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2015年6月 1日 (月)

オデッサで、ナポレオンを目指すサアカシュヴィリ

公開日時: 2015年5月31日 01:07


元ジョージア共和国大統領ミヘイル・サアカシュヴィリ (AFP Photo / Leigh Vogel)

汚名を負った元ジョージア大統領を、オデッサ州知事に任命するというペトロ・ポロシェンコの決断は、彼のこれまでの行動で最も奇怪なものかも知れない。ミヘイル・サアカシュヴィリは、自分の国では、指名手配されている犯罪容疑者なのだ。

ユーロマイダン派活動家マキシム・エリスタヴィが、金曜日に、ミヘイル・サアカシュヴィリがオデッサ新知事になるとツイッターで書いた際、ツイッター界は、衝撃を受けるべきなのか、面白がるべきなのか途方にくれているようだった。だが、じっくり調べて見れば、こうした動きはさほど驚くべきものではないことがわかる。サアカシュヴィリが、オデッサの最高権力の座を魅力的と思い、同様に、彼をそこに送り込むポロシェンコが大いによろこんでいる理由は山のようにある。

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ウクライナが悲劇的なほど分裂した国であるのは周知の事実だが、オデッサほど分裂したウクライナの他の都市は他にない。150年前、ロシア人、ユダヤ人、ギリシャ人、イタリア人やアルバニア人といった多民族のごたまぜであった時期、オデッサは、ヨーロッパでも、最も活気ある都市の一つだった。実際、フランス人支配者も二人いた - リシュリュー公爵と、アンドロート・ド・ランジュロン伯爵だ。オデッサが余りに有名だったので、1869年、著名アメリカ人作家、マーク・トゥエインは“旧世界の偉大な都市の一つ”になるだろうと予言した

ロシアの国民詩人アレクサンドル・プーシキンは、オデッサを黒海の真珠と書いた “雰囲気は、あらゆるヨーロッパに満ちており、フランス語が話され、ヨーロッパの新聞や雑誌が読める。”1897年には、住民の37% パーセントがユダヤ人だった。第二次世界大戦後、ロシア人(主にモスクワとレーニングラード)と、ユダヤ人(主にイスラエルとアメリカ)エリート達が転出し、彼らに成り代わり、ソ連人がウクライナ住人として転入した。

栄光の時代は過ぎた

栄光の時代は過ぎて久しい。汚職まみれで、21世紀、極めて陰鬱で、経済的に絶滅寸前の都市オデッサは、ハイ・カルチャーよりも、マフィア活動や買春ツアー(ガーディアンのショーン・ウォーカー記事「オデッサの夢」は後者の話題についての良い読み物だ)で有名になった。豊富な歴史や印象的なイタリア風建築にもかかわらず、良識ある観光客なら、この地がむしろ、もの寂しいと気がつくだろう。

ウクライナ内戦中、大半かロシア語話者だが、地理的には西ウクライナに近いオデッサは 、何度となく紛争が起こりそうになっていた。昨年、市の労働組合会館が放火された際、少なくとも、32人の反政府抗議行動参加者が虐殺された。それでも、不安定な平和が何とか維持されている。

サアカシュヴィリのオデッサ着任で、ポロシェンコは一石二鳥を狙っている。ジョージア人がキエフにいるのは - この政権のアメリカ人スポンサー連中の命を受けてのことだろうと皆思うが - これが、チョコレート王の趣味には必ずしも合っていなかったのだろう。更にウクライナのオリガルヒ達が、経済的にわずかに残されたものに対する争奪戦を激化させる中、オデッサ前知事イホル・パリツィァが、彼の政敵で、事業上でもライバルである、イホル・コロモイスキに忠実と見なされていた事実に、ポロシェンコが憤慨していたことは確実だ。

ジョージア人独裁者

さりながら、この博打は、ウクライナ大統領にとって酷い裏目に出そうだ。サアカシュヴィリは、ジョージアを個人的な領地の様に運営した。オデッサではそういうことはできまい。そもそも、州議会は、トビリシで彼が享受した様な、4/5の多数派で黙って賛成する組織ではない。サアカシュヴィリがジョージアで駆使したもう一つのテクニックは、反対派のTVを襲撃し、最終的には乗っ取るというものだった。ここでもまた、こうした戦術は、黒海地域では、決して通用しない。ウクライナの国営TV局は、既に、ポロシェンコや彼の支持者達が所有している。

