然と暮らし続け、そこは新たに作られた“アメリカ合州国”で、今のアリゾナ、コロラド州、ニュー・メキシコ州とユタ州となった。
現在、ナバホと親類のアパッチは、またしても危機にひんしている。今回は、銃や作物の焼き払いによってではなく、工業的採鉱で引き起こされた鉱害によってだが。
今月始めの8月5日、コロラド州の廃坑になった金鉱から膨大な量の有毒廃水が漏洩し、いくつかの主要河川に流れ出て、世界中で見出し記事になった。汚染された河川が、ナバホ族の人々が、生活上、それに依存しているフォー・コーナーズ地域の灌漑と飲料水に極めて重要であることは、ほとんど報道されない。
約1100万リットルの有毒な水が、どっとアニマス川に流れ込み、それが更にサンフアン川と、コロラド川へと流れ込んだ。流出の結果、長さ150キロ以上の川の水が、鮮やかなオレンジ色の汚泥と化した。主な危害は、ヒ素、カドミウムや鉛等、有毒金属の危険な水準だ。これらの金属は、現在は廃坑のゴールド・キング鉱山で、かつて工業用浸出剤として使用されていた。流出下流の農民は、作物の破壊や、家畜の群れの中毒を避けるため、用水路の閉鎖を強いられた。だが、灌漑を止められた彼らの作物は、結局、夏の焦げるような暑さでしおれ、だめになりつつある。
重金属が最終的には、飲料水の地下水源に染み込んで、人間への汚染の計り知れないリスクとなることも懸念されている。
汚染された地域は、アリゾナ州、コロラド州、ニュー・メキシコ州とユタ州の州境に接するフォー・コーナーズ地域だ。最も危険にさらされている地域共同体は、そこに住み、川に依存しているナバホ族だ。
連邦環境保護庁(EPA)は、鉱害問題は弱まり、河川水の有毒金属濃度は、今や安全レベルにまで低減したと主張している。それでもなお、影響を受けた地域社会では、こうした金属による危険が、将来、洪水時期に河床堆積物がかき立てられて再発するのではないかという懸念がある。彼らの土地が、今後、何十年も汚染されたままになるのではないかという恐れだ。結局、1100万リットルの有毒金属が、跡形もなく消え去るわけがないのだ。
連邦当局は、アニマス川毒物流出を、隠された目的の為に利用しているのではあるまいかという疑問がある。つまり、ナバホ族を、彼等古来の土地から立ち退かせるのに。
隠された狙いが推し進められていると信じるに足りる、いくつか不穏な理由がある。そもそも、EPAは、調査班の一つが、コロラド州、シルバートン近くのゴールド・キング廃坑で作業していた際、流出を引き起こしたことを認めている。どうやら、鉱山の毒物ため池は、かなりの期間、漏れていた様子で、EPAが調査班を派遣したのだ。調査作業の結果、ため池が土手を突き破り、恐ろしい毒性物質を大量放流してしまったのだ。
二つ目に、現地情報筋によれば、EPAは、 最初の漏洩報告に途方もなく怠慢で、緊急警報を少なくとも一日遅らせた。EPAは惨事に対する責任を隠そうとしていたのだろうか?
疑惑の三つ目の原因は、連邦当局がその後、流出点下流で影響を受けた地域社会に、将来の賠償請求に対する権利放棄文書に署名させるべく素早く動いたことだ。EPAは、明らかな総力を挙げた取り組みで、各家庭から権利放棄証書を得るべく、戸別訪問をしたと報じられている。
ナバホ・ネイション議長ラッセル・ビゲイや他の長老達は、もし予期しない損害が将来生じた場合、地域社会は、連邦政府からの更なる補償を要求するあらゆる権利を喪失することになるので、EPAの法的文書には署名しないよう、各家庭に促している。そして、もし人々が、長期的、潜在的影響で、汚染された土地や地下水の所有者ということになって終われば、使用不能な農地の所有権を放棄する以外、ほとんど選択肢はなくなるだろう。
しかも、この話で極めて重要なのは、巨大採掘企業の権益だ。こうした企業は、アメリカ議会において最も卓越したロビー集団だ。昨年、巧妙なごまかしで、世間一般に気付かれぬ様にして、採掘企業が、フォー・コーナーズ地域の区域で採掘を開始する採掘権を、ワシントンの議会は投票で通過させていたのだ。1950年代以来、地域は、アイゼンハワー政権によって、アメリカ先住民保留地として分類されている為、採鉱事業を免れてきた。
