TPP、TTIPとTISA: オバマの“秘密”国際貿易協定“ファスト・トラック”に対するマスコミの不実表示
Eric Zuesse
Global Research
2015年5月7日
保守派、リベラル派双方の‘ニュース’メディアいずれもが、アメリカのバラク・オバマ大統領が提案している国際貿易協定、提案されている、これらの巨大な協定、ヨーロッパとのTTIP、アジアとのTPP、そしてTISA(新サービス貿易協定)の比較的ささいな上辺の特徴である、単に、関税引き下げや、国家による保護貿易主義を弱めることが、あたかも、その狙いであるかのごとき不実表示をしている。オバマによって提案されているこうした貿易協定の全てが、実際は、現在は個々の国々の規制・司法当局が持っている権限、つまり国際企業を支配しているごく少数のグローバル億万長者ではなく、自分達を選出した国民に責任を負う民主的な政府が持っている権限を、国際企業の委員会に移譲させることが狙いなのだ。
この不実表示の典型例は、5月6日付けのハフィントン・ポストのライアン・グリムと、アマンダ・ターケルによる記事だ。見出しは“クリントン選挙事務長、貿易協定について語る:‘それを片づけることができるだろうか?’”だ。記事は言う。“もしTPA [ファスト・トラック貿易促進権限]が成立しても、議会は、まだ完成していない最終草案を吟味する為、60日間の猶予が与えられるので、問題は片づかない。”この表現は、ファスト・トラックが成立しても、ファスト・トラック扱いを受けた貿易協定が、議会を通過しそこねる可能性があるような印象をあたえるが、そのようなことはかつて起きたことがない。
例えば、もしも“ファスト・トラックが成立した”“法案は廃案になった”という二つの表現の両方に該当するものをグーグルで検索すると以下の表示がでる。“‘ファスト・トラックが成立した’‘法案は廃案になった’に該当する結果はありません。”
一体なぜそうなるのかという理由は、パブリック・シチズンが刊行した本『ファスト・トラック貿易権限の興亡』の中で説明されている。ファスト・トラック貿易促進権限(TPA)は、ニクソン大統領によって、あるものを回避する為に、作り出されたと説明している。連邦の長、大統領への過大な権力集中による独裁制の出現を防ぐ為(独裁制は、ニクソンが実現したい目標だった)、アメリカ憲法がおこなった配慮、アメリカの条約締結権限を、勢力均衡の枠組み上、議会に置いたことを回避するためだ。この本は、TPAが、ニクソン以来、常に、単にアメリカ国内のみならず、世界的に、超巨大企業に益々多くの経済に対する支配力を与える為に利用されてきた様子も説明している。
ニクソンがホワイト・ハウスにいた時以来、彼のファスト・トラックTPAは、わずか16回、適用されただけだが、それでも、何百もの自由貿易協定が、その間、ファスト・トラック貿易促進権限のいかなる必要性も(適用も)必要とせずに、議会で成立してきた。一体どうして、そしてなぜ、そうだったのか、そして国民は一体なぜこの極めて重要なことを知らないのだろう?
TPA、あるいは“ファスト・トラック”と呼ばれるものは、こうしたごく稀な貿易協定に、少なくとも、成立前に、協定を改定しようとしなければ、典型的な議員達の議席を失わせるような条項が含まれている為、伝統的な、十分に合憲的な手法では、決して議会を通過できないような貿易協定を、議会で押し通したいと、大統領が思った時にのみ利用される道具なのだ。言い換えれば、ファシズム的な、あるいは途方もなく超巨大企業寄りの貿易協定だけが、議会を通過するために、TPAを必要とするのだ。それがニクソンが、TPAを始めた理由だ。彼がTPAはそう機能をしてくれるだろうと想定していた通りに機能する。
議会で、TPAに賛成投票することは、ファスト・トラック扱いされようとしている貿易協定に賛成投票することに等しい。そして、TPAに反対投票することは、その貿易協定に反対投票するのに等しい。
大統領がファスト・トラックを提案し、ファスト・トラックを基に成立させたがっている彼の貿易協定が、政治的に実にひどいしろものである場合、議会は、そうしなければ、多くの議員生命を終わらせるであろう貿易協定を“ことを順調に進ませるため”のファスト・トラックさえも成立させようとするまいということになる。ファスト・トラック法案は静かに死ぬのだ。(そうなる前に、ロサンゼルス・タイムズは大見出し記事“クリントン、敗北の危険を冒すより、貿易法案を引っ込める”を載せ、共和党はそこで、それを復活させようとしたが、そうはできなかった。)
