ウクライナ: もしポロシェンコが攻撃すれば、彼の余命はわずかとなる
The Saker
- 東ウクライナ反政府派は、軍事的にこれまでになく強力になりながら、和平への関心を示すべく格別の努力を払っている
- これが行われているのは、民族主義者やアメリカが要求する不可避なウクライナ攻撃が実行された場合に、反政府派を非難することをできなくさせる為だ
- 今後、反政府派は、ウクライナの攻撃を無力化し、反撃にでる可能性が高い
- その時点で、ポロシェンコが権力を維持できる可能性は少ない
- 疑問は、彼が平和志向の党派、または、より一層戦争志向の党派、どちらに置き換えられるかだ?
2015年7月20日
"Russian Insider"
ドネツクとルガンスク人民共和国のノボロシア幹部(ザハルチェンコ、デイネゴと、プシリン)は共同記者会見を催し、口径100mmまでの兵器全てを、前線から 少なくとも 3km撤退させる一方的な決定をしたことを公式に発表した(これより大口径の武器は、ミンスク-2合意(M2A)に従って、既に撤退されていることになっている。ノボロシアは遵守したが、キエフのクーデター政権は遵守していない。)
既にそれ以前に、ノボロシアは、全部隊をシロキノの町から1km以上撤退させて、同様な一方的行動をとったことがある。予想通り、政府側はそれには習わず、立場を固守している(が、少なくとも私が知る限り、あえて、シロキに入ることもしていない)。
今回は、ウクライナ側、ノボロシアの新たな“好意の意思表示”に、再度、ドネツク市への未曾有の迫撃砲集中砲火で答え、一晩中砲撃した。
すると、ここで一体何が起きているのだろう? ノボロシアは突然発狂したのだろうか?
とんでもない。
実際、ポロシェンコと彼の欧米支援者に対して、実に巧妙な罠をしかけたのだ。それは、このようにして機能する。
政治レベルでは
政治レベルで、ノボロシアは、聞く耳をもった誰にでも、自分達がM2Aの全ての条項を実際に遵守していることを証明すべく、全力を尽くしている。
もちろん、問題は、欧米では誰も進んで耳を傾けようとはしないことだ。対応として、ノボロシアは、欧米指導者連中が、現地での単純な事実を無視することが益々困難にするような複数の取り組みを推進している。クーデター政権は、M2Aの遵守を初めてすらいないが、ノボロシアは遵守している。
ザハルチェンコ、デイネゴと、プシリンが声明を発表すると間もなく、ラブロフは、シュタインマイヤーに、ノボロシアができる限りのことをしていることを強調し、ポロシェンコがこれに続くよう圧力をかけるべきだと呼びかけた。
今や、もちろん、ラブロフは、シュタインマイヤーは、アメリカの傀儡で、アメリカ政府に指図されていることを知っており、より重要なのは、ラブロフは、ポロシェンコが、M2Aを実施できないことも知っているが、M2Aが署名されているので、ロシアは今、あたかも、ウクライナも、条件に従うであろうふりをして、自分達も、BRICS/SCO同盟諸国も、“ミンスク2合意が、この紛争を解決する唯一の方法だ“とお経のようにしっかり繰り返すようにしている。現実には、もちろん、M2Aは、ウクライナにおける政権交代を実現する為の最善の方法だ。なぜだろう?
