戦没将兵記念日は欺瞞だ
Paul Craig Roberts
2015年5月21日
戦没将兵記念日は、戦争で亡くなった兵士達を追悼するものだ。戦死者は、我々と我々の自由の為に戦ったのだと教えられる。アメリカ海兵隊少将スメドレー・バトラーはこの考え方に異議を唱えた。彼は、アメリカ兵達は、銀行家、ウオール街、スタンダード・オイルや、ユナイテッド・フルーツ社の利益の為に死んだと言ったのだ。以下は、彼が1933年に行った演説の抜粋だ。
戦争はいかがわしい商売だ。いかがわしい商売とは、大半の人々にとってはそうは見えないもの、と言ってよいだろう。実体を知っているのは内部の少さな集団だけだ。それは、大勢の人を犠牲にして、ごく少数の人々の利益のために行われる。
私が信じるのは海岸線のしっかりした防衛だけであり、それ以外の何物でもない。もしどこかの国民が、アメリカに戦闘にやってくれば、我々は戦う。アメリカの問題は、ドルが、国内では6パーセントしか稼げなくなると、落ち着きを無くし、100パーセント稼ぐべく、外国に出てゆくことだ。そして国旗がドルの後に続き、兵隊は国旗の後に続くのだ。
銀行家のろくでもない投資を保護する為にしたような戦争は、二度とするまい。我々がその為に戦うべきものは二つしか存在しない。一つは我が祖国の防衛で、もう一つは権利章典だ。他のいかなる理由の為の戦争も不正な金もうけに過ぎない。
たかりの仕組みに、軍隊暴力団が把握していない秘策があったわけではない。敵を指摘する“たれ込み屋”、敵を破壊する“用心棒”、戦争準備を計画する“知恵者”と、超民族主義的資本家の“大ボス”がいるだけのこと。
軍人がそのような例えをするのは、奇妙にも思える。誠実さが、こういう表現を私に強いるのだ。この国で最も機敏な軍隊、海兵隊の一員として、私は32年4ヶ月、戦地で軍務についた。少尉から、少将までの、あらゆる階級についた。そして、その期間、大半の時間を、私は大企業の、ウオール街の、そして銀行家の高級用心棒として過ごした。要するに、私は暴力団員、資本主義の為に働くギャングだった。
当時、私は暴力団の一環にすぎないと薄々勘づいていた。今ではそれを確信している。あらゆる軍人達と同様、軍務から離れるまで、私は自分独自の考えを持ったことがなかった。上官の命令に従っていた間、私の知的能力は仮死状態にあった。これは軍務にある誰にとっても典型的だ。
1914年、私は、メキシコ、特にタンピコを、アメリカの石油権益にとって安全な場所にするのを助けた。ハイチとキューバを、ナショナル・シティー・バンクの連中が、そこで収入を得られるきちんとした場所にするのを支援した。ウオール街の利益の為に、半ダースの中米共和国を略奪するのを手助けした。強喝の実績は長い。1909-1912年、国際銀行ブラウン・ブラザーズの為にニカラグアを浄化するのを支援した(どこかで聞いたような名前だ)。1916年には、アメリカの砂糖権益の為に、ドミニカ共和国に光明をもたらした。中国では、スタンダード・オイルが邪魔されずにやれるよう手配するのを支援した。
こうした年月、参謀としての私は、太鼓腹の暴力団員だった。省みれば、アル・カポネに、いくつかヒントをやれたろうと感じている。彼が出来た最高のことは、せいぜい三つの地区で手下を働かせることだ。私は三大陸で軍事行動していた。
大半のアメリカ兵士は、アメリカ合州国に対して何の脅威でもない相手と戦って亡くなった。アメリカ兵士達は、それについて何も知らない秘密の狙いの為に死んだのだ。資本家連中は、私利を国旗の裏に隠しており、我が国の兵士達は1パーセントの儲けの為に死んだのだ。
アメリカ軍をアメリカ国民に対して戦わせる演習、ジェイド・ヘルムが、7月15日から9月15日まで行われる予定だ。ジェイド・ヘルムの隠された狙いは一体何だろう?
