シーモア・ハーシュ、偽情報に屈伏
Paul Craig Roberts
2015年5月11日
シーモア・ハーシュが、オサマ・ビン・ラディン殺害についての長い説明を発表した。The Killing of Osama bin Laden ハーシは、オバマ政権のビン・ラデン殺害説明は、ビン・ラデンが殺害されたという事実以外は、まったくのでっち上げだと結論している。
私は、ハーシの話は、三つの理由で信じない。理由の一つは、ビン・ラデンが、誰も十年も生き延びられないような病気を患っていたことだ。彼の死亡は、2001年に広く報じられた。理由のもう一つは“一体何が実際に起きたのか”についてのハーシの“本当”の説明さえもが目撃者達や、最初のパキスタンTVによる目撃者インタビューと矛盾することだ。理由の更に一つは、ハーシの話は、暗殺襲撃、ありきたりの出来事にこだわりすぎだ。彼は、ウソの中のウソ、決断の中の優柔不断、クライマックスの中のクライマックスを暴露し、これだけ膨大な数の人々が襲撃を事前に知っていた以上、秘密にしておくことなど可能だったはずはないといっている。
4つ目の理由も追加することができる-アメリカ政府の信憑性の欠如。ワシントンは、ありとあらゆることにウソをつく。例えば、サダム・フセインの大量破壊兵器、アサドの化学兵器使用、イランの核兵器、ロシアのウクライナ侵略。もし、ハーシが報じているように、ワシントンのアボタバード襲撃説明の99%がウソなのであれば、話の1%が本当だということや、ビン・ラデンが殺害されたということを一体どうして信じるのだろう。遺体がない殺人をするというのは難しい。ビン・ラデンが殺害されたという唯一の証拠は、政府の主張だ。
私の考えでは、ワシントンの偽情報機関が、でっちあげの“内幕話”で、とうとうシーモア・ハーシュをまんまと騙すのに成功し、アメリカ政府はとんでもないウソつきで、法律違反者であることを証明することで、ビン・ラデンを殺害したというワシントンの主張を守ったのだ。
ハーシの記事は、アメリカ政府がウソつきであることは証明しているが、SEALチームがオサマ・ビン・ラディンを殺害したことを証明してはいない。
記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2015/05/11/seymour-hersh-succumbs-disinformation-paul-craig-roberts/
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ハワード・ジン「歴史の効用と対テロ戦争」を語る(政府は嘘をつくものです。) を連想する。
Information Clearing Houseにもシーモア・ハーシュの元記事が掲載されていて、末尾にご丁寧にPaul Craig Roberts氏のこの文章も掲載されている。
コメント欄、まっとうな書き込みが多いので、毎回飛ばし読みしているが、今回も、どうやらPaul Craig Roberts氏支持の意見が圧倒的多数に見える。
「シーモア・ハーシュの記事はたわごと」という意見が多数。
単純に、多数派が正しいなどとは全く思わない。人生全く逆だった。愚劣な多数派に決して合わせない少数派であったからこそ生き延びられた。しかし、この記事に対するコメントの多数派には納得。
新商品を作る時、作る側は過去の延長で進めたがるものなのだ。しかし、ユーザーは、必ずしも過去の延長を求めてはいない。新しい素材、新しい技術は、過去の延長ではない装置を可能にする。個人的には、Macintoshがそうだった。
閑話休題。
wswsに、この事件を元にした映画ゼロ・ダーク・サーティ評の新版や、彼の記事に触れたものが載っている。元の映画評は訳したが、今回の文章、いずれもハーシュ説を正しいことを前提としての論旨に見えるので、翻訳する気力でない。別の記事The Misfire in Hersh's Big Bin Laden Storyもあるが、それも気が乗らない。