天然鉱物が豊富なフォー・コーナーズ地域を、鉱業ロビーは、何十年間も、いやらしい目つきで見詰めてきた。利益の多い、銅やウランや、他の有価金属の埋蔵量が、地下堆積物中に蓄えられていると見なされている。特に重要なのは、いくつかのナバホ部族居住地であるアリゾナ州オーク・フラットだ。議会の土地交換には、多国籍鉱山企業リオ・ティントが関与している。リオ・ティントは、上院軍事委員会委員長をつとめる、有力なジョン・マケイン・アリゾナ選出共和党上院議員の政治資金主要資金供与者の一社でもある。上院軍事委員会は、兵器産業の軍産複合体や、ウオール街、大手石油会社や鉱業企業と提携している。マケインは、リオ・ティントに、フォー・コーナーズ地域での採掘権を認めた議会投票上の主な大立て者と考えられている。
ナバホの地域社会は、将来の採鉱計画について、確かに決してじっとしてはいなかった。彼らの土地所有権は、大企業に対する頑強な闘いの主題となり、現地の地域社会は、マケインに“インディアン殺害者”で、採鉱企業にとって現代の“偵察”というレッテルを貼っている。
オーク・フラットやフォー・コーナーズ地域にある他の父祖伝来の土地を守るキャンペーンで、ナバホ族は、他のアメリカ先住民ネーションや、アメリカ中の環境保護団体の支援を活性化している。土地収用に対する彼等の抵抗は、採鉱業ロビーや、ジョン・マケインの様な推進派政治家にとって、悩みの種となっている。
そこで、コロラド州とアニマス川における最近の破滅的な毒物流出の話へと戻ることになる。この出来事の全体的な影響が明らかになるのは、これからのことだ。だがフォー・コーナーズ地域下流の汚染は、最終的に、農業と飲料水の水源に影響を与える有毒な物質ゆえに、流域のあらゆる地域社会まるごと自分達の土地を追われる結果となりかねない。
現地活動家やナバホ指導者の中には、既に、EPAの毒物“事故”を現代の焦土作戦にたとえた人々がいる。鉱業の基本的な強烈な動機と、議員連中に対する彼らの報奨が、人々から彼らの土地を奪い、それにまつわる環境保護論者によるキャンペーンを終わらせるという暗黙の目的での、意図的な行為、あるいは少なくとも好都合な対応を示唆するのだ。連邦環境保護庁が、この策謀とされるものに関わっているのは辛辣な皮肉だ。
歴史的前例も極悪な狙いを強く示唆している。ワシントンによる、アメリカ先住民ネーション対策の歴史は、ワシントンに居すわる、大企業に支配された政治家連中が画策する資本主義的搾取のための裏切り、ごまかし、虐殺だ。ワシントンが立案した条約や保留地は、インディアンの土地が資源豊富であることが発見されるやいなや、再三再四、破棄された。
鉄道、牧場や鉱山に道を譲る為に、インディアンが、キット・カーソン大佐と、彼の兵士達によって土地を焼き払われた昔の時代の間違いようがない余韻が感じられる。
現在我々は、もう一つの、そうした相次ぐ北アメリカ先住民追い立てを、今回、南西部諸州の鉱物資源豊富な土地において、目撃しているのかも知れない。これは、先住民に対し、ワシントンが遂行した焦土作戦戦争の継続を示唆している。悲劇的な皮肉は、最新の“闘い”の場が、最後の先住民達が、19世紀末のアパッチ戦争によって隷属させられた、ませにその地域であることだ。
ここでは、より大規模な地球規模というのが適切だ。ワシントンの帝国主義戦争挑発は、その歴史上ずっと、そして世界中あらゆる場所で、生来の営利目的の大企業権益を推進する為、土地に対する戦争と、人々に対する戦争を、常に行ってきたのだ。
1960年代-70年代、枯れ葉剤エージェント・オレンジで、ベトナムを汚染したことは、今後炭化水素を水圧破砕で採掘する権益を、ワシントンが有するウクライナ東部ドンバス地域で、アメリカ傀儡のキエフ政権が、現在クラスター爆弾を使用していることと一致する。これは、このアラブの国で、抵抗を示す人々を追い立てる為に、アメリカが支援し、サウジアラビアが率いる主導する爆撃連合によって継続中のイエメン給水設備破壊とも、一致する。
このアメリカ先住民地域社会が、またしても焦土作戦にさらされているのは、それゆえ決して驚くべきことではない。今回唯一異なるのは、現在は、先住アメリカ人に対する本格的戦争という状況で遂行されているわけでないことだけだ。
だが、その意図と究極的効果は、ワシントン焦土作戦継続における単なるもう一つの出来事として一貫している。
記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2015/08/28/native-americans-and-us-scorched-earth-continuum.html
