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2015年5月25日 (月)

ウクライナのGMO植民地化

Nikolai MALISHEVSKI
2015年5月23日 | 00:00

強力な欧米企業が、ウクライナを最大のGMO(遺伝子組み換え生物)生産国にしたがっている。時間とともに、遺伝子組み換え生物は、多くの人命を奪い去る毒にもなりかねない。この事実は無視されている。ヨーロッパは、GMOを必要としていない(生産は厳しく制限されている)。ウクライナは、欧州連合の他の国々が防ごうとしているものであるGMO作物の、ヨーロッパにおける実験台となる可能性が極めて高い。アメリカの多国籍アグロ・アグリ・バイオ技術企業モンサントは、現在GMOを全国的に広める計画を持って、ウクライナに強引に入り込みつつある。

40年以上昔、エージェント・オレンジは、ベトナム戦争で、枯葉剤としてアメリカ軍に使用された15種類の除草剤の一つだった。旧モンサント社は、植物を絶滅するために、これを製造した戦時の政府契約業者9社の一つだ(ベトナムにおけるエージェント・オレンジ使用は、戦争犯罪に等しいと考えている人々が多い。この薬剤は、癌の増加を引き起こし、ヒトの免疫機構を破壊する。)

モンサントは、大豆生産は、10億ドル以上をもたらし、同社の利益を、5年間で二倍にするだろうと述べている。モンサントには、十分アメリカ政府に影響を与えるだけの力がある。例えば、2013年、アメリカ大統領バラク・オバマは、論議の多かったHR 933 (“モンサント保護法”)に署名し、法として発効させたが、これには、ミズーリ州に本拠を置くモンサント社等のバイオテク企業を訴訟からしっかり守る条項が含まれている。大統領が署名したことで、この種の製品が消費者にもたらす健康リスクに関する疑問はほとんど答えられないままなのに、遺伝子組み換え生物(GMO)や、遺伝子工学(GE)種子を扱う巨大農業ビジネス企業は、人工作物の栽培、販売を継続する承認を与えられたのだ。

ウクライナでは、遺伝子組み換え生物は、現在は法律で禁止されているが、新ウクライナ政権が署名したEU加盟合意では、バイオ技術におけるより緊密な協力が呼びかけられている。

2014年7月に発表された『西側を歩く:ウクライナ紛争の中の世界銀行とIMF』という報告書で、オークランド・インスティテュートは、国際金融機関が、政変のすぐ後に、ウクライナに、いかにして殺到し、ウクライナの巨大な農業部門を、規制緩和し、遺伝子組み換え生物や作物を含め、外国企業に開放したかを暴露している。モンサント副社長ヘスス・マトラソはこう語っている。“ウクライナには、伝統的な作物の可能性を更に発展させる機会があり、我々はそこに現在努力を集中させている。将来のある時点で、バイオ技術が、ウクライナ農民が利用できる手段になることも願っている”。ウクライナ政府とモンサントは、できるだけ早急にそれを現実化すべく最善を尽くしている。

アメリカ企業のモンサントは、2016年、ウクライナに、種子工場を建設する予定だ。ワシントンでのウクライナ農業・食糧大臣オレクシー・パヴレンコとモンサント代表との会談でこれが議論された。工場は、通常品種のトウモロコシ種子を、国内史上と輸出向けに生産する。同時に、モンサント ウクライナは、“未来の穀物の籠”と題する社会開発計画を立ち上げている。この計画は、ウクライナの地方住民達が生活の質を上げるのを支援するものであることが正式に発表された。

モンサントは、トウモロコシ種子工場の建設地を探しているが、いわゆる ウクライナのヴィーンヌィツャ州のトウモロコシ栽培地帯が優先順位が高いと述べている。ウクライナ種子協会の最高責任者ヴァレリー・ハジマートフは、モンサントは、ウクライナのトウモロコシ種子の約20%を占めているという。工場が2015年に立ち上がれば、同社のシェアは10%増える予定だ。

アメリカ副大統領ジョー・バイデンの息子、ロバート・ハンター・バイデンは、現在、アメリカの世界食糧計画の会長だ(国連の世界食糧計画- WFPを支持して、立ち上げられた)。彼が2014年に、ウクライナのエネルギー企業ブリスマ・ホールディングスの重役メンバーに彼が任命されたことが大いに論議を呼んだ。彼はモンサントの活動に政治的な支援をする人物なのだ。モンサントは武力を持った企業だ - 同社は最大の民間軍事契約企業(2009年2月までは、ブラックウオーターと呼ばれていたが、XeサービシズLLCに名を変え、2010年1月にはアカデミに再度改名した)アカデミと契約している。未確認情報によれば、モンサントは、アカデミを買収した。

