我々を墓場へ手招きするオバマTPP演説
21世紀には“勝つか負けるか”思考では“双方が負ける”
2015年5月18日
John V. Walsh
counterpunch.org
“必ずアメリカが世界経済のルールを打ち立てるようにしなければならず、しかも我々の経済が世界的に強い立場にある今、我々はやらなくてはならない。もし我々が世界中の貿易ルールを打ち立てなければ、中国が打ち立てる。そして彼らは中国人労働者や中国企業が有利になるような形でそうしたルールを打ち立てるだろう。”
- オレゴン州、ナイキ工場での演説で、環太平洋政略的経済連携協定TPPにふれたバラク・オバマ大統領 2015年5月8日
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)支持を得る為の最も広く流通している、彼のPRの取り組みとして、我が帝国エリート思考の徹底的な代表の、きわめて僅かな、オバマの言葉は、余りに内面をさらけ出し、余りに多くのレベルで、大いに間違っており、大いに危険なので、一体どこから手を着けたら良いかわからないくらいだ。実際は、連中は、我々の破滅の種を運んでいるのだ。そして、彼らは中国に焦点を当てている。
第一に、それがアメリカ・エリートのお決まりとは言え、声明の傲慢さと、覇権への意思は驚くほどだ。広大な太平洋対岸の人口3億人の国アメリカ合州国に、人口13億人の国、中国を含む東アジアの貿易ルールを決める権利を、一体何が与えたのだろう? アメリカは、購買力平価で評価した総GDPは、IMFによれば、現在、中国の次なのだから経済力に基づく特権をもはや主張することはできない。
中国とアメリカ経済の相対的な力の明らかな証拠は、アジアやそれ以外にも開発資金を提供する大いに必要とされていたアジア・インフラ投資銀行(AIIB)の中国による立ち上げに対する世界の対応だ。そのような開発に必要な資金調達レベルは、アメリカが支配する世界銀行やIMFによってずっと拒否されてきた。アメリカ同盟諸国のイギリスやイスラエルさえ、連中を止めるためのアメリカのいじめにもかかわらず、次々とよろめいて、AIIBに参加し、アメリカと、東アジアにおけるアメリカの手先、日本だけが孤立することになった。更に驚くことに、アメリカが、中国と東アジアの貿易ルールを決めることができると思っているのだ! 新たな経済的現実を考えれば、そういう時代は終わったのだ。実際、オバマは、我々を脅かして、この方策を受けいれさせようとして必死になって、恐らく無意識にこの事実を認めたのだ。“我々はそうすべきだ(TPPを成立させる)、我々の経済が、世界的に強い今”と言った際、一体彼は他に何を意味していただろう。彼が言っていることは、明日一体どうなると、言外に意味しているのだろう?
第二に、オバマの言葉には、勝つか負けるかという考え方に満ちており - そこが彼の演説の最も恐るべき部分だ。要するに、我々アメリカ人が、我々の利益、そして他者が不利になる様に、ルールを決めるのだ - さもなくば、他の連中が、連中の為に、同じ狙いでルールを決めるのだ。これはもはや持続可能な世界観ではない。そういう考え方の結末は一体どうなるだろう? 結局は、衝突となり、次は支配と屈従 -、経済であれ他のものであれ、お互い同士の戦闘だ。21世紀以降、世界には想像もできない威力のハイテク兵器が蔓延しており、そのような紛争は、たとえ人類の終わりではないにせよ、何十億人もの人々に、口で言い表せない苦難や死をもたらすことになる。そのような兵器は、いつでもまた再生産できるので、禁止するだけでは不十分だ。どのような核廃絶論者が考えて見ても恒久的な対策はありえず、一時的なものしかない。
この考え方は、両者が満足のいく状況を生み出そうとして倦まない中国の見解と真逆だ。勝つか負けるかではない。“味方か、さもなければ敵だ”ではない。そうではなく“両者が満足するのだ”。人は、中華日報を読むか、ある程度のバランス感覚の為に、あるいは、中国かちの報道のいずれかを見るべきで、そうすれば、両者が満足のいく哲学が存在しているのに気がつくだろう。中国は明らかに、いいところに気付いている。その方向にこそ、世界の平和、繁栄と発展の可能性がある(保証ではなく可能性だ)。オバマやアメリカの帝国エリートが指し示す方向では、中東や北アフリカ中で、そして今、アメリカがそそのかしたクーデター以来、ウクライナで、我々が目撃したものが待っている。日本を含む東アジアの人々は、彼らの国か、他の国を、地域の“同時勝利者”にしてやるというアメリカの誘惑の言葉を警戒すべきだ。実際、オバマの(貿易であれ、何であれ)ルールを決めようという呼び掛けは、東アジアや違う場所の国民への警告だ。彼らにとっての結論は、もしアメリカが、自分で彼らを封じ込めたり、鎮圧したりする規則を書かなければならないと決めれば、結局そうなるだろうということだ。まさにこの声明そのものによって、アメリカは世界の指導者たる権利を喪失したのだ。まさにこの声明そのものによって、アメリカは世界に、この国以外のあらゆる国は、なくても困らないと語ったのだ。
