« イラン合意の本当の理由 | トップページ | 世界環境の変化ゆえに、イランとの交渉を強いられたアメリカ »

2015年7月21日 (火)

安倍首相最期の日々なのだろうか?

Jake Adelstein
The Daily Beast
2015年7月15日

彼は戦闘では勝利したのかも知れないが、平和主義の日本を変える戦争では敗北した。何千人もの抗議行動参加者が街頭に繰り出す中、安倍晋三は祖父の過ちを繰り返しているのかも知れない。

東京 - 日本のウォルト・ディズニー、宮崎駿が反対しているのだから、日本で、国民の支持を得る戦争では負けたのだ。更にいくつかの戦闘では勝利できるかも知れないが、世論という法廷では、終わったも同然だ。

今日は、念願の“集団自衛”を奉じる安全保障関連法案が、法制特別委員会で採決され、衆議院で、明日追認されるばかりとなるのを目にした安倍晋三首相にとって、勝利の日のはずだった。ところがこれは、55年前の祖父岸信介の大失敗と不気味なほど似ている。そこには何か奇妙に詩的なものがある。

彼の内閣の人気は下落しつつあり、国民の大多数が今や法案に反対しており、90パーセント以上の日本の学者や元検事達も、提案されている法案を違憲だと非難している。マスコミも彼に楯突いている。自由民主党内の大物達さえ、不賛成の意を表明している。自民党元幹事長の古賀誠は、最近のインタビューで、安倍政権は“暗く不気味”だと述べた。


ロイター・スタッフ/ロイター

日本TVの世論調査で、2012年12月の安倍政権就任以来、不支持の率が初めて支持率を上回った。内閣支持率は、39パーセントだ。不支持は、41パーセントだ。世論調査対象者の約59パーセントが、安全保障関連法案可決に反対している” (戦争法案)。この法案を支持しているのは、わずか24パーセントだ。彼の支配の終わりが始まったのかも知れない。

55年前の今日、1960年7月15日、新安保条約強硬採決後、岸内閣が総辞職した。当時の岸の反動的政治に対する強烈な反対のおかげで、日本の平和憲法の改訂論議さえ何十年もの間、タブーになった。

安倍は長年祖父を尊敬してきた。第二次世界大戦中、岸は軍需省次官をつとめたが、彼は、戦後、戦犯として逮捕もされており、やくざとのつきあいを好んでいた。岸は、実父に代わって、安倍を育て、日本を再度軍事大国にして、アメリカ平和憲法のくびきを投げ捨てるという自分は実現できなかった夢を孫に託した。

雑誌WiLLの今月号での安保法案擁護記事で、安倍は、最初の文で、祖父に触れずにはいられなかった。二人がどれほど近かったか、いまだに近いかを示している。

安倍は早くから日本の平和憲法をこっそり変える計画を持っていたように見える。政権初期、2013年、自ら選んだ麻生太郎副総理が、憲法はある日、気づいたらワイマール憲法が変わってナチス憲法に変わっていたんですよ 誰も気づかないで変わった。あの手口から学んではどうかね、と述べた。閣僚の二人もネオナチ政党指導者と交流しており、ヒトラーの選挙戦略に関する本を称賛した。その計画は当面うまく行きそうに見えた。

何がまずかったのか?

一体なぜ電撃的攻撃が機能しなくなったのか?


トーマス・ピーター/ロイター

2015年7月15日、東京の国会議事堂前での安倍晋三首相政権と、彼の安保関連法案への反対集会でプラカードをかかげる人々。水曜日、大多数の一般有権者の反対にもかかわらず、第二次世界大戦以後、初めて、軍隊が海外で戦える様にする日本防衛政策の劇的変更を行う法律が、衆議院の法制特別委員会で採決された。背景のプラカードには、"死神総理"と"戦争法阻止"とある。

安倍と自民党は、権力の座について以来、既にいいなりの日本マスコミ意のままにしていた。連中は国粋主義を鼓舞した。連中は、報道の自由をひどく脅かすおぞましい秘密保護法を強行成立させた。

安倍と自民党が昨年、総選挙を主張した際、彼等は報道を巧妙に支配してきた。

ところがここ数週間、チーム安倍は、世論が完全に悪化し、子分連中が再選に神経質になる前に、極力素早く、法案を通過させるよう政権に強いた、いくつかの、とんでもない大失敗をしてしまった。

安倍政権が提出した法案は、特定の戦争で、日本がアメリカと共に戦えるようにする“集団自衛”という彼らの見解に沿ったものだ。論議をしているように見せるための、単なる公的討論さえすれば済んでいたはずだった。