1950年代、1960年代、1970年代、1980年代、ソ連は資本家連中の略奪に対するある程度の歯止めだった。ところが、ソ連崩壊と共に、資本家連中の略奪は、クリントン、ブッシュと、オバマ政権の間に、激しくなるばかりだ。
ネオリベラル・グローバリゼーションは、現在、自国民さえ、そして地球そのものさえ略奪している。アメリカ人、ギリシャ人、アイルランド人、イギリス、イタリア人、ウクライナ人、イラク人、リビア人、アルゼンチン人、スペイン人とポルトガル人は、貯蓄、年金、社会福祉や、雇用の機会を略奪され、地球は、環境から最後の一銭まで吸い出す資本家連中によって、荒れ地へと転換されつつある。クラウディア フォン・ヴェールホフが書いている通り、略奪的な資本主義が、地球を消耗しているのだ。http://www.globalresearch.ca/neoliberal-globalization-is-there-an-alternative-to-plundering-the-earth/24403
ネオリベラル・グローバリゼーションの犠牲者を追悼する戦没者記念日が我々に必要なのだ。アメリカ国民全員が犠牲者であり、究極的には資本家達もそうだ。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
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記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2015/05/21/memorial-day-hoax-paul-craig-roberts/
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宗主国の戦没将兵記念日、5月の最終第一月曜日。
『戦争はペテンだ バトラー将軍にみる沖縄と日米地位協定』吉田健正 (著)
『戦争はいかがわしい商売だ』という翻訳、こちらで読める。
戦没将兵記念日もTPPも欺瞞だ。
時制を未来形にし、国名をとれば、そのまま放射能汚染・殺人タコ部屋監督が采配するこの国。まもなく時制は現在進行形になる。
兵士は、この国に対して何の脅威でもない相手と世界中で戦って亡くなる。兵士達は、それについて何も知らない秘密の狙いの為に死ぬ。資本家連中は、私利を国旗の裏に隠しており、我が国の兵士は1パーセントの儲けの為に死ぬ。
TPPも、原発も、戦争法案も、辺野古基地も、すべて資本家の私利追求の為。それがわかっていて、売国・戦争政党に投票する人が多数いる不思議。開票が不正工作されている、と思いたくなる。
過去に、同様趣旨の記事を幾つか訳している。
「「福島瑞穂×小西洋之×岩上安身による戦争法案特別鼎談」実況ツイート:岩上安身氏」
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コメント
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スメドレー・バトラー海兵隊少将の名前を見ると思い出すことがあります。
ウォール街とファシストとの関係についてバトラー少将は1934年(フランクリン・ルーズベルトが大統領になった翌年)に議会で証言しているのです。現在、ネオコンはISを含むアル・カイダ系の武装集団やネオ・ナチを手先として使っていますが、第2次世界大戦の前はナチスが似た役割を果たしてたということです。
議会での証言である以上、公式文書として残っていて、2005年に出版された拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』でも書きました。国会図書館でも確認できますが、学者やメディアだけでなく「左翼活動家」も触れたがらないようです。
少将が証言したのはアメリカ下院の「非米活動特別委員会」で、ウォール街が目論んでいたクーデター計画を明らかにしました。計画の中心的な存在がJPモルガン、つまり関東大震災の復興資金調達で日本が頼った金融機関でした。
1932年、松岡洋右が国際連盟の議場から退場した前年に駐米アメリカ大使として来日したジョセフ・グルーはJPモルガンと深い関係にあります。彼の親戚であるジェーンが結婚した相手がジョン・ピアポント・モルガン・ジュニアで、妻のアリス・ペリー・グルーは華族女学校(女子学習院)で九条節子(貞明皇后)と親しくなっています。戦後は日本を「右旋回」させたジャパン・ロビーの中心的な存在でした。
バトラー少将から話を聞いたジャーナリストのポール・フレンチは少将に接近した人物を取材、「コミュニズムから国家を守るため、ファシスト政府が必要だ」と言われたそうです。
安倍晋三は「戦後レジームの打破」というようなことを言っているようですが、日本は戦前も戦後もウォール街に支配された「バナナ共和国」であり、フランクリン・ルーズベルトが大統領だった1933年から45年4月の期間、アメリカ大統領をウォール街がコントロール仕切れない状況で、日本は迷走することになったのだと私は思っています。安倍が否定する「戦後レジーム」とはフランクリン・ルーズベル的、あるいはニューディール派的な側面だけではないでしょうか?
投稿: 櫻井春彦 | 2015年5月23日 (土) 03時25分