このハフィントン・ポスト記事は、彼女の元ボスたるバラク・オバマのファスト・トラックに対し、賛否を明らかにしようとしないビル夫人、ヒラリー・クリントンを苦境から救い出そうとするものであり、このハフィントン・ポスト記事は、単に速記的に、そして無批判に、大統領選に向けた彼女の選挙活動の、この件に関するPRなり、プロパガンダなりを伝えただけだ。例えば、ヒラリーの選挙事務長であるジョン・ポデスタに関し、記事は、こう書いている。
“彼に近い筋によれば、ポデスタは、貿易推進権限、つまり、TPAを巡る戦いについて言及したのだと言う。‘ファスト・トラック’として知られる、TPAは、環太平洋戦略的連携経済協定TPPの様な貿易協定を、順調に進ませるだろう。もしファスト・トラックが成立すれば、議会は、貿易協定について論じるのに60日間を与えられ、改訂する機会は皆無で、賛否投票をする。情報筋は、特にクリントンではなく、民主党全体として、この問題が如何に複雑かという文脈で、ポデスタは更に語っていると言う。…
“ポデスタの悲嘆は、単純な政治的計算によるものだ。大規模な貿易協定で得られる何らかの恩恵は、あったとしても、長い間あきらかにならず、一方、政治的な代償としての頭金は、前払いしなければならないのだ。”
この説明は、この貿易協定が、あたかもアメリカにとって、長期的には得策ながら、現状では不人気なものであるかのごとく表現している。ところがそれは間違いだ。真逆だ。
記事には更にこうある。
“著書『難しい選択』の中で、クリントンは、アメリカ合州国は‘フィリップ・モリスが、既にオーストラリアでしようとしている様な、アメリカ企業を含め事業権益が狙っている、彼らや、彼らの投資家達に、国の環境や健康規制を弱めさせる為に、外国政府を訴える権限を与えるような一部の条項は避けるべきだ’と書いて、貿易協定の主な要素に関する懸念も表明している。
広く貿易協定として喧伝されているが、協定の大半は、規制緩和を意味することが多い、異なる国々の間での‘規制の調和’を見いだそうというコーポレート・ガバナンス問題を扱っている。
そもそも、こうした実際、超大企業向け、あるいはファシズム的な貿易協定に対するヒラリーの実績や、そうしたものに対する彼女の実績がどうであったかに関する彼女のウソについても、既にこれまでに沢山書かれている。だから、我々は既に彼女はそういう協定を支持しているが、彼女はそうでないと言っているのを知っている。
その次に、“異なる国々の間の’規制の調和’は規制の緩和を意味することが多い”という言葉は、規制の強化を意味する場合もあるのだから、問題の不実表示だ(クリントン選挙キャンペーン組織から彼らに手渡されたプロパガンダには、それが含まれていなかったので、ジャーナリストは言及もしていない)。だから、ここで本当に問題なのは、そうではなく、この重大な条約を締結する権限が扱われる方法と、一体何の目的で、一体誰の狙いの為かということなのだ。
単にラベルだけ‘民主党’の裏切り者大統領や、大統領候補者(クリントンやオバマの様な)を誇大宣伝している民主党寄り宣伝屋のプロパガンダとは逆に、そしてまた、裏切りイデオロギーや、保守主義、自身(実際は、この種の貿易協定を後押ししている、そしてそれが、一体なぜ議会の共和党が貿易協定を愛しているかという理由なのだが)を誇大宣伝している共和党寄り宣伝屋のプロパガンダとは逆に、ここで問題なのは、‘公平な競争の場’を進めたり、‘貿易保護主義’を緩和させたりということではなく、人間社会の未来が、国による民主主義になるのか(いつの日にか、一つの世界的民主的連邦政府へと発展するかしないかは分からないが)、あるいは、そうではなく、むき出しの国際ファシズム、国際企業を支配する、ごく少数の人々に支配される世界政府になるかどうかなのだ。お互いに事業を行う民主的な国々の世界になるのか、そうではなく、給与を押し下げ、環境を破壊し、食べ物に毒物をいれたり等々で、あらゆる土地、あらゆる国の人々を押しつぶす、極少数の人々の富みを増やすための国際カルテルの世界になるかだ。
未来が世界ファシズムになるのか、それとも、そうではなく、何か民主的なものになるかを、その結果が決定するのだから、これは現代のあらゆるニュースの中で最も重大だ。これほど重要かつ急を要する、正確で、洞察に満ちたニュース報道が必要な話題など他にない(今やファスト・トラックが議会の最優先事項なので、急を要するのだ)。
特権階級は既に、あらゆる‘アメリカの’‘報道’機関を支配している。そこで、ハフィントン・ポストの様に比較的まともなメディアでさえ、そしてこの‘ニュース’‘報道’をした二人の様なそうした企業の比較的まともな社員達でさえ、不幸にして、単なる速記とプロパガンダを‘ニュース’として通じさせてしまう 本来はそうではなく(こちらの様に)本物のジャーナリストとしての難題、詐欺行為の暴露だ。