ところが、6月4日、衆議院の憲法審査会で、安倍自身の顧問によって選ばれた一名を含む三人の憲法学者が法案は違憲だと述べて全員を驚かせた。

衝撃は大きかった

上智大学政治学の中野晃一教授はこう語っている。“法学は極めて権威があり、日本では大変尊敬されており、ある種、ほとんど自然科学の様なものですから、学者証言の重みは大変なものです。”

マスコミ報道は熾烈だった。朝日新聞は、100人以上の憲法専門家に聞き取り調査をしたが、安保法案は違憲だということで、彼等はほぼ全員一致していた

抗議の声は大きかった。

大衆の風刺も同様だ。国会証言での大失敗が余りに衝撃的だった為、司令官達が、彼の意見をおうむ返しにする従順な学者を見つけそこねたことを、安倍総統が悲嘆するという映画『ヒトラー ~最期の12日間~』のパロディーまで制作されるようになった。“総統閣下は、『安保法制』審議にお怒りのようです”と題する巧みな字幕をつけた作品だ。戦線の悲惨な状態を、高位の司令官達が“安倍”に報告する場面は、実に滑稽であるのみならず、正確だ。“国民の8割以上が、説明不足と感じており。野党は「戦争法案は憲法違反」だとして攻勢を強めています。”

“安倍”が「安全保障法案は合憲」と思っているものだけが残れというと、忠実な三人しか残らない。

ある場面で、安倍/ヒトラーはこう叫ぶ。“なんのために、マスコミとボルシチを食ってると思ってるんだ!”好意的な報道をさせるため、マスコミ幹部と酒を飲み食事する彼の習慣を引き合いにだしたものだ。

自民党は、マスコミによる法案批判の報道が不満だった。6月25日、党本部で開催された“文化芸術懇話会”で、四人の議員が、国家安全保障法案に対する世論の支持が少ないのをマスコミのせいにする発言をした。ある議員は“偏向報道をするマスコミを、スポンサーに圧力をかけてこらしめてはどうか?広告料収入をなくせばいい。”と提案した。沖縄で軍事基地に反対している二紙は“潰さないと いけない”という示唆もあった。

安倍はいやいやながら謝罪し、問題を起こした自民党議員達は“厳重注意”をされた。単に注意ではなく、“厳重”注意を受けたのだ。

ところが安倍は、言いなりになるマスコミでさえ、余りに蹴り過ぎれば、噛みつくことを思い知らされたのだ。騒ぎは続いている。

日本新聞協会編集委員会は、声明で、“憲法21条で保障された表現の自由をないがしろにした発言は、報道の自由を否定しかねないもので到底看過できず、日本新聞協会編集委員会として強く抗議する”と述べた。

最終的に、新聞、雑誌や、あらゆる刊行物が抗議した。新聞が抗議したのみならず、一般大衆も今や抗議している。通常は無関心な学生達さえ。毎日、国会議事堂前で、大規模な抗議行動が行われている。ある抗議行動参加者は、安倍の顔に、あの不可欠なヒトラーの口ひげを加え、安倍の“日本を取り戻す”という選挙スローガンに“日本を取り戻す-戦前時代の?”と付け足してパロディーにしたプラカードを掲げていた。

独立しているとされる公共放送NHKでさえ、参加者数が10,000人を超えるデモを無視することはできなかった。

だが恐らくは、最大の打撃は月曜日のものだ。外国人記者クラブ記者会見で、世界的に著名なスタジオ・ジブリで『トトロ』や、オスカーを受賞した『千と千尋の神隠し』等、アニメ映画の最高傑作を制作した、白ひげをはやした断固平和主義の宮崎監督は、日本の高まる軍国主義を厳しく非難し、選び抜いた言葉で安倍を表現した。“[平和]憲法解釈を変えた偉大な男として歴史に名前を残したいのだと思うが、愚劣なことだと思っています”

日本のマスコミは、こうした鋭い意見をほとんど無視している。

彼が実際に使った日本語の「愚劣」には、以下の様に色々意味がある。“十分に考え抜かれていないこと”、“未熟”や“愚か”。使われた単語自体は、法案、あるいは安倍、あるいはその両方に対して使われた可能性がある。

一時間に及ぶQ&Aで、74歳の宮崎監督は、日本の15年戦争中、惨憺たる経験を日本人にも与えたこと思いおこさせ、荒廃した日本にとって、平和憲法は“光が差し込むような体験であったのです”と語った。安倍と違い、日本のアニメの神様である宮崎は困難を体験しており、戦争を実際に覚えている。彼の言葉には重みがある。だから彼が、オビ=ワン・ケノービの声で、何かを愚劣なことだと宣言すれば、日本人は耳を傾ける。この安保法制を成立させるのに、安倍はありとあらゆる政治力を投入した。彼は憲法学者には耳を傾けようとしないかも知れないが、恐らく日本のウォルト・ディズニーには耳を傾けるべきだ。