メタボ対策健康指導で「一時間、散歩しなさい」と再三ご指導を頂いているのを無視してのてすさび、記事の選択基準、高級な選択眼やら判断基準などもとより皆無。単に「個人的に面白いか否か」のみであることを告白させていただく。
毎回拝読している、『街の弁護士日記SINCE 1992 at 名古屋』で、「終わってから知った、大阪都構想の本質」という記事がある。異神の怪をヨイショするのがお仕事の大本営広報部・大政翼賛会では決して読むことができないもの。ああいう人物をここまで大活躍させたのは、ひたすら大本営広報部・大政翼賛会の功績。
残念ながら、肝腎な引用データ、雑誌コピーのpdf画像なので、そのままでは、多くの方々にお読みいただけないだろう、と思う。そこで、全く勝手に、画像ではなく、文章にしたものをご紹介させていただく。
2015年4月25日発行 青年法律家
いま大阪で、何が起きているか
─大阪市解体の住民投票、橋下氏による言論抑圧など
大阪 大前治
大阪の地方政治が危機に瀕している。橋下徹・大阪市長と「維新の会」が進めてきた大阪都構想の賛否を問う住民投票が五月に実施されるのである。賛成が過半数となれば、福祉や教育が大幅縮小へ向かうのは必至であり、「一人の指揮官」への権力集中が進められる。その危険性とともに、住民投票へ向けて「言論封殺」ともいうべき事態も強まっている。いま大阪で何が起きているのか、本稿で概観する。
■五月一七日に住民投票を実施
本年五月一七日、「大阪都構想」の賛否を問う住民投票が実施される。有権者は大阪市内の約二一五万人。
本紙五一八号拙稿で紹介したように、一時は「都構想は頓挫した」と報道される事態に至ったが、今年三月に一転して大阪市会・府議会で公明党が賛成にまわり「特別区設置の協定書」が可決された。そこに都構想の大枠と住民投票実施が規定されている。
投票用紙には、特別区の設置に「賛成」か「反対」かを自署する。投票が有効となる最低投票率の定めはなく、賛成が反対を一票でも上回れば二〇一七年に大阪市は廃止される。
奇妙なことに、もし「賛成」が多数を占めても「大阪都」という地方公共団体は設置されない。大阪市は廃止されて五つの特別区に分割されるが、これまでどおり「大阪府」は残る。行政機構の変更というだけではなく、住民の暮らしや地方自治のあり方に重大な影響が生じる。■「一人の指揮官」への権限集中
大阪市長と市議会をなくして、橋下市長いわく「一人の指揮官」(大阪都知事ではなく府知事)による決定力と決断力ある政治を進めるという。カジノ誘致や関空リニア新線など大規模公共事業の推進には、府知事と市長への権限分配が障害となっており、強力なリーダーが必要だというのである。
具体的には、大阪市中心部から関西空港へわずか九分短縮のため二五〇〇億円を投じる鉄道新線、交通量が減少して必要性が乏しい高速道路(淀川左岸線延伸部)の建設費四〇〇〇億円、さらに人が住まない人工島にカジノを誘致して鉄道新線を建設するために二〇〇〇億円以上。これら巨額投資のために必要なのが都構想だという。
■行政サービスの切り捨ては必至
一方で、市内二四の行政区は廃止される。財政基盤が乏しい五つの特別区が行政サービスを担い、福祉や教育の縮小・切り捨ては必至である。
これまでも橋下市長は、国民健康保険料を黒字財政なのに値上げし、住吉市民病院の廃止や、公立保育園・幼稚園の民営化を提案。さらに市営の地域コミュニティーバス(赤バス)を全廃し、市営交通の敬老パスは有料化。身近な公共施設を多数廃止.縮小するなど、暮らし直結の行政サービスを切り捨ててきた。橋下市長いわく、「黒字の事業は民間にさせればよい」、そして「赤字の事業は廃止する」。要するに警察や消防以外の行政サービスは不要というに等しい、究極の新自由主義路線である。■都構想による収入減とコスト増
橋下市長は、都構想により「二重行政」が解消され、毎年四〇〇〇億円の財源が生まれると言っていたが、まもなく虚偽だと分かった。二〇一四年七月、都構想の制度設計をする法定協に示された財源効果は「総額九〇〇億円未満」とされた。
しかし、その多くは都構想とは無関係の市交通局民営化による金額。しかも、三つの特別区の新庁舎建設費によって帳消しになってしまう。
