だまされやすいアメリカ人、フォーエバー
Paul Craig Roberts
2015年8月17日
“次に、政治家連中は、攻撃されている国に罪をなすりつける、ちゃちなウソをでっちあげ、誰もが、こうした良心を慰めてくれるウソを喜び、それを熱心に研究し、そうした物に対するいかなる反論も検討するのを拒否する。かくして彼等は、間もなく戦争は正しかったと納得し、このおぞましい自己欺まんの後で享受できるより良い睡眠を、神に感謝するのだ。” マーク・トゥエイン
今日のNPRニュースを聞いて、かつては独立していたこのメディアが、如何に徹底的に身売りしてしまったのかを実感させられた。
マーク・トゥエインの上記の言葉も思い出した。トルコでは、ゴムボートによる、ギリシャへの航海を待って、シリア人が行列をしていると、NPRは報じている。NPR報道によれば、トルコには、200万人のシリア人難民がおり、250,000人のシリア人が殺された。NPRは、この膨大な人数の人々の殺戮や避難の原因については、何も語っていない。まるで、こうした人々の窮状が、何もない所から突然生じたかのようだ。シリアに対して、ワシントンが、ISIS、アルカイダ、トルコ、アメリカやNATOの空軍や、ワシントン傀儡の中東諸国をけしかけた事実は触れられていない。NPRの見方は、ワシントンと同じだ。アサドが辞任し、シリアをワシントンに引き渡しさえすれば、万事うまく行く。
アメリカ政府がシリアに対して行った残虐行為を恥じるあまり、アメリカ国民は、毎晩床についても、眠れないというわけではない。イラクにも。リビアにも。アフガニスタンにも。パキスタンにも。イエメンにも。ソマリアにも。ウクライナにも。セルビアにも。売女マスコミによれば、これら大惨事の全てが、アメリカが戦わなければならない闇の勢力の仕業だ。これは、ひたすら、軍安保複合体の預金残高の利益の為に、大衆感情を支配する狡猾な画策だ。
アメリカにおける、実際は、欧米中における公的論議の堕落は徹底的だ。公的機関からも、私的機関からも、信頼できる報道は皆無だ。経済報告は、アメリカがうまくいっているというイメージを維持するためのプロパガンダだ。ロシア、ウクライナや、イスラム教徒に関する報道は、ワシントンと軍安保複合体にとって、更なる権力と利益を保証する恐怖を、だまされやすい連中に吹き込む様に作られたプロパガンダだ。
アメリカ人は、今までで最も身ぐるみを剥がし易いヒツジであることを証明したわけだ。
アメリカ人のだまされやすさが、世界をハルマゲドンで脅かしているのだ。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/
記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2015/08/17/gullible-americans-forever-paul-craig-roberts/
----------
報道機関の名前を、某局にかえれば、そっくりそのまま。
戦争法案の核心、「集団自衛権」の相手は、基本的に宗主国。つまるところ、宗主国侵略戦争に、「切れ目なしに」いつでも、どこでも、いつまでも参戦可能にする為の仕組みだろう。とりあえずは、アフリカあたりから始めるのだろうか。
非戦憲法を解釈改憲し、宗主国侵略戦争で、血を流す意味、庶民にとっては全くないだろう。世界で重宝されたトランジスタ商人が、世界から「切れ目なしに」嫌われる死の商人になるだけ。
戦争法案が成立すれば、この記事と同じ結論になる。
日本人は、今までで最も身ぐるみを剥がし易いヒツジであることを証明したわけだ。
日本人のだまされやすさが、世界をハルマゲドンで脅かしているのだ。
« ウクライナ戦争に関する、もう一つのデマ宣伝 | トップページ | ニュージーランド: 環太平洋戦略的経済連携協定に何千人もの抗議行動 »
「アメリカ」カテゴリの記事
- トランプは赤い帽子をかぶったブッシュに過ぎない(2025.03.25)
「チュニジア・エジプト・リビア・アルジェリア」カテゴリの記事
- 刑務所暮らしこそ相応しいバラク・オバマ(2023.09.19)
- 中東とトルコ選挙(2023.05.14)
- ワシントンは熊のわなにエルドアンを誘い込んだのか?(2021.05.05)
- アメリカとNATO同盟諸国は、一体いつリビア略奪の責任を取るのだろう?(2021.04.10)
- バーレーンで革命を潰しながら、アメリカ-イギリスはリビアとシリアで政権転覆を企んでいた(2021.02.23)
「二大政党という虚構・選挙制度」カテゴリの記事
- あなたは実際チームを選ぶ必要はない(2025.03.07)