ポロシェンコは、M2Aの要件を全く実施していないにもかかわらず、オリガルヒやノボロシアと断固として戦わないことで彼は既に右派セクターや、様々な民族主義政党からあからさまに攻撃されているからだ。
西ウクライナの状況は極めて深刻で、ドミトリー・ヤロシは、キエフの政権を“裏切り者”とあからさまに表現し、無数のウクライナ・ナチ暗殺集団に、反乱し、ポロシェンコの命令に服従しないよう呼びかけている。
ポロシェンコは、ノボロシアに次の大規模攻撃を仕掛けて、愛国心を証明したいところだが、問題はそれが既に過去二回とも失敗しており、ノボロシアは以前より一層強くなっていることだ。
軍事的側面
実際にこの仮説を検証するには、本格的な戦闘再開しかないが、ノボロシアが、分散型の民兵部隊から、統合された常備軍へと、見事に変身をとげた有力な証拠がある。
これはつまり、彼等は、戦術的勝利から、キエフ政権に大きなリスクをもたらす作戦レベルでの反撃さえ可能になっているということだ。
彼等には、十分な数の武装兵士がおり、彼等はあからさまに、兵器は“十分”だと認めている。指揮統制もそうであるよう願いたい(これまでは、とんでもなかった)。
ノボロシア指導部は全員、いかなるウクライナ政府攻撃を押し返すのみならず、反撃して、大損害を与えられる自分達の能力に、強い確信を明確に持っている事実は実に重要だ。ザハルチェンコは、あからさまに、何度もそういう発言をしている。ノボロシア側には、常に時間が味方をしてくれていたが、今や効果をもたらしつつあるのだ。
ノボロシア諜報機関が、現在、境界線沿いに、装甲車両や、大口径火器で援護された70,000人のクーデター政権兵士がいると見積もりながらも、ノボロシア側が一方的撤退で先手をとっている事実が、ノボロシアの確信を実証している。
しかも、ノボロシア側には、クーデター政権兵士の攻撃軸となりそうな部分にそって、地形を準備し、もし彼等が攻撃した場合、入念に仕組んだ集中砲撃地域に、巧妙に追いやって、壊滅するように仕組む時間がたっぷりがある。
ノボロシアは、移動能力と、砲撃調整を劇的に向上させており、あらゆる攻撃勢力との交戦が彼等にとって、よりやり易くなっているだろうと思う。
だから、現実はこうだ。ノボロシアは実際は、一方的な行動で、さほどリスクをおかしているわけではない。実際、彼等は、うまい政治PRと、正しい軍事戦術を極めて巧妙に組み合わせているのだ。
ポロシェンコのジレンマ
ポロシェンコは悲惨な状況にある。ウクライナ経済は基本的に死んでいる。救出するためのものは何ものこされておらず、流れを変えたり、壊滅的経済危機を克服したりするどころではない。
右派セクターは非常に激怒している。西ウクライナの人々は既に、特別自治待遇を要求することを真面目に考えている。サアカシュヴィリが知事で、エゴル・ガイダルの娘が副知事をつとめるオデッサについては、とりわけ、アメリカが公式に連中の給料を払っている以上は、必然的に爆発するだろう。
ポロシェンコが国会に出る際には、“強そうに”見える必要があり、つまり、M2Aに従って、実行を誓約したことの真逆をいわねばならない。しかしホワイト・ハウスすらもが、M2Aを唯一の解決策と呼んでいるので、ポロシェンコは、昼は仲裁役のふりをして、夜はヌーランドの狂った命令を実施しなければならないという狂った状況におかれている。
今頃は、ポロシェンコも、恐らく、自分が、アメリカによって、手先とカモとして利用されていることに気がついているだろう。彼が、ノボロシア攻撃命令を強いられ、この攻撃が必然的に失敗すれば、彼はその全ての責任を負わされる。
そのような攻撃が確実に、再度の敗北となることがわかっていながら、アメリカは一体なぜ、ポロシェンコに攻撃を命じるのだろう? 二つ理由がある。(仮説だが)ロシアが介入してくれるだろうと願っており、それこそがポロシェンコを追い出す為の完璧な方法だ。
当然ながら、ポロシェンコは権力を失いたい等、まして死にたいなどとは思っておらず、劇的な手段をとることを避ける為s“愛国心”や軍事的“武勇”を証明するだけの為に、ドネツクやドンバスの諸都市への砲撃を継続して、彼は最善を尽くしている。
この“解決”の問題点は、この種の砲撃は、ノボロシアの軍隊を弱体化するため*何の役にもたたず*、ノボロシアの人々を一層激怒させる効果しかないことだ。
攻撃されたら
おそらく不可避の攻撃が起きた場合は、一体どうなるのだろう? ノボロシアは、素早く効果的に反撃し、恐らく、マリウポリと/あるいはスラビャンスクを即座に反撃すると思う。
その時点で、クーデター政権はまたもやびびり、欧米の庇護者達に、ノボロシアを止めてくれと乞うだろう(ミンスク1と2の合意前にまさにそういうことが起きた)。
オバマとケリーは、またしても、全てをロシアのせいにする図太い神経を持っているだろうが、ヨーロッパでは、“彼らの”手玉が明らかに、M2Aに違反した側で、攻撃を開始した側というだけでなく、ノボロシア反撃の深さ(連中の最大の恐怖は、クリミア半島沿岸回廊だ)に怯える為、支配者は完全にバニックとなる。
2008年、ロシアがトビリシに進攻しないよう乞う為のサルコジのモスクワ訪問を覚えておられるだろうか? もし再度、何か似たような事が起きても私は驚かない(メルケルかオランドがサルコジ役をつとめる)。
そして、再度、プーチンは、ノボロシアに停止するよう命じるだろうが、彼等が占拠した地域は、デバルツェボ同様、そのまま彼らのもとに残る。いやいやながらも、全員がそれを受け入れるしかないだろう。その時点で、キエフ政権は完全に崩壊すると思う。そこで、彼等に置き換わるのは誰だろう?