市税である固定資産税や法人市民税は大阪府の収入へ移る。大阪市域の特別区の税収は四分竺に激減。国から市への地方交付税もなくなって府の収入となるが、その使途や分配方法は不明であり、大阪市域の行政費用に回される保証はない。そこで予定されているのが市有地の売却と財政調整基金の取り崩し、そして新たな借金と住民サービス切り捨てによる経費削減。それらを最初から織り込んだうえに、それでも当初五年間で計一〇七一億円の収支不足が生じるという(府市大都市局による推計)。
また、都構想の実施自体にも巨額を要する。五つの特別区のうち三区で新庁舎の建設が必要になり、その建設費や維持費は三〇年間で八〇〇億円以上を要する。さらに住民基本台帳等のシステム改修費一五〇億円、地名変更による掲示費用や特別区議会など新設機関の備品購入経費などに九億円を要する。■橋下氏・維新による異常な言論封殺
橋下氏・維新の会は、こうした事実が広まることを怖れている。そのため最近では、反対意見を表明する者やメディアに対する恫喝を強めている。
その一例が、都構想を強く批判する論客である藤井聡・京都大大学院教授に対する攻撃である。藤井教授は本年二月二日、大阪維新の会の松井一郎幹事長(府知事)から申入書を受け取った。そこには藤井教授の主張への具体的反論は一切なく、「市民に対し間違った情報を示し、誤解を与えている事には憤りを感じ、間違った情報を発信される事に強く抗議するものであります」と、言論表現自体への「抗議」が記されている。それに続けて、公開討論会に応じよと要求が記載されていた(このような申入れでは、およそ冷静かつ公平に議論できる討論会は期待できない)。
さらに二月一二日には、維新の党・松野頼久幹事長が在阪テレビ各局へ抗議文を送付した。藤井教授をテレビに出演させること自体が政治的公平性を求めた放送法に反すると抗議し、「報道姿勢への留意」や「放送局としての自覚」を求めたのである。藤井教授を直接のターゲットとしているが、要するに都構想に反対する者は何人たりとも出演させるなと圧力を加えているのである。
市職員に対する言論抑圧も顕著である。橋下徹・大阪市長は今年一月二二日、「個々の職員が『(都構想の実現は)できない』とメディアに向けて個人の感想を言うことは許されない」と述べ、この市長発言に留意するよう職員に求める文書が各部局で配布された。勤務時間外の発言であっても、公務員としての影響力行使とは無縁の発言であっても、全面的に発言を封じる。事実上の「かん口令」である。
これまでも橋下市長は反対者に対して「バカ」などと侮辱罵倒し、過激な言動で注目を集める手法をとってきた。その手法はさらに強まり、言論抑圧者として牙をむくに至っている。■反対の声、多様な広がり
橋下氏の強引な手法を許してはならない。都構想に反対の声も広がりつつある。いわゆる革新政党だけではなく、自民党や民主党の地方組織も都構想の問題点を積極的に宣伝している。大阪市議会では、自民党から共産党まで会派を超えた連携が強まっており、カジノ誘致関連予算を削除した修正予算案が可決されたり、市交通局の民営化案を否決するなどの成果も得られた。
既存団体の枠組みを超えた各種の集会や討論会も活発に開かれている。反対の声を広げるために、各種のロゴ・バナーも活用されている(写真参照)。
一斉地方選挙を前にして、今年三月三〇日には橋下市長が市職員に強制した思想調査アンケートが違法であるという二件目の判決が出された(訴訟内容は遠地靖志さんが本紙五一八号で紹介している)。こうした訴訟も、橋下市長の強権政治に対して法律家がとりうる有効な手段である。さらに五月の住民投票へ向けて、都構想の問題点を広げていくことも法律家の大切な仕事だと思っている。
そして、文中にある、橋下氏・維新による異常な言論封殺の対象となったご本人インタビュー、大本営広報部ではなく、IWJでなら見られる。
2015/05/15 維新の党の「圧力文書」で言論封殺に晒された藤井聡京大教授 それでも「都構想は『人災』だ」と断言! 岩上インタビューで大阪都構想の真っ赤な「ウソ」を暴く!
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