トランプを大統領に
Paul Craig Roberts
2015年6月20日
アメリカ合州国は、もはや政治指導者を生み出すことができないのではないかと私が思いついた様に、読者の皆様も思いつかれたのではあるまいか。トレンド・ジャーナルの今号で、ジェラルド・セレンテは、8人のアメリカ大統領候候補者達(彼が発行した時点の)を、“うそつき、腰抜け、変人と、ばか者”と表現した。
セレンテの表現はうまい。“最大の経済と軍隊を持った、例外的で、必要欠くべからざる、最も重要な国、世界唯一の超大国、一極大国”と表現され続けているもののCEOを目指す連中の嘆かわしい集団をご覧になれば、取るに足りない連中の集団にすぎないことがわかる。アメリカは、競合する派閥が自分達の傀儡を王座につけようとして戦ったローマ帝国最期の日々に似ている。
ウラジーミル・プーチンのくるぶしや、中国指導部の膝、あるいは、エクアドルや、ボリビアや、ベネズエラや、アルゼンチンや、ブラジルの政治家の腰、または、インドや南アフリカの政治家の胸に及ぶ政治家は、アメリカにはいない。
ヨーロッパ、イギリス、オーストラリアや、カナダでは、天性の指導者達は、腐敗した制度から締め出されている。
アメリカでは、“指導者”の地位は、支配的な経済的利権集団の資金援助に依存している。アメリカ大統領や政治家連中は、他の何者でもなく、およそ6つの強力な私的利益集団を代表している。
セレンテの記事が刊行された後、ドナルド・トランプが歓喜を受けながら、立候補を発表した。“ペテン師”と皆言うが、アメリカ大統領は、他の何者だろう? クリントン、ジョージ・W・ブッシュや、オバマにだまされなかったとお思いだろうか? 一体どこの世界に皆様は住んでおられるのだろう?
事実、トランプは、これまでで、最善の候補者かも知れない。誰に聞いても、彼は非常に裕福だ。だから、彼には、アメリカを利権集団に売り渡して、金持ちになるために、大統領の座につく必要はないのだ。
誰に聞いても、トランプのエゴは健全だ。だから彼は、いつも、アメリカ人奴隷の統治を決定している、強力な利権集団に抵抗することが出来るかも知れない。
私の元同僚、統合参謀本部議長トーマス・モーラー海軍大将は、イスラエル・ロビーに抵抗することが出来るアメリカ大統領はいない、と公式の場で言ったが、トランプのエゴは、イスラエル・ロビーに抵抗できる程の強さがあるかも知れない。
セレンテが、今号のトレンド・ジャーナルで明らかにした通り、全ての政治家は、詐欺男か、詐欺女なのだ。それでも、我々は彼等を大統領にすることになるのなら、伝統を破って、国民の利益に役立とうと決めるかもしれない金持ちで試してはどうだろう。これは、トランプが歴史書に載るのを可能にして、彼のエゴを満足させる比類ない成果になるだろう。人がトランプの立場に到達した場合、彼は更に数十億ドル必要なのだろうか、それとも、どれほど短期間とは言え、歴史的に救世主として認められる方が、より重要なのだろうか?
私がトランプを大統領として推薦するわけではない。大きなエゴを、いかにして我々の役に立つようにできるか考えられるかという私の憶測に過ぎない。我々がクリントン夫妻を大統領に送り込むと、娘の結婚式に、300万ドル使って、ハリウッドを出し抜き、自分達の到着を見せびらかすことができる様に、二人は金儲けをすることに決めたのだ。
トランプにとって、300万ドルは、はした金だ。
金持ちは至る所で、悪魔化されるが、実行してはいない。そこで、トランプに投票することを検討してみよう。優れたローマ皇帝達の中には裕福な人々がいた。彼らの富で、連中は、国の安定を維持し、その長期的存続について考えることができたのだ。彼等は、自分達の為の、すぐさまの、非常にえり好みの儲けを狙って、彼等を打倒しようと願う私的利益集団を出し抜くことができた。
トランプを出し抜くには、かなりの金が必要だろうが、もし彼がシークレット・サービスや、CIAを無視すれば、彼もジョン・F・ケネディや、ボビー・ケネディと同じ目にあいかねない。万一、彼が軍安保複合体の予算を削減する場合は、彼は自分がしっかり守られるようにしなければなるまい。
お金がたっぷりある場合、一つ大きな利点がある。十分な量のお金は独立を意味している。トランプは、もしマスコミ報道が正しければ金持ちだ。つまり、もし正しければ、トランプは他の全ての候補者達と違い、少数の支配的私的利益集団から独立しているのだ。
もしトランプが、独立した思想家達を顧問として集めて、彼自身が、いつもの利益集団の手中に落ちないようにできるなら、彼が選出されることがあれば、彼の政権は、アメリカを、より有望な方向に導くことに成功するかもしれない。
重要な質問はこうだ。本当に豊かな人物が、本当に金持ちではない仲間達と打ち解けることができるのだろうか? もしそうできなければ、トランプは我々の意中の人物ではない。だが、もしもトランプが我が国を救いたいのであれば、彼にはお金とエゴがあり、彼を助けようとする十分な数の人々を探しだせるだろう。
この機会も、必ずしも実現したり、成功したりする保証はない。もしトランプが我々にとって最高の選択肢なのであれば、我々の状態がいかに惨めか考えよう。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
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記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2015/06/20/trump-president-paul-craig-roberts/
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別記事では、エキストラに50ドル払って、景気づけをしたとある。日本でもそうだろう。特に裕福な両与党は。それとも、本当に手弁当で行くのだろうか。その場合、むしられ、首をつられに、進んで出かける皆様に、かける言葉はない。行くなと説得する気力もない。(同様なイベントに、来て欲しいと頼まれたことはある。自民党員に。都合が悪いと言って、行かなかった。)
国名を日本に変えれば、首相を目指す?主流政治家の実態、そのまま100%意味が通じる。自国民に、宗主国侵略戦争の兵站活動をさせようとしている売国指導者、官僚、御用学者、マスコミの描写としても、びったり。“うそつき、腰抜け、変人と、ばか者”
属国戦争法案を成立させる為の大幅、会期延期。
昨日は、女の平和6.20国会ヒューマンチェーンで、1万5千人の人々、主に女性が集まったという。
24日夜も、国会前集会が予定されている。
『戦争プロパガンダ』10の法則 アンヌ・モレリ著を読んでいる。
プロパガンダ放送だらけの電気洗脳箱を見たり、紙媒体を読んだりするより、遥かに頭に良いだろう。
一部章名だけをご紹介しておこう。
第1章 われわれは戦争をしたくはない。
第2章 しかし、敵側に一方的に戦争を望んだ
第3章 敵の指導者は悪魔のような人間だ
第10章 この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である
今の政府、大本営広報部・大政翼賛会報道そのまま。
というわけで、大本営広報部ではない、ジャーナリズムに期待したい。
この最高学府を出たエリート、“うそつき、腰抜け、変人、ばか者”ではないだろうか?
2015/06/21 【スクープ!】礒崎首相補佐官を論破した18歳女子は実在した! 岩上安身が直撃!「戦争は消火活動ではなく、人同士が殺し合うもの」――戦争と災害を区別さえできない安倍政権を徹底批判!
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