ある時点までは、ある政治家が何を言っているのか報じるのは結構なことだが、その政治家が人を惑わせることや、むき出しのウソを言い出した点を越えた後はそうではない。この点から先は、本物のジャーナリズムは調査報道ジャーナリズムしかない - 例えばここのような。
ところが調査報道ジャーナリズムは、最大のスキャンダルをもっぱら無視しているが、これは‘アメリカの’‘自由な’報道にはびこっている堕落だ。これは危なすぎて、触れられない話題なのだ。これはリベラル派(fair.orgやmediamatters.org)にも、保守派(aim.org やmrc.org)のマスコミ監視団体にさえも無視されている。‘ジャーナリズム’は特権階級に所有されており、ジャーナリズムが正直になることを望む特権階級は皆無なため、この問題はジャーナリズムの孤児なのだ。特権階級は、そうではなく、正直なジャーナリストを首にしたがるのだ。ジャーナリストは、その職を維持したいだけなのだ。
調査ジャーナリスト、歴史研究者のEric Zuesseは新刊「彼らは全然違う: 民主党対 共和党の経済実績、1910-2010」および「キリストの腹話術師:キリスト教を生み出したイベント」と「封建主義、ファシズム、リバタリアニズムと経済学」の著者。
記事原文のurl:http://www.globalresearch.ca/obamas-tpp-and-ttip-how-the-media-misrepresent-fast-track-secret-international-trade-deals/5447839
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大本営広報、電気洗脳箱で、オバマ大統領が、日本の農産物やワインの税金が高い。TPPで、アメリカ農業は恩恵を受けると演説する場面を垂れ流してくれた。
より正確には、「アメリカの大規模農業」で、その結果、日本の農家は壊滅的打撃を受けるだろう。
大本営広報、あとは、せいぜい米の話題で、売国奴の一人が、日本にとって十倍重要だと怒ったという余りにいい加減なヨイショ報道。
もちろん、大本営広報紙媒体も、電気洗脳箱も、
これらの巨大な協定、ヨーロッパとのTTIP、アジアとのTPP、そしてTISA(新サービス貿易協定)の比較的ささいな上辺の特徴である、単に、関税引き下げや、国家による保護貿易主義を弱めることが、あたかも、その狙いであるかのごとき不実表示をしている。
大本営広報の虚報が言う、農産物関税が問題なのではない。宗主国の公文書にしっかり明記されている。大本営広報は、知っていながら、無視している。
2013年3月 8日(TPPでの)アメリカの狙いは、関税よりずっと重大な邪魔者であり続けている非関税施策を日本に解除させることにある 米国議会図書館議会調査局文書
そして、日本の医療も、大切な破壊標的。重要な金づる。
2013年2月21日
TPPは日本国憲法違反 第44回 TPPを慎重に考える会 勉強会
大本営広報部、この記事にある恐ろしい本質は決して報じない。イエメンや、シリアや、アフガニスタンやイラクの庶民は、雨あられのようなクラスター爆弾やら、砲弾やらに年中攻撃されている。この国では実弾は落ちてこないものの、我々は、電気洗脳箱の電源をいれれば、配達されるスーパー・チラシ包装紙を開けば、とんでもない不実表示に週7日間一日24時間、絶えず洗脳攻撃されている。
二大政党なるもの、イギリス、アメリカでみる通り、実質同じものを人工的に、違って見せているだけ。この属国でもそうだった。豪腕政治家の活躍で小選挙区制度が導入されていなければ、これまでうまくは、日本文化、破壊できなかっただろう。
2007年9月27日 アメリカ:一党独裁国家
ジャーナリズムは特権階級に所有されており、TPPに関して、大本営広報部、当局発表の日程やら希望的観測以外の情報を徹底的に報道管制している。
ジャーナリズムの孤児であるこの問題を知るには、特権階級に所有されていない、正直なジャーナリスト集団にたよるしかない。
2014/10/23 「TPPはグローバル企業による侵略、国家の乗っ取り」〜TPPの違憲性ついて岩月浩二弁護士に岩上安身が聞く
多数の関連記事を翻訳している。お時間があればどうぞ。
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