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2015年4月15日 (水)

ウソの権力

Paul Craig Roberts
2015年4月13日

リンカーン記念館が、公民権運動の聖地で、マーチン・ルーサー・キングが“私には夢がある”演説をした場所だと言うのは、歴史の皮肉の一つだ。

リンカーンは、黒人が白人と平等だとは思っていなかった。リンカーンの計画は、アメリカの黒人をアフリカに送り返すことで、もし彼が暗殺されていなかったなら、黒人のアフリカ送還が彼の戦後政策になっていた可能性が高い。

トーマス・ディロレンゾや、多数の宮廷歴史家ではない人々が、決定的に明らかにした通り、リンカーンは、奴隷を解放する為に南部連合国に侵略したわけではない。反対派や新聞を沈黙させる為のリンカーンの警察国家施策にもかかわらず、北部で戦争反対が盛り上がった1863年迄、奴隷解放宣言は行われなかった。奴隷解放宣言は、リンカーンの戦争遂行権限の下で行われた戦争用施策なのだ。宣言では、解放された奴隷は、兵士損耗を補充する為、北軍に入るよう規定していた。宣言で、南部の白人が出征して、家を離れている間に、南部における奴隷叛乱が広がり、女性や子供達を戻る為、兵士達が前線から離れることも期待されていた。狙いは、北部における、リンカーンに対する政治的反対が強くなる前に、南部打倒を急ぐためだった。

リンカーン記念館は、リンカーンが“奴隷を解放した”がゆえにではなく、リンカーンが帝国を救ったがゆえに建てられたのだ。リンカーンが暗殺されていなかったら、帝国の救世主として、彼は終生皇帝になっていただろう。

トーマス・ディロレンゾ教授は書いている。“リンカーンは、政治活動では、まずはイリノイ州で、次は北部全般で、保護主義関税、道路、運河や鉄道会社の企業助成政策、彼の様な政治家達に支配された国立銀行が、そうしたもの全てに資金供給することによって、州の権力を、富裕な大企業エリート(当時の‘1パーセント’)の利益の為に用いようとつとめ続けた。”

リンカーンは帝国の男だった。南部が征服され、破壊され、略奪されるやいなや、シャーマンやシェリダンの様な戦犯将軍連中は、人類史上、最悪の虐殺行為の一つ、プレーンズ・インディアン絶滅に取り掛かった。今日でさえ、イスラエル・シオニストは、ワシントンによるプレーンズ・インディアン皆殺しを、イスラエルのパレスチナ窃盗のお手本として挙げている。

「北部侵略の戦争」は、関税と北部経済帝国主義が本質だ。北部は保護主義だった。南部は自由貿易だった。北部は、工業製品に、より高い価格を支払うよう、南部に強いて、自分達の経済発展資金にしたかったのだ。北部は、関税率を倍以上の32.6%にし、将来は47%まで引き上げられるようになっていたモリル関税を成立させた。関税は、南部の農産物輸出利益を、北部の実業家や製造業者達の金庫へと向けたのだ。関税は、南部の工業製品支出を、イギリス製品から北部で製造されるより高価な製品に向けることを狙っていた。

これこそが、南部が、憲法のもとの自決権で、合衆国を離脱した理由だ。

リンカーンの戦争の目的は、帝国を守ることであり、奴隷を廃止することではなかった。彼の最初の就任演説で、リンカーンは“皮肉な奴隷制擁護をした”。 モリル関税にもかかわらず,南部を帝国内にとどめるのが彼の狙いだった。奴隷制度について、リンカーンはこう述べた。“奴隷制度が存在している諸州の制度に、直接にも、間接にも、干渉する意図は皆無だ。私にはそうする権利はないと思うし、そうする気持ちもない。”リンカーンが聴衆に強調した、この立場は、1860年の共和党綱領の一部だった。リンカーンは、北部の人々に、逃亡奴隷を追跡して捕まえ、連れ戻すことを要求する逃亡奴隷法の厳格な実施の支持も申し出て、北部の投票で、下院と上院で既に成立していた、奴隷制度への連邦のいかなる干渉も禁じる、コーウィン憲法修正条項を支持した。リンカーンと彼の仲間にとって、帝国は、奴隷より遥かに重要だったのだ。

ディロレンゾは、リンカーンが一体どのような取り引きを、南部に申し出たか説明している。ところが、帝国が、北部にとっては、奴隷制度より、はるかに重要だったのと同様、南部にとっては、北部による奴隷制の保障より、工業製品に対する高い税金を避けること、実際は、南部農業の利益に対する税金の方が重要だった。

もし「北部侵略の戦争」に関する洗脳を解除したいと思われるなら、ディロレンゾの著書、The Real Lincoln(真実のリンカーン)とLincoln Unmasked(素顔のリンカーン)をお読み頂きたい

いわゆる内戦は内戦ではなかったのだ。内戦では、双方が政府支配を目指して戦う。南部は連邦政府を支配する為に戦っていたわけではない。南部が離脱し、北部は南部の離脱を拒否したのだ。

