ウォーレン上院議員、オバマのTPP誓約にぶつけて‘破られた約束’報告書を発表
公開日時: 2015年5月18日 21:18
エリザベス・ウォーレン上院議員(民主党-マサチューセッツ州)(ロイター/Jonathan Ernst)
ホワイト・ハウスが売り込んでいる環太平洋戦略的経済連携協定TPPに対する最強の批判者の一人が、新たな報告書で、TPPに関するオバマ政権の約束に疑問を投じた。
今週月曜、エリザベス・ウォーレン上院議員(民主党-マサチューセッツ州)が提出した15ページの“破られた約束”報告書には、同議員の事務所が、過去の自由貿易協定に関して、アメリカ合州国が“労働と環境基準を20年間実施しそこねた”物事の主要部分だとするものが含まれている。
バラク・オバマ・アメリカ大統領は、現在議論されている12ヶ国のTPP協定を、環太平洋諸国間で、新たな関係を確立して、国内と海外で経済を前進させる手段だと呼んでいる。貿易協定に反対する人々は、これまで行われてきた交渉の秘密主義や、TPPが、実際、政権の約束に応えられるか、あるいは北米自由貿易協定、NAFTAと同様な結果を生むか否かを標的にしている。
ウォーレン上院議員の分析によれば、過去の様々な例は、TPP協定が、もし承認されれば、外国の職場における侵害の悪化に貢献する可能性が高いことを示唆している。
“過去の貿易協定の支持者達は、こうした協定は労働者のより強力な保護を含むことになると、何度も主張しているが、強力な執行のない保障など、空約束に過ぎない”とウォーレンは言う。"事実は、こうしたあらゆる約束にもかかわらず、こうした貿易協定は、条件を、多国籍企業に対して、より有利に、労働者家庭に対して、より不利にする為の、もう一つの手段に過ぎなかったことを示している。”
"民主党と共和党両党の大統領の下で、自由貿易協定を我々は20年間経験してきた。これら協定の支持者達は常に、協定は労働者を保護する厳格な基準を含んでいると約束してきた" と報告書は言う。"言辞は、現実とあっていない"。
オバマ大統領側としては、TPPは“史上、最も進歩的な協定”で“より高い労働基準、より高い環境基準”であり、“各国に責任を取らせる為の新たな道具”だと言う。ところが、ニュー・イングランド出身上院議員によれば、NAFTAを受けてなされた同じような主張は、決まったように実現し損ねてきたのだ。
今月早々、オバマ大統領は巨大履物企業ナイキ本社に現れ、TPPを擁護した。ナイキ社幹部は、貿易協定が成立すれば、同社にとって、何千もの新たな国内雇用が生まれるだろうと語り、協定に盛り込まれた規則が、外国加盟国に、新たな規則と規制を施行するのを強いるだろうと、ホワイト・ハウスは言う。例えば、ナイキ製品の約三分の一が生産されているベトナムでは、労働者は最低賃金と労働組合を結成する権利が初めて保障される。
更に読む:ナイキの支持を得て、TPP貿易協定を喧伝するオバマ大統領
“これは大きな違いを生む。これは平等な競争環境を推進し、アメリカ合州国における競争相手より低賃金で働くことがなくなるので、ベトナムの労働者にとっても良いことだろう”とオバマは語った。
ウォーレン上院議員は、"アメリカ合州国は、貿易協定の労働保護を実施していない”と、報告書できっぱり答えた。彼女の報告書に引用されている過去の協定の分析によれば、アメリカが結んだ自由貿易協定は、20ヶ国中11ヶ国で“児童労働の利用や他の労働に関連する人権侵害の大きな問題”と結びついている。
ホワイト・ハウスは、議会に、提案を受けいれるか、拒否するかいずれかを自国連邦議会議員達に問う前に、ありうるあらゆる貿易協定の問題を一応解決する為、オバマ政権にファスト・トラック権限を与えるよう要求しているが、先週上院での投票で、この要求が却下されて終わり、この取り組みは、立ち往生している。
月曜日の発表は、ウォーレン上院議員とホワイト・ハウス間のTPPを巡る対立における最新の進展に過ぎない。ウォーレン議員は、アメリカ通商代表部に、昨年“アメリカ経済を守る政府の能力を損なう様な貿易協定を締結するわけにはいかない”という書状を送っており、以来数ヶ月、提案されている協定に対する強固な批判者であり続けている。
オバマは最近、ウォーレンの懸念に、"事の真相は、エリザベスは、やはり十把ひとからげの政治家で”“彼女の主張は事実検証に耐えない"と述べて反論した。
記事原文のurl:http://rt.com/usa/259793-warren-obama-tpp-promises/
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この記事には、「state-sponsored corporatismに反対して立ち上がったウォーレン上院議員に感謝」という読者投稿もある。
彼女の報告書、Broke Promises pdfで読める。
「IS対応は正しかった」という政府委員会の手前味噌報告は報じるが、TPPについては、こういう記事を含め、「閣僚会合が中止になった」以外の記事読めない。
9/11を奇貨として、用意していた愛国法をあっと言う間に成立させ、「対テロ」戦争という、テロ戦争を開始した宗主国の姿と、
人質事件を奇貨として、用意していた戦争保障法制をあっと言う間に成立させ、宗主国侵略戦争にどこまでもついてゆくこの国の姿、かさなる。
「まぐまぐ」で孫崎氏は早速、政府委員会報道批判しておられる。2月の下記記事を今読み直している。
【岩上安身のニュースのトリセツ】トルコに対策本部を設置しなかったのは「原発輸出に悪影響を与えないため」!? 〜イスラム国邦人人質事件、安倍政権の呆れた理由を英字メディアがスクープ
2015/05/19 TPPに反する法律は廃止され、将来にわたって立法できなくなる」 岩上安身による「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」弁護団共同代表・岩月浩二氏インタビュー(動画)
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