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最初に事故関連記事「資本主義の社会的費用」を読んだ時は、ナバホの公害被害、正確には、鉱害被害、思いつかなかった。
宗主国支配層の悪辣さ、並の人間の想像を遥かに超える。国の歴史を振り返れば、決して驚くべきことではない。
『アメリカン・ドリームという悪夢 建国神話の偽善と二つの原罪』
話題の有力議員、「イスラム国」ともパイプを持ち、人質殺害事件の直前、イスラエルで首相と会っていた。
『人形峠ウラン鉱害裁判―核のゴミのあと始末を求めて』土井淑平、小出裕章著
『放射性廃棄物のアポリア―フクシマ・人形峠・チェルノブイリ』土井淑平
『アメリカ新大陸の略奪と近代資本主義の誕生―イラク戦争批判序説―』土井淑平
等を書いておられる土井淑平氏の、2013年3月11日記事の一部を貼り付けておこう。
3 ウソにウソを重ねた動燃=核燃=原子力機構
まったくの無責任体質の動燃=核燃=原子力機構(日本原子力研究開発機構)は、2004年10月に最高裁から3000立方メートル撤去命令が出た方面地区のウラン残土の自己処理もできず、その一部290立方メートルをアメリカの先住民の土地にある製錬所に〝鉱害輸出〟する有様であった。これは放射性廃棄物処理の自己責任を放棄し、他国に尻拭いを頼む込む破廉恥な行為以外の何物でもない。
アメリカのウラン鉱山の大半はインディアンと呼ばれてきた先住民の土地や聖地にある。そのアメリカの先住民であるホピ族やナヴァホ族は1991年1月、「国際ウランフォーラム・倉吉」に参加し、わたしたちの案内で方面地区の ウラン残土堆積場を視察して、「われわれの所も放ったらかされた状況は同じだ」と話していた。
放射性物質を含んだ土が日本からユタの沙漠にむかって送り出された
インターナショナル・ウラニウム・コーポレーションがあるユタ州ホワイトメサ地域は、米国先住民が55%を超える土地だ。
1979年7月 ― というと、あのスリーマイル原発事故から4カ月後のことですが ―ニューメキシコ州のチャーチロックでダムが決壊して1100トンのウラン鉱滓が流出し、コロラド川の支流のプエブロ川に流れ込んで、この川を水源としている1700人のナヴァホ族が被害を受け、汚染された水や草を飲んだり食べたりした何千頭もの羊などの家畜が重度に汚染されました。
停止した採鉱事業に起因する鉱害、宗主国でだけ起きるわけではない。
東日本大震災では、休止中の「源五郎沢堆積場」の表土が滑り落ち、渡良瀬川から環境基準を超える鉛が検出された。この堆積場を巡っては、55年前に決壊し、下流に鉱毒被害を出した経緯があった。
そして、下野新聞 2015年8月26日 朝刊
正造も激賞 不屈の谷中村民・神原勘之丞に脚光 研究者で高まる注目
神原勘之丞らの功績に光を当てる第42回鉱害シンポジウム「正造と野木の人びと」が8月30日、野木町友沼のエニスホールで開かれる。
シンポは田中正造や足尾鉱毒事件の研究団体などが主催し、毎年夏に渡良瀬川下
流域で開かれている。町での開催は18年ぶり。
旧谷中村の強制廃村後、約70戸が隣接していた当時の野木村に移り、抵抗運動の拠点となった雷電神社も移築された経緯がある。
当日は真瀬宏子町長、渡良瀬川研究会代表の菅井益郎国学院大教授ら6人が登壇。正造や自由民権運動と町の関係のほか、神原、野木村議菅谷丑蔵の功績に光を当てる。
予約不要。午前10時~午後4時半。資料代千円。
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下野新聞に期待-小さく産み大きく育てる資本主義社会的費用撲滅-
どこかで見おぼえがある会社名に久しぶりに出会った。本ブログご主人によれば,下野新聞(2015年8月26日 朝刊)が『正造も激賞 不屈の谷中村民・神原勘之丞に脚光 研究者で高まる注目』を報道した。下野新聞にも「まともな面」があるものだと再認識した。
下野新聞を読まないことにしたのは,フクシマ原発事故以来である。事故直後と言っても3,4ヶ月経っていたと思うが,下野国のある精神科医がアメリカ原子力委員会と同じく「放射能を浴びたことを心配していることの方が,より病気になりやすい」という主旨のコピペ記事を書いていたからである。当時は,被曝量検査や検診などが福島県立医大の副学長某によって禁止された時期でもあった。
