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2015年6月19日 (金)

貿易法案を救済すべく手を組むオバマと共和党

Patrick Martin
2015年6月17日
World Socialist Web Site

火曜日、アメリカ下院共和党多数派は、貿易法案を巡って、オバマ・ホワイト・ハウスとの協力を強固にし、貿易促進権限法案に関する、最終的な行動を、7月末まで伸ばすという投票をおこなった。下院民主党議員に圧力をかけ、政権の反中国策、環太平洋戦略的経済連携協定TPPを、強引に成立させるのに必要な“ファスト・トラック”貿易法案を支持するようにさせる時間を、オバマ政権と大企業ロビイストが十分とれるようにするのが狙いだ。

環太平洋戦略的経済連携協定TPPは、アメリカ、カナダ、メキシコ、日本、オーストラリアと、中国を除くアジアと南米の他の七カ国による“自由貿易”圏を確立するものだ。

ホワイト・ハウスが絶賛した火曜日の行動は、ほぼ党路線に沿った投票であり、オバマの“ファスト・トラック”権限獲得活動支持の意味で、233-6の票差で共和党は引き延ばしを支持したが、民主党議員は189-3で反対した。

環太平洋戦略的経済連携協定TPPを支持する、ホワイト・ハウスと議会共和党の組織的活動は、民主党政権と、共和党が支配する議会を隔てる巨大な政治的溝があり、非妥協的な各党派に分かれている、とされる公式ワシントン伝統的絵柄を打ち砕いた。異なる政治的姿勢にもかかわらず、支配階級が極めて重要であると見なす問題を巡っては、二大政党はウオール街と軍-諜報機関の狙いに役立つべく協力しているのだ。

9/11後、あらゆるアメリカ国民の通信をスパイする愛国者法を最初に発効させた国家安全保障局の権限を延長するアメリカ自由法を、今月始め、超党派で成立させたことで、これは既に実証されている。

火曜日の投票迄のマスコミ報道は、貿易に関するオバマ-共和党連合の重要性を強調した。ニューヨーク・タイムズは、記事に“民主党によって、だめにされた貿易法案を、復活させようとする下院共和党と、ホワイト・ハウス”という見出しをつけた。ウオール・ストリート・ジャーナルの記事冒頭はこうだ。“ホワイト・ハウスと下院共和党指導部は、月曜、民主党が先週却下した貿易法案を復活させる方法を見いだそうと協力。”

貿易促進権限は、5月末に、上院を通過したが、法案は、上院の貿易法案の一要素、f輸入のおかげで職を失った労働者に対する貿易調整支援(TAA)を延長するものを投票で否決することで、下院民主党によって、先週金曜、一時的に阻止された。

既存の下院ルールでは、共和党議長ジョン・ベイナーには、火曜日、TAA策に対する再考投票を行うという選択肢があるが、ホワイト・ハウスと相談した後、共和党指導部は、それほど急な通知では、金曜日の投票結果を逆転させる可能性がほとんどないと結論をだした。

月曜日、オバマとベイナー間の電話会話を含め、下院共和党指導部が、月曜夜に、6週間遅らせることを決める前に、戦略を練る為、更に議論がなされた。火曜日、下院は、投票を行い、ベイナーが、7月31日前のいつでも、貿易法案に対する再考投票を行うことを認めるという新たなルールを承認した。

投票後、下院共和党幹部会秘密会議が行われ、貿易法案に関する議論を支配する、それまでのルールに対し、党指導部に逆らって投票した議員達を、ベイナーは、ひどく叱りつけた。彼はワイオミング州のシンシア・ルミス、ニュー・メキシコ州のスティーブ・ピアースと、アリゾナ州のトレント・フランクスの下院議員三人を、投票に関する党議を破ったかどで、下院共和党指導部から除名するとさえ発表した。

今後6週間、オバマ政権が、環太平洋戦略的経済連携協定TPPを強引に成立させるのに必要な“ファスト・トラック”権限成立を確実にするべく、大企業ロビイストと、ペンタゴン、CIAや、他の諜報機関の代理人連中による、本格的なキャンペーンが行われることになろう。TPPは、中国の勃興に対し、アメリカ軍、外交力、経済力を総動員するオバマ政権の“アジア基軸”という取り組みの中で、経済/貿易の要素であり、アメリカ帝国主義と、二大政党にとって、優先順位が高いものの一つだ。

“ファスト・トラック”権限の支持者達は、TPPの反中国の狙いに関し、きわめて、あからさまだ。オバマ自身、ホワイト・ハウスが、金曜、貿易法案が当初、不成立になった後、発表したメッセージで、“この種の協定は、世界経済のルールが、決して中国の様な国によって決定されないようにするものだ。ルールはアメリカ合州国によって決定される。”と述べた。