- 民主党はあなたが彼らに投票するかどうか気にしないし負けるかどうかも気にしない(2024.09.15)
- ハリスとトランプの討論会(2024.09.12)
- 虹色の旗による虐殺 対 MAGA(アメリカを再び偉大な国にする)帽子による虐殺(2024.09.12)
- トランプ党対チェイニー党(2024.09.10)
「ポール・クレイグ・ロバーツ」カテゴリの記事
- 腐敗したアメリカ支配層に宣戦布告したかどでトランプは暗殺されるのだろうか?(2023.06.26)
- ポール・クレイグ・ロバーツは大量虐殺が好きなのか?(2022.05.01)
- ロシアの安全保障提案をワシントンが拒絶したのはまずい判断(2022.01.31)
- 欧米で、ジャーナリズムは宣伝省にとって替わられた(2021.11.23)
「ISISなるもの」カテゴリの記事
- アルカイダのシリア支配…連中のテロリスト代理人を新政府だと粉飾するアメリカとNATO(2025.02.18)
- 13年間にわたるアメリカによる国家テロ後のシリア…一体何が期待できよう?(2024.12.14)
- 「テロ組織」は、アメリカがそう呼びたいもののこと(2024.12.16)
- もう一つの国が帝国の塊に吸収された(2024.12.15)
- NATOの対ロシア代理戦争は常に本質的にテロだった(2024.04.06)
「トルコ」カテゴリの記事
- シリアの新たな流血はアメリカ政策の失敗で引き起こされた。トランプは今後どうするのか?(2025.03.15)
- シリアで虐殺が激化(2025.03.13)
- 仲介外交を継続するトルコ(2025.03.23)
- シリアにおける帝国の傲慢さ(とその結果)(2025.01.05)
- 地域における新たな緊張の高まりの前兆を示すトルコのシリア冒険譚(2025.01.07)
「シリア」カテゴリの記事
- シリアの新たな流血はアメリカ政策の失敗で引き起こされた。トランプは今後どうするのか?(2025.03.15)
- シリアで虐殺が激化(2025.03.13)
- アルカイダのシリア支配…連中のテロリスト代理人を新政府だと粉飾するアメリカとNATO(2025.02.18)
- シリア分割と新サイクス・ピコ協定:地政学的混乱と地域再編(2025.01.12)
- シリアにおける帝国の傲慢さ(とその結果)(2025.01.05)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: だまされやすいアメリカ人、フォーエバー:
» 日本の軍拡と南スーダン・シリア その1 [時事解説「ディストピア」]
防衛省は十八日、安全保障関連法案の成立を前提に、
自衛隊が新たな部隊運用について資料を作成していたことを認め、
同法案に関する参院特別委員会の理事懇談会に資料を提出した。
南シナ海での警戒監視活動への関与を検討するとしたほか、
南スーダンで国連平和維持活...... [続きを読む]
« ウクライナ戦争に関する、もう一つのデマ宣伝 | トップページ | ニュージーランド: 環太平洋戦略的経済連携協定に何千人もの抗議行動 »
だまされやすいアメリカ人,過去のことは水に流す日本人
日本から脱出する前,「ス-ダン」という字幕を見たのは,TVフジの夜11時半頃のニュ-ズ番組である。トルクメニスタンとかアゼルバイジャンあるいは北極航路など独特な報道をしていた。現在,TVフジの視聴率は落ち目だそうだが,この番組のプロデュ-サ-の慧眼畏るべし。
いくらマスゴミといわれようと,世界の出来事を全て報道するわけにはいかない。取捨選択して茶の間に届ける。視聴者に考えさせる番組やニュ-ズがほとんどなくなった中で,この番組はス-ダン紛争の問題を抉り出し,少なくとも小生の目を南ス-ダンに向けさせてくれた。遅ればせながら感謝申し上げたい。
さて記憶に間違いなければ,南ス-ダンへわが国の「他衛隊」が派遣されているがその映像はなかった。しかし石油の奪い合いに関する解説があり,あるいは金採掘現場が映し出されていた。現在の原油の値段は1バレル=45ドル未満であるが,2011年当時は100ドルを上回っていた。つまり,日本が石油資源確保のために出兵しているのかなという印象を持った。
しかし南ス-ダンへはどうやって行くのだろうかと疑問に思ったのも確かである。中学校地理帳には南・北ス-ダンはなかったはずで南があれば,北があるはずと余計な連想をしたが,ウィキペディアによれば北は単にス-ダンと言うらしい。