同社はウクライナに、政治活動拠点もおいている - アメリカ-ウクライナ・ビジネス評議会(USUBC)だ。アメリカ-ウクライナ・ビジネス評議会の社長・CEO、モーガン・ウイリアムズは、遺伝子組み換え種子は、農業生産を増強する為に、ウクライナで合法化されるべきだと語っている。アメリカ-ウクライナ・ビジネス評議会の 16人の執行委員会は、モンサント、ジョン・ディア、デュポン・パイオニア、エリ・リリーや、カーギルの代表を含むアメリカ・アグリビジネス企業で賑わっている。

* * *

中国の首都で、7月25-26日に開催された「Food Safety & Sustainable Agriculture Forum 2014」には、中国、台湾、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、デンマーク、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチン、ブラジルやペルーから、遺伝子研究者、大学教授、医師、獣医、畜産農家、 作物栽培に従事する農家、農業コンサルタント、母親、NGO創設者や指導者や、社会活動家が出席した。「遺伝子安全のためのロシア全国会議」委員長イリーナ・エルマコワは、フォーラムでは、以下の様な恐ろしい情報が紹介されたと語っている。

豚の遺伝子奇形や、動物の不妊、臓器の病変や生殖障害、子供の自閉症や痴愚 - 全て遺伝子組み換え生物によってひきおこされたもの。GMOの弊害に関するこれほど多量の情報も、ウクライナ政府にとっては何ら重要ではない。政府は、徐々にではあるが、取り返しがつかない形で、ウクライナをモンサント特別保留地に変えつつある。

5月始め、ウクライナのマスコミは、モンサント・ウクライナ(カリフォルニアの巨大企業の子会社)が、新製品 - 選択的な効力を持つ除草剤ガーディアン・テトラを発売すると嬉しげに報じた。

ウクライナのGMO植民地化の過程は、全速力で進行中だ…

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2015/05/23/gmo-colonization-of-ukraine.html

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モンサント反対世界デモが実施されたばかり。

朝刊の、学者お二人の対談記事、何度も読み返した。とっておこう。「1984年」のオーウェル世界だと言っておられる。

外出していて見逃した相撲、絵に描いたような結末になった。

ウイン・ウインということか?少なくともTPPのようなゼロ・サムではなかろう。

「Food Safety & Sustainable Agriculture Forum 2014」というフォーラム、全く知らないが、例えば、
Chinese and International Experts Slam GMOs and Glyphosate at Beijing Conferenceという記事があり、

フォーラムの詳細内容は110ページのpdf(英語)で読める。

今朝、本の山が崩れ、中から興味深い本が出てきた。『巨大企業が民主主義を滅ぼす』ケンブリッジ大学教授 ノリーナ・ハーツ著 鈴木淑美訳 早川書房刊。
気にてなって、あわてて読んだ。

大いに納得する分析が多いが、極めて有効な対策はさすがに少ないようだ。ISD条項というのは、こういうところからきているのだ、と納得。

どうやら品切れか、絶版のようなので、触りの部分のみ貼り付けさせていただく。
巨大書店では、1円で買えるが、買えば、TPP反対派として、宗主国に報告がゆくだろう。

103ページにはこうある。

 一九九六年、欧州議会は牛肉に合成ホルモンの投与を禁止する法案を三六六対○で可決した。
この合成ホルモンは癌や男子の生殖能力低下を引き起こし、また子どもの思春期を早めてしまう可能性もある、という理由である。この三カ月後、合衆国政府は農薬メーカー、モンサント、米国牧畜業者協会、米国乳製品輸出会議、牛乳生産者連合など利益団体からの圧力を受けて、「この禁止は輸入障壁となる」としてWTOに訴えた。九七年、WTOは合衆国に有利な裁定を下した。欧州連合は抗議したが却下された。九九年、WTOはアメリカとカナダが報復措置として、一億二五〇〇万ドルを超える貿易制裁を科すことを認めた。果物ジュース、マスタード、ロクフォール・チーズなど、ヨーロッパの輸出品に突如重い関税が課せられた。

104ページ後半に、こうある。

 倫理的に容認できない、あるいは環境にダメージを与える活動をしていると思われる企業に対して、政府がボイコットや懲罰的関税という手段を用いようとすると、WTOはこれまで何度となく介入し、それを阻止してきた。実際、これまで考えてきたあらゆるケースにおいて、WTOは民主的選挙を経た政府の要望にさからい、企業の利益にとって都合のいい決定をしている。WTOは誰に対しても説明責任をもたない機関であり、私たちが何を食べられるか自由に選ばせず、 民主的に選ばれた政府が可決された法律を踏みにじり、貿易戦争を始め、あるいは認可し、私たちの健康を危険にさらす。
 もちろん、WTOはさまざまな面で建設的意味がある。WTOの発足以前は、貿易論争から経 済戦争につながることもあり、しばしば長期にわたって、互いに身動きがとれなくなり、被害も 甚大だった。たとえば一九三〇年代、平均的な関税率は四五パーセントで、金持ちの国は保護主 義を貫き、経済的に自立していた。しかしながら、WTOは自由貿易主義を国家に押しつけ、

