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2015年8月23日 (日)

ミンスク合意破綻

Paul Craig Roberts
2015年8月18日

ワシントンによって、キエフに据えつけられた反ロシア・クーデター政権に支配されることを拒否した、ロシア人が暮らしている元ロシア領の分離派共和国への対応で、ロシア政府は失敗したように見える。ロシア政府は、これら領土を、ロシアに再編入するようにという要求を受け入れることで、危機を終わらせられていたはずだった。そうではなく、ロシア政府は、ドネツク・ルハンスクへの不干渉という外交的手法を選んだのだが、この外交が、今や失敗したのだ。キエフのクーデター政権は、ミンスク合意を守る意図は皆無で、ワシントンも、ミンスク合意を守らせる意図は皆無だった。どうやら、現実主義的なプーチンでさえも、希望的観測に屈してしまったもののようだ。

ロシア政府が、外交的理由で、支援したミンスク合意は、現在、ドネツクとルハンスク攻撃を再開する準備をしている、ずっと強力な軍隊を訓練し、装備し、動員する時間をワシントンに与えるのに役立った。もしも、これら共和国が制圧されれば、ウラジーミル・プーチンとロシア自体が、あらゆる信頼性を失うことになる。それをプーチンが自覚しようとしまいと、ロシアの信頼性は、ワシントン支配外では動く力のないワシントン傀儡のヨーロッパ諸国との外交会談でではなく、ドネツク戦線で、危機にひんしている。もしワシントンが、ウクライナで勝利すれば、ロシアと中国は、BRICSや、ワシントンの経済覇権に対する代替案、ユーラシア貿易集団は諦めざるを得なくなる。ウクライナで勝利を得て、ワシントンは、その覇権を確保つもりなのだ。

破綻したミンスク合意以前には有していた、ウクライナに対するドネツクの優位性を失ったドネツク共和国指導者は、状況説明しながら、疲れ果てている様に見える。http://russia-insider.com/en/moscows-top-man-donbass-says-all-out-war-will-start-soon-video/ri9255 恐らく彼は、シェークスピアの『ジュリアス・シーザー』で、カシアスが、ブルータスにこう語ったのを思い浮かべていたのだろう。“人間のすることには潮時というものがある、満潮にのれば、幸運にたどりつくし、潮時を間違えれば、人生のすべての航海は浅瀬に乗り上げて座礁する。”

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTThe Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2015/08/18/minsk-agreement-failed-paul-craig-roberts/

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メドベージェフ訪問非難の大本営記事に、「ロシアは一方的にクリミアを編入した」とあった。クリミア住民投票の前に起きた、キエフでのクーデターをアメリカが画策したことも、オデッサでの反政府派住民虐殺事件もまったく報じない洗脳工作大本営。眉に唾をたっぷり塗って、読まないようにするのが最善だろう。読んで、どこまで本当で、どこまでウソか頭を使うのは人生の無駄。

ロシアが、ウクライナ・クーデター政権に、激怒しているのに、国立競技場費用にも迫る大金を黙って寄付させられた(宗主国の命令だろう)国の大本営広報部が、領土問題を云々するなど、茶番。ロシアには経済制裁をしながら、強烈なイヤガラセをしていることには全く触れない。

今後の我が国のウクライナ支援について

現下のウクライナ情勢を踏まえ,以下の通り,今後最大約1,500億円の支援を行います。

この日本からの資金、

現在、ドネツクとルハンスク攻撃を再開する準備をしている、ずっと強力な軍隊を訓練し、装備し、動員する

のに使われていない、と断言できるのだろうか。金額、さらに上積みされているようだ。

新国立競技場とほぼ同額! 2310億円をウクライナにバラまく安倍政権は壊れている

ほとんど戦争状態にある一方に大金を渡すのが、積極的平和主義を標榜する侵略戦争参戦希望国としての最初のご挨拶?ジョージ・オーウェルは『1984年』で、この状況を描いている。

    • 戦争は平和だ
    • 自由は屈従だ
    • 無知は力だ

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コメント

         ミンスク合意破綻と希望的観測

  昨日,オ-ランドとメルケルとポロシェンコが会った。何を話した分からないが,ミンスク合意がしっかり実施されていれば,その確認であろうし,そうでなければポロシェンコへのお仕置きがあったと,考えてよいだろう。
 ところで,田中 宇氏の『ウクライナ危機の終わり(7.30)』を読んで四分六で「終わり」を感じた。なぜならいくらウクライナ兵士をNATOやイギリス軍兵士が訓練しても,そうは簡単にいかないからである(CIAやFBIあるいは外国人傭兵もいる)。
 その後8月18日,プ-チン大統領は「ウクライナの困難は終わる」と語り(スプトニク),櫻井ジャ-ナルの櫻井氏は「ウクライナでの軍事的緊張も懸念」 ,「ウクライナでの和平合意を破壊しようとしてきた米国の好戦派は着々と戦争の準備を進め」ていると書いている(8月19日)。オバマ大統領は8月22日,「キエフにロシアと対立しないよう勧告」した(ブル-ムバ-グから孫引き)。