最終的には、歴史を学ぼうとしないがゆえに、あるいは単に修正しようとするがゆえに、同じ過ちを繰り返している安倍と自民党は、倒れるかも知れないと、中野教授は主張する。“55年前、岸の反動的な政治が、自民党に、平和憲法の制限を受け入れさせ、憲法を改訂するという野望をあきらめさせました。安倍は今、日本が集団的自衛権を行使できるよう、憲法を、改訂でなく、単なる憲法の再解釈によって、破壊することで、その制約から逃れようとしています。今日は決定的に重要な日です。戦後日本における民主主義と立憲主義にとって、ほぼ確実に最悪の日です。もし彼の違憲で非民主的な動きが、日本の市民社会の大きな覚醒をもたらせば、安倍政権終焉の始まりになる可能性もあります。”

本記事には、ルイス・クラウスが協力した。

記事原文のurl:http://www.thedailybeast.com/articles/2015/07/15/are-these-the-last-days-of-japan-s-prime-minister-abe.html?via=mobile&source=twitter

----------

戦争法案を交通事故被害予防にたとえたタレント、前から顔をみるなり切り換えるか消している御仁。

砲撃しながら暴走する戦車について給油し砲弾を渡し、付近の人に危害を与える法案だろうに。

テレビ朝日では支持する36.1% 支持しない 47.0%だという。

いまだに、36.1%も支持者がいることを不思議に思う。正気だろうか。

国立競技場白紙でごまかす作戦、不発だったので、奥の手でも考えているのだろうか?

「支持率のために政治をやっているのではない。支持率のためにやれば、人気目当ての政権になってしまう」
正しく翻訳すると下記の意味になるだろう。
「支持率のために政治をやっているのではない。宗主国支配層のために政治をやっているのだ。支持率のためにやれば、日本国民の為の政権になってしまう」

まっとうな批判が不安で、街頭演説もできない傀儡達。
宗主国から、金も血もさしだせと命令されての、この戦争法制やTPP、辺野古基地です。と正直に言えば、共感する奇特な方々も、ひょっとすれば、いるかも知れない。

暴挙の日、7月15日、青年劇場『真珠の首飾り』チケット発売日だったのを忘れていた。
国民主権。戦争放棄。基本的人権の尊重。
一面焼け野原の東京で、憲法草案づくりが始まった。
彼等はそこに、何をこめたのか

ジェームス三木=作、板倉哲=演出 

9/11-9/20 紀伊国屋ホール 9/24太田区民プラザ 9/25 かめありリリオホール

そして、今日、池袋の書店リブロが閉店した。

« イラン合意の本当の理由 | トップページ | 世界環境の変化ゆえに、イランとの交渉を強いられたアメリカ »

NATO」カテゴリの記事

アメリカ」カテゴリの記事

アメリカ軍・基地」カテゴリの記事

マスコミ」カテゴリの記事

憲法・安保・地位協定」カテゴリの記事

日本版NSC・秘密保護法・集団的自衛権・戦争法案」カテゴリの記事

コメント

他のアニメーターならともかく、宮崎駿をディズニーと称するのは納得いきません(翻訳記事だから八つ当たりですが)。
ディズニーは戦争協力者でしたから。

ただ、戦争反対と戦争の話が好きであることは両立するんですよね。

ご丁寧に私の愚作を訳していただき、感謝しております。なぜ多くの学者に違憲とされる安保法案が成立したかという背景を説明しながらそのニュースを伝えたかったのです。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1335849/60819728

この記事へのトラックバック一覧です: 安倍首相最期の日々なのだろうか?:

» 資料 七月十八日午後一時 アベ政治を許さない [木霊の宿る町]
★ 澤地久枝 さんの呼びかけで行われた「7月18日 1時 アベ政治を許さない ポスターを全国で掲げる運動」の様子をネットでみた。数人から数百人が集まって掲げているのがほとんどであるが、なかにはたった一人で掲げた人もいてこれにはいたく感心した。 ★ オノマの学生時代はなにかとデモや政治集会が多い時代だったが、住んでいた学生寮で開かれる会に参加して意見を述べることは何回かあったが、デモに行ったのは一度だけである。学生の本分は勉強することにある、政治に関わるの... [続きを読む]

» 「空っ風野郎」こそがホントの業界人なんだ! [岩下俊三のブログ]
昔は夜に遭っても「おはようございます」というのは僕のいた限られた業界の隠語であったが、いまや「お疲れ様」「フリップ」は当たり前、すこしななめにして映し易くする「やおや ... [続きを読む]

« イラン合意の本当の理由 | トップページ | 世界環境の変化ゆえに、イランとの交渉を強いられたアメリカ »

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

無料ブログはココログ