他方,ウィキペディアに載っていない事がある。外務省外郭団体JICAの一員も派遣されていて,何かの活動をしていることである。一般にはJICAの目的は,相手国支援活動なのだろうけれど,情報収集つまりスパイ活動であろう。
その後,最近の安保法制11法案の先取りである他衛隊の銃弾補給行為があった。韓国軍から要請があったので,1万発ぐらいを譲って上げたという内容であった。しかし韓国軍はそれを使わなかったという弁解じみた解説があったが,アリバイ造りであろう。すでに海外で,武器提供(ロジステック)の前例を造っていたのである。
元外務官僚の岡本行夫氏なら,「前例がある」というかもしれない。しかし時代がどう変わろうと,立憲主義は立憲主義であり,イラク特措法と同様,武器提供は憲法違反である。例えば,ドイツは憲法を改正して域外(アフガン)に派兵した。憲法改正は,日本と同様敗戦国であるドイツが,一応,法治国家であることの証左であるが,解釈改憲の「日本は法治国家ではない」と世界に認識されるだろう。
しかしすでに 「日本は法治国家ではない」と認識されているのかもしれない。例えば,ソマリア沖の海賊退治でも他衛隊の艦船が活動している。一発も弾を撃ったことがないというのは嘘で,ソマリアの漁民達は,他衛隊に睨まれ,威嚇射撃を受けて,生業を営むことができないでいる。
岡本氏に言わせれば,他衛隊が国際平和協力法の下,わが国の商船や民間人(JICA)を守ってきたという功績があるというであろうが,功績の裏面は,現地人への迫害であり,経済活動の破壊である。しかしそれだけではない。
ソマリア沖には,放射性廃棄物や産業=工場廃棄物が不法に投棄されている。投棄した国々の名は,YouTubeで見ることができる。ギリシャ,イタリア,デンマ-ク,イギリス,スペイン,中国,ロシア等。すなわち,環境破壊が国際的に行われている。
ここにアメリカの名がないが,なぜか。それはソマリアのアディデ-ド将軍を暗殺できなかったCIAやデルタ・フォ-スの怨念が籠もっているからである。すなわち,暗殺できなかった腹いせに,CIAは当該国に不法投棄を勧めたのである。その投棄にやってきた船舶を浅薄にも他衛隊の艦船や哨戒機が守っている。
ジブチに日本の自衛隊の基地がなぜあるのか。名古屋高裁の違憲判決を待つまでもなく,バグダッドまで米軍兵士や武器を運んだのも違憲。問題は他衛隊の活動によって被害が生じていないかどうか。例えば,イラクは今日なお,爆弾破裂があり,多くの人命が失われている。それでもなお岡本氏は,他衛隊の海外での展開を容認するのか。そもそも話は「逆さ」で,ブッシュの軍隊がイラクを侵略しなければ,日本のタンカ-も安全であったし,ペルシャ湾も安全であった。
最近, 加藤周一の『日本文化の時間と空間』を読み終えた。日本文化の特徴の一つは大勢順応主義で過去のことは水に流し,将来のことは煩わない,ということである。ただ「今=ここ」が大事で,過去の侵略戦争は,一刻も早く水に流し,ナイ・アミテ-ジ報告に従って積極的平和外交を展開したい。ナイ・アミテ-ジ報告に忠実に従えば,ご主人様アメリカのやることだから間違いはない。寄らば大樹の陰。与党絶対多数のうちにこの法案を通しておけば,過去のことには拘らない日本人が多いから,衆院での強行採決をいつかは忘れれるだろう・・・・・・。
アメリカ人はだまされやすいが,だまされたと分かった途端,抗議に立ち上がるか,正義に訴える。しかし日本人はみんながだまされれば,大勢に従いだまされたまま。あるいはだまされたと分かっても,それはもう過去のことだから水に流し,何事もなかったことにする。つまり,だまされる「内容」は何でもよい。ただ水に流せばいい。これがご主人様アメリカ人と従僕たる日本人の違いであると,『日本文化の時間と空間』を読みながら考えた。
追記: アフリカの角,すなわち,紅海またはインド洋の出口としてジブチ共和国の一部を借地している。そのことは,南ス-ダンの原油や鉱石を運び出す港としてジブチが有用である。故に他衛隊はジブチを選んだ。
追記2: 1ドルは8月現在6.4元だそうである。すると,1バレル=45ドルというのは,1バレル=288元となる(計算間違いだったらご免なさい)。ドル表示が人民元表示なる日は,近いのか遠いのか,田中宇ブログや櫻井ジャ-ナルを読んでも分からない。
追記3: 現在日本の宗主国はアメリカ合州国であるが,人民元が基軸通貨になると,これまでの宗主国のことは水に流し,中国を新たな宗主国として迎えることになるかもしれない。金の切れ目が縁の切れ目。但し,中国政府は,自国通貨が基軸通貨になると,ポンドのイギリス,ドルのアメリカのように衰亡するので,基軸通貨にしたくないと主張している。
投稿: 箒川 兵庫助(2-る) | 2015年8月19日 (水) 23時32分