政権交代は確実! しかし何の為に?
私には、二つの選択肢しか考えられない。第一のオプションは、“ウクライナを救い”“平和を回復する”為の軍事クーデターだ。
これは、ウクライナ・ナチ実験丸ごとの事実上の終焉で、プーチン計画の基本的な受け入れを意味する。憲法によって保障された自決の権利を持った、分権化された、統一中立ウクライナだ。
もう一つの選択肢は、右派セクターや様々な暗殺部隊風の、あからさまなバンデラ信奉者のナチス政権だ。本物のナチスが権力の座につけば、もちろん、ウクライナの残りかすの分裂過程が再開されるだけのことだが、ロシアの観点からは、これも一時的に受け入れ可能な結果だ。
ロシアは、国境に、恒久的に、ロシア嫌いの統一“バンデラスタン”があるのは受け入れがたいが、ウクライナが、様々なウクライナ・ナチ悪漢どもによる、いくつかの“支配圏”に分裂する場合、ロシアにとって、何ら脅威ではない。
ロシアに(そして、もちろんノボロシア)とって、最悪の政権は現在のものだろうと私は思う。権力の座にある、全く不道徳で、腰抜けのオリガルヒに支配され、あらゆる主要な地位を、ビクトリア・ヌーランドの子分連中が占め、公式に国家承認され、EU/IMF/WB/等々に支援される統一されたウクライナだ。この構造は、明らかに、ロシアに対する脅威として最大の可能性があり、そして、既に実際、ノボロシアの人々を毎日殺害している。だが、もしウクライナが、リビアやイラク“民主主義モデル”に続くようなことになれば、ロシアにとって以上に、EUにとってずっと大きな問題になろう。
プーチンとザハルチェンコにはいくらでも時間がある
“ウクライナ版ナチス・ウクライナ”は今や十分に、自己破壊的な勢いをため込んだので、プーチンとザハルチェンコは、のんびり待っていさえすれば良い。
彼等は当面、きわめてありうる、捨て身のノボロシアに対するクーデター政権による自爆攻撃に備える以外は、何もする必要がない。
そういうことになれば、ノボロシアには、できるだけ迅速かつ、深く反撃し、再度停止し、“だが、バラバラになった場合には、何ともできない”と思いつつも“ウクライナの領土的一体性を支持する”という呪文を再開する用意ができている。
オバマとケリーは、もちろん、その全てを、ロシアのせいにするだろうが、誰かが、全く *何も*しないことに対して、一体誰が非難できるだろう?
ノボロシアの人々は不幸ににしてそうではない
これまでのところ、一番大変な状況にあるのは、砲弾が住宅、学校や病院に落下している際に、時間は“彼等に”味方するという素晴らしい理論など、何の慰めにもならないノボロシアの人々だ。彼等にとって、この恐怖の一刻一刻が緊急事態で、今すぐ止める必要がある。ナチスが占領したウクライナでも、事態は酷いことになり始めている。有名なウクライナ人ブロガーの(ロシアに亡命している)このビデオをご覧願いたい。(コロモイスキーとヤロシの)“ウクロプ”党が食料を配給して、支持を得ようとしている様子を報じている。
(‘cc’を押すと、英語字幕が出る。)
恐ろしい?