第三に、アメリカの進歩派連中のTPP反対論で滅多にふれられないのが、その帝国支配の手段としての役割だ。真実は、こうした人々が言っている通り、TPPは、オバマが我々をそう信じさせようとしている様な、アメリカ人労働者を助けることを狙うものではない。真実は、それは大企業だけが儲かるものなのだ。真実は、秘密で、それゆえ、きわめて反民主主義的な協定だ。この最後の点については、到底疑いようがない。議員達は、それが書かれつつある時点で、少なくともTPPのある部分は見る機会がある。しかし、この協定の深く暗い秘密を見る際、彼らは側近や専門家を同行させることができない。議員達は、ノートもとれず、文章のコピーもとれない。議員達は、その内容を、国民にあかせない。そこで、我々国民は、TPPに一体何が盛り込まれているのか全く知らされずにいる。帝国エリートが、その特徴として主張したがる民主主義やら透明性と、これほどほど遠いものはない。これと対照的に、ナイキ幹部連中であれ、強欲な国際銀行幹部であれ、裕福で有力な連中は、TPPについて自分達に必要なことは全て知っており、それに対して大変な影響力を持っているのは確実だ。だが、そうした連中は、アメリカ人と、アメリカの地方支配者のことしか考えない。そうした連中は、我が国の主流進歩派が滅多にふれない言葉である戦争と平和やアメリカ帝国の現実という問題を無視する。
そう、TPPを止めるべく動こう。だが、この戦いは、単にもらって嬉しいちょっとしたものをもっと得るためのものでないことは覚悟しておこう。TPPは、実際、ある種の自暴自棄とパニックで、アメリカがそれに至る道を舗装しているように見えるハルマゲドンへと向かう道への更なる一歩なのだ。
John V. Walsh、counterpunch.org
John.Endwar@gmail.comで、John V. Walshと連絡できる。
記事原文のurl:http://www.counterpunch.org/2015/05/18/obama-on-the-tpp-beckoning-us-to-the-graveyard/
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岩波書店の月刊誌『世界』7月号 特集 戦争立法を問う
戦争法制の酷さ加減、大本営広報部でさえ、しらばっくれられなくなったが、こういう特集は、読みでがある。
「行き詰まった汚染廃棄物の処分」という記事の内容は、アメリカの原爆実験場での核廃棄物処理場拡張問題と表裏一体。稼動すればするほど、そして、万一再処理などすれば、いっそう、この問題は深刻になる。これはもはや「安倍事態アベノリスク」だ!
神保太郎氏の「メディア批評」第91回
(1)これはもはや「安倍事態アベノリスク」だ!
(2)TPPとメディア「壁」を突き崩す調査報道を
(1)は、もうおっしゃるとおり。(2)の正論、大本営広報部・大政翼賛会自身が意図的に「壁」になっているのだから、壁に調査報道を期待するのは木によって魚を求む類に思える。
個人的には、大本営広報部・大政翼賛会以外にしか、調査報道を期待しない。
日本農業新聞
TPP 関心持って 多彩イベントで盛り上げ 東京で市民ら企画 (2015/5/27)
ブログ街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋、最新記事はこれ。
『日本国土大バーゲンセール』開催中 戦争は平和、隷従は専制、だから売国は愛国
ウクライナとの違いは内戦になっていないこと、れっきとした外国人閣僚がいない程度で、属国の度合いは良い勝負におもえる。
2015/05/19 「TPPに反する法律は廃止され、将来にわたって立法できなくなる」 岩上安身による「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」弁護団共同代表・岩月浩二氏インタビュー
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