105ページ

そのおかげで、国家は貿易の利益を最優先とせざるをえなくなっていく。たとえ有権者や政府が他の利益を先にしたいと望んでいても、そうできないのだ。国家の主権はこうして脆弱になっていく - 全体的でグローバルな善のためでなく、きわめて特定のメンバー、アメリカとヨーロッパの多国籍企業のために。

   

閉ざされた扉のむこうで

 WTOでの論議は非公開である。国家あるいは現地の法律に対して異議申し立てがWTOに提起されると、当事者は非公開の審問の場で、三-五人からなる審査団に主張を述べる。この審査団は提出資料を吟味し、専門的見解を検討する。審査団のメンバーと専門家を決めるのは、紛争解決機関(DSB)である。誰を選ぶかは、たいていは貿易に関する専門知識による。企業の多 くは、交渉のキモとなる専門家会議に参加することで利益を確保しようとするが、たとえば証言や技術的助言、環境や人権関連の資料など、ほかの情報は純粋に自由裁量で、審査団がそれを求めるかどうか次第で扱いが決まる。国連と違い、WTOの議論には、環境や他の公共利益団体は、商業的価値のある秘密がない場合でも、オブザーバーとしての参加を認められていない。
  被告側は、問題になっている法律が貿易制限にならないと証明しなければならない。審査団が、国内法はWTOのルールに違反している、と決定したら、違反した国にその法律の改正を勧告できる。しかし指定期間内に改正しなければ、罰金あるいは貿易制裁のどちらかを受ける。審査団の報告は、紛争解決機関(一三九カ国)の満場一致でこの報告を拒否する(めったにない)か、この決定に対する訴えが起こされなければ、六〇日間で決定となる。
 先進国と発展途上国は同じように審査を受け、欧州連合も合衆国も、WTOに譴責されている。
しかし、途上国はWTOの中で第二級市民扱いを味わうことが少なくない。

107ページ

 表向き、国際機関ということになっているとはいえ、WTOにおける途上国の影響力は微々たるものだ。他方、企業の影響力は計り知れない。組織のルールそのものが企業の利益を念頭において作られており、企業はそこでいっそう重要な役割を果たしていく。モンサントの社員ジェイムズ・エンヤートはこういっている。「国際貿易において重要な問題を決定するのは、企業です。企業が解決策を作り、それを具体案にして、自国あるいは他国の政府に売るのです……企業や国際貿易をおこなう人たちは、患者、診断医、医者の役割を同時に果たしていることになります」
 企業はWTOにおいて国の代表団メンバーとして大臣会議に出席することで、自社の利益を守った。シアトル・ラウンドの準備金は、民間企業からの高額な寄付でまかなわれた。その見返りとして、企業のトップは、会議に出席する政治家たちにしょっちゅう接触できることになっていた。
 企業七〇〇〇社で組織され、ゼネラル・モーターズやノバルティス、バイエル、ネスレなど世界最大の多国籍企業を代表する国際商業会議(ICC)の会長へルムート・マウバーは、WTO内で正式な立場を認めるように要求している(ただし、現在WTOに加盟するのは国家だけだ)。
「私たちはWTOにとって内緒で付き合う恋人ではいたくないし、勝手口からWTOに入らなければいけないというのもおかしい」とインタビューでマウバーはいった。WTOとの関係をさらに緊密にするため、マウバーはGATTの前事務局長アーサー・ダンケルをICCの貿易委員会議長に指名した。ダンケルはまた、ネスレの理事でもある。
 lCCが正式なWTOの会員と認められる日を待っている一方で、大企業とトップたちが、選挙によって選ばれた政府の規制を逃れていられることは、現在、既に明白である。国際的意思決定において、自由貿易の利益がますます優先されるという事実をみればいい。古代ローマ社会で、金持ちに所有される剣闘士は、コロセウムで死ぬまで戦った。今日ジュネーブで、程度の差こそあれ、国家は企業に所有され、WTOという場で互いに戦わされている。国家は市民の求める生活や貿易を、自ら決めることすら不可能になっているのだ。

つまり、

程度の差こそあれ、国家は企業に所有され、TPPという場で互いに戦わされている。国家は市民の求める生活や貿易を、自ら決めることすら不可能になっているのだ。

「第7章 見えるもの、見えないもの」冒頭は、まさにこの翻訳記事の主役、モンサントに不都合な事実を報道したかどで、解雇されたエリート・ジャーナリスト夫妻の話。

マスコミは、大企業がこのまない報道は避ける具体例もあげられている。というわけで、大本営ではない報道記事は探さないといけない。

2015/05/09 「動物実験では遺伝子組み換え作物で若くして腫瘍発症。人間も同じに」遺伝子組み換え技術で生まれた子宮頸がんワクチンの危険性~岩上安身による西尾正道氏インタビュー第三弾・前編

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NO TPP!!フェス&キャンドルデモ 2015.5.26(火)

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