これを書いている理由は、権力の狙いに合わせる為、歴史がどのように改ざんされるのか、はっきりと実証する為だ。私は公民権に大賛成で、大学生時代は運動に参加した。1パーセントの代理人で、帝国の為ならあらゆるものを進んで破壊するつもりだった暴君リンカーンの、公民権英雄への変身を、私は非常に不快に感じる。次は誰だろう? ヒトラー? スターリン? 毛? ジョージ・W・ブッシュ? オバマ? ジョン・ユー? もしリンカーンが公民権の英雄になれるのであれば、拷問する連中でもなれるだろう。女性や子供達を、戦争で殺害するワシントンの連中も、女性権利の擁護者や児童擁護家に変身できるだろう。そして、おそらくそうなるだろう。

こういう、ねじれて、倒錯した世界に我々は生きている。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ロシア同盟国で、何世紀もロシア自体の一部だったウクライナの、選挙で選ばれた政権の、ワシントンによる打倒に直面しているのに、プーチンは不当にも、ウクライナを侵略していると非難されている。ワシントンは、21世紀に、他のあらゆる国を合わせたより多く民間人を殺害しているのに、中国が、人権侵害をワシントンに非難されている。

欧米のあらゆる場所で、醜悪なウソがまかり通っている。ウソは、歴史書や、履修科目、政策綱領、運動や大義や歴史的記憶の中で制度化されてしまっている。

アメリカは、それで生きているウソを乗り切る為、苦境に立たされようになるだろう。

Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTが購入可能。

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2015/04/13/power-lies/
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4月15日、リンカーン暗殺150周年。

高浜原発裁判の再稼動を認めないまっとうな判決。夢ではと思ってしまうほど。たまには偉い裁判官がおられるものだ。

JR東日本、新橋駅近くの支柱転倒問題で、支柱の異常を把握しながら、即行動しなかったのはおかしい、と報じている。
それに引き続くニュースが、TPP推進。明日から事務レベルで協議を再開すると。

支柱倒壊で、山手線、京浜東北線車輛が脱線すれば大事故。
TPPで、日本丸ごと、宗主国大企業600社の支配下に入れば、永遠の地獄。
教育も、医療も、水も、言葉も、文化も。
大本営広報部、TPP日程のみを垂れ流すだけで、TPPの過酷さを封印している。
TPPのとんでもない異常さを把握しながら、即行動しない大本営広報部、傀儡政治家と同罪。
1000年以上、何とかやってきたノビタが、300年にもならないジャイアンの経済・社会構造にあわせて全面改造される。合法的完全乗っ取り。

みすみす、ビジネス・チャンスのAIIBへの参加は、見送る。

この国、第二次世界大戦時日本のよみがえり。暴走を潰した敵国が宗主国で、この暴走をあおっているのだからブレーキ無し。完全壊滅まで終わらない。全員違法ドラッグ吸引状態。

大本営広報部報道で、毎日目が点。

傀儡売国奴、宗主国侵略戦争パシリ出征法を「国際平和支援法」と名付けた。座布団一枚。

ジョージ・オーウェルの『1984年』の年度、現実より、31年早かった。
この属国、『1984年』そのままの世の中になっている。

  • 戦争は平和である
  • 自由は屈従である
  • 無知は力である
  • 宗主国は、国際社会である
  • 侵略は、平和支援である

これを書いている理由は、権力の狙いに合わせる為、歴史がどのように改ざんされるのか、はっきりと実証する為だ。1パーセントの代理人で、帝国の為ならあらゆるものを進んで破壊するつもりだった暴君リンカーンの、公民権英雄への変身を、私は非常に不快に 感じる。 もしリンカーンが公民権の英雄になれるのであれば、傀儡売国奴連中でもなれるだろう。そして、おそらくそうなるだろう。

まことに、日本も含む欧米のあらゆる場所で、醜悪なウソがまかり通っている。ウソは、歴史書や、履修科目、政策綱領、運動や大義や歴史的記憶の中で制度化されてしまっている。

Roberts氏、リンカーンについては前にも書いておられる。別の方の記事もある。

リンカーンについては書いてあるが、日本の英雄諸氏については?例えば

  • 吉田松陰
  • 坂本龍馬
  • 福沢諭吉
  • コムデギャルソン宣伝をした痴の巨人氏

福沢諭吉については、安川寿之輔氏の本を二冊読んだ。

2014/09/03 「奴隷の群衆」「牛馬豚犬」…”元祖ヘイトスピーカー”としての福沢諭吉を徹底検証~岩上安身による名古屋大学名誉教授・安川寿之輔氏インタビュー

次は下記の本を読む予定。

【IWJブックレビュー】杉田聡著『天は人の下に人を造る―「福沢諭吉神話」を超えて』(インパクト出版会)

岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

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コメント

某宗主国の統治は杜撰なんですよね。
その国に存在している賊を使うから毎回統治の質が
落ちていき持続性がなくなっていく。

既に放置しておいても勝手に潰れていく状態になってますぜ、大将。
むしろ統治ミスじゃないですかい。
潰すことが目的ならまぁ目的どおりになってますがね。

毎回素晴らしい秀逸記事の翻訳を、ありがとうございます。
こちらのサイトでどれだけ勉強をさせていただいていることか!
blog主さまの解説とコメントも毎回とても楽しみにしています。
良い本のご紹介もしてくださっているので、順番に読んでいくつもりです!
これからも応援しています、頑張ってください!!

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