しかも、これは今後益々ひどく、一層ひどくなる。政治的、経済的、社会的に、亡骸はまだ温かいとは言え、ウクライナはもはや死んでいるのだ。
政権が交代し、必然的に非ナチ化が行われた後、長期的で、大規模な国際的安定化・再建計画を組み合わせることで、最終的に、ゆっくりと、ウクライナは、ささやかながらも正常状態にもどれるようになろうが、それも、もしロシアが、この為の取り組みで主要な役割を果たせばのこと。
そのような結果を帝国は到底受け入れることは出来ないので、ウクライナは、コソボ、リビアやソマリアの様な“ブラック・ホール”、悪党やマフィア親分が支配する赤貧の破綻国家でありつづけるだろう。この理由から、この国をいくつかの小さな組織に分離することが、おそらく全員、特にウクライナ人自身にとって、一番酷さが少ないものだろう。
一度の大爆発か、数度の小爆発か?
100gのTNT火薬が一斉に爆発させられる部屋A、あるいは、5つの20gのTNT火薬が全く爆発しない可能性も多少はあるが、続けて爆発させられる部屋Bどちらを選ぶかと言われたらどうするだろう? どちらを選ぶかは明らかだろう。ウクライナも同じことだ。
もしウクライナが、いくつかの部分に分裂することが認められれば(例えば、ドンバス、中央部、南部と西部)大陸全体での危険はずっと少なくなり、その方が、現地の人々にとってもずっと良いだろう。
その理由の一つは、ある地域は、他の地域よりずっと生存能力があることだ。各地域はまた実に様々なのだ。しかも現在のウクライナ国境は、レーニンとスターリンが作り出したもので、いずれにせよ何ら歴史的根拠はなく、この人為的な組織を生かしておこうとする死に物狂いの試みよりも、分割する方が、ずっと安全で、ずっと自然な過程だ。
イデオロギー的な意味では、ウクライナは、素晴らしいアイデアだ。他のヨーロッパ諸国を、ロシア軍団から‘守る’対ロシアの敵意に満ちた巨大な国家。素晴らしい! しかし、そのような計画の現実性を考えた瞬間、それが激しいロシア嫌いの欧米の宗教や政治支配層の病んだ心に宿った常軌を逸した考え方であることは、即座に明らかになる。
唯一の疑問はこうだ。欧米の金権政治家連中は、自分達が作り出した怪物に屈伏することに同意するのだろうか?その答えに、ロシアの将来は依存しないが、ヨーロッパの将来は、おそらく、依存するだろう。
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サケ漁業の制限、ロシアの経済情勢と関係がありそうな記事を読んだ。経済制裁に対応すべく、自前の食料を確保する必要に迫られているような趣旨だった。貧しいサケ好きとしては残念なことだ。
新聞が、TPPで、著作権侵害の非親告罪化について触れるようになった。触れるのは、いつも遅過ぎるタイミングになってから。アリバイ工作だろうか?
非親告罪化されれば、このような翻訳記事もやり玉にあがりそう。そうなったら、即座に脅しに屈し、全部消去して沈黙するのであしからず。
『天皇の名のもとに~南京大虐殺の真実』という映画をはじめて見た。
『誰も知らない基地のこと』を二度目に見た。
『天皇の名のもとに~南京大虐殺の真実』で、日本人戦犯の絞首刑シーンが映った。首に輪をかけるところまで。画面が切り替わった瞬間、命を救われた、あの人の祖父が映った、ように思えた。なにせ瞬時だったので、曖昧。
いずれも戦争法案と直接つながる、基地と戦争現場の話。夜の民放ではフィリピンの戦争被害者女性の報道を見た。こういう番組、どこかのヨイショ番組と違い、お金を払いたいくらい。
『誰も知らない基地のこと』、イタリアのビチェンザ基地建設を動機に作られた映画。高江と辺野古も詳しく取り上げられている。
『誰も知らない基地のこと』は、
翻訳記事 ケン・ローチの『ルート・アイリッシュ』: イラク戦争帰還す 2012年4月 7日
で触れた。
翻訳記事 アメリカ帝国の活動拠点に変えられたイタリア 2014年4月 3日
でも簡単に触れた。
今回は、先日のギリシャ国民投票が頭にあったので、「住民投票」が記憶に残った。ビチェンザ基地建設について、賛否の住民投票を、反基地派の市長が実施しようとしたが、最高裁から、住民投票の実施を禁じられる。やむなく、手製の住民投票を実施した。住民の反対95%でも、国は建設する。どこかとそっくりな光景。
