我々にとって必要な時に、ネオは一体どこに
Paul Craig Roberts
2015年8月26日
アメリカ人が暮らしている「マトリックス」世界では、彼等が責任を負うものは皆無だ。例えば、現在のアメリカ株式市場の低下は、連邦準備金制度理事会が供給した長年の過剰流動性がバブルを生み出し、そのうち何社かは株価に見合う稼ぎもないのに上がり過ぎたわずか6社の株が、現在の崩壊前に、S&P 500時価総額の全てを上回っていたせいではないのだ。
我々の「マトリックス」世界では、株式市場下落は、大企業がその利益や融資まで受けて、自社株を再購入して、彼等の株への人為的需要を生み出しているせいではないのだ。
下落は、最新の耐久財受注月次報告が、前年同月比、6ヶ月連続で下落しているせいではないのだ。
株式市場下落は、10年間の景気回復とされるものの後も、新築と中古住宅販売が、依然2005年7月のピークより、それぞれ63%、23%減という弱い経済のせいではないのだ。
株式市場下落は、20年間、中流階級の雇用を海外移転し続け、その一部を、諸給付もなく、世帯を形成するのに十分な収入が得られない、最低賃金パートタイムのウォルマート雇用で置き換えた結果の、本当の世帯平均所得額の崩壊と、それによる消費者需要減少のせいではないのだ。
そう、こうした事実の一つたりともを責めるべきではないのだ。アメリカ株式市場下落は、中国のせいなのだ。
中国は一体何をしたのだろう? 中国は通貨をわずかばかり切り下げたことで非難されている。
一体なぜ、元の対ドル交換価値のわずかな調整が、アメリカとヨーロッパ株式市場を下落させるのだろう?
そんなわけはない。だが事実は売女マスコミにとって重要ではない。彼等は生計の為、ウソをつくのだ。
しかも、あれは切り下げではなかったのだ。
中国が、共産主義から、資本主義への移行を始めた際、自国通貨が、世界の準備通貨同様、しっかりしていることを具体的に示す為、中国は通貨を、アメリカ・ドルにペッグした。時間とともに、中国は通貨がドルに対して上昇するのを許した。例えば、2006年、1アメリカ・ドルの価値は、8.1中国元だった。最近、“切り下げ”とされるものの前、1アメリカ・ドルは、6.1か、6.2元の価値があった。中国が、フローティング・ペッグを調整した後、1アメリカ・ドルの価値は、6.4元だ。元の価値を、対ドル、6.1や6.2元から、ドル6.4元に変えたことが、アメリカとヨーロッパ株式市場を崩壊させたわけではないのは明らかだ。
しかも、アメリカ・ドルに対するフローティング・ペッグ幅の変更で、中国通貨は、アメリカ以外の貿易相手国に対し、切り下げたわけではない。起きたこと、そして中国が修正したのは、現在日本と欧州の中央銀行が継続中の量的緩和紙幣印刷政策の結果、ドルが他通貨に対し、上昇したことだった。中国元は、ドルに連動しているので、中国通貨は、アジアやヨーロッパの貿易相手国に対して上昇した。中国通貨(アメリカ・ドルに連動している為)の上昇は、経済低迷時、中国輸出にとって良いことではない。中国は他の貿易相手国に対する通貨上昇を打ち消すため、対ドル・ペッグを変更したにすぎない。
経済マスコミは一体なぜこれを我々に教えてくれないのだろう? 欧米の経済マスコミは、これがわからないほど無能なのだろうか? そうなのだ。
あるいは単純にアメリカ自身、何であれ、うまくゆかないものに決して責任がありえないのだ。そうだ。我々は誰だ?! 我々に罪はない! あの忌ま忌ましい中国のせいなのだ!
例えば、現在ヨーロッパに溢れている、7ヶ国に対するアメリカ侵略と爆撃からの多数の難民をご覧願いたい。ヨーロッパ人自身が幇助し、アメリカが、その国民を大量殺戮している7ヶ国からの膨大な人々の流入が、ヨーロッパで政治的狼狽と、極右政党の復活を引き起こしている。現在、例えば、ネオナチが、難民に対する思いやりを求める演説をしようとしたドイツのメルケル首相をやじり倒している。
だがもちろん、メルケル自身、ヨーロッパを不安定化させている難民問題に責任がある。主権を欠いた、取るに足りない国、国として認められない国、ただの属国、帝国の前哨基地、ワシントンから支配される、ワシントンのさえないチンピラ傀儡国家としてのドイツがなければ、大量の難民を生み出している違法な戦争を、アメリカが遂行して、難民を受け入れるヨーロッパの能力に過大な負荷をかけ、ネオナチ政党を助長できていたはずがない。
腐敗したヨーロッパとアメリカのマスコミは、難民問題を、あたかも、それが7ヶ国に対するアメリカの戦争犯罪と、全く関係皆無であるかの様に描き出す。実際、アメリカが、彼等に“自由と民主主義”をもたらしているのに、一体なぜ国民が国から逃げ出す必要があるだろう?
少数の代替メディア・ウェブサイトを除けば、欧米マスコミのどこにも、いささかの品位も存在しない。欧米マスコミは、欧米人が物事を考えずに生きる、「マトリックス」の中で暮らす欧米人の作り物の存在を維持する為に、常時活動している真理省だ。彼らの拙劣さと怠慢を考えれば、欧米国民は存在していないのも同然だ。
単なる株式価値以上に、洗脳された欧米の阿呆連中こそ、更に崩壊するだろう。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
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記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2015/08/26/neo-need-paul-craig-roberts/
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大本営広報部レベルを評価するために見ていた電気洗脳箱の話題、一番は、タイの爆弾犯人だった。自分の頭のハエを追え!さすがに、猟奇殺人事件や、異神連中の内紛を、トップにはもってこられなかったのだろうが、あきれた、の一言。受信料を拒否していた昔がなつかしい。
金(事実上税金)を払って洗脳され、電気代という金を払って、放射能汚染され、税金を払って、戦争をされる。「属国民はつらいよ」
戦争法案反対国会前集会、さすがに、大本営広報部もいやいや報道せざるを得ない。報道しなければ、受信料拒否運動、テレビ廃棄運動になるだろう。
警察も、先日のコーンと棒をおいて、抗議行動参加者の居場所を極端に狭くして追い返す、とんでもない、インチキ誘導は、今回は無理とあきらめたのだろう。あのとき、皆様が「ほとんど車が通らない車道を解放しろ」と主張しておられた通りの状況になっている。
講読している新聞デジタル版には「警察関係者によると、国会周辺だけで約3万3千人」とある。それはないだろう。全く信頼などしていないが、読むたびの虚報には毎回怒り心頭。警察にも、大本営広報部にも。
一方で、ブタの喧嘩を丁寧に報道するのだから、大政翼賛会。双方の表現として植草一秀氏の記事題名はぴったり。
著者再三『マトリックス』を題材に書いておられる。下記は、そうした記事翻訳の一例。
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