以前から,親戚の家や図書館でたまに読むことがあっても,下野新聞は地元新聞であるが積極的に読まないことにしていた。読売新聞系列だからさらに読むことを止めたという理由もあった。それがいくらか変わりだしたのが学校に通う下の孫娘が新聞の切り抜きをやり始めてからである。小生も付き合わされたのである。
新聞利用教育が文科省作成の学習指導要領に載ったので,全国の学校で新聞利用教育が始まった、というよりやらざるを得なくなったという。インタ-ネットが普及して新聞発行部数が減ってきたからだろうと推測していたが,切れ目なく嘘を吐く安倍首相と共に会食するマスコミ幹部がほとんどであることを知って「さもありなん」と自信を深めた。しかしそれだけではない。会食に応じなければ,「要領」から消える恐れが高いのであろう。
加藤の『日本文化における時間と空間』によれば,日本文化の特徴の一つは『過去を水に流す』ことであるから,日本人の末席を汚す一人として過去のことは水に流し,下野新聞の面白く無さ・デタラメさを忘れて,積極的に応援したい。すなわち,放射能被害や足尾鉱毒事件あるいは社会的費用関連の記事やニュ-ズをドンドン増やして欲しい。
ところで八ッ場ダム問題はどうなったのか。ダム建設の社会的費用はどれくらいになるのだろうか。最近ではほとんどその議論を聞くことは少ない。しかし建設費用は新国立競技場の比ではないだろう。小生の記憶はあやふやだが,当初は2400億円だったのが将来的に10,000億円(1兆円)近くになるということで論争があったことを覚えている。世に「小さく産み大きく育てる」伝統は健在である。
八ッ場ダム建設のために独立公益法人を7,8つ造った建設官僚の悪知恵も戦後ほとんど伝統になった感があるが,下野新聞は群馬県まで縄張り争いをやめて取材の足を伸ばし,ニュ-ズにまとめあげ,世に送り出すならば,読者数は飛躍的に伸びると思う。すなわち,新聞利用教育(NIE)の材料は尽きない。
追記:『日本文化における時間と空間』を精読して思うことの一つは,この書一冊で加藤周一を理解するのに,必要にして十分である,ということである。なぜなら,加藤に文章,星の数ほどあれど,本書が最晩年の作品であるからである。
それはさておき,本書に足尾鉱毒事件が出てくる。なぜ出てくるのか。それは事件解決を求める村人による運動が日本歴史上,画期的な出来事の一つと加藤が考えるからである。つまり,内人(うちびと)と外人(そとびと)を鋭く区別する日本社会(ムラ)にあって,近隣のムラ,ムラが一つになって政府に異議申し立てを企てた事例は加賀の一向一揆を除いてなかったからである。
もし現在,加藤が存命であれば,先の衆院選で自民党議員を一人もださなかった沖縄県民,ムラ人たちの連帯による投票行動を本書に付け加えるであろう。
投稿: 箒川 兵庫助(2-か) | 2015年9月 1日 (火) 01時19分
今、大森隆史著「重金属」体内汚染の真実という本を読んでいるのですが、
有害ミネラルがキレやすい子供を作る原因になっている場合が多いのだそうですね。
この作者はお医者さんなのですが、有害ミネラルの除去をしただけで、色んな病気が快癒したと、
例を挙げながら、その仕組みを詳しく述べておられます。
現在の地球は到る所で、様々な鉱山から様々な鉱毒が漏れているようですから、
現代人の体も大変な時代ですね。
その上資本家達はこれまでの汚染だけでは飽き足らず、
鉱山を掘る予定の国が、水質汚染を危惧した反対運動で、採掘を禁止したら、
掘らせないのだったら、逸失利益を払えと、ISDを楯にして相手国政府に、
「汚染水か金(国民の税金)か、どちらかを選べ」と要求しているそうですから、
どうしようもありませんね。
これでは強盗が、押し入った家の人々に、
「命が惜しかったら金を払え」と脅しているのと、そっくり其の侭ではありませんか。
全く、資本主義も行き着くところまで行ってしまうと恐ろしいものとなるのですね。
私達は資本主義経済のお陰で、現在のような便利な生活・有史以来の夢のような便利な生活をさせてもらっていますので、
文句ばかり言っていてはいけないのかも知れませんが・・・・・
投稿: 和久希世 | 2015年8月31日 (月) 16時00分