『〈いのち〉を食う 3・11後の映画と現実』という映画評論の本に、なぜ米軍基地はふえつづけるのか という章があり、そこで『誰も知らない基地のこと』『ルート・アイリッシュ』『標的の村』が論じられている。しかも冒頭で熊井啓監督の『日本列島』に触れられている。
原発の章にある、「デモ隊は鉄柵で歩道に封じ込められ、身動きもできない状態だった」という記述で戦争法案反対抗議行動を思い出した。
『誰も知らない基地のこと』は下記でも詳しく書かれている。
[「常備軍」(Standing Army) ~日本とイタリアの意外な共通点~
アメリカは、かつては戦争をするために、兵站上、基地を建設していたが、現在は、基地を設置するために戦争をしている。
戦争法案は、そこに参加するための仕組み。
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ウクライナ問題取り上げていただきありがとうございます。
何が問題の核心かを意識的に外す報道がなされており、ロシアに全ての責任があるかのようにロシア以外の国では世論形成されてしまっていると思います。
ロシアの政治討論番組でも戦争が始まって以来、現在に至るまで、キエフからの参加者は、親ロ派テロリストとロシア軍が攻撃している、モスクワの愛国者は、キエフならず者政権の軍隊とオルガリヒのファシスト部隊が無差別攻撃をしている、という具合で常に非難の応酬になること、既に1年半繰り返しています。しかし僕が思うには、単純に「誰が何処に位置して誰を攻撃しているか」を見れば一目瞭然だと。ウクライナ軍の構成員はドンバスの住民ではありません。大概は中西部の出身者です。加えて欧米の軍人、ポーランド、バルト諸国からの軍人、それから去年の夏は、欧州からの「ロケット弾撃ち放題ツアー」の旅行者もいました。それに対するドンバス自警団は、ほぼ地元の住民です。勿論ロシアの軍人その他外国からの応援団もいますが。例えば、https://www.youtube.com/watch?v=f67cNi1qk3M
ドンバスの住民からすれば「よそ者」が空爆、砲撃しており、自宅、会社、病院、学校その他一切のインフラを破壊し尽くしている、自警団はそれに応戦している、自分達を守っていると見ています。キエフそれから「西側」ではロシア軍と分離主義者、テロリストが破壊していると伝えられています。確か最近の演説でパラシェンコは、2万人のロシア軍がドンバスで展開していると何の根拠も示さずに云っていました。キエフとドンバス、どちらの言い分に分があるでしょうか?
僕は最近数ヶ月努めて朝のNHKのBS世界のニュースを見ていました。英BBC、独ZDFは、ウクライナで戦闘激化とは言いますが、決してウクライナ軍がドンバスの町を破壊し住民を殺しているとは伝えません。露RTRの本放送では毎日ウクライナ軍の攻撃で何人が死にけがをしたか、特に悲惨な場合は、映像で死体(モザイクなしの時もあり)を映し、遺族の叫びを伝えています。(これがロシアからのボランティア兵士の決定的な動機付けになっています)ところがNHKBSではこのウクライナ軍の攻撃の具体的な部分は全て削除され編集されています。伝えたとしてもロシアでの報道の極々一部でしかありません。
ミンスク合意では、停戦監視をOSCE(欧州安全保障協力機構)の役割とし、ミンスク2ではそれを強化した筈でした。しかしどうも役人仕事のようで、朝9時から夕方5時迄の監視なので、ウクライナ軍は夜中中、砲撃をするとか、OSCEの監視員はドネツク中心のホテルに滞在しているのですが、そのホテル周辺には決して攻撃せず、郊外の住宅地に砲撃を繰り返すとかいったことが伝えられています。先週には遂に住民によるOSCEに対する抗議活動も起こりました。
http://www.kp.ru/daily/26410.4/3284826/
http://www.kp.ru/daily/26410.4/3284993/
OSCEの仕事は、停戦違反の回数をカウントするだけで、ウクライナ軍が攻撃すればドンバス側も応戦するのでそれもカウントされ、キエフではドンバス側だけの停戦違反回数が報道され「テロリスト」に対する恨みを募らせるという構図です。
投稿: 石井のひよこ | 2015年7月26日 (日) 18時55分