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2015年7月 8日 (水)

ボコ・ハラム: 国際テロ企業への変身

Alexander MEZYAEV
2015年7月7日 | 00:00

近年、我々は多数の過激組織が国際化するのを目にしてきた。活動が特定国境内に限定されていた集団の国際テロ企業への変身だ。もちろん、全ての過激集団が、こうした変身を遂げるわけではない。タリバン等の様に“国内”組織のままであり続けるもののある。ところが、多くのものは“突然”、近隣諸国の国境を易々と越えるのみならず、地域全体さえもしのげるようになる。これは、アルカイダや、「イスラム国」が遂げた変身と同類だ。今、我々は、ボコ・ハラム(BH)が、よく似た多国籍“テロ企業”に変身する様を目にしている。

13年間の存在で(あるいは、少なくとも積極的な存在として) ボコ・ハラムは、何百ものテロ攻撃を行ってきており、何万人もの死亡者をもたらしている。だから、ナイジェリアの新大統領ムハンマド・ブハリが政権を握った際、彼の最初の行動が、BHと戦うアフリカ諸国連合設立という素早い対策だったのはもっともなことだ。まず、ブハリは(元将軍 )軍司令部を、首都から、BH作戦の中心地に極めて近い、戦略的に重要なマイドゥグリの中心部に移した。文字通り、就任からわずか数日後に、彼はニジェール、チャドと、ベニンの指導者達を訪問し、首都アブジャの指導部との会談も行った。その会談で、多国籍共同機動部隊(MNJTF)を設置するという決定がなされた。MNJTFは、7月30日までに、完全に配備される8,700人の兵士を指揮するが、ナイジェリア人将軍、タクル・ブラタイが、司令官に任命された。

ブハリ大統領は、ポール・ビヤ大統領との個人的会談の為、カメルーン特別訪問でも、彼の意図の本気さを実証した。やはり、BHによって絶えず攻撃されているカメルーンは、以前、交渉には、国防大臣しか派遣していなかった。特にナイジェリアとカメルーンの間の否定しようの無い複雑な関係を考えれば、このような果断さは、実に印象的だ。この二国は、2002年に、国際司法裁判所によって決着した、長年続いた領土紛争の当事国だった。だが、紛争解決のやり方には、欠陥があったことも確かだ。正式には、この問題はカメルーンに有利に裁定されたが、実際問題として、裁定が発表された際、国際司法裁判所の所長がフランス人だったため、フランスが勝てたのだ。裁判所の主張が余りに脆弱だった為、このフランス人所長の任期最終日まで、裁定は言い渡されなかった。

例えば、この文章“イギリスとドイツには、アフリカに国境を設定する権利があった”によっても、その信憑性は判断できよう。この発言は、21世紀の国際裁判所では、とうてい考えられない代物に思えるが、それが本当に書かれているのだ。明らかに強引に押しつけられた決定の、最も大きな影響は、重要な地域戦略的な石油埋蔵を有するバカシ半島が、ナイジェリアから切り離されたことに見てとれる。これは、そこで暮らすナイジェリア人にとって、深刻な問題となったままだ。ハーグ、国際司法裁判所のフランス人の思いつきで、彼等は、突如、カメルーン領土で暮らす外国人になったのだ ... ところが、ブハリは、カメルーンを訪問する為、二国間の困難な関係を乗り越えることに成功した。

ボコ・ハラムは、かなり長期間にわたって、ナイジェリア国内のキリスト教会を個別に攻撃してきたが、今や彼等は、作戦を更に上のレベルに引き上げて、イスラム教徒や一般市民を無差別に攻撃し始めた。長い間、BHは、もっぱら、ナイジェリアの問題と見なされてきたが、彼等は、主に、カメルーン、チャドや、ニジェールに加えて、次第に、近隣諸国内でも攻撃を行い始めたのだ。しかも、彼等の犠牲者は、確実に、キリスト教徒(あからさまにキリスト教徒を狙った攻撃は続いているが)や、“欧米の教育を受けている”学生だけに限られなくなっている。(1)

BHの、地方組織から、国際組織への急激な変身は、極めて明らかだ。テロ行為と、武装、直接攻撃が、地域の様々な場所で、同時に起きて、多数の犠牲者を生み出し、一級の作戦訓練の証拠を示している。6月16日には、チャドの首都ンジャメナで、大規模テロ攻撃があった。チャド政府が行った戦争と比べてさえ、チャドでは未曾有の規模だった。(2) これに似たような事は、1960年代の内戦中ですら、あるいは、チャドの一部で起きる頻発する国内騒乱の際ですら、起きてはいなかった。2015年だけでも、BHはニジェールの町々に多数の攻撃をしかけ、大半は女性と子供達の数十人が殺害された。

ナイジェリアのブハリ大統領の取り組みは、現場での4カ国連合創設決定と、BHに対する積極的で、組織的な取り組みへの着手として結実した。MNJTFの当事国全てが完全に稼動する前でさえ、連合の各加盟国は、既にそれぞれ活動しており、この共通の敵に対する、防衛・攻勢対策を行っている。例えば、6月25日、ナイジェリア軍は、15人のBH戦士を殲滅し、更に20人を捕獲した。また報告書では、どこの国の国境内で、彼等が殺害されたか明らかではない。

ボコ・ハラムが作戦を開始した際、この組織の本当の狙いは、欧米の影響と戦うことにあるものと一般に見なされていたが、次第に、これが作り話に過ぎないことが明らかになった。BHが信奉するものの、もう一つの神話、つまり、彼等はキリスト教徒に反対している、というのも、徐々に崩壊した。この虚構は、BHが、イスラム教徒にテロを行うことを始めるよりずっと前に信用を失った。今や、BHの狙いが、ナイジェリアを内部的に不安定化することなのは明らかだ。キリスト教徒殺害は、ナイジェリアでは非常に敏感な、宗教間対立を煽ることを狙ったものだった。この戦術が失敗すると、連中は混乱とパニックを引き起こそうとして、従来の虐殺という手段に訴えた。

現在、発展への道を辿り始めようとするあらゆる国々が、武装反抗勢力/テロ組織の問題に直面している。BHが世界的大国の産物であることに疑いの余地はない。これは、ナイジェリアの状況についての調査に関する国際刑事裁判所(ICC)検事による最近の報告によって再確認された。ナイジェリア政府は、BHをICCに告訴したが、ICCは、“ボコ・ハラムに対する戦い中の人権侵害”に対して、ナイジェリア政府自身の調査に着手したのだ!