ジョージア人として、サアカシュヴィリは、バトゥーミ/ポチ(ジョージア)、イリチョフスク/オデッサと、ヴァルナ/コンスタンツァ(ブルガリア/ルーマニア)といった港を中心とする黒海の違法三角貿易におけるオデッサの重要性を十分承知しているだろう。EU向け密輸でのオデッサ経路(トランスニストリア=沿ドニエストル共和国とモルドバ経由)は、南部のヴァルナ経由より短距離で重宝されている。よそ者のサアカシュヴィリが、いかにして、オデッサ・マフィアを、にらみ付けておとなしくさせ、この州の途方もなく腐敗した港湾を改革するのに成功するのか想像するのは困難だ。

収賄について言えば、サアカシュヴィリは、現在、母国の司法からの逃亡者だ。トビリシ当局は、彼が、反政府抗議行動参加者達への残虐な攻撃を命じたこと、イメディTV局に違法に踏み込み、事業家バドリ・パタルカツィシビリの資産を差し押さえたかどで告訴している。更に、検事達は、元大統領が、450,000ドルもの公的資金を、自分自身と家族のボトックスしわ取り注射と、脱毛に使い込んだと主張している。

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最近まで、アメリカ人ネオコン、ジョン・マケインのかつての子分は、ニューヨークに隠れていた。今年始め、良い脚本を探している俳優よろしく、クーデター後のウクライナに登場した。少なくとも、彼は今やしっかり食いつける美味しい役職を得たのだ。

とはいえ、トビリシでの彼の酷い実績は、信頼を呼び起こすような代物ではない。2003年‘バラ革命’後、サアカシュヴィリは、ジョージアを改革し、意気揚々とEUとNATOの両方に加入すると約束した。彼はどちらの狙いも実現できなかった。そうではなく、2013年に、億万長者ビジナ・イワニシヴィリ率いる広範な連立野党によって、とうとう追い落とされるまで、益々独裁化する政権の先頭に立っていた。その二年前、彼は権力にしがみつこうという企みで、このライバルから、ジョージア国籍を剥奪しようとしていた。

2008年、サアカシュヴィリは、ほとんど意味をなさない理由から、独立を主張している南オセチアに対して破局的な戦争をしかけた。最終的にロシア“平和執行”部隊が、彼の軍を粉砕した。結果として生じた困惑が、経済停滞とあいまって、結局は、彼の常軌を逸した、独裁的支配に愛想をつかせた大半のジョージア国民の間で、彼の名は不評になった。

ウクライナで、彼は見込みのない政界復帰を企んでいるのだ。自信過剰のサアカシュヴィリが、自らをなぞらえている可能性が高いナポレオンを例外として、ヨーロッパ人指導者が、二度目の革命を実現することは極めて稀だ。サアカシュヴィリは、ジョージアを全く無力な国に変え、16%の失業率を招いたまま逃げた。オデッサは、既に経済的に、ひどい混乱状態にある。サアカシュヴィリは、このウクライナの州で、彼にとって最後のワーテルローの戦いに遭遇するだろうか? 情報通の投資家達は“そうだ”と言っている。

ブライアン・マクドナルドは、アイルランド人作家で、ロシアと、その勢力圏や国際地政学の評論家。彼のフェースブックをフォローする。

本コラムの主張、見解や意見は 、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。

記事原文のurl:http://rt.com/op-edge/263565-saakashvili-odessa-governor-napoleon/
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プーシキンは、オデッサで三度恋愛した。のどかな保養地と思っていた。虐殺事件が起きるまでは。

キエフと右派セクターによるオデッサ水晶の夜 (写真・閲覧注意!)

こうした惨事が企画されたのには、十分な理由があった。

5月2日オデッサ虐殺: 一体なぜオバマ・クーデター政権が未だにウクライナを支配しているのか

それでも、大本営広報部、大政翼賛会は、ポロシェンコとヤツェニュークを称賛し、クリミアを侵略し、編入したといって、プーチン大統領を悪魔のごとく描写する。

大本営広報部、大政翼賛会、マイダン広場の抗議行動が、宗主国が画策したものであったことも、国務次官補の、クタバレ・ヨーロッパ発言も、マイダン広場での銃撃死傷事件の真相にも決して触れない。虚報散布・洗脳機関。

そういう虚報散布機関に支援されて、乳母日傘腹話術人形、ウクライナ訪問時、東西二大属国・三大傀儡会談でポロシェンコ・チョコレート王大統領、ヤツェニューク・ファシスト首相と面談、経済・軍事支援を約束するだろう。

更に足を伸ばして、クリミアではなく、虐殺の地オデッサを訪問し、ジョージア逃亡者と歓談するのだろうか。

「妻もチョコレート王女です」と意気投合するのだろうか。
「売国の為、独裁権力を振るうのは愉快です」と意気投合するのだろうか。

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