  時系列で並べても紛争が勃発するときはする。故に希望的観測はもたない。しかし8月18日,本論でP.C.ロパ-ツ氏は『ミンスク合意破綻』と主張される。確かに『破綻したミンスク合意以前には有していた、ウクライナに対するドネツクの優位性を失ったドネツク共和国指導者は、状況説明しながら、疲れ果てている様に見える』と主張される。また,オバマの「キエフにロシアと対立しないよう勧告」もそのまま信じることはできない。

  またもちろん,米露の偵察衛星からの情報は小生ら一般人には手に入らないから空想するほかに手段はないのだが,8月はかなり寒い。周知のように日本の8月とは比べものにならないほど寒い。クリミアは温かいようだが,冬将軍が来れば,キエフは妥協せざるを得ないのではないだろうか。しかしそれだけではない。
  イスラエルはラマダンの時を狙ってパレスティナを攻撃すると,ある女子学生が言ったように,「時に利あり,不利あり」。いくらか「潮時がある」という警句に似ていなくもないが,女子学生の分析は「時間の循環」を意味する。去年もあったし,今年もあった。だから来年のラマダンのときも攻撃があるだろう。
 しかし,「潮時」説は,時間に始めがあり,終わりがある(経験の一回性)。訓練されたアゾフ大隊,傭兵,キエフ兵士がミンスク合意を完全に破れば,ロシアとの破局を迎えるとになる。二度と今年と同じドネツク・ルハンスクは戻ってこない(米露独仏も同じ)。

 イスラエルのユダヤ教は時間が循環するようだから,加藤の仮説はいくらか修正する必要があるのかも知れない(もちろん,イスラエルはのべつくまなくパレスティナをはじめ周辺民族を攻撃しているから,時間に「終わり」がないのかもしれない)。 
 加藤周一の『日本文化における時間と空間』を読み終えて,以上のような感想を抱く。

追記; この海辺の町で人気の桜。春が来て夏が来れば,その花を綻ばせる。来年も時期が来れば咲くだろう。稲作文化も同じではあるが,決定的な違いは,労働集約型の稲作作業である。集団で来年の農期を考えるか,共有する。

  他方小麦文化は,自然の小麦が自生しているように,いつ種を蒔いていつ収穫するかを強く意識しない。つまり時間は強く意識的に循環しない。一方,東欧で見かけた,キリストの復活図は確かに時間が循環する。しかしいつ死んでいつ復活するかという時間の終わりと始めが強く意識される。
  そこで問題は,P.C.ロバ-ツ氏。失礼ながらおそらく,キリスト教徒であるから,時間に始めと終わりがある空間で生きてこられたと,推測申し上げる。ゆえにジュリアス・シ-ザ-を曳くのである。
しかしウクライナの文化は分からない。

「メドベージェフ訪問非難の大本営記事に、『ロシアは一方的にクリミアを編入した』とあった。クリミア住民投票の前に起きた、キエフでのクーデターをアメリカが画策したことも、オデッサでの反政府派住民虐殺事件もまったく報じない洗脳工作大本営。眉に唾をたっぷり塗って、読まないようにするのが最善だろう。読んで、どこまで本当で、どこまでウソか頭を使うのは人生の無駄。」→このブログの主(ぬし)に全く同感!!岸田外務大臣はポロシェンコ大統領に1500億円援助約束したそうだ。更に新国立競技場建設に計画していた2310億円を上回る資金援助を対ドネツク、ルハンスク攻撃準備のためにするということだ。このような対米・西側追随、お粗末な外交政策しか日本の現政権が立てられないとしたら、ロシア側もどうしてそんな政権を相手にまともに北方領土(クリール諸島)問題を解決し、平和条約を締結するためのテーブルにつけるかということだ!当方は決してロシアの肩を持っているのではない、これでも日本を愛するれっきとした日本人だ。だからこそ、まともな筋の通った外交政策のもとにせいせい堂々とロシアと平和条約を締結すべきだと思っている。

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