6月5日、ザイド・ラード・アル・フセイン国連人権高等弁務官も、殺害や、“全くのテロ”と、北東ナイジェリアで、反政府派がおかした他の深刻な人権侵害と、ナイジェリアの軍隊による人道法違反に関する最大の懸念を表明して、BH擁護の声をあげた。我々が目にしているのは、BHが彼等に対して戦っている勢力と一緒に、裁判にかけられている光景だ。しかも“反政府派”という言葉の使い方は、テロリストについて語る場合、極めて示唆的だ。国連人権高等弁務官が、BHに対する不満をなんら訴えることなく、逆にナイジェリア政府に、対BH戦争を率いている軍隊について“独自の”調査を行うよう命じたのは偶然ではない。 つまり、彼は、戦いを台無しにするよう要求したのだ。だが、もし対BH戦争で追求されるようになれば、一体誰がテロリストと戦うだろう?

しかも、世界大国諸国が歌う歌の中で、新しいメロディーが聞こえだした。彼等は、政府軍のみならず、いくつかの“親政府党派”によって行われたとされる“人権侵害”も止めるよう要求しているのだ。こうしたものが一体誰かという情報は提示されていない。しかし、もし、ナイジェリア当局が、BHと戦う民兵になっている自国民を追求し始めれば、そのような政府は投げ出されてしまうか、少なくとも、戦闘丸ごと無力化されてしまうかするのは明らかだ。今、我々は、この証拠を目にしている。

ナイジェリアのブハリ大統領が、ナイジェリアが、BHに対する戦闘をする上で頼りにしていた諜報機関を、変更することに決定していることも注目に値する。以前は、アメリカと、G7諸国が支援を行っていたが、2014年、ナイジェリア政府は、中国からも支援(衛星が収集する情報を含め)を受け始めた。また、2015年には、ロシアからも支援を得られるようになった。(3) しかも、アメリカや他の欧米諸国が、援助物資が提供しそこねている為、ロシアに申し入れがなされた。(4) ナイジェリアのマスコミ報道によれば、対BH戦闘の特殊部隊が、訓練の為、ロシアに送られた。(5) 更に、ロシアは、BHと戦う為に、カメルーンに直接武器を供給している。(6) ICCと国連人権高等弁務官の対応から判断すると、ナイジェリアのブハリ大統領と、テロと戦う為の新たな諸国連合の取り組みは(広い意味で)実際、効果的なのだ。

(1) ボコ・ハラムは、元々、欧米の教育と戦うべく設立されたもので、この組織の名前そのものに、それが反映されている。
(2) これは、リビアがおこした、チャド・リビア戦争(1978-1987)のこと
(3) ナイジェリアの対ボコ・ハラム戦を助けるロシア兵器
(4) ボコ・ハラム: アメリカとイギリスがナイジェリアでしくじり、ロシアと中国に頼る政府
(5) ボコ・ハラム: ナイジェリア軍兵士、訓練の為、ロシアと中国に派遣される
(6) ロシア、対ボコ・ハラム用に カメルーンに武器供与

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2015/07/07/boko-haram-its-transformation-transnational-terrorist-corporation.html

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「藪の中」状態?

ボコ・ハラム、ネットで見ると「西洋教育は罪」という意味のようだ。

戦争法案に対案を出す、不思議な自称「野党」。いんちきなものに、拙速の対案など不要。

とんでもない多額建設費の競技場。不透明な選択手順。推奨したご本人は欠席。

川内原発再稼動準備。

こういうものばかり推進する連中に「道徳」なるもの押しつけられたくない。実質「不道徳」。

三島由紀夫『不道徳教育講座』(1958年)を、1970年の事件後偶然とばし読みし驚いたことがある。下記の部分。

だから、どうせ死ぬことを考えるなら威勢のいい死に方を考えなさい。

現政権も似非野党も、「だから、どうせ潰れることを考えるなら威勢のいい潰れ方を考えよう。」と思っているのだろうか。

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コメント

 こんにちは。
 先日、水島朝穂先生の講演で”朝鮮、台湾、中東、南シナ海はダミーで、集団的自衛権発動の本命はアフリカ。米アフリカ軍団の司令部は、アフリカ諸国が拒否したためにシュトゥットガルトに存在するが、エボラ対策を口実に自衛隊の将校が常駐している。しかしエボラが終息したにも関わらず、逆に人数を増やしている。三菱重工などは既に車両などのアフリカ仕様の開発を進めている。”と仰っていました。
 欧州の旧宗主国の妨害や米への警戒感で アメリカは思うようにアフリカに手を突っ込めないので、日本を切先にして懐に潜る腹なのでしょう。自衛隊は既にPKOで何回かアフリカに行っていますから、あまり警戒されずに潜り込みやすい気がします。ジブチにも基地を置いていますし(ジブチも強かなので、中国の基地も置くということです)。アメリカにとって、アフリカは資源と市場の最後のフロンティアでしょうから、ぜひ黒いアフリカも含めて我がものにしたいでしょうね。

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