ベイナーは、ほとんど同じ言葉で、同じテーマについて語り、“アメリカが主導すれば、自由にとって、そして自由企業体制にとって、世界はより安全だが、もし我々が主導しなければ、世界経済のルールを決めるよう、中国を本質的に招き、それを許すことになる。”と宣言した。

大半の下院民主党議員やAFL-CIOを含む、ファスト・トラック法案に反対する人々も、同様に、狂信的愛国主義や、反中国や、反アジア感情に陥っている。TPPが、アメリカが運営する貿易圏を生み出し、それが、中国との、経済的、政治的、そして究極的には、軍事的衝突の準備をすることになるといって批判するものは皆無だ。

そうではなく、彼等は、環太平洋貿易と投資の崩壊を引き起こし、世界的不況を悪化させかねない、中国を“通貨操作国”と呼ぶ等、一層露骨な保護主義的施策を要求している。

民主党は、労働者の利益を擁護していると主張する。下院少数党院内総務ナンシー・ペロシは、“アメリカの労働者にとって、より良い協定が必要だ”と宣言した。民主党大統領指名候補者のバーニー・サンダース上院議員は、日曜、CBSの番組“フェイス・ネーション”で、“我々は、再編成し、アメリカ大企業が、世界中の国々にではなく、この国に、投資を始めるよう要求する貿易政策を考え出す必要がある”と述べた。

民主党大統領指名の最有力候補ヒラリー・クリントンは、二股をかけようとしていた。国務長官として、彼女は、TPP交渉の初期段階に関与し、支持していたのだ。日曜、アイオワ州遊説の聴衆に“大統領は、ナンシー・ペロシを始めとする議会の彼の仲間達に耳を傾け、協力すべきだ”と語るまで、彼女は、この問題について公式な立場を表明するのを拒否していた。

AFL-CIOも、民主党も、アメリカであれ、他の国であれ、労働者の雇用や給与には何の関心も持っていないというのが現実だ。これは、労働組合によって裏切られ、妨害された、無数の労働者階級の闘争と、銀行を緊急救済し、経済的不平等が未曾有のレベルに拡大するのを監督してきたオバマ政権の右翼的実績によって、実証されている。

記事原文のurl:http://www.globalresearch.ca/obama-republicans-join-forces-to-salvage-trade-bill/5456336
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英語の害毒』永井忠孝著(新潮選書)を読了。朝刊で書名を見て早速購入したもの。
TPPで、英語公用化に拍車がかかる可能性も書かれている。
社員に英語を話させようという社長氏の発想の背後には、植民地支配固定化の思惑がありそうなことにも納得。そのまま、TPPに直結する本だとは、読む前は想像しなかった。

鳥飼久美子教授や津田幸男教授の本、何冊か拝読しているが、いずれも、時期的にだろう、TPPには触れられていなかったような気がする。

帯に「バイリンガル化は奴隷への道だ!」とある。

専攻がエスキモー語ということで、エスキモー語を捨てさせられ、英語を選ばされた人々の生活の悲惨さを実際に目にされたことが、著者の発想の背景にあるだろう。

自分の言語を捨て、アメリカ白人に同一化しようとしたアメリカ先住民の悲劇を 藤永茂著『アメリカ・インディアン悲史』で知って以来、英語の戦略的な性格を不気味に思っていたが、この本でエスキモーの状況を読んだ後、確信になった。

時折、納得する部分や、重要な部分に、黄色いマーカーをひいたり、付箋をつけたりすることがあるが、今回、一切マークを付けずに読み終えた。

高校時代に思いついた、英語は永久植民地支配の道具だという考え、残念ながら、間違っていないようだ。

日本語訛りのひどい?ニホン英語は良く通じるという話や、アメリカ人の英語は通じにくいという話、実体験から大いに納得。

先日、知人の前で、観光客に勝手に話しかけて、場所の説明をした際に、すごい英語ですね、というようなことを言われた。もちろん「すごくうまい英語ですね」という意味ではない。ひどい発音でも、通じている様子に驚かれたようだ。

高校時代にも、同級生に、すごい発音だね!と言われたことがある。自慢にはならない。彼の評価は正しかったに違いない。友人、某大学卒業後、めでたくアメリカ駐在をつとめ、帰国後は幹部職もつとめた。

精神衛生の見地から、酷い発音、なおるわけがないとわりきっている。所詮、首相や青年政治家や副首相のように留学する金銭的余裕がない貧民現地人発音、恥ずかしいとは思わない。

追記

ブログ『街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋』を書いておられ、TPP交渉差止・違憲訴訟の会で、活躍しておられる岩月弁護士が、この法案について、放送局を批判する記事を書いておられる。

続・間違いだらけのNHK  日本を誤りに導く道再び 

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